機関紙「自治労府職」

 2004年9月21日号

行革推進事務局
能力等級制導入の意義、説明できず
公務労協が厳しく追及、文書での整理など求める

 公務労協は13日、行政改革推進事務局と「国家公務員制度改革関連法案の骨子(案)」について交渉・協議を行った。
 公務労協は、@能力等級制の意義と目的、A制度的な意味合いの説明、B「官職」「職務」「官職分類」などをどのように定義するのか、Cなぜ能力等級制は管理運営事項なのか、などについて明確な見解を求めた。
 行革推進事務局は、@Aについては骨子(案)や質問への回答に書いてあることを繰り返すばかりで、能力等級制を導入する意義や制度的な意味合いを十分説明できなかった。また、Bについては「官職」「職務」の考え方は変わるものではない、としながら、職階法が廃止された場合の定義については特段考えておらず、国家行政組織法の趣旨から説明できるのではないか、との見解。Cについても、国家行政組織法の趣旨に従って分類する制度だから管理運営事項、などと説明にならない説明を繰り返した。
 そのため、公務労協が明確にするよう求めた事項を次回までに文書で整理、改めて能力等級制度とは何か、なぜ導入するかなどの議論を行うこととし、この日の交渉・協議を打ち切った。


自治労府職(府費)本部・現評・ユース部役員選挙
定数内立候補で信任投票へ


 8日に告示され、29日(水)が投票日の2005年度自治労府職本部と現業評議会、ユース部の役員選挙は15日(水)正午に立候補の届出が締め切られた。
 本部・現業評議会・ユース部のいずれの役職も、定数内の立候補となり信任投票が行われる。
 投票日当日の投票時間は、午前9時から正午まで、不在者投票期間は22日(水)から28日(火)。
 投票用紙の交付と選挙公報の発行は22日(水)に行う。
 9月15日付け、本部・現業評議会・ユース部、選挙管理委員会告示第2号による立候補者は左のとおり。
 任期は、本部・現業評議会が2年、ユース部が1年となっている。自治労府職の今後を支える重要な選挙であり、棄権せず、すべての組合員の投票をお願いします。


人勧の取り扱い 勧告通り実施へ
政府が閣議決定


 政府は10日、第2回給与関係閣僚会議を開き、本年の人事院勧告の取り扱いを協議、勧告通り実施する方針を確認した。その後の閣議でその方針を正式に決定した。
 総務省は閣議決定に基づいて給与法・寒冷地手当法の改正作業に入り、臨時国会の冒頭には法案を提出する予定。
 公務員連絡会は、9日に委員長クラスが総務大臣と交渉し、政府が勧告通り実施する方針であることを確認するとともに、幹事会で今後の取り組み方針を確認した。それによると、@法案作成作業や国会審議等に必要な対応を行うとともに、A今後は、独法や政府関係特殊法人、地方公務員の給与確定に重点を移し、取り組みを進めていくこととしている。


次世代育成支援でニーズ調査
アンケートにご協力を


 自治労府職では、次世代育成支援「特定事業主行動計画」策定・推進に向けた組合員のニーズを調査するため、アンケート調査を行う。府費職員で高校生までの子どもがいる男女組合員を対象に実施するもので、9月27日(月)を第1次集約として設定している。
 次世代育成支援対策推進法は、急速な少子化が経済成長や社会保障など、社会全体に深刻な影響を与えていることから、国・自治体・事業主が一体となって子育て支援の取り組みを推進していくため制定された。大阪府は事業主として「特定事業主行動計画」を来年3月末までに策定し、4月から推進する。
 子育て中の男女組合員の状況・ニーズを把握し、当局との協議のなかで意見を反映したいと考えているので。皆さんのご協力をお願いします。


もうだまってられへん(上)
職場から財政再建の提言を 建設支部 酒井 祥吉

【掲載について】
 自治労府職では、大阪府行財政計画(改定素案)に対する見解を前号(9月11日号)で掲載していますが、自治労府職としての考え方を補強する目的で、支部・分会・組合員からの広範な意見を聞き、豊富化することを考えています。
 本部見解に対する意見をはじめ、職場の皆さんの声お待ちしています。いただいた意見につきましては、機関紙への掲載など、執行部で取り扱いを検討いたします。


1 はじめに
 9月1日、大阪府は大阪府行財政計画(改定素案)(以下「改定素案」という)を発表した。大阪府の財政は逼迫しており、このままでは、2007年度準用赤字再建団体転落必至となるとして、新たな財政再建策を示した。その内容は2007年度の財政危機を回避することに終始しているだけで、抜本的な財政再建策とは言えない。
 今回も我々の当然の権利である定昇2年停止措置などの復元が見送られただけでなく、逆にボーナスの削減が提案された。この改定素案は、定昇2年停止という仮釈放なしの無期懲役刑を放置し、いつ復元するかの約束のない無責任なものとなっている。大阪府の中枢にいる幹部職員は「改革」ということばの合唱ばかりしているだけで、責任ある役割を果たしていない。当局まかせでは何も変わらないし、財政再建はできない。
 もうだまってられへん、いまこそ、労働組合として、職場から政策提言をまとめ、財政再建を実現させる具体的提案を示すときだ。そして、組合員からまだまだある無駄な施策、事業の告発を募集し、組合員1人1提案を募ろう。まず、政策提言活動の活性化のために、これまでの歳出削減について分析し、その後、私の職域の政策提言をしていきたい。ご意見ご批判をお願いします。

2 突出している人件費の削減
 大阪府の財政危機の原因は、国と地方の税財源の配分の不均衡に加えて、三位一体改革による交付税減の影響、また、都道府県においては経済情勢に影響がある税体系など、理由を上げることができる。しかし、既存の法体系、税体系の中で仕事をするのが行政組織であり、歳入不足が生ずるのは社会経済状況や様々な統計資料から予測可能なことであった。歳入減であれば、歳出を抑えるのが「民間の経営感覚」であり「民の目線」の改革ではないのか。それでは、これまで大阪府はどのような歳出削減策を講じてきたのだろう。
 平成13年9月、大阪府は大阪府行財政計画(案)を策定した。それでは、それに基づく、14年度から16年度(当初予算)までの3年間の歳出削減額の内容はどのようなものだったのか。平成14年度から16年度の歳出削減の実績(表1参照)の合計額は2878億円となっている。
 その内訳は、3年間で事業の見直しにより694億円が歳出抑制された。この施策評価や建設事業の重点化などに職員は大変な労力を費やした。残業を強いられ、各種団体との調整業務など、それこそ「汗水垂らして」削減してきた。14年度は460億円、15年度161億円、16年度は73億円となって、年々減少傾向となっているのは、このような歳出削減策の限界を示している。しかし、職員は過酷な労働と賃金の削減を受けて財政再建に目一杯努力をして勝ち得た694億円とも言える。ちなみに、これまでの大阪府政で最も歳出削減額の大きかったのは、財政再建プログラム(案)による、平成11年度の1268億円であった。その内訳は、人件費423億円、事業の見直し845億円となっている。前知事のトップダウンによるシーリングだった。事業の見直しによる歳出削減額は、この3年間を合わせた額より150億円上回っている。
 言うまでもなく、府職員の賃金は、スト権剥奪等の代償として設けられた人事委員会が、国や民間企業の賃金等の調査を得て勧告する。府は勧告を実施する義務があるのにそれを怠ってきた。その結果、人件費総額の削減額は2184億円となっている。この人件費削減の構成比はなんと全体の76%となる。15年度と16年度は85%、90%となり、大阪府の歳出抑制の大半は人件費削減がもたらしている。2年間の定期昇給の停止と特昇4年間の停止による効果(給料表では約2・5号級)が反映され、給与の削減額は一年間約480億円になる。私たち職員はこれまで3年間、ボーナス等の減額を含め、給与部分だけで1574億円削減され、府の財政危機に貢献してきた。定期昇給2年停止は「前知事がしたことで、私は知らない」とは言わせない。この人件費の削減額、この構成比を見て、どのような気持ちでいるのだろう。この3年間、府の歳出削減策は人件費の削減が際立っている。

【表1】歳出削減の実績(付属資料「行財政改革の取組実績」より)

区分 種別 平成14年度 平成15年度 平成16年度 合計
人件費抑制 人員削減 51(4.7) 62(5.9) 40(5.4) 153(5.3)
管理職手当減 3(0.3) 3(0.3) 3(0.3) 9(0.3)
昇給停止 480(44.7) 480(45.4) 480(64.3) 1440(50.1)
ボーナス減 20(1.9) 105(9.9) 0(0.0) 125(4.3)
その他 60(5.6) 247(23.3) 150(20.1) 457(15.9)
小計 614(57.2) 897(84.8) 673(90.2) 2184(75.9)
事業見直し 施策評価 197(18.4) 151(14.2) 60(8.1) 408(14.2)
出資法人の改革 11(1.0) 2(0.2) 10(1.3) 23(0.8)
建設事業の重点 240(22.3) 0(0.0) 0(0.0) 240(8.3)
その他 12(1.1) 8(0.8) 3(0.4) 23(0.8)
小計 460(42.8) 161(15.2) 73(9.8) 694(24.1)
合  計 1074(100.0) 1058(100.0) 746(100.0) 2878(100.0)

                                                 (     )は構成比

【表2】 改定素案の歳出削減(平成17年〜19年)

区分 項目 削減額(億円) 構成比(%)
組織等の再構築
(定数・勤務条件の見直し)
期末勤勉手当減 200 24.8
管理職手当の見直し 5 0.6
時間外手当の縮減 15 1.9
退職時の特別昇給の廃止 30 3.7
定数削減 120 14.9
互助会補助金の見直し 20 2.5
その他 120 14.9
小計 510 63.3
施策の再構築 水道事業会計への繰出金の休止 74 9.2
建設事業の重点化 113 14.0
下水道事業の補助金の見直し 3 0.4
施策評価や事務事業の見直し 60 7.5
小計 250 31.1
組織等の再構築 出資法人改革 45 5.6
合計 805 100.0


3 改定素案も変わらず
 改定素案では、(表2)のような歳出削減策を打ち出している。今回の改定素案が実施されると、3年間で805億円歳出が削減される。定数・勤務条件の見直しにより510億円削減され、この額は削減額全体の6割を超え、職員に係る費用が最大の削減額になっている。これは、この3年間の行財政計画(案)と全く同様であり、人件費の削減から手を付け、それも最大の削減額という構成になっている。給与削減額は定昇2年停止などの効果額の3年分の1440億円を加えると、1645億円となる。
 予算に占める人件費等の構成比は31・3%(2004年度予算)となっている。人件費の削減額の比と、施策の再構築の削減額の比が同じレベルであれば、「痛みを分かち合った」と言える。せめて、同額の削減額であれば、がまんもしよう。施策の再構築の削減額は、出資法人の改革をいれても、3年間で300億円に満たない。1年間、たったの100億円に満たない歳出削減で、「質の改革」とは言わせない。我々の人件費は1年540億円以上も供出することになる。このような理不尽な改革の提示で、職員は一丸となって、この財政危機の克服に力を合わせられるだろうか。もうだまってられへん、大胆な改革を職場から提言して、財政再建策を労働組合から提示しよう。

4 建設事業のさらなる重点化
 改定素案では「建設事業のさらなる重点化」として、おおむね10%を削減して、3年間で113億円(1年度37億円余り)削減すると提示し、改定素案の目玉となっている。今年度当初予算の建設事業費は3400億円であれば、10%で340億円、3年間で1020億円になるはずが113億円の削減となっている。建設事業費には国庫補助などがあるので単純に計算できないが、10%の削減と言うわりには額が少ない。また、単なるシーリングなどでは、府民生活や建設労働者の雇用は守れない。理念を示した上で削減額を決めるべきだ。
.維持管理の充実なしに重点化はできない
 経済の高度成長期は都市への人口集中と産業の発展などにより、公共投資をして都市基盤施設(道路、河川、下水など)の整備をしなければ、府民生活や産業の発展に支障をきたした。しかし、低成長期に入り、右肩上がりの経済成長が終焉し、都市への人口集中が終わり、これまでの投資効果もあって、都市基盤施設整備の逼迫した状況は薄れた。これからは都市基盤施設の維持管理を充実し、適正な管理をすることにより、府民サービスの低下は招かない。このような理念は、行財政計画(案)の基本的な理念であったが、具体的施策に生かされていない。
 土木部は、平成13年3月「維持管理計画(案)」をまとめている。万博関連事業や高度成長期に建設した構造物が補修や改造期を向かえ、適正な維持管理をしなければ、都市基盤施設のサービスが維持できないと述べている。建設支部としても、維持管理計画の立案過程から、部当局とも勉強会を通じて維持管理の充実を要請し、賛意を表明してきた。大阪府は府民に都市基盤施設の維持管理の充実を上げ、現時点の都市基盤施設のサービスを低下させないことを約束する。現状の維持管理費は約300億円弱であるから、後2割増して、60億円程度で充実できる。
b.建設事業を財政のクッションに
 その上で、道路、河川、ダムなどの改良的建設事業については、原則凍結を表明する。財政再建をするためには、建設事業費を財政のクッションとする以外に道はないだろう。財政に余力ができれば、事業を推進して、より安全で便利な街づくりとなる。府民に、今よりは悪くしないが、スピードが遅くなることを訴える。もちろん、あと少しの投資でその事業効果が達成できるものは、優先的に予算の許せる範囲で投資すべきだろう。
c.雇用、経済の波及効果を重点化
 雇用や経済の波及効果のある事業に重点的に予算化する。具体的には、先ほど上げた維持管理事業、交通安全事業などがある。府民の安全に寄与できるし、府民要望も強い。また、これらの事業は雇用面から、投資効果が高い事業(「建設事業と雇用について」池田土木事務所建設事業と雇用の研究会編、土木部「みんなの広場」参照)となっている。また、地元の中小建設業者が受注できる事業だ。逆に、道路のバイバス事業や大規模なダム事業は、雇用対策面では比較的低い。また、これらの事業は建設事業費に用地費の占める割合が高く、公共投資効果が市場に出まわる割合も低く、経済波及効果の効率が悪い。
d.旧来型の人員配置を見直す
 人員配置については、事業費とリンクすることを止めるべきだ。公共事業は高度成長期のように「造ればいい」時代は終焉した。旧態依然とした事業費にリンクする人員配置をしている。これでは、庁内セクショナリズムもあって、建設事業の見直しなどできない。これからは、大阪府の技術職員の技術力を発揮させて、維持管理や施工管理(検査体制も含む)を充実させることにより、耐用年数が伸びて投資効果が高くなる。これは「維持管理計画(案)」にも盛り込まれている。現在、出先の技術職員は工事の発注に追われて、満足な施工管理をする時間がないのが実態であり、そんななかでも残業を強いられている。公務員技術者の仕事の質の転換を図り、マンパワーの再構築を図るべきだ。

5 時代の変化を敏感に
 私は企業局に在籍していたとき、りんくうタウンの分譲の仮申込みに、日赤会館の7階の受付場所から1階のロビーまで連なって殺到した申込者を見た。その直後バブルが崩壊して、本申込み時には、閑古鳥が鳴いた。社会の変化を実感することができた。あれは戦後社会の変化点だったと確信している。経済は高度成長から低成長に、地価は戦後50年間上がり続けたが、この10年間下がり続けている。行財政計画(案)の理念にはこの変化に対応しようとするものがあった。しかし、歳出削減の分析をしてみると、人件費の削減が主要に行なわれただけで、施策の質的転換が数字として現れていない。「仏作って魂入れず」状態が続いている。今回の改定素案に期待したが、これも対症療法的な数字合わせに終始している。魂を入れるのは政治の力ではないのか。
 次回は、行財政計画(案)の中で、最も絵空事であった「負の遺産」についてレポートしたい。是非、組合員の参加で政策提言活動の活性化を期待する。それなしでは、大阪府の財政再建も人事委員会勧告の実施も永遠にないだろう。


機関紙編集者クラブ
入門セミナーLESSON 1 参加者募集


 各単組・支部・分会でも役員改選の時期となり、機関紙担当と急に決められてしまった担当者は「どないして作るねん〜」とお嘆きのことと存じます。
 そんな担当者にスペシャルな朗報です。自治労府職も加盟している「機関紙編集者クラブ」で、下記のとおり入門セミナーが開かれます。今回はプロカメラマンを招いての講演や、実践的な技術指導講座もあり、内容は盛りだくさんです。
 皆さんの積極的なご参加をお待ちしています。

1 と き 10月21日(木)13:00〜17:00
        29日(金)10:00〜17:00
2 ところ 水桜会館 会議室
       【JR「桜ノ宮」駅下車、徒歩1分】
             大阪市都島区中野町5−2−28
3 申込み 各支部・分会を通じて自治労府職本部教宣部まで
4 参加費 13,000円
     (各単組・支部1人分は本部が負担します)
5 内 容
  <10月21日(木)>
   @講演「プロの報道カメラマンの仕事」(仮題)
    講師  坂 仁根さん
        (共同通信社 大阪写真部 デスク)
   A講座「記事の書き方@」(仮題)
  <10月29日(金)>
   @ 講座「記事の書き方 A読ませる見出しの付け方」
   A 講座「新聞のレイアウト、基本のき」

機関紙づくりの不安解消
ゼロから学べる入門講座


隠し剣 鬼の爪

2004年日本映画/監督・山田洋次/2時間11分/「隠し剣 鬼の爪」製作委員会/配給・松竹

幕末の下級武士
身分と命令


 日本の会社は江戸時代の藩組織から変わっていないといわれる。自己主張を抑え、チームワークを大切にし、勤務後も居酒屋で愚痴をこぼしあうという風に、いつも仲間とつるんでいないと落ち着かない。どんなに理不尽なものであっても、上司の命令は絶対で、藩命に従わなければ腹を切る羽目になる。社命に従わなければレイオフというかたちで首を切られる。
 山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」が人気を得たのは、江戸時代の下級武士の姿に現代のサラリーマンの姿が重なったこともあるのだろう。
 山田監督の「隠し剣 鬼の爪」は、やはり藤沢周平の原作で、時代も幕末、東北の小藩という設定も同じである。当時のグローバリゼーションに押されて、藩士たちは英国式大砲の研修に明け暮れていた。歩き方まで英国式に統一しようとする指導者と東北の藩士たちのちぐはぐなやりとりが面白い。その藩士の1人、月代(さかやき)をそらない下級侍、片桐宗蔵(永瀬正敏)は、一見みすぼらしいが、藩の師範から秘太刀を伝授されたすご腕の持ち主である。
 ある日、元の使用人で商家に嫁いだ、きえ(松たか子)が病気で長く伏せっていると聞いた宗蔵は、きえが嫁いでいる油屋を訪れ、きえを負ぶって自宅に連れ帰ろうとする、彼は以前からきえに好意を持っていたのだ。抵抗する嫁ぎ先のしゅうとに「文句があるか」と一喝して、たじろがせるのは、やはり侍の町民に対する身分の違いだろう。
 しかしその身分の違いで2人は結ばれない。きえの小さな妹が尋ねる。「姉ちゃんが旦那さま(宗蔵)のお嫁さんになればいいのに」。きえは「身分が違う」という。「身分てなあに?」と妹が問うと「なんだろうね、考えてもみなかったけれど」と答えるきえ。人間を出身階層によって区別する考えは、この時代ほどではないにせよ、今の日本でもまだ残っている。
 町人の妻を囲っているといううわさがたち、宗蔵はやむなく彼女を里に帰れと言い渡す。きえは抵抗するが「ご命令ですか」と確認し、あきらめ、主人の命令に従う。
 これからは「たそがれ清兵衛」と同じ展開、つまり宗蔵は友を切れと藩の上層部から命令される。その男は藩の改革を考えて謀反をたくらんだようなのだが、そこは詳しく語られない。「共通の友人の名を明かせ」と上司から攻められるが、宗蔵は、侍として友を売ることはできないと突っぱねる。しかし、藩命で切れといわれれば従わざるを得ない。
 壮烈な決闘、師匠に教わった剣法で相手を倒す。だがそれは秘伝の隠し剣ではなかった。隠し剣を使うのは、友の妻をだまして操を奪った家老にテロルを行うときである。宗蔵は必殺仕置き人になる。
 宗蔵は侍をやめる決意をする。江戸へ出て商売でも始めようというのだ。そうしたらもう藩命に従わなくてもいい。そしてきえと同じ身分になることができる。彼はきえの里を訪ね、一緒に江戸へ行って欲しいと頼む。きえは、「急にそんなことを……」とはっきりしない。土手に座った2人をカメラは静かに移動しながら正面に回りこむ。「それはご命令ですか」「うん、命令だ」「命令だば、仕方ありません」と晴れやかにこたえるきえ。命令に従う形式で求婚に応じたきえは、今後どんな形で2人の生活を送っていくのだろうか。
▼10月30日よりロードショー▼上映館/〈大阪〉梅田ピカデリーTEL06(6315)1414、他、〈神戸〉神戸国際松竹TEL078(230)3580、〈京都〉MOVIX京都TEL075(254)3215


労働
ニュース


 法違反事業場65%に
 三次産業で高率

 厚生労働省は、平成15年に全国の事業場に対して行った定期監督や申告監督の結果を集計した「労働基準法等に基づく監督業務実施状況」をまとめた。
 昨年1〜12月に定期監督した約12万1千事業場のうち、全体の65・6%に当たる約8万事業場で、労働基準法と労働安全衛生法に関する何らかの違反があった。業種別の違反率は、映画演劇業84・0%、教育研究業78・7%、医療保健業78・4%など、第3次産業で違反率が高くなっている。反対に低かったのは、港湾運送業36・8%や電気・ガス・水道業38・1%だった。全産業の違反内容では、「労働時間」「割増賃金」「就業規則」、安衛法では「安全基準」が多かった。


健 康
インフォメーション


便利になった「薬」販売
使う側に自己責任も


 薬局でしか買えなかった整腸薬などの医薬品371品目が、7月30日から「医薬部外品」扱いとなり、コンビニなどで買えるようになった。
 医薬部外品は、医薬品に比べて作用が緩やかで、特に薬剤師などによる情報がなくても使用できる商品。5年前の規制緩和では、それまで「医薬品」だった一部の栄養ドリンク剤が「医薬部外品」となっている。
 今回、医薬部外品として「健胃薬」「整腸薬」など新たに15区分が付け加えられた。一部の胃腸内服薬のように似たような成分で医薬部外品として以前から売られている薬もあるが、今回は「医薬品」から変更された点で、成分が異なる。
 移行品目には、医薬品と同様に、使用上の注意文書を良く読むことや用法用量を守るといった注意書きを外箱などに表示することが義務づけられた。どこでも買え、便利になった一方で、使う側にも自己責任が求められる。
 薬ではないが「からだに良い」とされる商品には、いわゆる健康食品やビタミン類などの栄養機能食品、厚生労働省が個別に許可した特定保健用食品がある。今回、コンビニで買える医薬部外品が大幅に増えたことで、紛らわしさも増えた。
 しばらく使って症状が改善しないなら、やはり薬剤師のいる薬局か医師にかかることが大切だ。


恒例
稲刈り&収穫祭
10月17日&24日

詳細は次号に掲載します♪