機関紙「自治労府職」
2002年2月1日号
医療・年金闘争委員会
安易な医療改革許さず
「改革なき負担増は問題」、医療保険制度で学習会
1月18日に医療・年金闘争委員会を立ち上げた自治労府職は29日、第1回の医療・年金闘争委員会と医療保険制度学習会を開いた。
政府が2002年度に新たな負担増などを求める医療保険制度改革を行うとするのに対し、連合・自治労は今春闘、通常国会での取り組み強化を提起。自治労府職も同取り組みや、医療制度改革とあわせ年金制度改革闘争なども強めていく意思統一をはかるため、社保労組と衛生医療評議会の組合員が参加した。
学習会では、地方自治総合研究所事務局長の佐野幸次さんを講師に招いて、政府が行うとする医療保険制度改革の問題点や、連合・自治労が求める抜本的な改革のあり方など資料を交えた講演をうけた。講演のなかで佐野さんは、医療費の本人負担増(2割から3割)や、医療費抑制と医療保険財政の立て直しとする政府管掌健康保険の保険料引き上げなどにふれ、今回の改革は「改革なき(改革課題先送り)負担増に終始した改革だ。医療制度が機能し、献身的な医療従事者の活動で国際的にも高水準の日本の医療だが、医師・職員への負担が大きい特徴も有し、その改善と質の向上に向けた内容が欠如している」と指摘した。
医療・年金闘争委員会は今後、各単組・支部・分会での学習会開催を呼びかけ、講師陣を派遣するなど取り組みを強めていく。
各単組・支部・分会での学習会開催も呼びかけ
自治労臨時大会
信頼回復へ全力で
運動の再出発を確認
昨年発覚した自治労不祥事問題で、真相の究明報告と組織再生に向けたプログラムの議論を深め、運動の新たなスタートを切るために自治労は1月31日、2月1日の2日間、東京・厚生年金会館で臨時大会を開いた。大会には全国の都道府県本部から代議員・傍聴者など2700人が参加し、自治労再生に向けた活発な質疑・討論が行われた。大会では「自治労再生プログラム」などを圧倒的多数で確認。大原委員長らの辞任にともない役員選挙が行われ、委員長に北岡勝征さん(三重)、書記長に君島一宇さん(長野)らを選出し、新執行部が発足した。北岡新委員長は「自治労が再生に向けて動き出したことが組合員に見えるよう先頭に立って奮闘する」と決意を明らかにした。大会の最後には「自治労再生に向けた宣言」を採択。自治労本部の構造的問題点の改革、再生プログラムの早期実現、自己改革に取り組み、信頼の回復と連帯の再建に向けて、自治労運動の再出発を参加者全体で確認した。
(2面に新委員長あいさつ、真相究明委報告など要旨掲載)
大会冒頭、あいさつした大原委員長は「自治労運動、労働運動に対する信頼と名誉を大きく損ない、本当に申し訳ありませんでした」と陳謝した。その上で、「本日提起している『自治労再生プログラム案』は21世紀の新たな自治労運動を展望して抜本的改革の断行をめざしたマスタープラン。自治労再生に向けたスタートが切れるよう活発な議論を」と訴えた。
48人が発言
「真相究明委員会報告」とともに、「再生プログラム案」「第一次再生実施案」などが提案された。実施案は@自治労本部の借入金の返済計画A財務会計システムの改革B自治労基金の取り扱いC自治労本部役職員の倫理の確立D残された課題への対応―が主な柱となっている。議論では、のべ48人の代議員が質問・意見を述べた。
究明報告、法的・組織的対処にかかわる質疑では、「未解明の問題をはじめ、引き続き徹底した究明作業を求める」「情報公開を求める」「不正に関与した者とその者への対応内容をすべて公表すべき」「厳しく対処することなしに組合員の納得は得られない」などの意見が出された。
(2面に続く)
再生プログラムなど確認
自治労府職出身 植本さん
自治労の先頭で奮闘
副委員長として真相究明など再生に向け活動。今後もその先頭に立つ植本眞砂子さんを自治労府職は支援する。
これに対し、執行部は、未解明の問題については「新執行部の責任で解明を続け、委員会の存続を求める意見もふまえ、具体的な取り組みを検討したい」と述べた。また、刑事告発については該当事案は現時点でなく、「今後明らかになる問題があれば、刑事・民事の両面から法的対処を検討する」と答えた。
自治労再生プログラム関連にかかわる質疑では、「自治労基金の位置づけを明確に」「情報公開とホットラインの設置を」「再生に向けた熱い思いで強力な指導を」「財政再建により運動の縮小を引き起こさないように」などの意見・要望が出された。
これに対し執行部は、再生プログラムは働く者の目線に立ち、自治労を自己改革するものとして、再生委員会の努力で、県本部代表者会議での討議をふまえながら策定してきた。今回は第一次実施案を提案しており、実施にあたってはその都度に合意形成を行っていく。議論を通してよりよいものにしていきたいと答弁した。
新委員長あいさつ(要旨)
再生への歩みで信頼を回復
再生プログラムの中でもあるように、できるだけ早い時期に情報開示、説明責任が大切なんだと言うことを早速議論していきたい。また、大会議論で真相解明がまだまだ不足しているという意見があった。組合員の気持ちとして当然であり、何らかの機関を作って、引き続き真相解明をしなければならないと考える。
丸山委員長時代に「委員長と語る総対話集会」を行い、たいへん評判が良かった記憶がある。できるだけ全国を歩き、そのような取り組みを行ってみたい。
今日の役員選挙で大変な信任をいただいた。自治労再生に向け、私は本日の大会で決められたいくつかの問題を実行に移す責任がある。自治労が再生に向けて動き出したことが組合員に見え、新執行部が皆さんの信頼をいただけるように、先頭に立って奮闘する決意です。
2002春闘方針
再生に向けた宣言も採択
臨時大会では、再生プログラム関連議案のほか、「2002春闘方針および当面の闘争方針」「新規加盟組合の登録などの承認」などの議案も提案されたが、全議案を圧倒的多数で確認した。
大会の最後に「自治労再生に向けた宣言」を採択。一連の不祥事によって失われた組合員への信頼回復と、自治労再生に向けたプログラムの早期実行に向け、県本部、単組、職場から、再生への取り組みを進めることを参加者全体で確認した。
真相究明委報告 要旨
今回の不祥事では、個々の問題を貫く共通の問題が浮き彫りになった。
1つには、自治労の組織・運動と財政との関係の問題、特に運動と「簿外」口座の関連の問題である。
80年代前半の臨調・行革路線とのたたかい、80年代後半から90年にかけての労戦統一をめぐる組織闘争は、当時すでに赤字だった自治労財政に多大な負担を強いた。このため金融機関からの借入や簿外口座から組織対策の資金を支出するようになった。
また自治労は、最大時に32人の国会議員を有するなど、政治への意見反映に力を注ぎ、成果をあげてきた。しかし、それを支える財政基盤は脆弱だったことが、明らかになった。
2つ目は、組織運動と自主福祉活動の関係の問題点である。組合員の財産である再保険手数料を一部の者の判断で支出したこと、また本部の組織対策の簿外口座に転用したことなどの問題がある。
3つ目に自治労本部と関連会社・取引会社の関係の問題である。
ubcは自治労の管理下に置くとしながら全くコントロールはきいておらず、他方では取引会社を利用して保険代理店を設立し、一部幹部のみがその利益を得ていた。
4つ目は会計・財政を含む本部運営全体の問題として、特定の立場の者に処理が委ねられていたことなど、財務処理システムの問題がある。これが、組織対策費の流用や右翼への支出などの問題にもつながった。
5つ目は本部と県本部の関係性の問題。一部県本部の組合費納入の遅れや組織対策費の支出など、「内輪の論理」に陥った面がなかったかどうか検証し、これを県本部も教訓とすることが必要である。
〈各問題に関する報告〉
12月6日の中央委員会で示した「中間報告」以降、新たに判明した事実を中心に報告する。
@保険代理店問題 エイシン企画センターは87年に設立され、91年から保険代理店に性格を転換するが、設立にあたって自治労の組織決定がなされた形跡はない。
北進物産は、椿事務局長が秘密裏に設立し、自治労に無断で事業本部の学資共済を利用したもの。許しがたい行為であり、必要な対応が取られるべきだ。
保険代理店としてのubcからは、事務局長管理口座に振り込まれた手数料から、4000万円が小野寺総務部長の口座にキックバックされていることが判明した。
全ての代理店に共通する問題として、取引業者を退職役職員の処遇に利用したことや一部幹部の判断でこれを行なった不透明性・非民主制、代理店に業務実態がない、供応接待があったことなどの問題がある。
A共済事業と納税問題
今回、自治労が法人税法違反に問われたが、その経緯を整理したもの。96年の租税特別措置法改正を受け、97年度決算から納税をしてきたが、簿外口座とエイシンの収入などが、当局に違法と判断された。
法令遵守、チェック機能の確立などが必要である。
Bubc不正経理問題
長谷川専務らの不正経理と検察による起訴、自治労の刑事告訴と損害賠償請求はこれまで報告した通り。その後の調査で、小野寺元常務の不正も明らかになっており、今後の対応が必要である。
C右翼対策費問題
「自治労200万口座」から7000万円が、開発事務局長を経て長谷川専務に渡るのに先立ち、長谷川専務は5000万円をubcから引き出し、中吉俊司に渡していたことが、新たに判明した。
D財政局長・事務局長管理口座問題
財政局長管理口座からの支出は、現時点の確認では、88年11月から昨年9月までで、301回17億円で、うち「自治労200万口座」からの支出は3億円。
事務局長管理口座で、最大の残高を有する口座からは、84年の開設から98年までで、組織対策費・交付金として98回5億5000万円が支出された。
第2の事務局管理口座から、ubc小野寺常務の口座への送金が確認された。
後藤元顧問の組織対策費の流用に見られるような、私的流用が明らかになれば、厳正な対処が必要である。
E借入金問題
94年11月に振り出された20億円の小切手の流れが判明した。
一部に不明な点は残るが、佐々木財政部長が事業家M氏に20億円の資金運用を委託し、小切手はこの借入先を当座貸越につけ変えるためであった。M氏は20億円を預った事実を認め、返済意思があるとしており、交渉をすすめている。
余暇施設購入問題は、マスコミで報じられたような、投資の事実はなかった。
チェック体制と相互牽制機能の確立、責任ある組織マネージメントが必要だ。
◆
この報告で真相究明委員会は活動を終えるが、問題が終わるわけではない。新たな問題が判明した場合は、本部を中心に対応されるよう、申し上げる。
自治労の再生に向けた宣言
昨年9月末以降、明らかになった一連の自治労本部と関係団体の不祥事は、48年間、組合員の連帯によって積み上げられてきた自治労運動の信頼を一気に失わせるものとなりました。
私たちはこの間、自治労に結集し、生活を守り権利を確立する運動、社会的公正、正義の実現をめざす運動、国際連帯、反戦、平和を求める運動など、地域を基盤に自信と誇りをもって取り組んできました。しかし、今回の不祥事は、こうした運動を誠心誠意、地域で担ってきた組合員に不信を与え、自治労運動に期待を寄せている多くの組合、市民に失望を与える結果となりました。
本臨時大会は、自治労結成以来最大の組織的危機の中、一連の不祥事の徹底究明、自治労役職員の責任の明確化を踏まえ、再び自治労および自治労運動が信頼を回復するための改革案について真摯な討議を行いました。
一連の不祥事は、自治労が持っている古い体質が新しい時代に対応できる構造に自己変革を遂げていないところに大きな原因がありました。運動を支えるための組織と財政のギャップ、財務会計システムの不備、意思決定過程の不明確さ、倫理観の欠如などの問題があきらかになりました。
こうした自治労の不祥事に対し、組合員から、「自治労の役割はなにか」、「労働組合の役割はなにか」という本源的な問いが投げかけられています。
今日、日本経済の悪化、先行き不透明な中で、戦後最悪の失業率、雇用不安、将来の生活不安、雇用形態の多様化の中で不均等待遇など、労働組合が果たすべき役割は山積しています。さらに、公務員労働者の労働基本権の回復、市町村合併など自らの課題とともに、地域、職場には様々な課題が存在しています。そして、これらの課題解決に労働組合を必要としている多くの人々が存在しています。
自治労は、何よりも今回明らかになった自治労本部の構造的問題点の改革を急ぐとともに、再生プログラムの早期実現、自己改革に取り組んでいきます。
併せて、今、内外から求められている諸課題について、全国津々浦々まで真摯に取り組むことが、信頼の回復、連帯の再建につながるものと考えます。
今回の不祥事で自治労の失ったものはあまりにも大きく、信頼回復には多くの時間がかかります。しかし、私たちは、自信と確信をもって自治労運動を進めるため、ここに再出発することを決意します。
2002年2月1日
全日本自治団体労働組合
第72回臨時大会
よりよい条例・計画に向け自治労府職の意見を提出
パブリックコメント制度
男女共同参画推進条例に
府男女共同参画推進条例案骨子に対する意見募集が行われ、自治労府職では女性部が中心となって次の意見を提出した。
◆ ◆
名称は「男女平等推進条例」にすること
(理由)男女平等は当然の前提にはなっていない。単なる共同参画ではなく、対等平等に参画することを意識化するためにも「平等推進条例」とすべき。
パブリックコメント制度の趣旨を尊重し、提出意見に対し見解をすみやかに出すべき
(理由)本条例に関しては、大阪府男女協働社会づくり審議会から「基本的な考え方」に関するパブリックコメントが行われ、自治労府職としても意見を提出したところである。ところが、前回のパブリックコメントに対する見解が示されていない。意見提出者としては、前回の意見に対する見解を踏まえて次の段階の意見を作成するのが当然の作業手順だが、このような作業をすることができない。男女協働参画課が行ったパブリックコメントでは、「おおさか男女共同参画プラン」でも見解の公表が遅れ、自治労府職から「抗議」した経過があるが、同じことが繰り返されることは納得がいかない。知事は審議会の諮問時にも「時間がかかってもいいものを作りたい」と発言していた。本意見募集も2月議会直前であり、法規審査など提出議案の手続きとの関係に疑念がある。拙速ではなくきちんとした対応をしてから議会に条例提案すべきである。
前文について
大阪の特徴としての、在日外国人、中でも在日韓国・朝鮮籍の人が多いことを書き込むべき。また、被差別部落の問題について明記すべき。マイノリティ女性の複合差別について記載すべき。
(理由)大阪府の条例なのだから、大阪の地域性を書き込むことは当然必要。この前文では不十分。
定義について
間接差別、ドメスティックバイオレンスについての定義をいれること。
(理由)これらは条例に盛り込む必要がある。
基本理念について
「男女が家庭の重要性を認識し、相互の協力と社会の支援の下に」は子の養育・介護など具体的に書くこと。「国際的協調の下」は在日、ニューカマーなどと具体的に書き込むこと。間接差別をなくすことを明記すべき。
(理由)具体的なほうがわかりやすい。結果の平等をめざすには間接差別をなくすことが必要。
府の責務について
府は事業者のモデルとなることを明文化すること。府の財政上の措置について書き込むこと。
(理由)条例が絵に描いた餅にならないよう、財政的な措置は必要不可欠である。おおさか男女共同参画プランには府がモデルとなることを明記している。条例でも当然あげるべきである。
事業者の責務について
事業者に対して、積極的改善措置に努めるよう求めること。
(理由)ポジティプアクションは、あらゆるところで実践されるべきものである。
府と市町村の協働について
NPO、市民団体との協働の推進を明記すべき。
(理由)NPO、市民団体に情報を提供するなど市民活動がより活発に推進されるよう支援するため。また、NPOが持っている知恵と力の活用をはかるため。
男女の人権侵害の禁止について
「配偶者間等の暴力」は「ドメスティックバイオレンス」と表現すること。間接差別の禁止について記載すること。マイノリティの女性の人権について記載すること。
(理由)府の啓発冊子「あなたのまわりで」にもあるように「女性に対する暴力」は直接的な暴力だけでなく無視、精神的抑圧、経済的なものなど様々である。ドメスティックバイオレンスの概念を定着させるためにも書き換えること。直接差別よりも間接差別のほうがわかりにくく巧妙かつ深刻である。はっきりと明記すること。
男女共同参画に関する施策について
メディアに対する方策、リプロダクティブヘルス・ライツについて書き込むべき。
(理由)メディアには、府内から全国に発信されるものも多く、メディアに対する要請が必要。リプロダクティブヘルス・ライツに対する施策が必要。
男女共同参画の取り組みの促進について
事業者の顕彰、そのための報告を求めることについては評価できる。さらに進めて、男女共同の取り組み報告を府との入札の参加条件とし、さらに取り組みを促進させる制度を条例化すべき。
苦情の処理について
苦情、申出について府民に限定すべきでない。「府民の苦情」「府民の申出」を単に苦情、申出にすること。
(理由)昼間人口と夜間人口の差に見られるように、府には居住しないが、府域に勤務、通学している人は多い。単に府民に限定すべきでない。
苦情の処理機関を条例上位置付けるべき。
(理由)審議会答申にもあるように、第三者の意見を聞くなど公正に、適切に対処するためには処理機関の設置を明確にしておくべき。
原子力防災計画の改定に
臨界事故後に制定された原子力災害対策措置法を受けて進められている原子力防災計画の改訂作業で、パブリックコメント制度に基づく意見募集が行われた。
自治労府職は、これまでの取り組みを踏まえ、次の意見を提出した。
◆ ◆
「国の体制が整うまでの初動時に迅速に対応できる計画になっているか」に関連する意見
意見@ 緊急時環境放射線モニタリング等の実施について
原災法で定める事故に該当しない特定事象発生後の段階(同法10条の通報後の段階)で、緊急時環境放射線モニタリングの準備を行うとしているが、準備だけでなく緊急時モニタリングを実施するべきである。
(理由)●特定事象の段階でもすでに通常時の約100倍の放射線が検出されており、平常時のモニタリングの強化だけでは不十分である。●緊急時モニタリングの結果が対策の基礎になるので、できる限り速やかに実施に移すべき。
意見A 屋内退避・避難誘導について
「第1 屋内退避及び避難に関する指標」で、屋内退避及び避難の措置を「国の勧告又は指示を踏まえ」行うとしているが、この「国の勧告又は指示を踏まえ」を削除すべきである。
(理由)●「国の勧告又は指示」を待たずに判断できるようにするために、予測線量による指標が設けられている。●「国の勧告又は指示」を待たずに独自の判断でもできるように、「第2 屋内退避・避難の勧告・指示」で規定されている。●国の原子力防災専門官が現地に常駐しているとはいえ、最悪の場合を想定しておくのが防災計画であり、国の勧告又は指示が遅れる場合も想定すべきである。●できる限り早期に屋内退避や避難を行うことが被曝線量の低減につながる。
意見B 広域応援等の要請・受入れについて
指定行政機関などの長への職員の派遣要請などは文書で行うとしているが、いとまがない場合は電話などでできる旨のただし書きを設けるべきである。
(理由)●全国都道府県への応援要請では、ただし書きが設けられている。●特に初動時は一刻を争い、文書で行ういとまがない場合が想定できる。
「国が緊急事態宣言を発しない規模の事故でも、府独自に対応できる計画になっているか」に関係する意見
意見C 原子力災害緊急対策基本方針について
原災法で定める事象に該当しない事故について、事故に対する周辺住民の不安、動揺などの緩和を図るため、情報提供、注意喚起を行うなどとしているが、このような対策では不十分である。原災法で定める事故同様、住民の安全確保対策を講ずると記述すべきである。
(理由)●原災法で定める事故は、国が前面に出て対策を講ずべき大規模な事故であり、これに該当しないものでも安全確保対策が必要である。●放射線被曝にこれ以下なら安全という閾値はなく、事故による被曝はできる限りゼロに近づける必要がある。
意見D 府の組織動員について
原子力事故対策本部を原災法10条の通報があったときに、災害対策本部を原災法15条の緊急事態宣言のあったときに設置するとしているが、10条通報があった段階で災害対策本部を設置すべきである。
(理由)●国が「緊急事態宣言」を行い「原子力災害現地対策本部」を設置する空間放射線量率は500マイクロシーベルト/時とされているが、この値は通常値のほぼ1万倍にあたり、わずか2時間浴びただけで一般人の年間許容線量に達する高い値である。●原災法の解説書でも「都道府県知事及び市町村長が現地の状況を踏まえ、自らの判断により災害対策本部を設置することは当然可能である」とされている。●宮城・福島・新潟・福井・島根・愛媛の各県の防災計画で原災法10条の通報があったときに災害対策本部を設置するとしている。
意見E 医療救護活動について
ヨウ素剤の服用の防護活動は「国の原子力災害現地対策本部より指導・助言があったとき」とされているが、独自の判断でもできるようにすべきである。あるいは「国の指導・助言があったとき」と表現すべきである。
(理由)国の原子力災害現地対策本部が設置されるのは、通常時の約1万倍の放射線が検出される大規模な事故時であり、それ以下の規模の事故などでは、府独自の判断または国の事故対策連絡会議、原子力防災専門官の指導・助言でも、ヨウ素剤による防護が行えるようにすべき。
国の防災指針の問題点と関係する意見
意見F 災害の想定について
原子力防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲(EPZ)は、防災指針を十分尊重して、京大原子炉、原燃工から半径500メートルの地域などとしているが、それぞれの対象施設からの事故想定をもとに設定すべきである。
(理由)●防災指針はあくまで目安である。●自治体が独自の事故想定に基づいて防災計画を立案することは、地域の実情により即したものになり、実効性が向上する。
意見G 災害の想定について
計画の基礎とするべき災害(事故)の想定を示している点を評価するが、自己による放射性物質及び放射線の放出形態だけでなく、放出量と予想される被曝線量なども示すべきである。
(理由)想定事故の規模は、防災計画立案の基礎的情報である。説明責任があると考える。
意見H 災害の想定について
計画の基礎とするべき災害(事故)の想定では、事業所外の運搬事故についても示すべきである。
(理由)●事業所外運搬の場合は、民家にも近く影響が大きい。●京大原子炉からは放射能量の多い使用済み燃料の搬出が一般道を用いて行われており、万一事故が発生すれば影響が大きい。●頻度として多い原燃工への原料(ウラン粉末)搬入や製品の核燃料の搬出は、府下の高速道路などを通過しており、交通事故に巻き込まれる可能性などが否定できない。
意見I 緊急時環境放射線モニタリングなどの実施について
緊急時の第1段階モニタリングの測定項目では、環境試料(飲料水・葉菜・原乳及び雨水)中の放射性ヨウ素、ウラン濃度とされているが、放射性セシウムを加えるべきである。
(理由)●核分裂生成物の代表的な核種である。●第1段階モニタリングの結果により、飲食物摂取制限の実施を検討するとし、飲食物摂取制限に関する指標に放射性セシウムの表を掲げていることと矛盾する。
意見J 屋内退避・避難誘導について
退避及び避難に関する指標は、防災指針を引き写すのではなく、想定事故による予測線量から独自に低い値を設定すべきである。
(理由)防災指針の指標値(すなわち計画案の値)は、高すぎてJCO臨界事故でも役に立たなかった。住民避難は防災計画に基づかない村長の決断で実行に移されたが、避難基準がもっと低い値に設定されていれば、もっと早い段階でちゅうちょなく行うことができたはずで、事故の教訓を生かすべきである。●福井県の防災計画は、防災指針の値よりも低い値を採用している。●想定事故での予測被曝線量との関係を説明するべきである。
その他の意見
意見K 参考資料について
参考資料として示されている「(株)ジェー・シー・オーにおける臨界事故について」は、出典、作成日時が示されておらず、不親切である。
(理由)資料中に「作業員3人が現在入院中」との記述があるが、現状に合致しない。
投了後に広がる交流の輪
自治労府職第8回囲碁・将棋大会
夜には雪との天候で、寒さが厳しい2日の土曜日、自治労府職は第8回囲碁・将棋大会を大阪市内で開き、日頃の腕試しにと各職場から組合員が集まった。
例年の大会でもあり顔なじみも多く、久しぶりの対局に参加者は楽しげな様子。単組・支部を超えた交流の輪が広がる。
対局が始まれば真剣な雰囲気で静寂に包まれ、会場には駒・碁石を打つ音が響き渡る。各クラスごと、A(3段以上)・B(初段・2段)・C(級位者)に分かれての対戦は、実力が拮抗したクラスもあり、白熱した局面がくり広げられた。投了すれば、互いの手合いを振り返りながら談笑し、次へのステップも怠らない。
将棋の部Aクラスで優勝した総務支部の吉永さんは「いまはパソコン通信で見えない相手と囲碁・将棋ができ、自分もやるがなんか味気ない。やっぱり、互いに向き合って打つのが醍醐味やね」と、会場の雰囲気に満足げだった。また、今年度で退職する税務支部の梶さん(囲碁Aクラス)は「楽しかった。次は退職者会でもがんばろうかな」と話した。
上位入賞者は次のとおり(敬称略)。府本部の大会に自治労府職の代表として送り出す予定で、その健闘が期待される。
◆将棋の部
【Aクラス】
優勝 吉永 順一(総務)
2位 山本 幸男(税務)
【Bクラス】
優勝 則定 義秀(健福)2位 西田 幸一(中宮)
【Cクラス】
優勝 形山 順二(環農)2位 上田 雄二(労働)
◆囲碁の部
【Aクラス】
優勝 梶 俊信(税務)
2位 赤阪 巌(税務)
【Bクラス】
優勝 吉川 敏男(職安)
2位 竹内 昭(中宮)
【Cクラス】
優勝 下河 泰明(労働)
2位 細野 芳美(羽曳野)
お父さんには負けないぞ
親子対決が実現!?
「囲碁・将棋大会も家族参加型になったねぇ」と参加者を和ませたのはお父さん(健康福祉支部枚方保健所・大田原光伸さん)に連れられてやってきた僚洸(ともひろ)くん。今年ピカピカの小学1年生になる。
大田原さんは「いろんな経験をさせたくて今日は子守りがてら連れて来ました。アニメで囲碁がはやってたりして、どんなものか見せたかった」と話した。
将棋の部に参加した大田原さんは残念ながら入賞できなかったが、親子で将棋板をかこみ、お父さんを真似て駒を進め、銀を手に「これ、横に行けんの」とかわいい質問をする僚洸くんも早く覚えて強くなるといいね。