機関紙「自治労府職」

 2000年11月11日号

府労連・ヤマ場に向け取組強化

府労連は11月1日に第2回中央委員会を開き、新再任用制度と昇給停止年齢引き下げ提案の到達点を確認。秋季年末闘争方針案と要求内容、役員の変更でも次のとおり確認した。
【府労連役員の変更】
■副委員長 酒井聖和(自治労府職副執行委員長)(前任・永久前自治労府職執行委員長)
■書記長 大橋敏博(自治労府職執行委員長)(前任・植本真砂子前自治労府職副執行委員長)

 2日午前には太田知事と第1回団体交渉を行い、田渕委員長が「近く、府の新行財政再建計画のプロジェクトチームが発足するようだが、計画内容に労働条件問題が含まれることが予想されるので府労連との十分な協議を求めたい。また、新再任用制度と昇給停止年齢の引き下げについては問題点などで誠意をもって協議してほしい」と申し入れ誠意ある回答を求めた。
 大橋書記長は要求の主旨説明で「2年続きのマイナス勧告は通年で20万円の減収という厳しい状況。人事委員会が捨象した1・8%は来年になればさらに拡大する。人事委も重要な課題と言及したが、とくに昇給停止の早期復元を求める」と要請。昇給停止年齢引き下げに伴う任用制度全体の改善なども求めた。
 また、年収減が続く中での時短要求は切実な声であるとして1日の勤務時間短縮・リフレッシュ休暇の増設・家族休暇などの拡充を求めた。
 健康管理問題でも明るく健康で働きやすい職場づくりのため、財政難を理由に水準を切り下げず拡充すること、電子府庁・IT化に応じた職場環境の整備なども求めた。
 太田知事は「府労連との良き労使慣行を維持し、発展させていく」と述べ、要求内容には「どの事項も組合員の皆さんの勤務条件に関する重要なもの。本府財政は危機的な状況ですが十分に検討したい」と誠意ある回答を約束した。
 府労連は秋季年末闘争の切実な要求実現に向けて、今後の折衝・交渉を強めていくとした。
 府労連は知事との団交以降、3回の事務折衝を重ね20日のヤマ場に向けた取り組みを強めている。
 9日夜には、新別館多目的ホールで各単組中央委員クラスの集会を開き、仕事を終えた組合員が闘争要求実現に向けて集まった。
 田渕委員長は「財政再建プログラム(案)導入時の一方的な姿勢をくり返させず、新行財政再建計画策定などの動向を見すえて油断なま構えていきたい。今季要求の実現に皆さんの結集を」と訴えた。
 大橋書記長からは20日のヤマ場をひかえ、この間の折衝経過などが詳細に報告され、府労連としての重点課題の実現に向けた取り組みが提起された。

直営こそ公的サービスの源
府本部 現業・公企闘争総決起集会

府本部は11月1日、府立青少年会館で「地方分権を担う自治体改革・財政改革推進、2000現業統一闘争・公企統一闘争勝利」11・1府本部総決起集会を開き、40単組1200人の組合員が参加した。
 山田委員長、自治労本部宮下書記次長、門川公企局長からそれぞれあいさつがあり、橋本書記長からは、昨年以上に賃金合理化が予想される2000確定闘争の前段の闘いと位置づけ、「現業職場と公企職場の直営堅持と、公的サービス拡充に向けた人員と予算の確保」を統一指標にし、11月10日の統一行動日には上限1時間の戦術を配置して府本部総力を挙げて取り組むと提起された。
 この間には各衛星都市ブロックで決起集会が行われ、各単組職場へオルグ活動を展開してきた府本部青年部がアピール。宮本現評議長、中村公企評議長から要求実現に向けた決意表明が行われた。
 集会宣言では21世紀を地方主権の世紀にし、さらなる自治体改革闘争の前進をはかっていくことが提案され採択された。
 集会終了後には、冷たい雨が降るなかデモ行進も行われ、参加者は「市民サービスの低下につながる安易な合理化は許さないぞ」とシュプレヒコールで訴えながら大手前遊歩道まで行進した。

2001年度職場環境改善など要求書

10月20日までに各支部から集約した職場環境要求は自治労府職は11月下旬に開く中央委員会で確認し提出する予定。
 各支部の切実な要求実現に向けて、取り組みを強めていく。

地方自治研究全国集会山形
3000人が参加・地方主権の時代の自治体政策を議論

自治労の第28回全国自治研集会が、10月25日から27日に、「創ろう、市民自治のゆたかな社会」をスローガンに山形市で開かれた。全国から3000人が参加し「地方主権」の時代の自治体政策について議論を行った。自治労府職からも23人が参加し、6本のレポート報告を行った。
 初日の全体集会特別分科会「都道府県の未来像をさぐる」では、北川三重県知事らのパネルディスカッションに引き続き、前副委員長の植本さんが「府民と府政の新たな関係を構想する」と題して大阪府での行財政改革に対する組合の取り組みを報告。市町村が広域連合など新たな時代を迎えるとき都道府県の担う公共サービスの今後のあり方について議論を行った。
 各テーマに分かれて行われた分科会等については、各参加者の感想を集めた。

全体集会の感激、人権守る都職労取り組み表彰

 全体集会での辛淑玉(シン・スゴ)さんの語り口が深く印象に残った。指紋押捺を巡る苦い体験から今年の新宿での「多文化たんけん」イベントでの出会いまで、自治体職員との関わりから出てきた発言の鋭さ、重さ、そして多少の励まし。石原東京都知事の「三国人」発言をきっかけにした、辛淑玉さんたち市民と自治労組合員の協同の取り組みを担った、自治労都職労・新宿区職労のレポートが優秀賞論文として表彰されたのもうれしい。労働組合があって本当に良かった、と思える場面だった。
総務支部 馬谷憲親


第2分科会 社会保障、子ども救う環境づくり痛感

 今回の自治研に参加させて頂き、東京都の虐待問題に関する検討結果・中間報告を興味深く聞きました。
 私は児童福祉施設に勤務しており、精神的な虐待による反応性、愛着障害や身体的な虐待による行為障害等により入園している子ども達と接していますが、コミュニケーションを取りづらく対応が難しいことが多いです。また、親から引き取りを強く希望し、家に戻れば虐待が行われる可能性があっても親権などにより退園を余儀なくされることもあり、早急に法的な整備を行い虐待死がおこらないよう、また早期に治療にあたれるような環境を作る必要があると痛感しました。
 また、他の代表レポート、自主レポートにも興味深い議論が多々あり、私自身にとって得るものが多い分科会となりました。
中宮病院支部 青木浩幸


第2分科会 社会保障、高齢者介護の必要性を実感

 各県の介護保険制度の現状と課題の報告においても多少の違いはありますが、充実した介護サービスを提供するには人員不足があり、介護支援専門員の拡充と研修が重要な課題となっていました。
 少子高齢化の時代において、今後も増えていく高齢者への支援は大変重要な課題であります。地方分権一括法が4月から施行され、中央集権から地方分権の時代へと変わり各自治体がはたす役割も大きくなります。高齢者が安心して暮らせるように、地域や保健・医療・福祉が一体となって充実した介護サービスの提供や自立支援に向けた施策が必要であり、また、要介護状態にある高齢者だけではなく、高齢者全般に考えていく必要があると思いました。
中宮病院支部 山中 章


第4分科会 地域経済と雇用、全国発信の機会、有意義

 私は「地域経済と雇用」分科会で「地域エイジレス社会対応促進モデルについて」の報告を行いました。大阪府の中小企業支援の最先端にいる私たちの、高齢者会を切り口とした産業振興という試みを、全国レベルの舞台で報告する機会を得られたことを、大変ありがたく思っています。なお、ここで知り合った参加者の間で新たな交流が生まれ、諸課題の解決につなげていくことが重要であり、その意味では、今大会の成否は私たち参加者各人の今後にかかっていると考えます。
商工支部 北出芳久


第4分科会 地域経済と雇用、自治体が労働行政の主軸に

 第4分科会(地域経済と雇用)では、「現在の雇用の実態とその背景」「地域での雇用の創出と雇用の多様化」「地域経済の活性化」をテーマに、15年ぶりに自治体の労働行政について討論が行われました。
 わが国の雇用・労働環境が構造的に変化しつつある中、従来のような都市部での大量雇用ではなく、それぞれの地域に見合った雇用・就業機会を創出し、それに対応する人材を育成していく上では、労働行政の分権化が不可欠であるとの基本的な考え方をもとに、様々な報告がありました。
 その中で、労働支部が積極的に参加している自治労全国労政連絡会と職業訓練協議会は、今後の自治体独自の雇用・労働行政について、「住民の圧倒的多数が労働者。今後、不安定雇用労働者が増加するなど、多くの労働問題が発生する。自治体が労働政策を主体的に担おう」と呼びかけました。これに対し、市町村から「小さな町が労働行政をやりたくても、これまでの国へのお任せ状況もあり、なじみにくい」との声がありました。
 確かに、労働者と使用者を取り巻く空気に都市部と地域でいささか違いがあるかも知れませんが、助言者が地域づくりは人づくりと言われたように、地域経済を活性化させるためには、そこに働く人の適切な労働条件と適切な働き方が必要です。その意味でも、これからすべての自治体で労働問題を正しく理解、認識し、その地域に応じた施策を選択、実施していくことが重要であることを再確認しました。
労働支部 佐々 力


平和分科会 中国人強制連行と花岡事件レポートに感銘

 平和分科会での秋田県大館市職労が、戦後55年を経て風化しつつある「花岡事件」について、現地での侵略戦争の加害者の側から平和運動として取り組んできた報告が印象に残った。
 歴史認識を曲解しようとする様々な動きが顕著になってきており、地元にも相変わらず暗い過去として事件に背を向けようとする風潮が根強い中で、粘り強く多くの市民との交流を積み重ねてきた大館市職労の取り組みに深い感銘を覚えた。最近は修学旅行で花岡を訪れる県外の学生も増えていることに希望を見出していると力強い言葉でレポートを締めくくられた。
総務支部 山口 治


自治研全国集会、市民自治の実践で21世紀へ

 集会の全体集会で自治労本部を代表してあいさつした佐藤副委員長は「市場原理が強調される中で、勝者と敗者を創り出す殺伐とした社会になりかねないことを危ぐする。自治体には地域社会のセーフティーネットとしての役割が求められている。地方分権の時代の中で、実践を通じて国依存を脱却し、『おらがまち』の姿を描く時代だ。3日間の取り組みを通じて、21世紀へのメッセージを発信しよう」と訴えた。
 自治研助言者を代表してあいさつした東洋大学の内田雄造教授は、「社会・経済構造や市民意識が大きく変わってきている。情報公開、アカウンタビリティ、市民参加にもとづいた自治体職員と市民とのパートナーシップが鍵。自治体の力が問われる時代に、各地の経験を交流し実りある集会にしよう」と期待を表明した。
 また、午後には第5回地方自治研究賞の表彰が行われ、優秀賞には石原都知事の「三国人」発言をきっかけにした市民・労働組合の取り組みを報告した「全国へ発信された『多文化共生』の壮大なイベント」(東京都本部・新宿区職労)が選ばれた。
 集会2日目からは、課題ごとの分科会で、研究と運動実践報告を中心とした交流と討論が行われ、「地方財政」「地域経済と雇用」「環境エネルギー」「教育・文化・スポーツ」「平和」「部落解放・反差別・人権」「男女平等」など9テーマ12会場に分かれ議論が深められた。