機関紙「自治労府職」
2004年11月1日号
地方公務員給与あり方研究会
国準拠を離れた制度へ検討
植本委員(自治労)、人事評価システムのあり方の検討など求める
総務省に設置された「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」は、10月18日に第1回研究会を開き、塩野 宏(東京大学名誉教授)座長をはじめとする委員を確認し、今後の研究会の進め方などを協議した。研究会には、労働組合代表として須賀連合総合労働局長、植本自治労書記長が参画する。次回研究会は11月17日に開かれる。
今井総務副大臣は研究会設置の目的などに触れ、@各自治体での人勧に基づき、国家公務員給与を踏まえながら、地域の民賃を考慮して給与を決定してきた、A地公給与は、地域の民賃の状況をより的確に反映する声が高まっており、これら意見などにも真摯に応えていく必要がある、B「骨太方針2004」でも地公給与に言及され、また人事院勧告で地域の民賃の反映に関する報告がされた、C地公給与をめぐる環境は大きな変化を見せており、これらの状況を踏まえ、今後の地公給与のあり方について幅広く検討する必要がある、などと述べた。
塩野座長は「地方公務員制度調査研究会として部分休業制度の拡大、任期付短時間勤務職員制度などを、国に先駆けて提言した。地公独自の制度を考える機運が盛り上がってきており、この研究会もそうした趣旨の延長で設置されたものと理解している。地公法制は国家公務員に準拠するものとして多くが制度化されているが、準拠制度から離れた姿について、皆さんと知恵を出し合っていきたい」と述べた。
続いて、事務局(総務省公務員部)から地方公務員給与などに係わる概括的な説明があり、研究会の検討課題や運営などについて委員による意見交換を行った。
自治労から参加している植本委員は「論議することの重要性は認識しているが、骨太方針の具体化という立場では臨んでいない。地域の民賃の反映ではなく公務での同一価値労働・同一賃金のあり方や、労働組合の参加する人事評価システムのあり方の充分な検討も必要がある。民調の対象事業所の拡大という報道がされたが、結論ありきではない検討をお願いしたい」と意見表明した。
米国追随を許さず、自衛隊撤退を求める
扇町公園の集会に単組から100人超す参加者
大阪平和人権センターは10月21日「沖縄米軍基地の即時撤去・自衛隊のイラクからの撤退を要求する10・21大阪集会」を扇町公園で開いた。
沖縄国際大学での米軍ヘリ墜落事故など、沖縄県民が不安を抱きながらの生活を強いられているなかで開かれた集会には、自治労府職から100人を超える組合員が参加し、反戦・平和への強い思いを訴えた。
大阪平和人権センターの田淵理事長は「普天間基地は日米政府間で前面返還することが合意されているが、日本政府は真剣に沖縄から米軍基地をなくそうとする意思がなく、安易に代替基地設置の要求を受け入れている。われわれは、直ちに沖縄米軍基地の全面返還に取り組まなければならない。また、小泉政権は、世界の多数の人々の反対を退け、国連憲章を無視してイラク攻撃を強行したブッシュ政権を無原則に支持し追従してきた。イラクでは各地で戦闘状態が続いており、政府の危険な米国追従を許さず、自衛隊のイラクからの撤退を強く求める。反戦・平和を望む世界の人々と連帯し、戦争を止めたい」と訴えた。
さらに「沖縄米軍基地の県内移設反対する会」山内代表から辺野古島での米軍基地建設の阻止にむけた取り組み報告を受けた。集会終了後には、アメリカ総領事館前を通る大阪市役所前までのデモ行進を行い、シュプレヒコールで「戦争の即時中止、基地移設反対」を訴えた。
収穫祭で大満腹
炊き込みご飯にも挑戦
10月24日の日曜日、能勢みくさ山棚田府民農園での収穫祭は、50人を超える組合員とその家族が集まった。1週前の稲刈りは悲しいほど参加者が少なく「収穫祭は、みんな集まるんやろか」と不安まみれだったが、不安を吹き飛ばすほどの参加者と天気に恵まれた。
集まった子どもたちはバーベキューの準備は大人に任せ、イモ掘り会場へ。棚田近くの畑で、サツマイモを力いっぱい引き抜いていた。
バーベキューでは今年も「かんてき」が大活躍。見晴らしの良い棚田で舌鼓を打った。イベントのメインである「新米ゴハン」は例年と違い「炊き込みゴハン」に挑戦。バーベキューも終盤に入ったころに炊き上がり、参加者に振る舞われた。
食べきれなかったお菓子や飲み物は、中村現評議長による「慣れない」ジャンケン大会で子どもたちを中心に配られたほか「取れたて新米」を参加者で分け、大満足で秋の1日を過ごした。
【本部 池口忠史】
府本部現業・公企統一闘争
市場化テスト導入に抗議を表明
自治労大阪府本部は10月26日「『地方分権を担う自治体改革・財政確立、賃金確定闘争、2004現業・公企統一闘争勝利』10・26府本部総決起集会」を森之宮ピロティホールで組合員983人を集めて開いた。
山田委員長は「現業・公企統一闘争は、小泉内閣による骨太改革や三位一体改革、公務員制度改革との闘いと期を一にして取り組まれる。マスコミは、小泉に代わって国の財政再建のための地方財政圧縮を大きく宣伝しており、われわれが『地域公共サービスを守るため』に賃金引き下げや職場見直しに断腸の思いで決断をしてきたことを、犬死にしようとしている。政府は現業・公企を委託することで、公務職場の合理化に向けた突破口を開こうとしており、最大の防波堤である現業・公企統一闘争を府本部すべての組合員で守り抜くことを確認してもらいたい。大阪府は官民競争入札のテストである市場化テストに踏み切った。これに対して府本部は太田知事に強く抗議の意を示すとともに申し入れ行動を具体的に取り組んでいく」と訴えた。
基調提起では「現業・公企職場の直営を堅持し公共サービスの拡充・質の向上に向けた人員と予算の確保」を統一指標とし、各単組での交渉・情宣活動を積み上げ、11月5日の統一行動日を背景に取り組みを進めることを確認した。
府労連秋季年末闘争
11月1日(月)AM11:00
知事あて要求書提出
第1回団体交渉
12日(金)AM11:00
第2回団体交渉
PM5:00
全職場代表者会議
(新別館北館:多目的ホール)
職場決議手交
24日(水)AM11:00
第3回団体交渉
PM3:00
要求貫徹決起集会・デモ
(大手前遊歩道)
給与・寒冷地手当法
改正法案が成立
10月22日、衆議院を通過した給与・寒冷地手当法改正法案は、10月26日に開会された参議院総務委員会で趣旨説明と質疑が行われ、賛成多数で可決された。
審議では、民主党が両立支援策に関わる部分休業の拡充や短時間勤務制度の早期実現、地域給与見直し問題などで政府を追及した。
可決された同法案は、10月27日午前10時から開かれた参議院本会議に上程され、同様に賛成多数で可決された。人事院は、改正法案の成立を受けて、同日午後1時、寒冷地手当の官署指定などを行う総理府令の改正に関する勧告を行った。
政府は、改正法案の成立後、直ちに公布手続きをとり、10月28日に施行された。
ぐんま自治研で奨励賞を受賞
10月21日から3日間の日程で開かれたぐんま自治研で自治労府職が報告したレポート「政策入札と大阪府における総合評価方式導入のたたかい」が奨励賞を受賞した。
群馬県前橋市で開かれた集会には、全国から3000人の組合員が集まり、136本のレポートが提出されていた。
審査員から「自治体の行う入札に、価格や技術だけでなく他の社会的責任の果たし方など総合的な観点からその当否を決する考え方が構築されていますが、いわゆる行政のアウトソーシングに対処するにもそうした観点が不可欠であることを示した先端的なレポート」との講評があった。
次号以降で、参加された組合員からの報告を順次掲載していきます。
最近読んだ本
セックスボランティア
河合 香織 著
新潮社 本体1500円+税
「障害者と性」に
真正面から向きあう
「セックスボランティア」―刺激的な名前だ。スケベェ心が動かされる。だがこの本は「障害者と性」について真摯(しんし)に取り組まれた本なのだ。いまだタブー視される障害者の性。“障害者はセックスしてはいけない。障害者は子どもを出産しないほうがいい”時代錯誤のように思っている障害者の性に真正面に向きあっている。
だが障害の格差はあるが、私は女であると宣言し、障害者差別を克服しながら恋、失恋、同せい、出産、結婚などを笑いながらこなしてきた個人史は多くあったし、街に出かける機会はふえるだろうから「性介護」というテーマについて、疑問を感じ関心をもった。
重度の男性の障害者にインタビューし、自己史を聞き、性に対する具体的なありようをたずねている。女性を知らずに死にたくないと50歳の時、風俗店を回って初めてセックスをした。その後、障害者年金をやりくりしたお金で年に1〜2回ソープランドへ行くことが活力になっている男性(73歳)だ。脳性麻痺で電動車いすでないと移動できない男性を介助者が数人で風俗へつれていくのだ。ある手足が不自由な障害者の男性に「手」によってマスターベーションの介助がなされることも珍しいことではない。そのように具体的な例があげられている。
メールで「性のボランティア」を求めた食事から排せつまでの全介護の重度の障害者(男性)(37歳)とそのボランティアに応じてくれた女性のこと。
1999年12月からオープンしはじめた障害者専門風俗店のこと。「障害者専門の風俗店よりも障害者を受け入れる普通の風俗店が増えたほうが健全だ」というオーナーのこと。
そこで働く女性たちのこと。障害者の客に割引きを出すホストクラブのこと。出張ホストを受けとめる女性のこと。
「女性障害者は二重に差別されている。障害者である差別と女性という差別」の中で、女性へのボランティアは遅れていること。
身体障害者に比べて知的障害者の性はさらにタブー視されている。知的障害者の支援が教育現場も含めて取り組まれていること。特に知的障害者に対しては、その性や結婚に対する否定的イメージがいまも多いこと。
障害者の性について雲泥の差があるオランダの実態のリポートも報告されている。自治体から障害者にセックスするための助成金がだされるシステムなど、日本では絶対想像すらできないことだ。
具体的な事例をあげながら、障害者の性に対する生き様とセックスボランティアたちの支援がスケッチされている。主役はあくまで障害者たちだが、セックスボランティアの新しい世界に挑戦した人たちに感銘するのだ。その取材は決して深くはないが心意気は熱っぽく感じられた。
「性とは自分が生まれてきた意味を確保する作業である」と述べた障害者の一言が執筆者の支えになっている。だが、障害者1人ひとりに性体験の歴史があるように、健常者にとっても性の悩み、生きる悩みは彼らとあまり差がないと実感させられる。
知的障害者の分野については、優生保護法の精神障害者や知的障害者弾圧に使用された法律の歴史についてもっと言及して欲しい。
新潟中越地震・台風23号
災害支援カンパ ご協力のお願い
1人1000円を目標
超大型台風23号は10月20日、西日本を中心に大きな災害をもたらし、特に近畿地方では兵庫県北部・京都府北部に激甚な被害を与えています。
また、10月23日夕刻には新潟「中越地震」が発生し、土砂崩れ等のため道路・線路などが各地で寸断され、ライフラインの停止など深刻な状況が浮き彫りになってきました。
こうした被害状況が明らかになるなかで、当該県職や県職共闘会議を通じて自治労府職に支援要請がありました。この支援要請を受けとめ、自治労府職はカンパ行動を展開することを確認しました。
寒さが厳しくなるなか、一刻も早い復旧に向けてすべての組合員の皆さんのご協力をお願いいたします。
【要請内容】
@ 新潟「中越地震」支援カンパ1人500円目標
A 台風23号災害支援カンパ1人500円目標
B カンパは各単組・支部にお配りしている「カンパ袋」をご利用いただき、ご協力をお願いいたします。
※ ご不明な点は、本部組織部(06−6945−4056) までお問い合わせください。