機関紙「自治労府職」

 2000年8月1日号

公務員連絡会人勧交渉
一時金の減額必至か
勧告は8月7日の週後半 人事院

公務員連絡会は7月17日に続き27日には全国統一行動を背景に人事院との交渉を行い2000人勧要求に対する回答を求めた。
 本年のベア・一時金については大村給与局長が「民調の集計ではベアのマイナス較差はないが極めて小さい較差で勧告をどうするかは検討中。一時金は支給月数の減が避けられない状況、勧告日は8月7日の週の後半になる見通し」と一時金の引き下げは必至としたが具体的な内容は最終的な方針が固まっていないとして明らかにしなかった。
 公務員連絡会はベア勧告の実現と一時金支給水準の確保に向け最大限努力し勧告の具体的内容では公務員連絡会と十分な配分交渉を行うことを求め、給与勧告内容は8月2日に再度、交渉しその場で明らかにすることを確認した。
 当日は中央行動も行われ全国から1000人が参加。交渉団を支援するため人事院前で「ベア勧告を行え」「一時金の支給水準を守れ」とシュプレヒコールを繰り返した。
 本年の民間賃上げ結果では、労働省調査で主要企業(従業員1000人以上)が6499円、2・06%(定昇込)と昨年比0・15減、国営企業は6143円、2・05%(定昇込)で純ベアは369円、0・12%と同0・13〜14減、連合調査では6468円、1・94%で同0・16減、純ベアは490円、0・16%で同0・03減となり、公務員連絡会は17日の交渉でも国営企業のベアを示し、較差があればきちんと勧告すべきと人事院の姿勢を追及している。
 また、一時金では連合調査で民間主要組合の99年、年間支給月数は加重平均で4・75月となり、このまま公務員に反映されることはないにしても状況はかなり厳しいと認識せざるを得ず、改定率や各号給の定昇率(間差額)との関係もあるが2年連続の年収マイナスになる年齢層が生じることが十分予想される、として公務員連絡会・自治労は交渉を強めていくとしている。

自治労府職2000年度自治研集会
    府政再生に斬新な提言を・知事も職員にメッセージ

財政危機に直面し赤字再建団体への転落を回避するため財政再建緊急期間中の大阪府、前知事が強制わいせつ事件で辞任し府民の府政に対する信頼を大きく損なった大阪府、全国初の女性知事が誕生しその行政手腕とバイタリティに府政再生への期待がかかる大阪府、その今後は│││
 本年4月、地方分権一括法が施行され国と地方、都道府県と市町村の関係が大きく変化するなか、自治労府職は労働組合として職員の労働条件はもとより、府政の再生、よりよい行政サービスの確立に向けて4つの小委員会で自治体政策の研究活動を進めている。

 7月21日には太田房江知事を迎えて新別館多目的ホールで「府民と府政の新たな関係をこうしてつくる」と題した自治研集会を開き、仕事を終えた組合員など約200人が参加。府政の現状と問題点を共有しながら地方分権、府民参加・参画を進めるこれからの府政のあり方を討論した。
 主催者を代表して永久委員長は「わたしたちはさまざまな職場で行政サービスを担っており、その経験を生かしながら担当業務の改善はもちろん、広い視野で府政全般の議論も深め、よりよい方向を見いだすことが重要だ。前に向かって進む自治研活動をともに取り組んでいきたい」と活動の重要性を訴えた。
 集会は府の現状と課題、メインテーマの府民と府政の新たな関係の構築などで植本副委員長が基調提起してプログラムがスタート。
 太田知事は府政再生に向けた職員へのメッセージで、府民とともに進める府政が基本理念としたうえで@庁内、府民のなかに残る「どうにかなるのでは」との考えを裸の府政をさらけ出すなかで危機感に変えて共有していくことが必要、A府の財政危機は民間では許されない状態で、職員はともに「経営感覚を持つ」ことが不可欠。問題提起とその解決は日常業務のなかで日々行われるもので、それが府政の原動力になる、B行政のプロとして仕事を進める一方で素人感覚も失わないでほしい。仕事を肌で感じる感覚、新しい感性で常に疑問を持ち議論するなど仕事に対するチャレンジ精神を育んでほしいと呼びかけ、9月議会に向けた決意も熱心に語った。
 知事のメッセージをうけたあと、連合大阪の伊東文生事務局長、大阪ボランティア協会の早瀬昇事務局長、大阪大学大学院の斉藤弥生助教授をパネリストとして招き、植本副委員長のコーディネートで府民と府政の新たな関係の構築についてパネルディスカッションを行った。
 府民の参加、参画で進める府政再生への提案では、
●伊東 府民に財政再建後の明確なグランドデザインを示し、その達成に向けて財政危機を乗り越えるため府民・府議会・職員がともに痛みを分かち合う大胆な改革が必要だ。
●早瀬 「住民はお客さん」ではなく府政の支援者として公共サービスに参画できるよう府がその仲介を行うような、NPOの活動形態を参考にしたシステムをつくることが必要な時期だ。
●斉藤 住民が払った税金が住民のために使われているかが見える必要がある。スウェーデンでは高負担でもレベルの高い公共サービスが行き届き、住民は納得して行政と協力している。
と専門的な立場から意見が出され、これからの府政のあり方に一石を投じた。
 報告集を作成
 自治労府職自治研推進委員会は、本集会の報告集をまとめ今後の活動に生かしていくなど、活発な自治研活動を進めていく。

27100人が米軍基地を包囲・基地はいらない「人間の鎖」
県民大行動に参加して―池口忠史(青年部常任委員)―

基地撤去をアピール

 沖縄は今から28年前に米国から日本に復帰した。
 しかし、今なお沖縄は実態として米国の支配下におかれ、同じ日本に住むわたしたちとは明らかに異なる日常を強いられているという現実がある。
 今回、7月21日から開かれる「沖縄サミット」に合わせて、嘉手納基地を「人間の鎖」で包囲し、サミット参加者はもちろん、世界のメディアを通して沖縄の現状と平和を願う県民の思いをアピールするための取り組みに参加した。
 行動には沖縄県民をはじめNGOや政党、労働組合などが主義主張を越えて幅広く参加していた。
 沖縄はすでに梅雨も明け厳しい日射しが肌に痛いほど突き刺さる午後1時から、わたしたちの集合場所である嘉手納町と北谷町の境にバスで移動し、午後2時からの行動に備えた。
 午後2時には、基地に向いて包囲行動が行われ参加者は手をつなぎ合ったが集合にムラがあり失敗。また30分後に基地の外を向いて2度目の包囲を試みたが全体がつながらなかった。午後3時に再度、基地に向かって手をつなぎ、結果は全員の手が固く結ばれ、嘉手納基地は基地の撤去と平和を願う参加者の「人間の鎖」に包囲され、行動は見事に成功した。
 嘉手納基地の全周は17・4キロで、包囲には1万人の参加者があれば十分だが、最終の包囲行動を行った午後3時には、これを大きく上回る2万7100人が手をつなぎ、基地問題への関心の高さを実感した。
 また、行動はマスコミなどでも大きく報じられ、全国に基地撤去を願う声をアピールすることができた。
 しかし、復帰から28年が経過したいま、沖縄は変わろうとしているだろうか?自分たちが住んできた土地は強制収容されて軍事基地となり、米兵による強姦やひき逃げといった不法行為の数々は、一向に減少する兆しは見えてこない。
 それどころか、日米両政府は軍事基地撤去を願う県民の声を逆手に取り、普天間基地の撤去とそれに変わるさらに強大な代替基地の建設に取りかかろうとしている。

このままでいいのか沖縄は「人間の鎖」は平和への思い

 今回の行動が終わり、わたしは大阪に帰ってきて、いつもと同じ生活に戻ったが、沖縄では依然として巨大な軍事基地と隣り合わせの生活を強いられている人たちがいる。軍事基地は、わたしたちがテレビや新聞を通して見るよりもずっと異常で巨大なものだ。
 「日本の安全保障には日米安保は必要だし、基地があるから雇用や暮らしが成り立っているはずだから、文句ばかり言うな」と感じる人もいるかも知れないし、県民の中にも基地が必要と感じる人は多い。しかし、日米安保体制の負の部分の多くは沖縄に集中し、本土に住むわたしたちはその代償を払ってはいない。
 米軍基地を沖縄に置くことや日米安保体制の賛成か反対かはそれぞれの人が判断することだが、多くの人たちは沖縄の現実を、基地の現実を見ないままにこうしたことを議論したり、無視して日米安保体制の恩恵だけを受けている。しかし、沖縄の人たちが背負わされている現実を見たときに、簡単には「基地賛成」「日米安保賛成」とは言えないのではないか。
 「人間の鎖」の行動はこれで終わりではなく、沖縄と本土を結ぶ「平和の鎖」として今後も基地の撤去と平和に向けた取り組みを継続させていく必要性を強く感じた。
 最後に「基地はいらない人間の鎖県民大行動実行委員会」が発表したメッセージの一部を紹介したい。
 「わたしたちは、県民の意思とそれに共鳴する人たちが結んだ『人間の鎖』を、軍隊などあらゆる暴力をもっても断ち切らせはしない。沖縄をアジア・太平洋の軍事拠点から、文化が息づく平和拠点の島にするまで。想像してごらん 基地も戦争もない21世紀を」

女性部取り組み・映画と講演会、先着30人を無料招待
続「住民が選択した町の福祉」

自治労府職女性部は学習会の一環として、高齢社会をよくする女性の会・大阪が主催する映画と講演会に組合員30人を招待する。
 映画は介護保険施行に向けて共に取り組む鷹巣町の住民と行政の姿が生き生きと描かれた、続「住民が選択した町の福祉」〜問題はこれからです〜。
 また介護保険や市民福祉について行政、各分野でホットに発言を続ける関西学院大学の大谷強教授による「私たちが創る、市民福祉が息づくまち」と題した講演会。
 希望の方は本部女性部まで連絡を(TEL06―6945―4056)
【日時】8月19日(土)
映画/@12時30分〜14時35分、A16時10分〜18時15分の2回上映で20日(日)も同時間で上映。
講演/19日のみで14時45分〜15時45分。
【場所】ドーンセンター7Fホール