機関紙「自治労府職」
2006年1月21日号
春闘方針・要求書を確認
中央臨時大会は賛成の立場で臨む
中央委員会新春の集い
自治労府職は20日、第3回中央委員会を開き「2006年自治労府職春闘方針(案)」「自治労中央第77回臨時大会に臨む態度」を確認した(春闘方針案については、2・3めんに掲載)。
春闘方針では、府労連の給与確定闘争に参加し、さまざまな行動に積極的に取り組むことを皮切りに、2月13日には東京大学大学院の神野直彦教授を招いての学習会を実施することとしており、引き続き、ストライキ批准投票での圧倒的な高率での批准をめざすとしている。また、上部団体の活動として予定されている連合大阪春闘総決起集会(3月3日:扇町公園)や、連合大阪官公連春闘決起集会(3月7日:たかつガーデン)に積極的に参加していくことが確認された。
26日から開かれる自治労中央の臨時大会では「自治労」「都市交」「全水道」の地公3単産の組織統合に関する方針が提起される。自治労府職では、これに賛成する立場で臨むこととした。
自治労府職は府本部の「@自治労臨時大会で確認されてから3単産統合に向けた具体的な議論が開始されるが、中央の議論に積極的に参加する、A中央の議論内容は、府本部の各単組に情報提供することで、大阪での3単産統合協議がスムーズに展開できるよう取り扱う、B3単産の組織統合に向け、大阪の独自課題も数多くあると認識することから、中央議論と並行した協議を開始する、Cそのためにも近畿・大阪段階における3単産統合に向けた課題整理を早急に行う」とした見解を踏まえ、議案に賛成の立場で臨む。
なお、臨時大会の代議員には市内第1ブロックの代議員として大橋執行委員長があたることも確認された。
また、中央委員会終了後には2006年新春の集いをOMMビルで開いた。新春の集いには自治労府本部の蜂谷委員長をはじめ、中央本部からは植本副委員長、大阪府からは太田知事、府労連、民主党府議会議員、社民党府議会議員などが多数参加し、今後1年の団結を誓った。
連合
主要産別でベア要求復活
経団連
横並びのベアは競争力損ねる
自治労は12月19、20日、東京で2006春闘中央討論集会を開き、地域公共サービスを再構築し、公正労働を確立する取り組みと位置づけ、3月10日を全国統一行動日に設定し、統一指標を掲げて戦術を配置。対自治体闘争を闘うとする春闘方針を確立した。これに先立つ11月30日には連合が中央委員会で「みんなのはたらき みんなに分配 幸せの底上げを」をスローガンとする闘争方針を確認。日本経団連も12月13日に「経営者よ 正しく 強かれ」を副題とする経営労働政策委員会報告を発表した。1月11日には連合と日本経団連の首脳会談も開かれ、2006春闘の幕が切って落とされた。
【自治労2006春闘方針】
重点方針として、@公正労働と同一価値労働・同一賃金を実現する取り組み、A労働基本権・職場のワークルールを確立し、公正労働基準を実現する自治体公契約条例を制定する取り組み、B分権・自治、地方財政を確立し、市場万能主義的改革に対する取り組み3本を柱とする方針を提起・確認した。さらに春闘前段として確定闘争の継続をはかるとしている。
自治労府職も学習会・決起集会を設定するとともに連合大阪決起集会に参加し、官民一体となった戦いに参加する。
【連合2006春季生活闘争方針】
中央委員会で木会長は「実質的な賃金改善原資の確保、中小労働者の格差縮小、パートタイマーの処遇改善を三本柱に、精力的に交渉していこう」とあいさつ。
マクロの生産性向上に見合った労働側への成果配分と可処分所得の引き上げや、未組織を含めた全雇用労働者に底上げの社会的メッセージを発信することを基本スタンスに据え、均等待遇実現に向けた「パート共闘会議」の立ち上げや、全雇用労働者の底上げのための「中小共闘」のさらなる強化と情報開示などを盛り込んでいる。
【日本経団連・経営労働政策委員会報告】
労働条件の決定に当たっては「企業の競争力を損ねることなく働く人の意欲を高める適切な舵取りが望まれる」として労働条件の向上をにじませつつも、今季交渉には@自社の支払能力による賃金決定を基本とする、A総額人件費をもとに判断する、B中長期的な見通しに立った経営判断により決定する、C短期的な業績は賞与・一時金に反映する、D企業内の幅広い課題について労使間で積極的に協議・話し合いを行う、という観点が重要である、を柱とする方針とした。また、賃金決定では「生産性の裏付けのない、横並びで賃金水準を底上げするベアは高コスト構造の原因となるだけでなく、企業の競争力を損ねる」として多くの企業で実施しないことを想定している。
2006年自治労府職春闘方針
私たちをとりまく情勢
景気の現局面は、4年近くの長期にわたり緩やかながらも景気の拡張局面が続いています。消費者物価指数は安定的に推移し、2005年の実質経済成長は2%になると観測されています。マクロとしての企業収益は4年連続で増益の見通しですが、大企業/中小企業間の格差は拡大しており、2004年度には、従業員1人当たりの経常利益は約7倍、1人当たり人件費は約2倍の格差が生じています。労働分配率も2002年以降、低落傾向が続いており、バブル期を除くと歴史的に低い水準にあります。
また、企業規模や就労形態による格差が拡大・固定するなかにおいては、とりわけ中小・地場産業の労働者の積極的な賃金引き上げが必要です。
政府・与党は、不公平税制の是正にむけた具体的な方策を示さないまま、恒久的減税であると公約した所得税・住民税の定率減税の廃止にむけた検討を進めています。財政赤字を穴埋めするためだけに「取りやすい所から取る」という雇用労働者狙い撃ちの増税は許容できず、不公正税制の是正にむけた取り組みの強化が必要です。
2005年10月には失業率4・5%、有効求人倍率0・98倍となるなど、雇用情勢は徐々に改善の兆しを示していますが、男女間や雇用形態間の賃金格差は固定化しています。2004年の時間当たり所定内賃金は、いわゆる正規労働者における男女間賃金格差は、男性100に対し女性は66・8で3割以上の格差の実態にあります。また、男性パート労働者の賃金は男性正規労働者の50・6、女性パート労働者は45・2にしか過ぎません。非典型労働者の割合が全労働者の3割を超えるに至り、所得格差も拡大しています。
「三位一体改革」の一定の決着により、2006年度政府予算における地方財政計画の策定と2006年度政府予算編成がヤマ場を迎えています。財務省を中心として地方財政計画の縮減と地方交付税総額削減の圧力が高まっており、地方財政はその歳入・歳出規模が縮小するなかにあって、地方債の本格的な償還などにより依然厳しい状況が続いています。自治体の安定的な財政運営に必要な地方交付税については、その制度の維持をはかったうえで、地方財政全体としての総額の確保を求め、取り組みを強化する必要があります。
政府は、解雇の金銭解決制度を導入し、実質的に解雇の自由化に道を開く労働契約法の制定を検討するなど雇用労働分野の規制改革を一層進めようとしており、こうした状況を根本から打開するため、職場段階から雇用のワークルールを確立し、非典型労働者の処遇の改善など、公正な労働を実現する取り組みを進めることが重要です。
〈連合2006春季生活闘争〉
連合は「マクロ的には労働側に1%以上の成果配分がなされるべき」との認識の下に2006春季生活闘争を組織化します。
1)マクロの生産性向上に見合った労働側への成果配分と可処分所得の引き上げをめざす。
2)二極化の流れに歯止めをかけるために、未組織を含む全雇用労働者を視野に入れ、とくに中小やパート等労働者など、低所得層を重視し全体の底上げをはかる。
3)生活の質を向上させるため、不払い残業撲滅は当然として、総実労働時間短縮にむけた取り組みを強化する。
@所得増、A均等待遇、B増税阻止、C働き方の改善と不安の解消を大きな柱として、労働者全体の生活向上をめざすとし、「すべての組合が取り組む課題(ミニマム運動課題)」を設定し、取り組みを進める。
ア 「賃金カーブ維持分」を確保したうえで、「賃金改善」に取り組む
イ 規模間や男女間等の格差是正、均等待遇の実現にむけた継続的な取り組み
ウ 全従業員対象の企業内最低賃金の協定化
エ 労働時間管理の協定化と長時間労働の削減にむけて取り組む
〈自治労2005春闘〉
自治労は、2006春闘を地域住民とともに地域公共サービスを再構築し公正労働を確立する取り組みと位置づけ、地域に打って出る闘争体制を確立します。
とりわけ、賃金の底上げ、公契約条例制定にむけた取り組みを最重要の課題と位置づけ、以下の課題を柱として、職場の取り組み、地域の取り組み、中央における取り組みを有機的に連携してたたかいを進めます。
@ 公正労働と同一価値労働・同一賃金を実現する取り組み
A 労働基本権・職場のワークルールを確立し、自治体公契約条例制定など公正労働基準を実現する取り組み
B 分権・自治、地方財政を確立し、市場万能主義的改革に対する取り組み
すべての単組が取り組む公正労働を実現するための重点課題
○ 最賃協定(時間給、月例給)を締結し、臨時・非常勤等職員、地域公共サービス労働者の賃金の底上げをはかる。
○ 自治体で働くすべての労働者、公共サービス民間労働者の処遇確保・公正労働の実現のため、自治体公契約条例の制定に取り組む。
〈すべての単組が取り組む重点課題〉
1 社会的な公正労働と同一価値労働・同一賃金原則に基づく公正な賃金を実現するため、自治労の到達目標と目標水準に基づき、代表職群について賃金要求を設定し、その実現に取り組む。
2 不払い残業の撲滅、総労働時間縮減のため、時間管理のあり方について確認し、協定化をはかる。
3 臨時・非常勤等職員をはじめ地域公共サービス労働者の雇用確保と組織化に取り組む。
4 男女格差解消をはじめ男女平等施策、仕事と生活の調和と両立をはかる環境整備、施策実現に取り組む。
5 2006年度自治体予算、事業計画を点検し、質の高い公共サービスの実現に取り組む。
〈2006経営労働政策委員会報告(経団連)〉
―横並びの「春闘」はすでに終焉した。春季の労使討議の場として「春討」が継続・発展することを期待したい―
経団連は「景気は回復基調にあるが、事業環境は常に予断を許さない状況にあり、企業は絶えず競争力を高めるための努力を続けなければならない。現在、企業にとっては本格的に「攻めの経営改革」に乗り出す環境が整いつつあり、その好機を活かすためには、労使の一層の協力が不可欠であり、労働条件の改定についても、企業の競争力を損ねることなく働く人の意欲を高める適切な舵取りが望まれる」とし、2005春闘に5つの観点を示しました。
(1)自社の支払能力による賃金決定を基本とする
(2)総額人件費をもとに判断する
(3)中長期的な見通しに立った経営判断により決定する
(4)短期的な業績は賞与・一時金に反映する
(5)企業内の幅広い課題について労使間で積極的に協議・話し合いを行う
さらに、ベースアップについては、「個別企業の賃金決定は個別労使がそれぞれの経営事情を踏まえて行なうべきである」とし、これまでの賃金抑制の姿勢から転換しました。
〈公務員制度改革〉
規制改革や人件費削減問題の検討のなかで、あらためて、公務員制度とりわけ労働基本権問題が惹起しています。経済財政諮問会議の「総人件費改革基本指針」では、公務員の労働基本権や人事院制度等の公務員制度について幅広い観点から検討を行うとし、また、自民党も総人件費抑制に絡んで留意するとしています。
政府は05年12月24日、臨時閣議で、今後の改革課題をまとめた「行政改革の重要方針」を決めました。「小さな政府の実現」に向けて、公務員の総人件費削減や政府系金融機関の統廃合など10項目について改革の方向性や行程を明記し、こうした方針を盛り込んだ「行政改革推進法案」の次期通常国会提出するとしています。
総人件費改革では、国家公務員を5年間で5%以上純減するため「定員で1・5%以上、事務・事業で3・5%以上を純減する」と明示し、国の事業の削減策を検討するため、「行政減量・効率化有識者会議」を新設、地方公務員の人件費削減に向け、小中学校の教員給与を一般地方公務員より優遇することを定めた人材確保法を「廃止を含めて見直す」としました。
このほか、(1)公共サービスの担い手を官民の競争入札で決める「市場化テスト法案」を次期通常国会に提出、(2)名目国内総生産(GDP)に対する政府資産の比率を今後10年間で半減―などが盛り込まれています。
こうした厳しい情勢に対して、ILO勧告に基づく、本格的な労働基本権の確立・公務員制度を確立する運動を強化する必要があります。
〈公共サービスの民営化〉
絶対安定多数の議席を確保した小泉政権は、矢継ぎ早に市場万能主義的改革を強引に推し進めています。民営化のための横断的な手法としての「公共サービス効率化法(市場化テスト)法案」の2006年度からの本格的導入をめざし、2005年度中に策定し、国会提出するよう内閣府において作業を進めています。「市場化テスト」の導入には反対であり、取り組みの一層の強化が必要です。
医療制度をはじめとして社会保障制度改革全般の本格的な議論がはじまっています。誰もが生涯を通じて「安心・安全・安定」のあるくらしが保障され、子どもを安心して生み育てられる「労働を中心とする福祉型社会」にするためには、社会保障制度の一体的改革を進める必要があります。そのためには個別制度の枠内での単なる財源論に終始することなく、将来にわたって安定した機能を発揮するための抜本的な改革を行うことが必要です。
自治労府職の取り組み
連合・自治労の春闘方針を踏まえ、以下のとおり具体的な取り組みに全力を挙げます。
〈ストライキ批准投票〉
自治労ストライキ批准投票では、圧倒的な高率批准に向けて取り組みます。
実施日 2月17日(金)
〈春闘要求の実現に向けて〉
賃金等の労働条件の改善に向けた取り組みとして、2月上旬をめどに春闘要求書を提出するとともに、3月10日(金)の全国統一行動日を回答期限に設定し、団体交渉での要求実現をめざします。
「2006年度以降の給与構造」及び「退職手当の見直し」については、今後数十年間に及ぶ府職員の給料等の労働条件を左右するものであり、とくに、将来の府政の担い手である若手・中堅職員にとっては重要な内容です。
自治労府職は査定昇給の導入に反対であることを明確にするとともに、組合員の生活と労働条件を守り、新たな給与制度等については現行給与制度を基本とした取り組みを府労連に結集して取り組みます。
○ 2006年4月以降の「給与構造改革」提案の見直しを求める署名(全職員対象)
○ 1月18日(水) 朝ビラ行動
府労連団体交渉
○ 1月24日(火) 朝ビラ行動
府労連団体交渉
府労連全職場代表者会議
府労連府庁玄関前決起集会
〈春闘集会等の開催〉
各単組・支部の執行委員会・集会等での論議を促進させるとともに、地区評での集会など組合員が参加する春闘学習会の開催を積極的に取り組みます。
また、春闘ヤマ場にあわせた職場集会を追及し、職場からの結集で要求実現をめざします。
○ 自治労府職春闘学習会
と き 2月13日(月)18:30〜
場 所 多目的ホール
内 容
「地域社会の再生と公共サービスの果たす役割」
講師:東京大学大学院
経済研究科・経済学部 神野直彦 教授
○ 自治労府職春闘決起集会
3月 日( )
〈連合・自治労の春闘行動の取り組み〉
☆地域春闘の強化をめざした「06春闘・集中ビラ配布行動」
☆自治労府本部2006春闘討論集会
と き 1月21日(土)
場 所 PLP会館
☆連合大阪春闘総決起集会
と き 3月3日(金)
場 所 扇町公園
☆連合官公連春闘決起集会
と き 3月7日(火)
場 所 たかつガーデン
☆別途日程の確定とともに、取り組みを提起します。
〈大阪府行財政計画(案)2004年度版に対する取り組み〉
労使関係をないがしろにした「大阪府行財政計画(案)2004年版」は、財政危機を理由とした一方的な人件費削減やPPP(パブリックプライベートパートナーシップ)による安易な民間への事業移譲を中心とした計画で、コスト論が先行しており、低賃金・不安定雇用労働者の増加を招くことになります。
「大阪府行財政計画(案)2004年版」の施策化については、自治労府職との十分な協議を求め、一方的に府民・職員にしわ寄せする施策には自治労府職として断固反対します。
地方税財源構造の抜本的な改革をはじめとした府政への政策提言などの取り組みを本部・支部一体となって進めます。
また、自治研推進委員会活動の一環として、点検・検証活動を強めます。
○ 自治労府職自治研集会
と き 2月8日(水)18:30〜
場 所 エルおおさか 606号室
内 容
「土地開発公社の改革の取り組みと検証」
「土地開発公社の改革の取り組み」
講師:関 府議会議員 ほか
〈府立5病院の地方独立行政法人化に対する取り組み〉
2006年4月の大阪府立病院機構への移行に向け、職員の勤務労働条件についての当局交渉を強め、組合員・職員が安心して引き続き働き続けられる職場づくりに全力をあげます。また、試験研究機関などでの安易で一方的な地方独立行政法人化を許さない闘いを「地方独立行政法人化反対闘争委員会」で取り組みます。
さらに、2007年4月の府立身体障害者福祉センター附属病院の急性期・総合医療センターへの統合に伴う問題については、関係支部などとも協議しながら、取り組みを進めます。
併せて、府立5病院全体に責任を持つ新たな労働組合「大阪府立病院機構労働組合連合会(病院機構労組)」の結成によって、病院機構当局に対して主導権を取りうる労使関係の構築と組合員の加入拡大・組織の強化の取り組みを進めます。
具体的には、ストライキ批准投票と連動した病院機構労組の規約周知と組合員の意向確認を行い、3月中旬を目処に、自治労府職臨時大会、機構労組結成大会及び結成記念レセプションを開催します。
〈人員要求、新規採用を求める取り組み〉
大阪府の06年度の組織・人員については、大幅な組織の改編・人員削減提案が予想されますが、05年4―9月期の超過勤務実績から見ても慢性的な業務超過状況であり、人員不足が続いるといえます。とりわけ、大阪府行財政計画(案)2004年版による職員3,200人削減に対しては、現業職場を狙い撃ちにする安易な地方独立行政法人化、民間委託やアウトソーシングの実施を許さず、現業職場の直営を堅持し職場を守る取り組みが必要です。
自治労府職は各支部要求・交渉状況を集約した職場実態に応じた人員を要求し、財政事情による安易な人員削減に反対することを基本に、@府民・住民本位の施策充実に伴う人員配置と新規職員の採用、A公務サービスの充実に向け、現業部門の合理化反対の取り組み、B恒常的残業の解消について追求します。さらに、総務サービス事業については、引き続き業務実態を明らかにさせ、職場実態に見合う人的措置を求めてゆきます。
〈労働基本権を確立した透明で民主的な「公務員制度改革」実現への取り組み〉
労働基本権の回復など国際労働基準にそった抜本的な公務員制度改革に向けて、市民生活の安定・安心を支える公共サービスの質と水準の確保と、雇用と労働の質を守る観点から、取り組みを強化しなければなりません。
2005年12月24日に閣議決定された「行政改革の重要方針」での「総人件費改革の実行計画」は、経済財政諮問会議の「国家公務員の総人件費について、対GDP比でみて今後10年間で半減させる」という考え方に基づき、「今後5年間で、国家公務員を5%以上純減、地方公務員の4・6%以上の純減促進と定員関係基準の見直し、公営企業等の非公務員型地方独立行政法人化・民営化等の推進」を掲げています。これらは、市民ニーズに基づく公務・公共サービスの役割を一顧だにせず、市場と経済活動を優先し国民の自己負担を増大させるものとして極めて問題です。とくに定員関係基準の見直しは、これまで行政ニーズに基づき増員されてきた教育、警察、消防、福祉関係の地方公務員について、一方的・一律的に削減を強制し地方分権に逆行する措置であり断じて容認できません。
また、「総人件費改革基本指針」策定以降、政府関係者の誰一人として公務員の雇用問題に関する責任ある回答を行っていないことは、更なる官民比較方法の見直し等、労働基本権制約のもとでの給与勧告システムへの介入とともに、適切ではないと国際的にも批判されている現行の公務員諸法制・労働関係制度を、政府自らが踏みにじるものです。
自治労府職は、連合・公務労協に結集し、公務労協が行う「良い社会をつくる公共サービスキャンペーン」をはじめ、市民ニーズに基づく質の高い公共サービスの確保と提供、労働基本権を確立した民主的な公務員制度改革の実現に向けて、各種行動へ全力で取り組みます。
〈男女平等推進の取り組み〉
05年度に発足した「男女平等推進委員会」は、「次世代育成支援策」の推進強化に向けて、大阪府当局に対して、「大阪府特定事業主行動計画」の具体化を求めてきました。引き続き、実効ある行動計画となるよう「産育休者の正規職員を基本とした代替職員の確保」などの検証・改善の取り組みを強めるとともに、6月の男女平等統一闘争に向けた体制づくりに努めます。
〈自衛隊のイラク派兵反対の取り組み〉
9月11日の総選挙で圧倒的多数を獲得した小泉政権は、平和と民主主義を強引に破壊しようとしています。12月8日の臨時閣議において、自衛隊のイラク派兵期間を1年延長すると決定しました。テロ特措法の延長、イラク特措法の延長、在日米軍再編によって、日米の軍事的一体化を進めようとしています。
日本に求められているのは、戦争放棄と平和主義、基本的人権の尊重、主権在民を三大原則とした日本国憲法の理念のもとに、差別や排外主義を克服した共生社会の実現に向けて全力を尽くすことです。
自治労府職は、9条を中心とした憲法改正の動きについて、改悪を許さず、平和憲法を守るための取り組みを強めるとともに、自衛隊のイラクからの即時撤退、および多国籍軍の撤退を求め、連合大阪・平和人権センター主催の集会や抗議行動に結集して取り組みを進めます。
〈安心・信頼の社会保障制度の確立と住民に身近な行政をめざす取り組み〉
二極化と称される社会にあって、安心・信頼の社会保障制度の確立は急務の課題です。
これまで年金制度をはじめとする制度改革は、財政問題を前面に出し、現行制度の枠組みの中での負担と給付のバランスが論じられ、結果として国民の負担増・給付削減が繰り返されてきました。その結果として、制度に対する信頼が揺らいでいます。
今、求められるのは現行の制度の延命ではなく、長期に安定した制度確立に向けた抜本改革と、制度の参加者である国民・被保険者の声が運営に反映される身近な執行体制の確立です。
12月1日、政府・与党は、2006年度医療制度改革の原案となる「医療制度改革大綱」を取りまとめました。「大綱」の内容は、医療制度全般、診療報酬改定、中医協改革など広範にわたるものとなっています。「医療給付費抑制ありき」の経済財政諮問会議などの意向が反映したものも多く、極めて問題が多いものです。
自治労府職は、「医療年金改革委員会」を先頭に、春闘課題と併せて、連合大阪・自治労大阪府本部傘下の各労働組合・組織内各単組・支部への要請行動、学習会への講師派遣、地域等での各種相談の取り組みなどを積極的に展開します。
また、規制改革・民間開放推進会議の答申に基づきハローワーク、社会保険庁業務の一部において「市場化テスト」のモデル実施が行われるとともに、「公共サービス効率化法案(市場化テスト法案)」(仮称)の議論と2006年次期通常国会提出に向けて作業が進められています。
自治労国費評議会(労働部会/労働部会連絡協議会)は12月9日、自治労対政府2006年度予算要求行動の一環として、厚生労働省職業安定局への政策制度要求「要請書」提出交渉を実施しました。その中で、「職業安定行政・ハローワークの無原則な民間開放となる公共サービス効率化法(市場化テスト法)は、労働行政及び雇用労働施策の解体につながるものであり導入しないこと」そして「雇用労働施策、職業安定行政の充実強化を実現するために体制整備を早急に行うこと」を強く求めています。
私たちの職場を大きく変えるこのような動きに反対し、住民サービスを守り、職場・労働条件を守る立場から、連合や自治労国費評議会の取り組みに、「公共サービス検討対策委員会」が先頭となって積極的に参加し、運動を強めます。
〈組織強化と組織拡大の取り組み〉
2007年から始まる「団塊の世代」の大量退職や民間委託、アウトソーシングなどによる組合員数の減少が予想されます。しかし、自治労府職は自治労運動のさらなる活性化・組織強化を求め、次世代に数的・質的に影響力を維持し続けなければなりません。
「組織強化拡大方針」の確立にむけて、組織財政強化対策委員会での論議を進めるとともに、論議、交流を深めるための組織集会などの開催や組織拡大月間・組織拡大重点職場の設定を積極的に提起し、集中的な取り組みを追及して、組織の強化拡大を図ります。
さらに、4月の定例異動時期の対策については、「組織拡大闘争委員会」での意思統一とともに、異動職員への働きかけや新規採用職員加入の取り組みを組織的に展開します。
また、全地区評・ブロックにおける役員体制の確立と活動の強化を早急に図るとともに、地区評代表者会議を開催し、地区評活動のあり方などについて議論と意思統一を図ります。また、連合大阪の地域組織の変更に即した対応について検討します。
社会保険庁の組織は、2008年秋に年金業務と政管健保業務に分離し、新組織に移行されることとなりました。とりわけ、政管健保業務の新組織の公法人化に伴う組合組織のあり方、現在都道府県単位の社会保険事務局のブロック化に対応する組織体制の確立などの全国的な課題があります。
これらについては、中央本部としての一定の整理が行われるものと考えますが、それらの取り扱いを踏まえて、自治労府職としても対応を図っていきます。
4月6日には私たちに組織が結成されて、60年を迎えます。自治労府職は3月に開催する臨時大会及び機構労組結成レセプションを60年記念事業と位置づけて開催し、更なる発展を確認します。
2006年 月 日
大阪府知事 太田房江 様
自治労大阪府職員労働組合
執行委員長 大橋 敏博
2006年春季生活要求(案)
賃金等の労働条件改善について次のとおり要求するので、3月10日までに誠意ある回答をされたい。
記
1 労使慣行を厳守し、労働条件の改変にあたっては、一方的実施を行わないこと。また、各支部・分会等における労使関係についても、良好な関係の形成に努めること。
2 大阪府行財政計画(案)2004年版の具体化にあたっては、施策決定過程において、十分に事前協議すること。
3 2005年度の組織・人員配置定数については、本部・支部と十分協議すること。
4 賃金に関する要求
(1) 「平成18年度の給与構造見直し」提案に対する府労連要求を実現すること
(2) 大阪府に雇用されている全ての労働者の最低賃金を月額202,900円(日額10,150円、時間額1,450円)以上とすること。
(3) 諸手当等の改善について
@住居手当については、大都市における特殊事情を勘案できるよう制度の抜本改善と、支給額の引き上げを行うこと。
A扶養手当については、属性区分の見直しなど支給方法の大幅な改善を行うこと。
B時間外勤務手当の支給率を、100分の150に、深夜・週休日・休日の場合は100分の200に、夜間勤務手当は100分の50にそれぞれ改善すること。
C一時金の削減を撤回し、復元措置を講じること。また、成績主義の拡大を行わないこと。
(4) 非常勤職員・非常勤特別嘱託員の待遇改善を図ること。
(5) 育児休業者・病気休職者などの職場復帰後の昇給復元措置を改善すること。併せて、職場復帰に向けた諸制度の改善を図ること。
(6) 2006年度当初予算に賃金引上げ分を計上すること。
5 任用等に関する要求
(1) 新たな任用制度を早期に確立し、主査選考制度を改善すること。
(2) 人事評価制度実施にあったては、5原則(公平、公正性・透明性・客観性・納得性・目的性)及び2要件(労使協議制度の確立・苦情処理機関の設置)を確立すること。また制度の確立までは「勤務成績に基づく昇給制度の導入」、「勤勉手当への勤務実績の反映」は行わないこと。
(3) 定年退職者の再任用希望者全員の雇用確保をはかること。
6 分限、採用に関する要求
(1) 地方公務員法による「自動失職」に関する特例条項を設けるよう、分限条例を改正すること。
(2) 国籍条項の撤廃に伴い、残る任用・配置などの面での不平等を解消すること。
7 人員に関する要求
(1) 恒常的残業の解消、過重労働による健康被害防止のための各支部・分会の人員要求を実現すること。また、継続的に恒常的残業が発生している職場を明らかにし、業務量に見合った人員配置を行うこと。
(2) 各種休暇制度等の権利行使が十分に行えるよう増員すること。
(3) 育児休業制度(全職種・男女適用)が実効ある制度として機能するため、代替要員を正職員で完全に確保すること。
(4) 現業職場における退職予定者の退職後欠員を完全に補充すること。
(5) 病院看護職員の「臨時的任用職員」について、当局責任で必要人員確保に向けたあらゆる努力を行うとともに、各病院運営に支障のない年度当初配置人員を確保すること。
(6) 総務サービス事業は、稼働状況の検証や現場からの質問・意見に最大限の対応し、職場実態に見合った最大限の人的措置を確保すること。引き続き、総務サービス事業の安定稼働に向けて協議すること。
以 上
労働安全衛生
労災事故のウラオモテ
健康影響は労働時間より拘束時間
つい最近、ある大阪の私鉄系バス会社の運転手が出張先で発症した心筋梗塞が、業務上災害と認定された。
路線バスの運転手で、夜間の高速バスの運転業務にもついていた。ベテランだったので、新任の運転手への教習も担当していたが、とりたてて困難な業務をこなしていたわけでもない普通のバスの運転手さんだった。
労災認定された理由は、1日のうちで仕事に費やされた時間が長すぎて、明らかに健康に及ぼす影響が大きかったというものである。
かつて脳卒中や心筋梗塞などの労災認定基準は、直前に通常業務と異質な負担があったというのが条件だったが、いまでは、長時間労働による健康影響も労災認定の理由になるのはよく知られている。ただ問題なのは、彼が普通の運転手だったことである。
会社の規定で定められている所定内労働時間は、1日8時間弱、週2日換算の休業日。実際の勤務時間は、それを60時間程度超えていた。大体月に200時間程度の労働時間だった。ただ、仕事のために費やした時間を数えると、月に300時間を超えてしまう。
一つの運行から次の運行の間の手待ち時間、夜行バスで運転を担当していないときにバスの中で滞在している時間など、純粋に仕事をしていると言えなくても自由に行動できない時間を合計すると、相当な時間になってしまうのである。
月に300時間というのはどんな時間か。月30日として、週2日休むと月に21・4日働く。300時間をこの数字で割った14時間が1日に仕事に費やす時間である。
1日24時間のうち14時間を仕事で費やし、これに通勤時間を足すと15時間なので、残りは9時間となる。要するに自分の自由になる時間は1日9時間で、その中にお風呂、食事、家族とのだんらん、それに最低限のご近所とのお付き合いを入れると睡眠時間は……。
実はこの事案、最初に労災保険を請求した労働基準監督署では、運転していない拘束時間は労働時間とみなされず、業務外と判断された。その後の審査による決定で、300時間仕事に費やしたことが発症の原因となったと認定されたのだ。
来年施行の労働安全衛生法改正で長時間労働に対する対策が盛り込まれたが、そもそも何を労働時間と考えるのか、普通の日常生活と労働時間の関係はどうなるのか、十分考える必要があろう。
連合大阪労働安全衛生センター 参与 西野方庸