機関紙「自治労府職」

 2003年7月1日号

ILO(国際労働機関)が日本政府に再勧告
公務員制度改革大綱の再検討など強く要請

連合官公部門連絡会が見解
勧告を受入れ労働基本権を確立せよ


 ILO理事会は6月20日(現地時間)、日本の公務員制度改革案件に対する「結社の自由委員会第331次報告」を採択した。報告では、昨年11月21日の勧告実現を再度強く求めており、連合官公部門連絡会は、次のような見解を発表した。
 政府は、昨年のILO勧告はあくまで「中間報告」であると主張し、3月31日には、「日本の実情への誤解がある」などとして、従来の見解を繰り返した「政府追加情報」をILOに提出し、理解を求めていた。今回の勧告は、こうした日本政府の主張に対し、改めて勧告内容の実施を求めたもので、政府はもはや、「中間報告」や「特殊事情」を口実に、今回の公務員制度改革から労働基本権問題を切り離し先送りすることはできないことを認識すべきである。
 石原行革担当大臣は、5月27日の笹森連合会長と小泉首相との政労会見を踏まえ、公務員制度改革に関する「協議の場」の設置について、前向きに検討する考えを示した。再勧告は、「労働組合との全面的で率直かつ有意義な協議の重要性」について、「政府に再度注意を喚起」しており、こうした指摘を踏まえ、政府は勧告内容の実現に向けて真摯に努力すべきだ。
 連合官公部門連絡会は労働基本権を制約した公務員制度改革関連法案の延長国会への提出を、絶対に認めることはできない。3野党と連携し、連合とともに、政府に対しILO再勧告の受入れを強く求める。いまこそ、国際労働基準である働く者の労働基本権を確立した透明で民主的な公務員制度改革を実現するため、全力をあげる。
 自治労府職も民主的な公務員制度改革のため、上部団体に結集し、職場から取り組みを進める。


公務員連絡会
異動保障、自宅住居手当、通勤手当など
人勧作業状況で交渉 見解質す

 公務員連絡会は、6月23日に人事院交渉を実施した。16日には人事院総裁に本年の人勧期要求を提出しており、23日の交渉では要求を踏まえ、人勧作業の状況や調整手当異動保障見直し、自宅に係る住居手当、通勤手当の支給方法などで、人事院の見解を質した。
 連絡会側から、@勧告に向けた作業について、7月の早い段階に較差の概要を示されたい。減額調整は認められない、A調整手当の異動保障見直しは合意できる内容とし、期間縮小、支給率てい減は受給者に大きな負担で、十分な経過措置を取ること。また、将来の異動に伴う手当のあり方と、見直しの関係を明確にすること、B自宅に係る住居手当の見直しは、見直すこと自体は受け止めるが、新築・購入時の手当制度は残してほしい、C通勤手当の見直しは、各省報告の状況を教えてほしい。また、今年の勧告で見直すなら早急に考え方を示してほしい、D「地域給与研究会」の報告だが、地域給与の見直しは重要な労働条件の変更となるので慎重な対応と交渉・協議、合意に基づき進めてほしい。また、報告の検討については、「交渉・協議の場の設置」を要請する。
 これに対し鈴木職員団体審議官は、@調査は例年通りで異なる対応は困難。減額調整は今年も厳しい状況、A異動保障は、国民一般に理解される必要があり、見直すべきところは見直す必要があると考えている。B自宅に係る住居手当は、設けられた趣旨と現状がずれてきており、どう整理可能か検討している、C通勤手当の問題は、実務的な問題について各府省に確認中で、報告を担当で整理している、D地域研報告は、7月に発表できるよう作業しており、報告を受ければ十分説明し、話し合いたい。
 これに対し連絡会側は、@本年の較差はどのくらいか、A異動保障は国税労組としての提案(在職期間に応じた異動保障)をしたが検討状況はどうか、B自宅住居手当は民調の内容も踏まえ、見直す場合は説明責任を果たすべき、C通勤手当が6カ月だと職員の負担が大きい、D地域研報告は、組合と十分な交渉・協議を行って進めるというスタンスを明確にすべき、と重ねて要望した。
 これに対し審議官は、@各種調査では、月例給与は昨年同様の厳しさで、一時金は昨年以上に厳しい、A異動保障は、率直に言って難しいのではないか、B自宅住居手当は民調結果も踏まえて検討したい、C通勤手当は実務上の問題として進めていきたい、D地域研報告は、説明するし意見を聞きながら進めたいなど抽象的な見解表明にとどまったため連絡会側は、「減額調整は反対で、配分を含めて十分議論させてほしい。その他の手当見直しは、痛みを伴う者の要望を踏まえた内容を基本とし、十分に議論し交渉・協議で合意できるよう、早く具体案を示していただきたい。次回はより具体的見解を示してほしい」と要望した。審議官も次回交渉を確認し、交渉を終えた。


男女平等参画社会の実現に向けて
男女平等闘争委員会
連続学習会

 自治労では、男女平等参画の実現のため、様々な取り組みを進めています。自治労府職でも男女平等闘争委員会を設置して議論を進めており、連続学習会を開催しています。
 第2回目はセクシュアルハラスメントに焦点をあて、相談現場での経験を交え学習します。
 各単組・支部からの積極的なご参加をお願いいたします。

第2回 セクシュアルハラスメント相談とその対応(仮題)
 被害者の心と仕事に深刻な影響を与えるセクシュアルハラスメントの問題ですが、被害者から相談を聞いた場合の対処方法や、相談現場での具体的な事例などについて、ロールプレイなどの手法を交え、学習します。

 講 師 小林由紀さん(男女平等闘争委員)
        佐々 力さん(労働支部組合員)
 と き 7月8日(火)午後6時30分から
 ところ 府立労働センター(エルおおさか)
      5階 研修室2

 お申し込みは、各単組、支部を通じて自治労府職本部まで
 第3回目は7月下旬に開催の予定です。


平和のための国際連帯
韓国は熱く燃えていた

 フォーラム平和・人権・環境は、昨年6月13日に米軍の装甲車にひき殺された女子中学生、ヒョスンさん、ミソンさんの1周忌集会と南北共同宣言3周年集会に40人で参加し、自治労府職から総務支部の井上忠宏さんが参加した。井上さんから、集会の様子などの報告・感想が寄せられたので掲載します。

 初めて国際連帯へ参加しました。また初めて韓国に行くので、どうなることかと心配でした。しかし、通訳の方もしっかりと日本語を話してくれるので安心できました。
 集会の感想ですが韓国の参加者は、自分から積極的に参加しているように感じました。米軍の行為を参加者、一人ひとりが「自分にも降りかかってくるかも知れない」という、他人事では済まされない問題であると捉えているところが日本と違うと感じました。
 日本も沖縄に基地が集まっており、韓国と同様の事件が起きても、日米地位協定により、米国のいいようにあしらわれていますが、日本では国民すべてで抗議したりすることはあまりありません。その点、韓国は国民が熱く燃えていました。SOFA(韓米地位協定)の改定などアメリカに対して抗議し続けることの大切さを感じました。
 集会では、韓国の人たちに混じり、日本からの参加者も旗とキャンドルをかざして参加しました。
 集会終了後、デモが始まるとアメリカ大使館方面の道路は機動隊で封鎖されてしまい、デモ隊はバスを手で押してバスを揺らしました。機動隊はバスの屋根の上から棒を振り回し一時騒然となる場面もありました。デモ終了後は集約集会が行われ、解散しホテルに向かいましたが、帰りも機動隊のバスが道路を封鎖し、大回りして帰りました。
 その後の日程では、韓国民主労総の人たちとの懇談や、交流会に参加し、最終日には、韓国最北端の駅や、非武装地帯での集会に参加しました。
総務支部 井上 忠宏


戦争のない社会・核兵器の廃絶めざし
平和の火リレー 府内を力走


 原爆被害者の「戦争による犠牲者をこれ以上増やしてはいけない」との訴えから始まり、16回目の取り組みとなる反核・平和の火リレーに、自治労府職から社保労組の組合員が参加した。
 府内を平和の火でつなぐため、6月17日から7月1日の日程で取り組まれており、府庁前の大手前遊歩道で城東区に向かう火の引継ぎが行われた。
 雨のなか行われた引継ぎ式では、本部の大橋委員長が「米国の戦争に協力するための有事法制定や、自衛隊の海外派兵が目的のイラク支援法が国会で議論されているが、世界が間違った方向に進まないよう、働く者が力を合わせなければならない。この行動は、非常に大事な取り組みで、ランナーの頑張りに期待している」とあいさつした。
 また、社保労組の樋谷書記次長は「ランナーのシャツにプリントされている『闘わない勇気』が今こそ必要だ。草の根的な運動から、戦争を無くすため、平和の火をつなぐため、最後まで頑張ってほしい」と激励した。
 その後、平和の火の引継ぎが行われ、城東区に向けて、3人のランナーが力強く走り始めた。


自治労府職も支援
中国人家族に在留特別許可


 中国残留孤児の再婚相手の連れ子で、日本で生活していた鄭(チェン)さんと尚(シァン)さんの家族9人が、連れ子は血縁関係が無いとして国外退去を迫られていた問題で、6月20日に大阪入国管理局は9人に在留特別許可を出した。
 鄭さんら家族は、6年前に来日する際に、連れ子であることも書類で明らかにしていたが、昨年11月に入国許可を取り消され、在留資格の更新も拒否された。
 自治労府職では、自治労府本部や部落解放共闘からの呼びかけに応じて、嘆願署名行動に取り組み、各団体のものを合わせ、約8万人分の署名が法務省に提出された。
 署名活動に職場・地域から取り組みを進めてくれた組合員の皆さんに感謝いたします。