機関紙「自治労府職」
2004年11月11日号
人事院交渉
給与の切下げと中央優遇の手当新設する考え示す
合意なき勧告は許さん
公務員連絡会は2日、人事院交渉を行い、地域給与・給与制度見直しの検討状況をただした。
人事院からは「現時点で検討中の(素案)を提示する。人事院としては、さらに皆さんや各府省など関係者との議論を進め、来年の勧告に向けて具体化していきたい」として「給与構造の基本的な見直し(素案)」を説明した。
[素案は2めんに掲載]
説明に対し、公務員連絡会は、@報告の「たたき台」から「素案」に変わった意味はなにか、A公務員制度改革との関わりはどうか、B評価制度をどう考えているのか、とただした。
これに対し人事院は、@「たたき台」から「素案」という表現になったことには特段の意味はなく、皆さんに示して十分ご意見をいただいて成案を得たいということで、実務上そういう表現にしたもの、A公務員制度改革とは連携が必要であり、人事院としても対応していくが、皆さんにも公務員制度改革の当事者として進めてほしいと思っている、B評価制度の整備は極めて重要であることは人事院としても主張してきたところであるが、給与だけでなく任用や研修などにも関わる話であることから、公務員制度改革全体の中で検討していく必要があり、人事院として積極的に対応していきたい、とした。
これらのやり取りを踏まえ、最後に公務員連絡会は「給与構造見直しは、人事院の報告の際にもわれわれの基本的見解を明らかにしてきたが、残念ながら本日の(素案)にそれが反映されていないのは極めて遺憾である。後日(素案)に対する公務員連絡会としての考え方について申入れを行うが、本日は基本的な点だけを要請しておきたい。1つには、給与構造の見直しは重大な勤務条件の変更であることから、公務員連絡会と十分交渉・協議を行い、合意に基づいて検討作業を進めること。合意のないまま、一方的な勧告を行うことは断じて認められない。2つには、地域別官民較差を考慮した全国共通俸給表水準の切下げ案は撤回を求める。その上でわれわれが合意できる見直し案を提示していただきたい」と要請し、交渉を終えた。
被災者支援に全力
台風被害の豊岡市でボランティアに参加
10月20日から21日にかけて、日本列島を縦断した台風23号は、列島各地に大きな被害をもたらし、兵庫県北部・京都府北部を中心に激甚な被害を与えた。こうした状況を受けて府本部は、29日に兵庫県豊岡市での復旧ボランティアに取り組むことを確認し、各ブロック・単組に参加要請した。
自治労府職からも社保労組から4人、税務支部から2人が参加し、現地の復旧作業にあたった。豊岡市総合体育館前に設営された「豊岡水害ボランティアセンター」からの任務を受け、午前中は近隣へのニーズ調査を行い、午後からは特に浸水被害の大きかった円山川の堤防が決壊した部分の裾野に拡がる梶原地区の家屋の片づけにあたった。1軒1軒の家庭に声をかけて人手が必要でないか聴いて回り、家財の搬出、床板はがし、床下に溜まった泥のかき出し、道路・溝掃除など日没まで作業を行った。高齢者の家庭では思うように復旧作業も進んでおらず、これからの生活に対する不安を隠せず涙する方も居ました。被害から1週間が経過したが、災害の凄まじさの痕跡は至る所に爪痕を残していて、道路や空き地にはゴミと土嚢袋が山の様に積まれており、改めて被害の大きさを実感した。
復旧作業は思うように進んでおらず、対応の遅れやボランティア不足の状況にあるのも現実だった。労働組合として社会貢献の取り組みがいかに重要か参加者全員が認識した取り組みだったと思う。被災者が1日も早く日常生活を営めるよう願うばかりです。
【本部 寺岡 庄三】
女性部のあゆみと果たしてきた役割
男女平等に新たな風を@
労働組合は正規職の男性のためのものでした。そのなかで女性部(当時は婦人部)は、女性が当たり前に働き続けることのできる環境作りをしてきました。それは、職場でも労組でも圧倒的多数の男性のなかでの少数者としての活動でしたが、組合の男性を説得することから始まる取り組みでした。
女性が働き続けるための障害として「結婚ハードル、出産ハードル」などといわれたこともあります。労組の女性部の大きな課題は結婚しても出産しても働き続けられる条件作りでした。
母性保護と家庭的責任を担いながら働き続けることのできる条件整備として・生理休暇・妊婦の通勤緩和や通院措置・産前産後休暇の充実・育児時間や育児休業制度の充実・介護休暇などが制度化され、定着していくなかで女性の勤続年数は飛躍的に伸びて女性の割合も増えていきました。
また、男女の役割分担意識に基づく職場での女性の固定的配置や昇任・昇格差別の撤廃も重要な課題として取り組まれました。家庭的責任を主に担わざるをえない、あるいは女性の固定的配置による経験の不足などを理由に昇任試験の受験をためらうため女性の受験率は低くその結果女性の管理職も少数でした。
女性部の活動は労組のなかにとどまらず、女性の働く権利(女性の人権)獲得のため地域・家庭から生活者として多くの女性団体と連帯して社会変革を求めてきました。
1970年代の生理休暇の廃止・女子保護規定の撤廃をはじめとした労働基準法改悪には、母性保障を前提にした「男女平等法」の制定を求め取り組みました。1985年には男女雇用機会均等法が成立しましたが、定年・退職・解雇、教育訓練、福利厚生については女性への差別を禁止したものの、募集・採用、配置・昇進の差別解消は事業主の努力義務にとどまりました。均等法は1997年に改正され、募集・採用、配置・昇進、教育訓練についても法違反となり、新たにポジィティブアクションの促進、セクシャルハラスメントの防止規定、母性保護の充実がおこなわれましたが、女性労働者に対する時間外・休日労働、深夜業の規制の解消がされました。また、育児・介護休業法の改正で家庭的責任のある男女労働者の深夜業の制限の権利が創設されました。続いて2001年に育児・介護休業法が改正され育児介護を担う男女労働者を対象とした時間外労働の上限規制(1月24時間、1年150時間)が設けられ、家庭的責任のある男女労働者に対する時間外・休日・深夜労働への配慮が明記されました。
このように女性が働く続けるための制度・条件が整えられてきました。
【女性部長 上野万里子】
お知らせ
自治労府職(府費)女性部は、昨年2月の定期大会で「組織を発展的に解消し、機能と役割を本部の『男女平等推進委員会』に移行するとしており、12月1日の臨時大会で確認する。
そこで「女性部が果たしてきた役割」や「今後の展望」について、連載するので、各職場でのご議論をお願いします。
12月1日
自治労大阪府職員労働組合
女性部解散大会
午後5時開会
アウィーナ大阪
給与構造の基本的見直し(素案)
2004年11月2日
人事院
○ 公務部内の不均衡を是正するとともに、国民から納得される公務員給与となるよう地域における公務員給与水準をより民間実態に即したものとする。
○ 職務給にふさわしい俸給表構造に改めるとともに、職務・実績に応じた処遇の強化を図る。
○ 複線型人事に資するよう給与制度を整備する。
1 俸給水準の引き下げと地域に応じた適切な給与調整の実現
地域における国家公務員の給与水準について、地域ごとの民間賃金の水準を的確に反映したものとなるよう、次の措置を講じる。
(1) 民間賃金の低い地域(ブロック)の官民給与比較の結果を考慮して、全国共通俸給表の俸給水準を引き下げる。
(2) 地域の民間賃金との均衡を図るため、民間賃金の相対的に高い地域に勤務する職員に対し、地域手当(地域調整額)を支給する。地域手当(地域調整額)による調整は、官民給与の地域差を考慮して俸給等の20%程度を上限とする。
(3) 円滑な転勤運用を確保するため、転勤手当を新設する。現行の調整手当及び異動保障は廃止する。
2 俸給表構造の見直し
より職務・職責を反映し得るよう、級間の水準差の是正、級構成の再編、昇給カーブのフラット化などの俸給表構造の見直しを行う。
(1) 級間の水準差の是正と級構成の再編
各級の水準の重なりが大きいことが、公務員給与が年功的と受け取られる要因となっていることを踏まえ、級間の水準の重なりを少なくする方向で見直すとともに、行政職俸給表(一)の級構成の見直しを行う。
その他の俸給表はこれとの均衡を考慮しつつ必要な措置を行う。
(2) 昇給カーブのフラット化
年功的な給与処遇の是正を図るため、次のように昇給カーブのフラット化を進める。
民間の同年齢層の給与水準と比べ高い水準にある各級の高位号俸の水準を引き下げる。(水準の引き下げ幅については、民間の中高齢層との水準格差を踏まえ、地域調整のための一律引き下げ分とも合わせ、均衡を図る。)
高位号俸の水準引き下げにより生ずる原資を用いて、前半号俸の引き上げを行う。適用者のきわめて少ない4級以上の各級の若い号俸については号俸カットを行う。
3 勤務実績の給与への反映
(1) 実績評価に基づく昇給制度の導入
勤務実績が昇給額に適切に反映されるよう、毎年の職員の勤務実績に基づいて昇給額を決定する昇給制度(査定昇給)を導入し、現行の普通昇給と特別昇給を廃止する。
@ 昇給幅の細分化等
勤務実績をきめ細かく昇給に反映させるため、現行の号俸を細分化し、勤務実績に応じた昇給の基準を設定する。また、現在4半期に1回とされている昇給期を年1回とする。
A 枠外昇給制度の廃止
職務給の徹底を図るため、いわゆる枠外昇給制度を廃止する。
(2) 勤勉手当への実績反映の拡大
民間における特別給の考課査定分の動向を踏まえつつ、勤務実績を支給額により反映し得るよう、標準者の支給月数の引き下げなどによりプラス査定のための財源を確保するとともに、成績率及びその分布割合の基準を設定する。
(3) 昇格(降格)基準の見直し
下位の級での勤務実績に関する具体的要件(例えば、昇格前一定期間又は一定の回数の実績評価の結果に表れた勤務実績が標準を上回っていること等)を設定するなど昇格(降格)の基準の明確化を図る。
4 その他の課題
(1) 行政の多様化、複雑・高度化に対応するため、高度の専門能力を持つスペシャリストがスタッフとして活躍できる処遇の枠組みを準備するとともに、在職期間の長期化への対応として、職員が専門的な能力・経験を活かしつつ多様な働き方ができるよう、複線型の人事制度の導入に向けての給与制度上の環境整備として、3級構成程度の簡素な級構成の専門スタッフ職俸給表を新設する。
(2) 職務・職責をより反映するという観点から、本府省職員に対する手当の新設及び俸給の特別調整額の定額化を行う。
ぐんま自治研
参加者からの報告レポート@
女性首長で何が変わったか
総務支部 山口 治
自治労府職のレポートが奨励賞に入選!
1日目の全体集会で、自治労府職のレポートが奨励賞に選ばれた。全国から寄せられたもののなかから「先端的な問題を取り上げた、報告作成能力の高さ」が評価されての表彰にちょっぴり誇らしい気分に浸った。
―第W統合分科会に参加して
2日目からは、分科会ごとに会場を分けられ、第W統合分科会「人権・文化のまちづくり」に参加した。午前中のパネルディスカッション「女性首長で何が変わったか」で、パネラーの堂本千葉県知事が“女性であろうと男性であろうと住民の選択の結果です”ときっぱりと語られたのが強く印象に残った。
徹底した情報公開と住民参加の県政を
堂本さんは、国会議員時代に「NPO法」の成立に深く関わった者として、その実践に当たっては“行政主導になることだけは、絶対避けよう”と固く決意したと語られた。その決意は、「地域住民が主役、生活者の視点からの県政運営、地域づくり」の方針のもと、東京湾に唯一残された干潟 三番瀬の保全と再生計画づくりの実践や、「千葉県地域福祉支援計画」(通称“鳥”計画)や「第3次千葉県障害者計画」(通称“顔”計画)などの“ユニークでいいもの”となって実を結んでいる。
“ブレーメンのまちづくり、地域づくり”〜「新たな地域福祉像」に向けた実践
動物たちが各々の特長を生かし、助け合って泥棒を追い払うグリム童話「ブレーメンの音楽隊」にちなんで、障害の有無や年齢、立場に関係なく、お互いの持ち味を生かし共生し、行政と協働していくため「プロジェクト・ブレーメン」を立ち上げ、「新しい地域社会づくり」に挑戦していると、いくつかの実践例を示しながら、本当にうれしそうに報告された。
地方から国を変える
〜変革と創造による千葉主権の確立〜
堂本さんは“今こそ地方から起ち上がり、地方を変えるチャンス”であり、国依存の発想を逆転し、地域の視点から国を見る、世界を見ること、地域住民の一人ひとりが自ら判断してつくる個性ある地域、具体的には、女性も男性も、高齢者も若者も、障がいのある人もない人も、外国人も、誰もが、自分らしくありのままに、生き、暮らせる地域の実現に向け「千葉主権の確立」に日夜取り組んでいる。と熱く語り報告を終えられた。
「面倒くさく、時間がかかるが、だからこそプロセスを大事にすること」「住民の誇りと自発性を尊重すること」など、徹底して地域住民の声を聴く堂本さんの姿勢に改めて多くを学んだ。感謝!