機関紙「自治労府職」
2001年11月1日号
府労連
超過勤務の縮減/通勤手当の支給方法変更/職員宅舎・独身寮の廃止
宅舎廃止は了承できない
入居者への誠実な対応を強く求める
府労連は10月29日、当局から8月に提案されていた超過勤務の縮減、通勤手当の支給方法の変更、職員宅舎・教職員住宅・独身寮の廃止の問題で三役折衝を行った(詳細は府労連ニュース参照)。
府労連は、超過勤務の10%縮減については「時短リフレ研」での議論などもふまえ了承。通勤手当の6カ月定期相当額の支給(4・10月の年2回支給)についても、民間の状況や公務員への厳しい状況を考慮してやむを得ないとした。
一方、宅舎・独身寮の廃止問題では、当局の一方的で唐突な提案には了承できないとし、入居者の不安や怒りに対する当局の誠意ある対応を強く求めている。 府労連が、なぜ全宅舎廃止なのか、仮に全廃止でもなぜ14年度・16年度末に分かれるのかなどで当局を追及したが、当局は廃止年度の変更について頑なな態度に終始し折衝は平行線のままとなった。
府労連は、廃止提案時から宅舎廃止問題対策委員会を組織内に設置。入居組合員へのアンケートを行うなど意見集約を行った。そのなかで出された具体的な意見や要望については、廃止ありきの当局との議論の中で、入居者に不利益な状況とならないよう平行して議論を進めた。現時点で、入居者の負担を軽減する方向で、当局が示した考え方は次のような内容。
@14年度末廃止宅舎からの16年度末廃止宅舎への転居を一定条件のもとで認める、A移転費用は、上限設定のうえ家財道具の搬出費用など必要な費用を負担する、B入居者への低利融資の創設について、互助会で特別貸付ができないか検討を依頼する、C退去時の原状回復、補修費用の負担は求めない、D宅舎廃止までの必要な維持補修は行う、など。細部については今後も折衝が続けられる。
府人勧 厳しいマイナス勧告 3〜5面掲載
府人事委員会は10月24日午前、知事と府議会議長に「平成13年職員の給与等に関する報告及び勧告」を行った。
勧告は公民較差が3・22%(1万4258円)としたが、「較差のほとんどが定期昇給24月延伸等の影響によるもので、本年はあえて較差を解消する勧告は行わない」とし、「府民福祉に大きなマイナスとなる準用再建団体への転落は何としても回避しなければならず、そのための給与抑制措置は誠に遺憾だがやむを得ない」との意見を付した。勧告は、給料表の改定、国人勧にある暫定一時金の勧告を見送り、年末一時金(期末手当)は国人勧に準じて0・05月削減。3年連続で年収減(職員1人当たり約2万3000円)となる厳しい内容となった。
自治労府職宅舎入居者集会
不安や怒りを強い運動に
10月26日夜、自治労府職は宅舎廃止問題で入居組合員集会を開き、大橋委員長から府労連の経過と今後の対応で報告した。
参加した組合員からは「入居者の不安や疑問にきっちり対応せず、廃止ばかりを全面に出す当局の姿勢に強い怒りを覚える」、「組合としても情報伝達などで入居組合員の不安に応えて欲しい。また、廃止撤回を求める姿勢も持ち続けながら、強い取り組みを今後も続けて欲しい」と入居者の切実な不安が訴えられた。
自治労府職は、入居組合員集会を今後も行うなど、府労連に結集しながら入居者の生活と権利を守る取り組みを強めていく。
府本部現業・公企統一闘争、賃金確定闘争
直営堅持に組織一丸で
自治労大阪府本部は10月31日、府立青少年会館で「地方分権を担う自治体改革・財政改革推進、2001現業・公企統一闘争、賃金確定闘争勝利」10・31府本部総決起集会を開き、仕事を終えた組合員1100人が集まった。
集会では、財政危機を理由とした各自治体での安易な現業・公営企業職場の直営廃止、民間委託などの動きに対し、住民が安心して暮らせる地域に密着した公共サービスを守るため、直営を堅持し府内各単組が一丸となってたたかう決意を固めあった。また秋季年末確定闘争への意思統一も行った。
集会後には、会場から府庁前・大手前遊歩道までのデモ行進で「公共サービスの直営堅持」「安易な民営委託を許さない」とアピール。自治労府職は、大手前遊歩道で単組の総括を行い現業統一闘争、秋季年末闘争への結集を誓い合った。
自治労府職現評 6日に団体交渉
自治労府職現業評議会も、統一闘争にあわせ10月24日、府当局に要求書を提出。11月6日に団体交渉を行い、直営を堅持し職場を守るたたかいを強める。
自治労問題
真相究明委報告
自治労再生に向けた考え方 提起
自治労中央本部は10月25日、県本部委員長会議を開き、自治労と関連団体に関する一連の問題で、同月15日の緊急県本部代表者会議に続く「真相究明委員会報告」と「自治労の再生に向けた本部の考え方と取り組み」を報告した(2面に掲載)。
真相究明委員会報告は、同委員会の調査で把握した事実経過を、一連の問題事項について報告している。
自治労の再生に向けた本部の考え方と取り組みでは、今回の一連の信じがたい不祥事、逸脱行為を許してしまった本部の組織運営のあり方、慣行、体質、さらには役職員の意識の抜本的な改革を成し遂げる提起とした。
OA化に対応する事務机配置など要求
職場環境改善、健康管理・福利厚生の充実で要求書を提出
自治労府職は10月31日、「2002年度予算に向けた職場環境改善、健康管理・福利厚生の充実についての要求書」を当局に提出した。
大橋委員長から人事室小谷副理事に要求書を手渡した後、要求に対する誠意ある回答を求めた。書記長が本年の要求書の主旨を述べ、副理事からは要求の主旨を受けとめ、誠意をもって検討するとの返答があった。本年の要求書で新たに盛り込んだ項目は、次のとおり。
職場環境関係では、新庁舎建設が凍結される中、現本庁舎の維持に必要な予算を確保すること、出先機関の男女別トイレ設置などの要求に加え、身障者が来所する出先機関でエレベーターを設置すること。
労働安全衛生面では「IT府庁」が進められ各職員にパソコンが配置される中、OA化に対応する事務机・イスを計画的に配置すること。
福利厚生面では、非常勤職員の実態をふまえ被服貸与の対象にすること。
「行財政計画」関係では、職場環境や健康管理の問題で一方的な改変を行わず十分な協議を行うこと、などを盛り込んだ。
従来、職場環境要求書はもう少し遅い時期の提出だったが、今回は予算編成が確定する前に要求書を提出し、具体的な要求実現に向けた取り組みとした。
府労連秋季年末闘争スタート
府労連は2日の中央委員会で秋季年末闘争方針・要求書案を決め、今季のたたかいをスタートさせる。
厳しい情勢でも生活と権利を守る取り組みに職場からの結集をお願いします。
日 程
11月6日
知事に要求書手交
第1回団体交渉
11月12日
各単組中央委員クラス
意志統一集会
以降14日に団交、21日にも団交、集会とデモ
10/25自治労県本部委員長会議報告資料
徹底した真相究明と組合員情報公開
社会的信頼の回復に向け再生案を提起
真相究明委員会報告
1 真相究明委員会のこれまでの活動
(1) 第1回真相究明委員会10/5
@委員会の運営方法等の議論、Aエイシン問題に関する99年調査等の検証、B共済金詐取事件に関する事実経過等の検証、C次回までに調査・資料収集すべき点等の確認
(2) 第2回真相究明委員会10/13
@エイシン問題に関する新たな調査結果の報告とその検証、Aいわゆる右翼対策に関する新たな調査結果の報告とその検証、Bubc長谷川元専務らによる業務上横領事件に関する事実経過報告、C次回までに調査・資料収集すべき点等の確認
(3) 第3回真相究明委員会10/15
@県本部代表者会議への報告事項の確認、Aヒアリング予定等の確認
(4) 第4回真相究明委員会10/25
@ヒアリング結果および会計・財政実態調査報告とその検証、A県本部委員長会議への報告事項の確認
(5)この間のヒアリングの経過
10月14日6人、15日5人、19日3人、20日1人、23日3人、24日1人
現在までに、自治労本部役員(OB・現役)、自治労本部職員、関係会社関連など19人(集団ヒアリング・複数回ヒアリング者あり)にヒアリングを行っている。
2 各問題に関してこれまでに明らかになった事実
*肩書き・団体名等は全て当時のものです。
〈エイシン企画センター問題〉
@エイシン企画センターの設立は88年4月。87年に定年前に退職した元教宣局長の処遇を目的に、山田武光財政局長が、自治労と取引関係にあったサントクエンタープライズの柳澤氏、和恵印刷の和気氏、日本クリーンの菅氏、渡辺運送(現目黒運送)の渡辺氏に協力を要請して設立された。その内容は、4氏合計で月30万円を3年間持ち寄るというもの。
A処遇期間の3年が終わる90年ごろ、事業本部の椿事務局長がエイシン側に保険代理店の資格を取得するよう働きかけ、日本クリーンの菅、石田の両氏が資格を取得。同社は定款を変更し、事業本部の長期共済の再保険を扱っていた日本団体生命(現アクサグループライフ)の保険代理店として登録された。これにより91年から保険料収入をうることとなる。95年には菅氏が代表取締役に就任。柳澤、渡辺の両氏はエイシン企画の役員を退いている。
B96年4月に保険事業法が改正され、保険契約者(事業本部)と人的・資本的関係のある代理店が禁じられたため、ユニオン計算センター(現ユービーシー)はそれまでの法人紹介代理店の機能を喪失。エイシン企画がこれを引き継いだ。また、これに先立つ94年4月に長期共済の制度改定が行われた際、日本団体生命への再保険金の支払方法が全期前納から一時払いに変更された。これにより、日団からエイシン企画に支払う手数料が増加した。
Cエイシン企画から事業本部に支払われた受入費用負担金の総額1,700万円は、事業本部の開発事務局長がエイシン企画に要請し、96年から事務局長管理口座に振り込まれることとなった。
Dエイシン企画から書記次長の口座に総計2,100万円が支払われていた。この口座は、99年に閉鎖され、その時点の資産金1,030万円は、下記・で示す6,000万円とともに保管されている。
Eエイシン企画の役員報酬は総額8,410万円支払われており、解散時には総額4,372万円の退職金も支払われた。菅氏、和気氏はこれらを受領している。また同氏らはこれの確定申告もしている。
F同社は94年からの5年間で法人税5,242万円も納入、さらに修正申告も行っている。消費税の納入額は241万円。95年と98年には税務調査も受けている。
G委託費は日本クリーンと和恵印刷に、総額で2,940万円支払われた。この2社では雑収入などの費目で計上され、正規の会計処理がなされている。
H交際費については、名目通り、関係事業者との懇親などに使われた。報道にあるような「政治資金」には使っていない。またハワイ旅行などに使ったとも言われているが、菅氏がこの旅行に参加した事実はあるが、エイシン企画が費用を負担して行ったものではない。
・清算時の6,000万円の自治労への寄付金は、菅氏、和気氏が3,000万円づつ負担した。
〈右翼対策費問題〉
@大阪での共済金詐欺事件に絡んで右翼団体「大行社」が、98年6月以来、本部・事業本部・近畿センター・自治労大阪府職などに対して、「抗議」「不正請求糾弾」を繰り返し行ってきた。
A不正請求事件について、98年9月の自治労本部内部の会議で協議があった。この前後、大行社の動きや狙いなどに関する様々な「情報」が錯綜したが、この会議では、詐欺事件に関して法的対処のみ確認した。
Bしかし会議に参加していた一部の幹部が、何らかの対応もやむなしと感じ、会議後に相談。その中で7,000万円の額が持ち上がった。その後、これに相当する現金が、3回に分けて財政局長の管理する「自治労200万」という名称の口座から引き出され、長谷川元専務に渡っている。なおこれに先立ち、同口座には、事業本部から1億5,000万円が振り込まれている。
C「自治労200万」から7,000万円が支出された際、当時の財政局長は、その目的は右翼対策ではなく当該の単組に対する組織対策費と認識している。
D長谷川氏に渡った現金は、報道されているように、右翼対策にあたった暴力団関係者に渡ったのか、また「大行社」にも渡ったのか、また渡ったとしても、いくら渡ったのか、長谷川氏から先の金の流れは依然として不明である。
〈UBC不正経理問題〉
@株式会社UBCの登記簿の役員変更をする際の「株主総会議長」は、本来代表取締役社長であったが、法務局への届が偽造され、榎本社長が就任した時(97年10月)から長谷川陽光専務取締役になっていることを2001年10月17日発見した。誰が、何のために行ったのか、このことが何らかの問題につながるのか、現在調査を進めている。
Aなお、長谷川元専務ほかの業務上横領については、当該人が逮捕され、会計書類が押収されている状況ではあるが、引き続き内部調査を行い、検察の解明を踏まえて、告訴を行っていく。
〈財政局長管理口座問題〉
@機関会議の予算・決算で報告されない口座―マスコミが言うところの「簿外口座」―は、財政局長管理口座が12口座、事業本部事務局長管理口座が4口座。また、エイシン企画からの支払いを受けていた書記次長の管理する口座が1つあったが、閉鎖されている(エイシン問題の項で先述)。
A財政局長管理口座の残高は、現在4億7,000万円ほど。事業本部事務局長の管理する口座の残高は約3億円余りである。
B財政局長の管理口座のうち、事業本部から定期的に送金され、自治労運動推進・組織拡大・加入者拡大の目的に使用されてきた「自治労200万」口座は、88年7月8日に開設され、7月27日に事業本部から1億円が振り込まれたのが始まりである。
Cこれらすべての口座は、現在完全に凍結されており、整理する予定である。
〈ゴルフ場購入問題〉
@マスコミで報道されている「元委員長・元事業本部事務局長が独断でゴルフ場購入に動いた」というような事実は確認できない。真相究明委員会は、さらに努力を続ける所存である。
〈20億円を含む当座貸越問題〉
*この問題については、関係者からのヒアリング、資料収集などを鋭意行っているが、さまざまな証言や情報が錯綜しており、現段階では、残念ながら10/15の県本部代表者会議で示したこと以上に明言できる事実はない。真相究明委員会は、さらに努力を続ける所存である。
以上
自治労の再生に向けた本部の考え方と取り組みについて
1 基本的な認識
自治労本部・関連会社の役職員が起こした、信じがたい不祥事によって、現在自治労は結成以来の危機にあります。詳細な真相究明を待つまでもなく、これらは、規約や会計規則に定められた機関意志決定過程・会計処理から大きく逸脱した行為であり、許されるものではありません。重要なことは、このような逸脱行為を許してしまった自治労本部の組織運営のあり方・慣行・体質そのものが社会的に問われていることです。
今日本部に求められているのは、機関意志の決定過程と会計・財務処理のあり方を、組合民主主義と社会的常識に合致したものにただすこと、そしてそれらを総合した組織運営のあり方の一つ一つを改善すること、さらには役職員の意識の抜本的な改革を成し遂げることです。そのため本部は、自治労に対する社会的信頼の回復に向けて、こういった内容を網羅した自治労再生のためのプログラムが必要であると考えます。
2 再生に至る前の
4つの課題
自治労の再生のために、いま本部には、以下のような課題に関する速やかな対処が求められています。
第1の課題は、徹底的な真相の究明です。
第2の課題は、違法行為・不適切な行為を起こした者に対する法的・組織的対処です。
第3の課題は、39億にのぼる借財への対処です。
そして第4の課題は、これらをトータルに見た場合の、現執行部・常勤理事・本部職員の責任処理です。
これらについて、本部は自らの責任においてその厳密な対処を行う必要があると考えています。そこで、各課題に関する本部の考え方と取り組みの方向について、以下の通り提起します。
3 真相究明委員会を
中心とした徹底的な
真相の究明
真相の究明は、すべての処理の基本をなしています。これについては、すでに設置した真相究明委員会のもとで、ヒアリングおよび本部会計・財政実態調査を促進し、自治労としての総合的な結論を得ることをめざします。これらの中間的な報告は、適宜機関会議や組織内メディアを通して組合員に情報公開しつつ、最終的な報告を本年中にまとめていきます。
4 自治労再生委員会
(仮)と連携した対処
以下の3つの課題については、設置する「自治労再生委員会(仮)」の準備作業とあわせて、組合員・単組・県本部からの意見を積極的にいただき、弁護士・会計士・コンサルタントなど第三者のアドバイスを受けながら対処していきます。
(1) 違法行為・不適切な行為を起こした者に対する法的・組織的対処について
この間本部が示してきた通り、真相究明の結果を踏まえて以下のような厳正な対処を行います。
@刑事告発
真相究明の結果、背任・横領など明らかに違法であると組織的に判断できる事案があった場合、刑事告発を行います。
A民事訴訟
真相究明の結果、損害賠償請求を行うべきと組織的に判断できる事案があった場合、民事訴訟を行います。
Bその他の金銭的対処
法的手段に訴えるべきとは判断できないが、当時の組織上の責任あるいは実行行為に鑑みて不法・不適正であると組織的に判断できる事案があった場合、事実を公表し、当事者に対して必要な金額の返却を求めます。
C組織的対処
上記@〜Bに関わる者、あるいはそれ以外で社会通念・組織ルールに照らして問題があると組織的に判断できる者が、現在自治労組織を通した任に就いている場合、その任を解くなど、組織的対処を行います。
(2) 39億にのぼる借財への対処
39億にのぼる借財への対処について、本部としては次の通り考えます。
@基本的な考え方
ア)借財の種類・使途に関する調査・洗い出しを引き続き行い、その分析に基づいて対処すること
イ)39億の借財の清算にあたっては、不祥事の責任を有する者からの返却を第一とすること
ウ)借財が仮に過去の一部の者による行為によって生まれたものであるとしても、会計処理・財政支出決定プロセスの不明瞭さなど、本部運営の不備が遠因となっていることから、本部諸経費を見直すなど、本部が最大限の責任を果たすこと
エ)中央労金に対する当座貸越(35億)および都市銀行に対する手形貸付(5億)に伴う利息によって、本部資金(=組合員の財産)に日々負債が生じており、それを拡大させないための緊急避難的な措置が必要であること
A具体的な対処の方法
以上の考え方に立脚し、本日の県本部委員長会議を皮切りに、各県・各地連における議論をお願いするとともに、借財全額の清算方法については、「自治労再生プログラム」に委ねることとします。利息に関する緊急避難措置については、当面、自治労中央執行委員会の責任において対処します。
なお、10/15の県代会議において示した通り、この39億とは別の、財政局長管理口座・事務局長管理口座などについては廃止・凍結します。その清算と適正化についても「再生プログラム」に委ねることとします。
(3) 現執行部・常勤理事および本部職員の責任処理について
本部関係者の責任問題については、一連の事態に関して明らかになった真相に基づき、単組・組合員から見た視点および社会通念に照らし合わせた視点に立って、最も適切な時期に執行部が自ら判断することとします。
以上
3年連続、年収減の勧告
大阪府人事委員会勧告
給料表改定、暫定一時金の勧告見送り
年末一時金は0・05月削減
大人委第252号
平成13年10月24日
大阪府議会議長 古川 光和 殿
大 阪 府 知 事 齊藤 房江 殿
大阪府人事委員会委員長 今堀 富三
職員の給与等に関する報告及び勧告について
地方公務員法第8条及び第26条の規定に基づき、別紙のとおり、職員の給与等について報告し、併せて給与の改定について勧告します。
第1 職員の給与等
本年4月における本府の一般職の職員及び市町村立学校の府費負担教職員(以下、これらを合わせて「職員」という。)の給与等の状況は、次のとおりである。
1 職員の構成
(1)職員数
職員の総数は、9万105人で、昨年より1890人、率で2・1%減少している。
これを職種別にみると、行政職1万7871人(事務職・技術職など)、研究職483人(研究所等に勤務する研究員)、医療職3679人(医師、薬剤師、看護婦など)、教育職4万8619人(小・中・高等学校等の教員)、公安職1万9434人(警察官)、指定職19人(大学の学長、病院の総長・院長及び本庁の部長など)となっている。
(2)年齢構成
職員の平均年齢は、44・2歳で、昨年に比べて0・2歳高くなっている。
職員の年齢階層別構成は、「45歳〜49歳」を頂点とした構成となっており、40歳〜54歳の職員が占める割合は62・4%となっている。
行政職給料表の適用を受ける職員の平均年齢は、43・5歳で、昨年に比べて0・4歳高くなっている。年齢階層別構成は、「50歳〜54歳」を頂点とした構成となっており、40歳〜54歳の職員が占める割合は53・8%となっている。
(3)性別構成
職員の性別構成は、男62・3%、女37・7%となっている。
行政職給料表の適用を受ける職員の性別構成は、男73・3%、女26・7%となっている。
(4)学歴別構成
職員の学歴別構成は、大学卒58・5%、短大卒13・2%、高校卒27・0%、中学卒1・3%となっている。
行政職給料表の適用を受ける職員の学歴別構成は、大学卒26・3%、短大卒5・7%、高校卒61・6%、中学卒6・4%となっている。
2 職員の給与の状況
(1)平均給与
職員の平均給与月額(管理職手当及び時間外勤務手当等を除く。)は47万6373円で、その内訳は、給料39万5239円、扶養手当1万2862円、調整手当4万1238円、住居手当4806円、通勤手当1万3875円、その他手当8353円となっている。
(2)給料
職員に対しては、その職種に応じて、11の給料表に規定する給料を支給している。
給料表別に平均給料月額をみると、行政職・36万1347円(平均年齢43・5歳)、研究職・40万823円(平均年齢45・2歳)、医療職(一)・49万4019円(平均年齢43・9歳)、医療職(二)・35万198円(平均年齢42・6歳)、医療職(三)・31万6049円(平均年齢36・8歳)、教育職(一)・47万8998円(平均年齢46・4歳)、教育職(二)・42万7136円(平均年齢45・9歳)、教育職(三)・41万9245円(平均年齢46・1歳)、教育職(四)・45万8053円(平均年齢45・1歳)、公安職・36万6336円(平均年齢41・3歳)、指定職・92万2158円(平均年齢58・8歳)、となっている。
(3)扶養手当
扶養手当を有する職員に対しては、その扶養親族1人当たり3000円〜1万6000円の扶養手当を支給している。
扶養手当を支給される職員は、全職員の60・8%で、その平均支給月額は2万1169円、受給者1人当たりの平均扶養親族数は、2・1人となっている。
(4)調整手当
在勤地における民間の賃金、物価及び生計費の状況に応じて、給料、管理職手当及び扶養手当の月額の合計額の10%に相当する調整手当を支給している。
(5)住居手当
借家・借間に居住する職員(職員宅舎居住者等を除く。)で月額1万2000円を超える家賃を負担する者に対しては、その負担する家賃の額に応じて2万7000円以内、また、自己所有の住宅に居住する者に対しては、4600円の住居手当を支給している。
住居手当を支給される職員は、全職員の60・1%で、その平均支給月額は7998円となっている。
このうち、借家・借間居住者に対する平均支給月額は2万5283円、その負担する家賃の平均月額は7万1184円となっている。
(6)通勤手当
交通機関又は交通用具を利用して通勤することを常例とする職員に対しては、最も経済的かつ合理的と認められる通常の経路及び方法による交通費に応じて、5万5000円以内(交通費5万円以内は全額支給)の通勤手当を支給している。
通勤手当を支給される職員は、全職員の93・2%で、その平均支給月額は1万4882円となっている。
第2 民間給与等の調査
本委員会は、職員の給与と民間給与との精確な比較を行うため、人事院及び大阪市人事委員会と共同して、常勤従業員数でみた企業規模が100人以上で、かつ、事業所規模が50人以上の府内の民間事業所のうちから、層下無作為抽出法によって抽出した456の事業所を対象に「平成13年職種別民間給与実態調査」を実施し、うち調査が完了できた416の事業所(調査完了率91・2%)において、公務と類似すると認められる94職種の3万1595人について、給与改定の有無にかかわりなく、本年4月分として個々の従業員に実際に支払われた給与月額等を実地に調査した。
また、各事業所の春季給与改定の状況を調査し、調査時点では支払が終わっておらず、前記給与月額等の調査結果には反映されないが、4月に遡って実施されることが決まっている給与改定(4月遡及改定)について把握するとともに、各事業所の家族手当、住宅手当等の支給状況及び賞与等特別給の支給状況、過去1年間の雇用調整等の実施状況についても調査した。
(1)平均給与等
調査対象従業員の平均給与月額(「きまって支給する給与」から時間外手当を除いた額)は、事務部長73万8457円(平均年齢52・1歳)、事務課長60万3621円(平均年齢47・1歳)、事務係長44万1201円(平均年齢42・1歳)、事務主任37万3309円(平均年齢38・2歳)、事務係員29万8278円(平均年齢32・8歳)などとなっている。また、初任給は、新卒事務員・技術者の平均で、大学卒19万8023円、短大卒16万3320円、高校卒16万952円となっている。
(2)家族手当
家族手当(扶養手当)の平均支給月額は、配偶者のみ1万7738円、配偶者と子1人2万3094円、配偶者と子2人2万7943円、配偶者と子3人3万1008円となっている。
(3)住宅手当
住宅手当を支給している事業所は、全事業所の71・4%であり、借家・借間居住者に対する最高支給月額の中央値は、2万5000円以上2万6000円未満の階層に含まれている。
(4)通勤手当
交通機関利用者について、全額支給制をとっている事業所は75・4%であり、制限支給制でも支給限度額を超えている者がいないか又は例外的にいるだけの事業所24・5%を合わせると99・9%の事業所が概ね運賃の全額を支給している。
また、本委員会が独自に行ったアンケート調査によると、約4分の1の事業所が1カ月定期券の額を基準に支給しているが、約3分の2の事業所では、6カ月(半年)定期券の額を基準として支給している。
(5)特別給
昨年5月から本年4月までの1年間に支払われた賞与等の特別給の1人当たり平均支給額は、平均給与月額の4・70月分に相当している。
(6)本年の給与改定の状況
一般従業員について、ベースアップを実施した事業所が54・4%、ベースアップを中止又はベースダウンを実施した事業所が33・7%となっている。
また、管理職については、ベースアップを実施した事業所が46・1%、ベースアップを中止又はベースダウンを実施した事業所が39・3%となっている。
(7)過去1年間の雇用調整等の実施状況
平成12年5月以降実施された雇用調整等の措置で、実施事業所の割合が10%を超えているものは、採用の停止・抑制(37・8%)、業務の外部委託・一部職種の派遣社員等への転換(26・7%)、部門の整理・部門間の配転(25・5%)、残業の規制(19・4%)、転籍出向(13・3%)となっている。
第3 職員の給与と民間給与との比較等
本委員会が行った職員給与実態調査及び職種別民間調査の結果に基づき、職員にあっては行政職給料表の適用を受ける職員(技能労務系職員を除く。)、民間にあってはこれに相当する職種の職務に従事する者について、責任の度合、年齢等の条件が同等と認められる者相互の給与をラスパイレス方式により比較し、その較差を算定したところ、民間給与が職員の給与を1万4207円(3・21%)上回っており、これに4月遡及改定の影響分51円(0・01%)を加えた職員給与と民間給与の較差(以下「公民較差」という。)は1万4258円(3・22%)である。
第4 物価及び生計費
本年4月の消費者物価指数(総務省統計局)は、昨年4月に比べ、全国で0・4%、大阪市で0・5%の下落となっている。
本委員会が総務省の家計調査の結果を基に人事院方式により算定した本年4月の大阪市における標準生計費は、2人世帯18万2220円、3人世帯21万900円、4人世帯23万9580円、5人世帯26万8270円となっている。
第5 人事院勧告の概要
(省略)
第6 勧告及び意見
1 勧告
本年4月における職員の給与と民間給与との較差については、これを解消することが基本である。しかし、その較差のほとんどが財政再建に対処するための緊急措置としてさられた昇給延伸等の影響によるものであるという本府の実情や、物価・生計費及び国家公務員の給与改定に関する人事院勧告の内容等を総合的に勘案すると、本年度は、人事院勧告に準じ、給料表の改定を見送り、期末手当及び期末特別手当について下記により改定する必要があると認められるので、所要の措置をとられるよう勧告する。
記
(1)期末手当及び特別期末手当
ア 平成13年度の期末手当及び期末特別手当について、それぞれの支給割合の合計が3・55月分(特別幹部職員に支給される期末手当にあっては、3・15月分)となるように改定すること。
イ 平成14年度以降の支給割合を人事院勧告に準じて改定すること。
(2)実施時期
この改定は、平成13年4月1日から実施すること。
ただし、(1)のイについては平成14年4月1日から実施すること。
2 意見
(1)今後の給与制度及びその運用
ア 新しい給与制度のあり方
国の行政改革推進本部は、本年6月、新たな公務員制度の骨格とこれを具体化するに当たって必要となる検討課題を「公務員制度改革の基本設計」として示した。この基本設計では、職員の多面的な貢献度を適切に反映した給与を実現するため、給与体系を「職務遂行能力に対する給与」、「職責に対する給与」及び「業績に対する給与」に分割し、それらを一般職層、管理職層及び指定職層ごとの役職段階の特性に応じて適切に組み合わせることにより、新たな給与制度を構築するとしているが、給与の基本的な基準は、これまでどおり、情勢適応の原則の下、生活費、民間における賃金水準等を勘案して決定するとされている。
一方、人事院は、本年の給与勧告の中で、失業率も含めてその時々の雇用情勢をも反映している民間従業員の給与に公務員給与を合わせていくことが最も合理的であるとし、また、今回の公務員制度改革については、その要である能力・実績主義の人事管理の実現に向けて、関係当事者との間で十分な意思疎通を図り、評価の先行試行も含め、適切なプロセスを経て、着実に検討が進められていく必要があるとしている。
本府職員の給与が、府民の負担により賄われるものであることからすれば、その水準と仕組みについては、府民の目から見て適正・妥当なものでなければならないい。本委員会としても、社会一般の情勢に適応した給与水準を確保することを基本に、失業率を含めてその時々の雇用情勢をも反映している府内の民間企業従業員の給与に職員給与を均衡させることが、府民の理解と納得を得る最善の途であると考えるが、昨今の厳しい経済・雇用情勢の下では、採用の停止・抑制や業務の外部委託などが数値化されない民間の経営改善にも十分配慮する必要がある。
わが国の社会経済システムが大きな転換期を迎える中で、民間において人事・給与システムの見直しが急速に進んでいる。すなわち、これまでの業績給、あるいは、業務に必要な資格・能力などに基づく能力給が大きな要素を占めるようになっている。本府においても、こうした民間における給与システムを参考としながら、国の公務員制度改革の動向に留意しつつ、個々の職員が自ら進んで職務に精励し、その能力を最大限に発揮できるようにするため、能力・業績本位の新しい給与制度について、早期の具体化に向けた検討を進める必要がある。
イ 昇給延伸措置等による不均衡・不公平の是正
本府においては、平成11年度から普通昇給の24月延伸と定数内特別昇給の3年間の停止措置(以下「昇給延伸措置等」という)の影響により、本年4月における職員給与が民間給与を3・22%(1万4258円)下回っており、国及び他の都道府県との比較においても、最低の給与水準となるものと見込まれる。この昇給延伸措置等は、単に給与抑制として公民較差が継続・拡大するにとどまらず、結果として、次に掲げるとおり、組織内部における給与配分の不均衡・不公平を生じていることから、給与制度の運用のあり方が問われる課題として、他の都道府県の動向も勘案しながら、速やかに是正措置を講じることが重要である。
(給与配分の不均衡・不公平)
@ 新規採用職員の昇給延伸
新規採用職員は、昇給延伸措置等の影響により、採用時から最初の昇給までに2年以上を要することになり、この状況は、将来にわたって継続する。今後、人材確保が困難となり、また、新規採用職員の士気が低下するおそれがある。
A 若年層に大きく、高齢層に小さい影響
昇給延伸措置等による影響は、昇給間差の大きい30歳代までの若年層や早期昇格者に大きく、55歳以上の高齢層や昇格の遅い長期在級者に小さい。若年層や早期昇任者ほど影響の大きい給与抑制措置を続けることは、組織全体としての士気の低下や閉塞感の高まりなどが生じる結果となる。
ウ 新しい人事評価制度の確立
本府は、これまでにない厳しい経済・雇用情勢のもとで、限られた財源と人的資源を有効に活用して、府民の安全・安心を守り、大阪の活力を再生していくことが求められており、人事・給与制度においても、職員の能力と意欲を最大限に引き出し、府全体としての業務効率をより一層高めていくことが期待されている。
こうしたことから、本府においては、人事・給与面への勤務成績の反映など新しい人事制度の構築に向け、平成12年度から、職員の意識改革と勤務意欲、資質・能力の向上を目的とする新人事評価制度の試験的実施に着手し、本年度からは、評価結果を人材育成や人事制度、表彰制度に反映させるとともに、今後給与に反映させることを前提に、相対評価が試験的に実施されている。
新しい人事評価制度を確立していくにあたっては、国の動向等を踏まえ、評価結果を給与に的確に反映させるなどにより、職務への動機付けを強め、職員の一層の能力と意欲の向上を図る必要がある。また、こうした制度が初期の目的どおり機能するためには、試行と結果のフィードバックを通じ、できるだけ多くの職員の意見を汲み上げ、理解を深めていくことが重要であり、また、苦情処理制度を整備することなどにより、公平かつ適正な運用を確保すべきである。
今後、本府が実施している試行の検証結果や国の動向なども踏まえ、給与と任用の基準となる能力等級制度の導入やより能力・業績を反映した新しい給与制度の構築について、具体化に向けた検討を積極的に進めていく必要がある。
エ 通勤手当の改善
民間事業所においては、長期の景気低迷を背景とする合理化の一環として、給与事務のアウトソーシングをはじめとする様々な人件費節減策が講じられている。特に、通勤手当については、6カ月定期券等により低廉な基準に基づく算定が一般化しつつあり、外注による現物支給などの工夫も見受けられる。
本府においても、こうした民間の支給実態等を考慮し、職員が現実に通勤できる支給額を維持しながら、6カ月定期券や回数券等交通機関に応じ最も経済的かつ合理的な基準によることとするとともに、外注による定期券の現物給付等、より職員の利便に配慮した改善策について、検討を進める必要がある。
(2)男女共同参画社会の実現に向けた取り組み
ア 仕事と子育て・介護の両立支援
男女共同参画社会の実現に向けて、男女が共に家庭生活における責任を担いつつ、働きやすい職場環境を整備していくことが重要な課題となっている。本年、人事院は、こうした見地から、先に述べたように、給与勧告において職業生活と家庭生活の両立のための条件整備を喫緊の課題とするとともに、国家公務員の育児休業制度と介護休暇制度の改正に関する意見の申出と勧告を行っている。
本府においては、これまでも育児休業や介護休暇に係る制度の整備を行うことにより、職員の仕事と家庭生活の両立を図ってきたところであるが、今後は、こうした本府の状況も踏まえ、国における法令の整備状況等を見定めながら、育児休業の対象となる子の年齢の引き上げや介護休暇の期間延長等について、関係条例の改正に必要な検討を進めるなどにより、育児休業制度と介護休暇制度の更なる改善に取り組む必要がある。加えて、男性職員の育児休業取得をより一層促進するとともに、育児や介護を行う職員の超過勤務の制限や子どもの看護休暇等についても、国の動向を踏まえ、仕事と子育て・介護の両立を支援する観点から必要な検討を進めるべきである。
イ 女性職員の採用と登用の促進
女性も男性もあらゆる分野で対等に参画し、いきいきと活動できる男女共同参画社会を実現するためには、広く経済、社会等の分野において、女性の登用に向けた積極的な取り組みを図ることが重要である。
本府においては、本年7月、男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的な計画である「おおさか男女共同参画プラン」を策定し、女性職員・教員の職域拡大と政策決定に関する職(管理職等)への登用を促進するため、目標を定めて、女性職員が多様な経験を積むことができる人事配置や職務分担に努めることとしており、本委員会も、意欲ある多くの女性が府政に関心を持ち、職員採用試験にチャレンジするよう、職員採用セミナーの開催などにより、女性職員の採用促進を図ってきたところである。
今後更に、能力ある男女がバランスよく府政の政策決定に関与する職に登用されるよう、女性職員の能力とインセンティブを高めていくことが重要である。特に、主査級昇任考査における女性職員の受験率が男性職員に比べ低くなっている原因を把握し、その向上に取り組んでいく必要がある。また、女性職員の能力を開発し、職務への意欲を増進するための研修を充実するなど、より多くの女性の幹部職員を養成していくべきである。
(3)民間との人的交流と人材確保
近年の労働市場の流動化や就業者意識の変化に的確に対応し、質の高い行政サービスを維持していくためには、民間との人的交流による職員意識の改革と雇用ニーズに応じた有為な人材の確保が不可欠である。
人事院は、こうした見地から、本年の勧告で、採用試験について、法科大学院設置の動き等を踏まえ抜本的な見直しが必要であるとするとともに、最先端の専門知識や経営感覚を持った民間の人材が広く公務の世界に入る一方、公務員が公務組織を離れて知識・経験を広げるなど、官民の人的交流を促進していくことが重要であるとしている。
本府においては、平成10年度から民間実務研修を実施するとともに、国の法制化を踏まえ任期付研究員制度の導入を図るなど、民間との人的交流の促進に努めてきたところであり、今後とも、民間実務研修の充実や、任期付研究員制度の活用、専門的な職への民間人の登用促進など民間との人的交流に積極的に取り組んでいくことが求められている。
また、行政の複雑・高度化の下で、国民の期待に応える質の高い行政を実現するためには、専門性や独創性に富んだ人材の確保が重要な課題になっており、本府としても、国の動向に留意しつつ、内部での育成が困難な専門性が高い分野などを中心に、優れた民間人の登用など多様な人材の採用方策について検討していく必要がある。
(4)労働時間の短縮
年間総労働時間の短縮はわが国全体の課題であり、本年3月、労働時間の短縮に関する臨時措置法が改正され、平成18年3月まで引き続き年間総労働時間1800時間を目標に、労働時間短縮を推進していくこととされた。本府においても、これまでから「ゆとりの日」(全庁一斉定時退庁日)を設けるなどにより、労使が一体となって労働時間の短縮に取り組んできたところである。しかし、こうした努力にも関わらず、本府職員の超過勤務時間は、全体的に横ばい傾向にあり、本庁においては3年続けて増加している。特に、年間360時間を超える時間外勤務や午後10時以降の時間外勤務をした職員の割合などについては本庁が高く、また、「ゆとりの日」の実施率についてもやや低下するなど、なお改善すべき課題を抱えている。
超過勤務の縮減を含む労働時間の短縮については、職員の心身の健康や生活に深く関わる課題であることから、超過勤務の上限についての目標時間の設定・管理やBPRによる事務の効率化、ペーパーレス化、財務会計事務等のIT化による事務改善などに全庁挙げて取り組むことが重要である。特に、管理監督の立場にある職員は、労働時間短縮を自らの課題として認識し、勤務時間管理の徹底と休暇の取得しやすい職場環境づくりに率先して努める必要がある。また、長期勤続職員が心身のリフレッシュを図るために設けられた所謂リフレッシュ休暇については、職員の健康増進の観点から、その取得の促進が図られるべきである。
(5)健康管理の充実
職員の健康管理は、効率的な公務運営と良質な公務サービスを確保する上で欠くことのできないものである。本府においては、これまで、定期健康診断や人間ドック等職員健康診断の充実やメンタルヘルスを含めた指導・相談機能の強化などに取り組んできたところであり、疾病による在職死亡者の減少等に一定の成果を上げている。
一方、近年、情報化の進展等に伴う職場環境の整備が求められる中で、精神疾患を理由とする休職者が増えており、一般疾患による休職者数を上回る状況にある。
今後は、こうした休職者数の動向を踏まえ、若い職員の相対的な減少やIT化の一層の進捗など職場環境の変化に配慮しつつ、職員誰もが安心していきいきと働けるよう、より風通しの良い職場づくりを進めていくことが求められる。そのためには、職場の健康管理を担っている衛生管理者等に対する研修の充実を図るとともに、健康や職場の悩みなどに関する総合相談機能の強化に努めることにより、メンタルヘルスを含めた健康管理の更なる充実を図っていく必要があり、管理監督の立場にある職員が中心となって、常に部下の心身の健康に気を配りながら、何でも相談できる自由闊達な雰囲気づくりを進めていくべきである。
結 語
職員に対し、社会一般の情勢に適応した適正な給与水準を確保することは、職員の公正・中立かつ能率的な職務遂行を維持していく上での基本であり、労働基本権の代償措置として設けられた給与勧告制度を担任する人事委員会としての大きな責務である。そのため、本委員会では、毎年度、「職種別民間給与実態調査」を実施し、本府職員と民間企業従業員の給与を対比させ、精確な比較を行った上で、毎年4月現在における職員の給与民間給与水準に均衡させることを基本に、国や他の都道府県の動向も参照しつつ、給与改定の勧告を行ってきた。
一方、本府においては、本年9月に行財政計画案を示し、財政再建に向けた改革に全庁を挙げて懸命に取り組んでおり、職員の給与についても、国における公務員制度改革に先駆け、新しい人事評価制度を活用し、能力主義・成績主義に基づく人事・給与制度を構築すべく検討が進められている。
本府における本年4月の職員の給与水準は、平成11年度からの昇給延伸措置等の影響により、全国都道府県で最低となるものと見込まれ、加えて、職員間の給与抑制の不均衡・不公平による弊害も現実のものとなりつつある。一方、本委員会は、本府が財政再建の正念場という非常事態にあることを考慮し、平成11年から2年続けて昇給延伸措置等による影響分を捨象して勧告に臨んだところであるが、本年も、経済・準用再建団体転落を回避するため更に困難な財政運営を迫られており、本府職員の給与をめぐる情勢は、これまで以上に厳しさを増している。
本委員会は、こうした危機的な財政状況にあっても、職員の給与に不均衡や不公平が生ずれば、速やかにこれを是正すべき旨勧告する責務があり、また、本来是正されるべき給与の公民較差は、既に国や他の都道府県との均衡からしても無視できないものとなっている。しかしながら、職員のみならず府民福祉に大きなマイナスとなる準用再建団体への転落は、何としても回避されなければならず、そのための給与抑制措置については、緊急避難的な暫定措置にとどまる限りにおいて、誠に遺憾ではあるが、やむを得ないといわざるを得なかった。
本年の人事院勧告は、官民の給与較差が昨年より小さく、配分にめりはりをつけた俸給表の改定は困難であるが、国会における附帯決議等に配慮すれば、官民較差を何らかの形で埋める必要があるとして、暫定的な一時金の支給を勧告している。
一方、本委員会としては、本府の公民格差のほとんどが昇給延伸措置等によるものであって、この2年間に及ぶ昇給延伸等の給与抑制措置の影響により、一時金の支給に見合う精確な較差を算定することには限界があること、加えて、この影響分を除くと、本府職員と民間企業従業員の給与は概ね均衡していることなども考慮して、人事院勧告に暫定的な一時金の勧告を行わないこととした。
本委員会は、こうした事情から、本年、あえて公民較差の解消を求める勧告を行うことなく、当面改善されるべき給与制度等における運用上の課題のみを提起し、その速やかな是正を求める意見を提示することとした。
給与や任用などの人事制度は、職員がやる気をおこし、組織を活性化するための要となるものであり、その改革の成否と適正かつ公平な運用が本府再生の鍵となることは、疑う余地のないところである。議会及び知事におかれては、今回、このような勧告を行うに至った経緯と人事委員会制度の重要性に深いご理解をいただき、本委員会の勧告及び意見を尊重され、全庁一丸となって大阪再生に向けた改革に邁進することを期待する。
府労連
不当な人事委勧告に強く抗議
府人事委員会勧告は、定期昇給24月延伸などで大幅な公民較差が生じているにも関わらず、給与表の改定見送り、期末手当0・05月削減、国の人勧にある暫定一時金(3756円)も見送るとの不当な内容となっている。
府労連は8月の人事院勧告をうけ、9月3日に府人事委員会に対し、@定期昇給延伸等の中で、職員の実質生活の維持・改善のため、大阪の公民較差を反映した賃金引き上げ勧告を行うこと、A一時金の現行水準維持、B成績主義拡大反対、C夏期休暇、育児休業、介護休暇の拡充など12項目を申し入れ、勧告に向けた取り組みを進めた。
府職員の給与水準は、定期昇給延伸でラスパイレス指数が99・6(自治労調べ)と都道府県で最低の水準。その中で、公民較差は3・22%(本較差3・21%、遡及改定分0・01%)と民間給与に比べ大幅な開きがあることが指摘されている。この較差があるにも関わらず、本来中立であるべき府人事委員会は、3年連続の実質賃金マイナス勧告を行った。
いうまでもなく人事委員会は本来、執行機関から独立・中立であるべきだが、この勧告では、府の危機的な財政状況を重視するあまり執行機関側に寄った内容となり、本来の制度の主旨から外れた勧告を行った。
府労連は、このような府人事委員会の姿勢に強く抗議するものである。
青年部・女性部(府費)役員選出 決意新たに
任期満了に伴い行われた青年部・女性部(府費)の2002年度役員選挙は10月30日、信任投票が行われ即日開票の結果、圧倒的な信任で新三役が選出された。得票数は次のとおり。
青年部
■青年部長
黒田 真吏(信任148・不信任3・無効0)
■副部長
高橋淳一郎(信任145・不信任6・無効0)
■書記長
池口 忠史(信任147・不信任3・無効1)
女性部
■女性部長
上野万里子(信任593・不信任14・無効11)
■副部長
渡辺 和美(信任595・不信任14・無効9)
西村 明子(信任596・不信任13・無効9)
■書記長
阪田 淑子(信任590・不信任17・無効11)
大阪平和人権センター
真の平和を求めて
集会に4000人
テロ・報復戦争・支援に抗議
大阪平和人権センターは10月24日、扇町公園で「テロ・軍事報復・日本の戦争支援に反対する大阪集会」を開いた。集会には組合員4000人が集まり、テロ・戦争反対の意思を表した。
主催者を代表して上坂明理事長があいさつし「米国で起きたテロは、誰がどういう目的で行ったかは明確ではないが、断じて許すことはできない」と述べる一方、「国民の権利侵害を伴うテロに名を借りた自衛隊派遣に対して徹底的に反対しよう」と訴えた。
また参加団体を代表して自治労大阪府本部の冨永猛副委員長が決意を表明。「政府は『テロ対策特措法』など重要な法案を十分な説明のないまま、短時間で成立させようとしている。テロは国際法によって裁かれるべき。それこそが民主主義が作り上げてきたルールだ。米国の『Show the flag』に対して『We can not』と答えよう」と訴えた。
集会では「武力による解決では、真の平和は実現できない。米軍などの報復軍事行動の停止を求め、自衛隊派遣法に反対し、多様な宗教、多様な民族、多様な文化の対話を進め、平和に共存する国際社会をめざそう」とする集会アピールを採択した。
デモで訴え
集会後には、中央郵便局前までデモ行進を行い「テロも戦争も許さない」とのシュプレヒコールで行動をアピールした。
ファミリーフェスタ2001
秋の1日楽しい運動会
11月10日(土)午前10時〜
大阪南港・サンピア大阪
みんなでワイワイやろうよ
来場の際は駐車場が大変少ないため、電車の利用をお願いします。
雰囲気盛り上げる模擬店も多数
焼鳥、フランクフルト、ポップコーン、わた菓子、やきそば、おでん、生ビールにジュースなどなど。
各単組・支部の協力で会場はお祭り気分。