機関紙「自治労府職」

 2001年12月1日号

公務員制度改革
「原案」交渉中断を通告

対策本部 給与決定制度のマスコミ報道で抗議

 公務員制度改革「大綱」の基本だとして、政府・行革推進事務局が示した「行政職に関する新人事制度の原案」で、交渉を続けていた連合官公部門連絡会・対策本部は11月22日、前日のマスコミ各紙に「公務員給与の決定制度・『第三者機関』の勧告制度を維持〈政府方針〉」、「中央人事行政機関の役割についての機能分離・人事院の関与縮小〈行革推進事務局案〉」の考えが固まったと報じられた問題で事務局に強く抗議し、その真意を質したが、事務局が誠意のない対応に終始したことから、「この問題が解決するまで『原案』の交渉を中断する」と通告、交渉を打ち切った。

 同日の交渉は「原案」のうち給与制度などで行う予定だったが、新聞報道の内容をめぐり激しいやりとりとなった。対策本部は「『原案』をめぐる交渉・協議の最中に、労働基本権と直結する中央人事行政機関の切り分け方が事務局案として出され、実質的に固まったとすれば大変、遺憾だ」と強く抗議。事務局案を早急に示し交渉・協議に入るべきと追及した。
 これに対し事務局は「新聞報道には一切関与していない。自民党サイドで議論があったとは承知しているが事務局は議論の資料として材料を提出している立場だ。労働基本権のあり方はまだ結論が出ていない」とし、報道にある事実の有無を明確に示さず「事務局案」の提示も明言を避けた。
 対策本部は「事務局案の提示があり、組合と討議することにならないうちは、新人事制度制度の考え方で賛否の意見を述べるのは無理だ」とし、交渉中断を通告した。
 「原案」に対しては11月6日に示されて以降、対策本部企画委員会で、「原案」への見解と今後の交渉・協議の基本スタンスを確認(2・3面に掲載)し、取り組みを強化。11月16日には「能力等級制度」19日には「任用制度」で交渉・協議を進めていた。
労働基本権問題政労会見で要請
 11月27日、連合は小泉総理らと政労会見を行い、その中で公務員制度改革にもふれ「連合は労働3権の保障を最重要視している。改革には前向きに対応し、この問題で政府と協議する場を設けてほしい」と笹森会長が要請。12月7日に予定されている対策本部と石原行革担当大臣との交渉までに設定するよう求め、当事者同士が責任を負える改革を、と求めた。


国家公務員給与法改正11/28に公布
育休法改正は11/30可決・成立予定


 国家公務員の給与法改正法案は11月21日、参議院本会議で可決・成立。28日に公布され、12月1日を基準日とする年末一時金削減の事務作業も進められた。また、育児休業法等改正法案の委員会審議が29日に行われ、法案を可決。30日の本会議で可決・成立し12月6日か7日頃が公布予定。
 給与法改正法案の審議では民主、社民などが同法案や公務員制度改革で政府を追及。行革推進事務局は「中央人事行政機関の役割や労働基本権の制約のあり方は検討中。労組とはこれまでも誠実に交渉・協議しており、今後も誠意を持って対応する」と答弁。片山総務大臣は労働基本権について「公務員も勤労者である限り本来認めるべきだが、その地位の特殊性や公共性から制約され、代償機能が設けられているのは整合性のある制度。一方、賃金決定を労使自治にゆだねるとの考えも成り立ち、要はどのような立法政策を採るかで国民の判断だ」との見解を述べた。


府労連闘争
通勤手当の支給限度額
非常勤特嘱(若特)待遇
改善で妥結
一時金は2・15月分、10日に支給


 府労連は、今季の秋季年末闘争ヤマ場に設定した11月21日、一時金支給12月10日(2・15ヵ月分、府人勧による0・05月削減は来年3月で調整)、通勤手当の支給限度額の改善や非常勤特別嘱託員の待遇改善(報酬・交通費相当額等)などで、要求に対する一定の回答をうけ11月27日に開いた中央委員会で、闘争の妥結を確認した。
 今季のたたかいは、10月に出された府人勧が公民較差を3・22%としながら、そのほとんどが定昇24月延伸など準用再建団体転落を回避するための給与抑制措置の影響として、給料表改定、国人勧に盛り込まれた暫定一時金の勧告見送り、国に準じた期末手当の削減など3年連続で年収マイナスとなる内容の、不当な勧告のもとでの厳しい取り組みとなった。
 府労連は、11月6日の太田知事への要求書手交、第1回団体交渉を皮切りに今季のたたかいをスタート。清水委員長は知事に「職員にとって非常に厳しい府人勧になった。この状況を知事として十分に認識してほしい。誠意ある対応をお願いする」と訴えた。
 以降、折衝・交渉を重ねた府労連は、21日のヤマ場で要求貫徹決起集会を背景に要求実現を迫った。総務部長には重点事項9項目を申し入れるなど取り組みを強化。同日午後7時からの団交で一定の回答をうけ、府労連闘争委員会見解に基づき、各単組討議のうえ妥結を確認した。

【今季前進・解決した課題】
@労使慣行の厳守:維持・発展させることを確認。A通勤手当実費全額支給:府内民間企業の実態を踏まえ、交通機関利用者の支給限度額を改善。B一時金:12月10日、条例どおり2.15月分を支給。C育児休業・介護休暇の延長:国の動向を踏まえ適切に対応。Dセクハラ・メンタルヘルス:職員相談センター(仮称)を来年4月にスタートさせ充実図る。E非常勤特別嘱託員等の待遇改善:新再任用制度の運用開始等を踏まえ、非常勤特別嘱託員の報酬及び交通費相当額並びに非常勤若年特別嘱託員の交通費相当額を平成14年4月1日から改定。

【引き続き協議・前進を求める課題】
@定期昇給・特別昇給の復元と、昇給停止年齢引き下げに伴う諸問題の解決。A定数内特別昇給の再開。B府行財政計画(案)具体化にあたっての協議。C新人事評価システム試行実施の検証内容の協議と、給与・昇給に反映させない。D育児休業手当金、介護休業手当金等の改善に向けた関係機関への働きかけ。E介護欠勤制度の改善。F教員の休憩時間問題。Gリフレッシュ休暇の分割取得。H教員の青年海外協力隊への「教育特別参加制度」の活用。¥外字(813a)公益法人等への職員の派遣及び研究職の任期付研究員の採用問題。¥外字(813b)新再任用について、職員の雇用確保。


公務員制度改革で学習会
府本部
12月4日

 自治労大阪府本部は、ヤマ場に向けた取り組みとして12月4日午後2時から、エルおおさか(708号室)で「公務員制度改革に関する学習会」を開く。学習会では労働基本権問題の捉え方や行革推進事務局が示した「行政職に関する新人事制度の原案」の問題点について、認識の共有化を図るとしている。自治労府職組合員の積極的な参加をお願いする。


自治労中央本部
県代で真相究明委報告
再生に向け対応を提起

12月6日中央委員会

 自治労中央本部は一連の不祥事の問題で11月23日、県本部代表者会議を開き10月25日に続く2回目の真相究明委員会報告と、自治労組織の今後の対応を報告した。府本部はこれをうけて26日に単組代表者会議で各単組に報告した。
 真相究明委は、@再保険代理店問題、Aubc不正経理問題、B右翼対策費問題、C財政局長管理口座・事務局長管理口座問題、D20億円を含む借入金問題で現時点での判明事項を報告。また、中央本部は今後の対応として、@徹底的な真相究明、A違法行為・不適切な行為を起こした者への法的・組織的対処、B39億円にのぼる借財への対処、C現執行部・常勤理事・本部職員の責任処理など、自治労の再生に向けた取り組みを進めるため、12月6日に中央委員会を開き討議を進めるとした。


もっとパワフルに明日を切り拓く
自治労府職第83回定期大会

12月11日(火)
新別館多目的ホール
午前9時40分開場・10時開会


「行政職に関する新人事制度の原案」に対する見解と交渉・協議を進めるに当たってのスタンス

連合官公部門連絡会「労働基本権確立・公務員制度改革対策本部」は11月12日、政府・行政改革推進事務局が示した「原案」に対する「見解」と「スタンス」を以下の通り明らかにした。

「新人事制度の原案」の性格と交渉・協議の進め方

1 「原案」の性格と交渉・協議に臨む基本的考え方
(1)行革推進事務局の説明によれば「原案」=「大綱案」ではないが、各府省や連合官公部門との意見交換のための案として位置づけており、12月策定の「大綱」の基本となるものとしている。大綱をどのようなものとするかについては未定であるが、新人事制度については、各府省や連合官公部門との議論を踏まえ「原案」をできるだけ盛り込んだものとしたい、と説明している。
(2)「対策本部」では「新人事制度の基本構造(議論のたたき台)(9月20日、行革推進事務局より提示)については、その位置づけが曖昧なことから「意見交換」として対応してきたが「原案」については交渉・協議として対応することを確認した。その第1回目を11月9日に実施、行革推進事務局から「原案」の説明等を受け、今後誠意をもって交渉・協議を進めていくことを相互に確認した。
 しかし、そもそも行革推進事務局がわれわれとの「合意」を前提とした制度設計を行う姿勢が希薄なことに加え「大綱」案の提示まで1カ月余りしか時間がないことなど、交渉・協議をめぐる状況には厳しいものがある。そうした状況を踏まえれば、今後、交渉・協議を進めていくに当たって、賃金・労働条件事項については「合意」に基づいて「大綱」案を策定することを行革推進事務局に確約させる必要がある。行革推進事務局が一方的に「大綱」策定作業を進める姿勢であれば、われわれとしても強い姿勢で交渉・協議に臨んでいかなければならない。
 また、労働基本権や決定制度の問題と関わって、行革推進事務局内では中央人事行政機関の役割分担等の作業が大詰めを迎えており「人員枠」などの設定をめぐって人事院の代償機能を大幅に縮小する方向が検討され、内部のあつれきが高まっている模様である。われわれとしても、こうした動向を注意深く見守り、効果的な交渉・協議を進めていく必要がある。
2 「交渉・協議」の進め方
(1)「原案」をめぐる「交渉・協議」は、節々で行革推進事務局の事務局長または公務員制度等改革推進室長と「対策本部」企画委員クラスで行い、日常的には推進事務局の担当とプロジェクトチームで進めることとする。
(2)従来の確認通り、労働基本権をめぐる問題については「対策本部」全体で対応し、人事・給与制度等については公務員連絡会が設置している行革・公務員制度改革対策委員会を中心として対応することとする。

「新人事制度の原案」の基本的問題点
1 依然として公務員制度改革の基本的な理念を欠いた「原案」
(1)3月の「大枠」や6月の「基本設計」でも再三指摘してきたことであるが、依然として「原案」には、社会経済情勢の変化に対応した21世紀に相応しい公平・公正・透明で国民本位の公務員制度に改革していくための基本的な理念と全体像がまったく欠如している。
 「原案」からは、キャリア制度とその権益を強化・拡大しようとする考え方と、能力・実績主義と信賞必罰の人事管理を導入すればすべてが解決するという短絡的な考え方しかみられない。
 それゆえ現行制度の何が本質的な問題なのかなどの分析が極めて不十分であり、なにゆえ現行制度を抜本的に改革し「新人事制度」に切り替えていかなければならないのか、その必然性、必要性がまったく不明確なのである。これでは、現行制度の枠組みのもとで能力・実績を重視した人事管理システムを導入しようとしてきた公務員制度調査会答申に基づく公務員制度見直しを否定し「白紙から検討する」としてきた行革推進、事務局の基本的な姿勢にもまったく反している。
(2)公務員制度の最も重要かつ基本的な範疇である任用・給与制度などの「根本からの改革」を円滑に行おうとするのであれば、その改革方針に対する国民からの支持や公務員労働者の同意が不可欠である。改革の基本理念の提起もなく、支持や同意を求めようとする努力も行わず、しゃにむに作業を進めようとする行革推進事務局の姿勢では、到底、国民が求める公務員制度改革はおぼつかないといわざるをえない。

2 またしても先送りされた労働基本権や賃金・労働条件決定制度の在り方
―一方で強化・拡大される各府省の人事管理権限―
(1)われわれは、これまで一貫して人事・給与制度を具体的に設計する前提として労働基本権や賃金・労働条件決定制度のあり方を明確にするよう求めてきた。しかし、11月6日に行われた石原大臣との交渉においても「検討中」として明確な回答を示しておらず、行革推進事務局の無責任な先送り姿勢はきわめて遺憾である。
(2)提示された「原案」からは、人事院の役割は基準設定と事後チェックとし、具体的な当てはめは各府省が行うこととして、各府省の人事管理上の自由度(権限)を拡大しようとする意図が読みとれる。しかも、現在作業を進めている中央人事行政機関の役割分担等のあり方については、明らかに賃金・労働条件事項である「人員枠」(これまでの級別定数を廃止して総人件費管理の観点から新たに設けるとしているもの)の設定等をめぐって人事院の関与を一切排除する方向が検討されるなど、人事院の持つ代償機能を極めて狭く解釈し、賃金・労働条件の水準勧告機能さえあればことたれりとの考え方が露骨に示されている。
 これらのことから、賃金・労働条件決定制度は人事院勧告制度、労働基本権は現行の制約のあり方を維持していく、との行革推進事務局の考え方が次第に明らかとなりつつある。
 しかし、こうした考え方は全く不当であり、憲法上の問題を惹起することは明らかであり、認められるものではない。人事院が有している代償機能や人事管理権限を各府省に委ねることが制度設計の基本であれば、公務員の労働基本権と団体交渉による賃金・労働条件決定制度の確立は当然のことである。
(3)労働基本権や賃金・労働条件決定制度のあり方については、大綱案が提示される前に回答を示すことがわれわれの譲れない線であり、11月中には最終見解を示すよう行革推進事務局に求めて取り組みを強める必要がある。仮に、人事院の代償機能が縮小され、各府省の人事管理権限だけを一方的に強める制度設計であれば、われわれは「原案」自体を認められないとの強い姿勢で今後の交渉・協議に臨む必要がある。

3 矛盾と問題だらけの新人事制度
(1)能力等級制度を中心とした、評価が任用や処遇に直結するトータルシステムの問題点
@ 新人事制度の「原案」の最大の特徴は、能力・実績主義的な人事管理を導入するために職務・職階制度を廃止し、職務遂行能力に応じた能力等級制度を設け、評価が任用や給与に直接連動する人事管理システムを構築することにある。
A しかし、この能力等級制度は職務や職位と全く別個の能力体系を形作る民間の能力資格制度とは似て非なる制度である。発揮能力を格付けするとしながら、公務の官職の秩序や中央・地方の組織段階がその前提となっており、極めて矛盾だらけの制度となっている。
 また、現行給与格付けの11級制を9級制にする根拠自体も不明であるが、「基本職位」という大括りの区分を設け、格付けをより曖昧とする制度である。各府省共通の職務遂行能力基準を設けたうえで各府省で当てはめを行う点についても、代償機能や交渉制度とのかねあいで問題が生ずることとなる。
B 能力等級制度が任用や給与制度に活用されることとなれば、能力・業績評価の役割が極めて重要となる。われわれが新たな評価制度に対する取り組みで主張してきたように、公務の歴史的経過を踏まえ、まず、4原則(公平・公正性、透明性、客観性、納得性)、2要件(労使協議制と苦情処理制度)をはじめとした評価制度自体の信頼性を高めることが先決であり、最初からトータルシステムとして人事制度を設計することは現実から遊離しており、問題である。
(2)「能力」と「職務」が混在し混乱している新人事制度
―「人」か「仕事」か、「能力」か「職務」か、「恣意的で不透明」か「客観的で透明」か―
@ 能力等級制度の曖昧さは、任用制度に端的に現れている。「能力基準を任用の基準とするために職務分類する」としているが、職階法を廃止した場合、その職務分類の根拠を何に求めるのか不明である。公務の仕事をすべて洗いだし、新たに分類する作業を行うのであればともかく、安易に現行の職位や組織区分を当てはめることは現状追認でしかない。そうした手法による職務分類の根拠は、つまるところ公権力行使の秩序や疑似階級制による以外になく、公務員制度の民主主義的改革とは無縁のものとなる。
 また、昇任・降任と昇格・降格を概念上区分けし、降格を伴わない降任を分限処分の対象から除外していることについても、いかにもご都合主義的であり、身分保障の観点からみて問題がある。
 こうした能力等級制度と職務分類による任用制度の狙いは、各府省での任用の自由度を拡大することにおかれているが、そのことによって任命権者の任用の恣意性を拡大することにしかならない。われわれは、公平・公正で客観的な任用基準をこそ制度化すべきであると考える。
A 公務員の給与制度は歴史的に積み上げられてきたものであり、いろいろ問題はあるとしても「職務」を中心とした制度を組み立てることによって国民に対して透明性を確保してきた経緯がある。それを否定し、あえて不透明な要素がまぬがれない「能力給」に踏み込むと宣言し、「能力本位の給与制度」を実現するとしながら、能力等級制度の曖昧さに引きずられ実際上は現行の「職務給」に極めて近い「職務」が処遇に反映される制度となっている。
 また「原案」の範疇では、決定制度や水準問題が提起されておらず、抽象的な議論に終始する危険性がある。そもそもなぜ現行の給与制度を全面的に見直し、基本給・職責手当・業績手当としなければならないないのか、なぜ基本給を昇給テーブル方式にしなければならないのか、等級ごとの水準はどうなるのか、生活給は確保できるのか、などが不明確なまま、より格差が拡大するイメージだけが先行している。給与制度は優れて具体的な課題であり、この提起では十分な交渉・協議はできないというほかない。
 最大の問題は、総人件費管理の観点から各等級ごとに「人員枠」を設けるとしていることであり、こうした制度は本来的に能力主義の考え方とは相容れない。また、それを政策予算=財政民主主義の観点からのみ制度化しようとする考え方が見受けられるが、それはまったく本質的な誤りである。級別定数を廃止した代わりに設ける「人員枠」は賃金・労働条件事項の最たるものであり、それを誰がどのように設定するかによっては、代償機能の本質や交渉制度に関わる問題となる。仮に、内閣や各府省が設定することとなれば、団体交渉関係が成立することは自明のことである。
B 総じて今回の新人事制度は、能力主義を指向して能力等級制度を設けるとしていながら、実際の任用、給与制度等は現状追認の官職・職務主義に近いものとなっている。つまり、行革推進事務局が錦の御旗とし、あれだけ標榜してきた「能力主義」が徹底されていないのである。能力等級制度、任用制度、給与制度相互間の整合性がなく、「原案」はまさに「能力主義」と「職務主義」が混在し、混乱した人事管理制度といわざるをえない。
 人事管理の根本基準を「人」に置くのか「仕事」に置くのか、「能力」か「職務」か、を明確にしたうえで制度を体系化することは当然のことであるが、それさえなしえていないのである。仮にこのまま制度を現場に適用しようとするならば混乱は必至であり、それを避けようとするなら実態は現状と大差ない運用となることが想定されるが、それではいったい何のための「改革」かが問われることとなる。
 こうした新人事制度の設計となったことも、今回の公務員制度の不純な動機からしてある意味で必然の帰結であり―信賞必罰で「政治主導」の人事管理を行おうとする「政治的動機」と一部のキャリアの権益拡大という不純な動機の結びつき―そうした矛盾と問題だらけの制度見直しを強行することは、近代公務員制度の基本原理をゆがめるものであり、われわれとして認めることができない。
(3)4原則2要件の担保が不明確な評価制度の問題点
@ 「原案」で提起されている能力評価、業績評価制度自体は、これまで総務省人事・恩給局や人事院が作業してきたものをそのまま取り入れているだけのものであり、目新しいものは何もない。しかし、「原案」で提起されている能力・実績評価をそのまま忠実に行おうとすれば、人事管理のコストが膨大なものとなることが予想され、一方において費用対効果の問題を惹起することとなるが、行革推進事務局ではそれらについての心配は一切ないようである。
 また、こうした膨大なコストをかけて行った評価が、任用や給与の加算等の「重要な参考資料」としてしか位置づけられていないことも問題である。結局のところ任命権者の総合判断で任用等を行うとすれば、任命権者の恣意性は排除できないこととなる。
A 能力、業績評価の実施に当たってわれわれが最も重視してきた4原則2要件のうち、2要件の担保が全く不十分である。評価を能力開発等に活用することから始めるのであればともかく、最初から任用や給与に活用する制度設計であるならば、各府省ごとに苦情処理制度を設けることは絶対に不可欠である。また、評価の基準設定等に労働組合を参加させるための協議制度についても当然制度設計に組み込むべきである。
 来年から“円滑な実施”のために「試行」を実施するとしているが、「試行」に入る前に公務員連絡会と十分協議し、これらの点について明確にすることを強く求める。
(4)時代に逆行するキャリアシステムの制度化と天下り容認システム
@ 「原案」では、人材育成システムに関わって「本府省幹部候補職員集中育成制度」なるものが新たに提起されているが、これこそ、これまで運用上・実態上行われていたキャリアシステム・「入り口選別主義」を公然と制度化するものであり、絶対認められるものでない。「能力主義人事管理」を標榜するのであれば、公平・公正な競争ルールを確立することは最低条件であるにもかかわらず、それさえかなぐり捨て、T種試験採用者を別枠で育成することを制度化することを提起すること自体、行革推進事務局の見識を疑う。
A こうした時代に逆行した提案を新たに行うことや、「基本設計」の段階であれだけ国民やマスコミから批判された「天下り容認システム」の考え方を今日段階でも変えていないことに今回の公務員制度改革の本質が現れているといわざるを得ない。すなわち、国民・住民サービスに直接携わる部門は切り捨て、国家公務員の役割を企画・立案部門に純化し、キャリアの自己権益だけは引き続き確保するという意図である。

「原案」に対する交渉・協議の課題とスタンス
 以上のように、11月6日に提示された「原案」の問題点を確認した上で、本格的な交渉・協議を進めるに当たって、その重点課題と「対策本部」としての基本的なスタンスを確認しておきたい。ただし、「新人事制度」が行政職に限定したものであることから、われわれも国家公務員の行政職に関わる課題とスタンスとして確認することとする。
(1)現行公務員制度の基本的問題点の徹底した分析と改革の基本理念・全体像の明確化を求める。※人事制度以外の課題についても早急な提示を求める。
(2)労働基本権を確立し団体交渉制度を認めることが新人事制度設計の前提であるとの基本的考え方を堅持し、11月中もしくは12月上旬までにこれらについての行革推進事務局からの回答を求める。団体交渉制度の整備なしに、代償機能の縮小と各府省の権限拡大は認められないとの立場で臨むこととする。
(3)決定制度や労働基本権の在り方の回答が示されるまでは、新人事制度に対する公務員連絡会としての賛否に関わる最終的なスタンスを固めようがないことから、その点の態度は留保しつつ、当面、以下の姿勢での交渉・協議を進めることとする。※疑問点・問題点を質すことが中心か。
@ 「原案」はあまりに矛盾と問題点が多く、公務員の人事行政の恣意性と不透明さを拡大する方向であることから、公務の中立・公正性、仕事の客観性と国民に対する透明性を確保する観点から、「仕事」の社会的価値を適切に反映した人事・給与制度として設計することを求めることとする。従って、「原案」に対しては白紙からの再検討を求める。
A 曖昧で混乱した能力等級制度ではなく、職務の社会的な有用性を透明な形で評価し体系化した制度を設け、4原則2要件を実現した評価を反映した、公正で客観的な任用基準の制度化を求める。
B 給与制度は、生活給を確保することを前提とし、仕事の社会的価値を適切に反映した「仕事給」を基本的な考え方とし、部内の公平・公正性、客観性と国民に対する透明性を確保した制度を求めることとする。
C 評価制度は4原則2要件の担保を前提条件として要求する。
D T種採用試験とキャリアシステムの廃止を求める。「幹部候補職員集中育成制度」には絶対反対の立場で臨む。仮に特別な人材を確保するのであれば、公務員の区分の見直しを求める。
E 「天下り」の大臣承認制等についても反対の立場で臨み、「原則禁止」の制度化を求める。
F 「原案」に欠落している以下の課題についての施策の具体化を求める。
・男女平等促進の具体的施策
・非常勤・パート職員の均等待遇原則の確立と「短時間公務員制度」の確立
・障害者や外国人の採用拡大施策
・超過勤務の縮減や職場の環境整備などの処遇改善の具体的施策


行政職に関する新人事制度の原案(ポイント)

 11月6日、政府の行政改革推進事務局が示した公務員制度改革「大綱」の基本とする「行政職に関する新人事制度の原案」のポイント。

1 行政職に関する新人事制度の原案の性格
@「行政職に関する新人事制度の原案」は、「公務員制度改革の基本設計」(本年6月29日)に則って進めてきた検討を踏まえ、国家公務員のうち主に一般の行政職員(行政職俸給表(一)対象職員)について、能力等級を中心とした新たな人事制度の具体的な内容を現時点でできる限り提示し、これをもとに各府省や職員団体等の関係者との意見交換を行うことを目的として、行政改革推進事務局においてとりまとめたもの。
A今後、関係者の意見を踏まえ、本年12月を目途に策定する「公務員制度改革大綱(仮称)」に向け、さらに検討を進める予定。

2 行政職に関する新人事制度の原案の概要
@能力等級制度
 能力等級制度を導入し、任用、給与等の基準として活用する。
○ 現在の11等級を9等級に大括り。
○ 本省、管区機関などの組織段階ごとに、9等級をいくつかの基本職位(本府省の場合は、課長・企画官、課長補佐、係長、係員)と対応させ、基本職位をイメージしつつ職務遂行能力基準を定める。
○ 各府省は、職務遂行能力基準に基づいて職員の能力評価を行い、職員を等級に格付け。能力等級を任用・給与の基礎として活用することにより、能力本位の人事管理を実現。
○ 能力等級制度や人材育成コース等の導入を契機として、採用年次、採用試験区分、事務官・技官等の別にとらわれない能力本位の人事管理を実現(職階制の廃止に伴い、事務官・技官等の別も廃止)。
A任用制度
 能力等級を中心とした能力本位の任用制度を整備。
○ 能力等級を任用の基準として活用するため、各府省が職務(ポスト)を基本職位に沿って分類整理し、上位の基本職位の職務に就くことを「昇任」、下位の基本職位の職務に就くことを「降任」と定義。
○ 機動的・弾力的な人事配置を実現するため、
・ 役職段階を基本職位に大括りし、これまで昇任・降任と位置付けていた異動を配置換と捉え直すことにより、任用を弾力化(課長⇔企画官など)。
・ その時々の必要性に応じて、基本職位に対応する等級の上位又は下位の等級の者をそのポストに就けることを可能とする。
・ 降任は身分保障の対象外とし、特段の基準・手続は設けない。
(免職及び降格(能力等級上下位の級に格付けること)については、明確な基準・手続を設定し、厳正に実施。)
○ 初めて課長等の管理職に就く場合や本府省の幹部職員に登用する場合には、能力評価に加え、委員会による審査など、適格性を慎重に審査する手続を課す。
B給与制度
 能力、実績、職務を適切に反映するため、基本給(能力給)、職責手当(職責給)、業績手当(業績給)からなる新たな給与制度を構築。
@基本給(能力給)
○ 現行の俸給月額に替わる基本的な給与。
○ 能力等級ごとに、定額部分(各級の職務遂行能力の標準的な価値に対応)と加算部分(職務遂行能力の向上に応じて毎年加算)で構成。
○ 年功的な給与配分を抑制するため、等級ごとに加算部分の上限額を設定。
○ 加算額は、各府省が、職員の勤務実績を判断し、標準額を基準にゼロから標準の2倍程度の額の範囲内で決定。
A職責手当(職責給)
○ 課長等の職務の特殊性や時々の職責の変化に機動的・弾力的に対応する給与。
○ 各府省は、基準に基づき、個々の職務の職責ランクを自ら決定し、職責の変化に応じて弾力的に変更。
B業績手当(業績給)
○ 民間における賞与に相当。
○ 基礎的支給部分(基本給、職責手当等を基礎に安定的に支給)と業績反映部分(勤務実績の程度に応じて支給額がその都度変動)から構成。
○ 業績反映部分は、職員の勤務実績の程度に応じ、ゼロから標準の2倍ないしは2倍を超える額の範囲内で支給(成績差を現行より拡大)。
管理職(能力等級が八級以上の者)は、業績反映部分の比率を高く設定。
○ 各府省は基準に基づき、業績反映部分における支給段階数や分布率などを自ら設定。
C諸手当
○ 現行手当のうち、新たに基本給、職責手当や業績手当を導入することに伴って趣旨が重なり不要となる手当については廃止。
○ 本府省の職務の困難性、特殊性等に適切に対処するため、課長補佐、係長を対象に「本省勤務手当(仮称)」を新設。
C評価制度
 「能力評価」と「業績評価」からなる公正で納得性の高い新たな評価制度を導入。
@能力評価
○ 職員の職務遂行能力を5段階で評価。
○ 評価結果は、昇格・降格等の能力等級への格付けや任用の重要な参考資料とし、計画的人材育成・能力開発にも活用。
A業績評価
○ 目標管理の手法を導入。職員が組織の目標等を踏まえて業務目標及びその困難度を設定し、上司がこれらについて必要に応じて追加・修正を行い、決定。
○ 期末には、上司が業務目標ごとの業績を困難度を勘案しつつ5段階で評価するとともに、業務目標以外の成果等も勘案して5段階で総合評価。
○ 評価結果は、基本給の加算部分及び業績手当の業績反映部分の決定の重要な参考資料とし、計画的人材育成・能力開発にも活用。
B評価制度の適正な運用を図るための仕組み
評価の公正性・納得性を確保するため、評価のフィードバック、マニュアルの配布、評価者訓練、職員の苦情に適切に対応する仕組の整備等を実施。
D人材育成
 各府省が人材育成コースを設定し、職員の育成計画を提示することにより、職員の主体的な能力開発の促進、計画的な人材育成を実現。
○ 原則として課長補佐段階までの職員を対象として、各府省の実情を考慮した人材育成コースを設定。
○ 職員ごとに、決定した人材育成コースを基に育成計画を提示し、日常の職務・面談等を通じて指導、助言や育成状況の確認を行い、必要に応じて計画を見直す。
E本府省幹部候補職員集中育成制度
 現行の「キャリアシステム」を見直し、高い政策企画立案能力等が要求される本府省幹部を計画的に育成する必要に応える集中的な育成制度を整備。
○ 採用試験の別にとらわれることなく、本府省幹部職員としてふさわしい意欲と能力を有する者について、本府省幹部候補職員として計画的に育成。
・本府省課長補佐の一定段階までの間、育成プログラム(将来の幹部候補として必要な知識、経験の付与等のための人事配置や体系的な研修プログラムの付与、他府省、国際機関等における勤務等)を実施。
○ 本府省管理職への登用に際し、厳正な審査を実施するほか、育成対象職員について、その適性を厳正に評価し、不適格者は育成対象から外すことなどにより、健全な競争原理を醸成。
・ 毎年1回、能力評価や業績評価に加えて、職務遂行状況や育成状況を測定し、集中育成の対象としての適性を厳正に評価。
・育成プログラムの1年経過時及び4級昇格時に評価を行う場合等に、適格審査委員会(仮称)で集中育成の対象としての適性を特に厳正に評価。
F組織目標・行動規準
 組織の目標や求められる行動の規準を明確化し、それを職員に示すことにより、職員に所属組織の目標の達成に向けた主体的な取組を促し、行政サービスの質の向上と業務の効率化を実現。
○ 各府省において、その実情及び必要性に応じて、組織目標を弾力的に設定。
○ 職員に求められる行動について、国家公務員全体に共通する規準のほか、必要に応じて各府省の使命や業務の特性に応じた規準を、行動規準として設定。
G上級幹部職員の人事制度
 次官、局長等の上級幹部職員(指定職)について、所管行政の専門家としての立場から大臣を直接支え、重要政策の企画・立案や地方機関の事務の管理・監督に当たるという役割にふさわしい人事制度を設計。
@任用
上級幹部職員の任用は、人事管理権者が、上級幹部職員としての適格性に関する統一的基準、個別の職務に求められる知識・能力及び政策課題等を考慮し、選考により適材適所で実施。
A給与
職責年俸と加算年俸の合計額からなる年俸制を導入。
○ 職責年俸は、任用制度上設定された基本職位別の定額として設定。
○ 加算年俸は、時々の政策課題の重要度、複雑・困難度等を考慮し、職責年俸では不十分と判断される職務について職責年俸に加算する年俸とし、各府省があらかじめ定められた予算の範囲内で決定。
○ 勤務成績が良好でない場合は、一定の範囲内で減額。


福祉のまちづくり条例(案)見直し
パブリックコメントで意見募集
自治労府職が意見提出


 福祉の街づくり条例見直し(案)へのパブリックコメント制度に基づく意見募集(11月28日締切)が行われ、自治労府職は自治研での議論を踏まえ、次のとおり意見を提出した。
 1 条例の理念(前文)
 障壁除去については「物理的・心理的障壁」となっているが、情報のバリアフリーの視点が今後、ますます重要と思われるので、「物理的・心理的・情報面の障壁除去」を盛り込む必要がある。
 2 特定施設の見直し
 100平方b以上のコンビニエンスストアーが入っているが、対象物が新規物のみであり基本的には0平方b〜(すべて)を対象とするべき。
 3 建築物にかかる整備基準の見直し
 ホテルの居室は対象となったが、バリアフリールールは1室を設置すればよいことになっている。これでは不十分であり室数を増やすべき。障害者関連の全国規模の集会や国際会議に対応できない。
 エレベーターの設置や視覚障害者用誘導ブロックなどでの免除規定がある。拡大解釈される可能性のあるあいまいな免除規定は削除するべき。
 任意設置のエレベーターの奥行きは4人乗り以上(奥行き120a以上)となっている。11人以上(奥行き130a以上)でも狭いとの障害者の声もあり問題である。
 4 その他 
 交通バリアフリー法をうけて、車両などの整備について国基準をそのまま当てはめている。同法の基準では不十分なノンステップバスの導入などについて検討するべき。


南河内地区評・羽曳野病院支部レクだより

ジューシィーな実に大満足
大鳥支部長の「エエだし」が出た? にも


ミカン狩り千早赤阪村で

 朝方の寒さも和らぎ、絶好の天気に恵まれた11月23日の勤労感謝の日、南河内地区評と羽曳野病院支部は共催で恒例のミカン狩りを開き、組合員とその家族など52人が参加した。
 当日、お世話になった千早赤阪村小吹の矢田農園には、温州ミカン・紅ミカン・スダチなど約6000本の木があり、たわわに実がなる風景は深緑の葉とオレンジ色の球がおりなす、きれいなコントラストで参加者の目も楽しませた。
 羽曳野病院支部・矢田さんの説明で、参加者は肩掛けのかごとはさみを手に、思い思いにミカンに手を伸ばし新鮮でジューシーな実をかご一杯にした。
 お昼は、農園内でお待ちかねの焼肉バーベキュー。心地よい天気と、柑橘系のいいにおいのなかの焼肉は格別の味だった。肉も旨かったが、さらに参加者を満足させたのは羽曳野病院・大鳥支部長のエエだしが出た豚汁とおでん。参加者はお腹一杯食べて満足顔になり、ミカンのおみやげも袋一杯にして、笑顔の1日だった。
 この行事は、毎年行われており組合員は新鮮でジューシーなミカンを心待ちにしている。
【文責/小田晃之】


年末・お正月の料理素材
安価であっせん

中央卸売市場から自宅へ直送

福利厚生部

 福利厚生部は毎年恒例の年末・お正月の料理素材を安価であっせん中。本年も旨くて新鮮な食材を中央卸売市場からご自宅にクール宅急便で直送します。配送指定日は12月29日(土)または30日(日)のどちらか。お届け時間も指定できます。申し込みは次のとおり。
【申込方法】
 職場に配布済のパンフレット兼申込用紙に必要事項を記入のうえ、現金を添えて職場(分会)・支部・単組の福利厚生部担当者まで。
【申込締切日】
 最終12月10日(月)
 ※各単組・支部での設定があります。確認してください。
【宅配指定日】
 @申込用紙で12月29日(土)か30日(日)のどちらかを必ず指定してください。また、お届け時間の指定も可能(午前中または12時から21時までの2時間刻みで。ただし交通事情による若干のずれはご了承ください)。
 A宅配料金は、購入代金が8000円以上の場合(申込書1枚につき)は無料。8000円未満の場合は送付先1カ所につき800円(地域・購入商品個数に関係なし)。
【宅配物の問い合せ】
 宅配当日の各種問い合わせは次のとおり。
 @午後5時までは、0726―36―4025
 A午後5時以降は、0726―36―4026
※いずれもオーディーエー(株)(茨木食材センター)担当の前田さんまで。