(1)深まる財政危機への対応
▼ 今、大阪府は大変厳しい情勢に直面しています。第1に、いうまでもなく財政の危機的状況の進行があげられます。自治労府職は、昨年度取りまとめられた行財政計画(案)に対して、真に府民のためになる行財政改革を求めて、意見反映を行うなど様々な取り組みを重ねてきました。行財政計画(案)は、負の遺産の整理に取り組むとした点などは評価できるものの、府民や職員に大きな痛みを強いる内容も含んでいます。今年度から実施に移されていますが、財政状況は一段と厳しく推移しています。
▼ 厳しくなる財政状況のもとで、「説明責任」を担いうる透明で、効果的、効率的な行財政運営を確立しなければなりません。あわせて、景気変動の影響を受けやすい法人事業税と法人住民税が基幹的な税目であるために極めて不安定な税収構造となっている都道府県税制の改善と税源委譲による地方財政制度の抜本改革を求め、分権・自治を推進する「歳入の自治」を確立しなければなりません。
(2)分権改革へのさらなる対応
▼ 「地方分権一括法」が施行され2年余が経過しました。機関委任事務の廃止などによって、自己決定・自己責任の増大が図られました。国地方の「上下・主従」関係を「対等・協力」関係に転換するための制度づくりは前進したと評価できます。これまでにも増して、地域住民のニーズに即した自立的、創造的な取り組みが求められています。
▼ 市町村合併特例法により、市町村合併の動きが全国的に展開されており、大阪府においても、富田林市と太子町、河南町、千早赤阪村の合併に向けた法定協議会が設置されるなど動きが始まっています。
▼ 市町村合併は当該市町村の自主的な判断と住民合意を基本としなければなりませんが、合併による地方分権が進めば、都道府県行政の空洞化が進む可能性もあります。大阪府の今後の役割とあり方についても十分な議論と検討を進めていく必要があります。
(3)市民参加と協働の促進
▼ 自治労府職は2000年7月に自治研集会を開催し、市民参加と協働を進めるための具体案を提起しました。この2年間で、施策評価、パブリックコメント制度などが実現しました。
▼ NPO、地域との連携を一層進め、多様な分野で行政と市民との仲介役としてNPOの活用を求めていかなければなりません。住民参加・協働をどうすすめていくか、私たち自治体労働者の対応が問われています。
(4)自治体改革の新たな仕組みづくりを
▼ 財政悪化を主たる理由として、地域公共サービスの民間委託化が進められています。その際、自治体は、民間企業等との間に委託契約を結びますが、現在の入札制度は価格が安ければよいという制度となっています。そのため、いわゆる「不当廉売」を許容することになり、地域公共サービスの質の確保と公正労働基準の確立(労働者保護)が保障されないと思われる金額で落札されるケースが増加しています。
▼ 自治労は、1992年から調査・研究をすすめ、昨秋「自治体入札・委託契約制度研究会報告書」を取りまとめ、入札という貴重な機会を活用して、公正労働基準や環境、人権、男女平等参画などの価格以外の社会的価値を追究する、いわゆる「政策入札」の導入を提唱しました。自治労府本部も、2002年の重要課題として条例化の運動を提起しています。
▼ 以上の問題意識を踏まえ、自治体労働運動の新たな課題として注目と期待が集まっている「政策入札」の情報を発信し、府民、民間組合等との協働関係の発展を目指して、自治労府職自治研集会を開催します。
▼ 自治体改革のさらなる前進に向けて大きな流れをつくりあげましょう。