機関紙「自治労府職」

 2006年11月11・21日号

人事院調査
退職金 民間が20万円上回る
職域年金廃止の場合は民間との格差埋める措置必要


 人事院は、4月に政府から要請されていた「諸外国の公務員年金並びに民間の企業年金及び退職金の実態調査の結果並びに新たな公務員制度としての仕組みについての基本的事項に係る本院の見解について」を塩崎官房長官に提出した。
 人事院は16日、その内容を公務員連絡会に説明した。
 内容は、@年金(使用者拠出分)、退職一時金を合わせた退職給付総額での官民比較で民間2980万円、公務2960万円で民間が公務を20万円、0・68%上回ったものの官民がほぼ均衡していること、A国家公務員の退職給付に係る見解として、仮に現行の職域年金が廃止されれば官が民を下回る較差が生じ、その場合は「官民均衡の観点からは、民間との較差を埋める措置が必要」「公的年金とは切り離された、公務の人事管理上の必要性を踏まえた新たな年金の仕組みを設けることが適当」との意見を表明している。
 退職給付の官民比較をめぐっては、人事院はこれまでの交渉で「極めて厳しい情勢にある」としてきたが、こうした結果となったことについて「回収率が61・8%を確保する中で、民間実態の精緻な調査が実施できた」としている。
 このような官民較差となったことは、公務労協が、4月の年金制度の一元化にかかる閣議決定以降、要請署名運動に取り組み、@退職手当水準の維持A公務員制度に相応しい3階部分年金の確保などを要求し、10月25日には「退職給付削減反対!公務労協10・25中央集会」を開くなど、終始、人事院に対して公正、客観的で正確な調査と比較を求め、取組みを強化してきた結果である。
 調査結果と見解を受けた政府では、今後、所管の総務省と財務省において、退職手当の水準設定及び公務員制度としての3階部分の新たな年金制度を検討していくことになることから、公務労協では調査結果を踏まえ、労働条件専門委員会、社会保障専門委員会それぞれが総務省、財務省に申入れを行い、退職手当水準の維持、公務員制度に相応しい3階部分年金制度の設計を求めていくことにしている。


棚田の収穫祭は、今年も盛況
秋の恵みを満喫


 11月5日の日曜日、能勢の棚田で収穫祭が行なわれました。今年は例年より多くの組合員さん、約90人に参加していただき、誠にうれしく思っております。
 いろいろと皆さんに協力いただき段取りの方もうまくいったとおもいます。
 今年はお餅つきが出来ませんでしたが。棚田を、お世話して頂いている農家の石倉さんにお餅や豆ご飯、その他いろいろ作っていただきました。参加者一同、あまりのおいしさに感激していました。
 イモほりは、子供たちの分しかなく、大人は我慢していただき、申し訳なく思っています。来年度は、田植からの参加を、よろしくお願いします。【組織部 針田】


くらしと環境フェスティバルに延べ1万人
市民・家族連れで大賑い


 自治労共済府支部と府本部は4日、扇町公園に組合員とその家族、延べ1万人を集め「くらしと環境フェスティバル」を開いた。このイベントは、共済府支部の5周年を記念して行われ、組合員・家族の生涯生活を保障するとの理念に基づき、自治労共済の社会的責任(社会貢献)を内外に提起できるよう府本部と連携・共同し、実行委員会を設置して行われた。
 ステージではモンゴルの馬頭琴演奏や、大道芸、漫才などが行われ、会場をわかせていた。
 自治労府職は、能勢棚田での取り組みを写真パネルで紹介するブースを出展するとともに、収穫された米の販売を行った。また、社保労組は年金相談コーナーと、うどん屋を出展。いずれも盛況のうちに完売した。


沖縄で自治研集会
次号から参加者の報告掲載


 “創ろう、市民自治のゆたかな社会”をスローガンに第31回地方自治研究全国集会が10月26日から28日まで、沖縄県で開かれされました。「みずからがつくった政策が職場、やがて地域を変えていくという、自治研活動の醍醐味をみんなで味わおう」という、植本自治研中央推進委員長のあいさつを受け、全国から参加した3000人の仲間の熱い思いが満ち溢れるような3日間でした。
 初日には山口北海道大学教授の基調講演「小さな政府論と福祉国家のゆくえ〜対抗軸としての社会民主主義の創造」と、尹・前大統領直属政府革新地方分権委員会委員長の特別講演「一国二制度の出発=韓国済州島〜アジア交流と地域の活性化」を傾聴後、辻山地方自治総合研究所所長のコーディネートで、5人のパネリストによる「グローバル&リージョナル・アジアの市民社会と自治体の役割」というテーマのパネルディスカッションがあり、自治体・市民レベルでのアジアとの交流について提起、議論されました。
 2日目は「自治・自立」「保健・医療・福祉と協働ネットワーク」「地域再生・まちづくり」「人権・文化のまちづくり」「環境自治体」の5つの分科会で活発な討論と意見交換が行われました。
 自治労府職からは25人が参加し「入札制度における総合評価方式の導入」「国民保護計画についての取り組み」「大阪府土地開発公社改革の取り組み」「不公平税制・税源移譲」などのレポート発表と活動を紹介して、積極的に参加した意義深い集会でした。
【本部執行委員 西村】


人事委員会
府労連の質問状に回答
分析を行い、引き続きの追及も視野


 府人事委員会は8日、府労連が10月24日に行った質問状に対する回答を行った(左記参照)。
 回答では、@企業規模50人以上の事業所を比較対象とすることが現時点において最も妥当と考える、A「職種別民間給与実態調査」により把握した民間給与を平均化したものではなく、ラスパイレス方式で役職段階、学歴、年齢階層別の民間の平均給与に職員の在職実態に応じた人数を乗じて得た額を職員総数で除して算出したもの。このため、民間給与自体の増減に加え、本府の職員構成とも連動して増減が生じることとなり、各種統計資料等における民間給与の水準とは必ずしも一致しない場合が見られる、B較差解消のための給与上の措置は、現給保障による給料の差額を減じることが最も妥当であり、若年層への配慮にもつながる、C行政職2級の最高号給増設は、新たな任用制度が創設され、3級への昇格が可能となったことからも、本年の勧告では言及しなかった、などとしている。
 今後、回答文書の分析を行い、納得できない部分があれば、引き続き人事委員会の追及を行う。

本年の「職員の給与等に関する報告及び勧告」について

 平成18年10月24日付けで提出された本年の勧告に関するご質問について、下記のとおり本委員会の考え方を整理しましたので、ご参照願います。なお、勧告においても、報告や意見として考え方を記載していますので、併せてご参照願います。

大阪府労働組合連合会 様

平成18年11月8日 
大阪府人事委員会事務局 

 公民の給与比較については、民間給与の実態をより広く把握し反映させることが地方公務員法に定められた情勢適応の原則に適うものであり、公務と民間とで同種・同等の業務を行っている者同士を比較するという原則の下において、データとしての有意性等の観点を含め、企業規模50人以上の事業所を比較対象とすることが、現時点において最も妥当なものと考えるところです。

 次に、勧告の「資料第27表」で示した「民間従業員の給与月額」については、公民比較の基礎資料を得ることを目的として実施している「職種別民間給与実態調査」により把握した民間従業員給与を単に平均化したものではなく、従前と同様にラスパイレス方式により、役職段階、学歴、年齢階層別の民間の平均給与に職員の在職実態に応じた人数を乗じて得た額を職員総数で除して算出したものです。このため、民間給与自体の増減に加え、本府の職員構成とも連動して増減が生じることとなり、各種統計資料等における民間給与の水準とは必ずしも一致しない場合が見られるところです。なお、民間給与自体が減少傾向となった一因として、比較対象企業規模を見直したことの影響も考えられるところです。(同種・同等比較の原則の下では、「職種別民間給与実態調査」で得た民間給与のデータ以外に代替可能な統計資料が存在しない。)
 また、国や他の都道府県が同様に示している民間従業員の給与についても、比較の対象となる職員及び民間従業員が異なり、それぞれの職員構成の影響を受けるものであることから、これらを一律的に対比し評価を加えることは困難であると考えるところです。
 なお、こうした比較の結果である公民較差は、職員給与と民間給与との相対的な比較により生じるものであり、本年における全国の公民較差は、比較的大きなプラス較差が生じた事例から本府以上に大きなマイナスとなった事例に至るまで、幅広い結果となったところです。また、それぞれの地域における状況も様々であり、例えば、大都市圏として本府と一定の共通性を持つ東京都がマイナスとなる中、東京都と連担して首都圏を形成する県においてはプラス較差が生じたことや、他方で、本府と一定数共通する民間データを用いた大阪市においては、本府類似のマイナス較差が生じたことなど、それぞれの実情が較差に現れたものと考えられるところです。
 こうした中、本府においては勧告で示した較差が生じたものですが、その基礎となる民間従業員の給与データ等については、人事院と同様に、企業規模や職種別の平均給与支給額をはじめとする種々の調査結果を勧告の資料として示したところです。

 較差解消のための給与上の措置については、公民の較差が適切に解消される限り、様々な方法によることを否定するものではありませんが、本年度からの給与構造改革において年功的な昇給要因を一定見直した給料表への移行を図る中、新たな給料表での昇給、昇格が進めば将来的にはなくなるという性格を持っている現給保障による給料の差額を減じる方法が最も妥当であり、若年層への配慮にも繋がるものと考えたところです。
 なお、独自の給料表の勧告については、本年4月時点で約86%の職員が差額支給を受けている状況においては、給料表の改定よりも差額を減じることで較差を解消することが妥当と考えたところです。

 次に、本年4月から、この改定の実施の日の前日までの期間に係る公民較差相当分を解消させる観点からの所要の調整にあたり、較差に基づかない期末手当等の減額措置が既に講じられていることを考慮することを求めたことについては、民間準拠を重視するという考えに基づくものであり、給与条例主義の原則の下において、既に成立し施行されている条例の撤回を求めるという趣旨ではありません。
 また、今般の「大阪府行財政改革プログラム(素案)」において、職員給与に関する一定の記述があることは承知していますが、具体的な取組に際しては本委員会の勧告が尊重されるべきものと考えており、具体的な事例に即し必要な意見を申し述べる所存です。

 行政職2級の最高号給増設については、給与構造改革により新たな給料表を導入する中で、昨年の勧告において、「号給増設について、本府給料表においても、府職員の在職実態を踏まえつつ、国同様の観点から必要な措置を講じることが望まれる」とする意見を示したところであり、既に所要の対応が図られたところです。
 また、任命権者において「新たな任用制度」が創設され、行政職給料表では1級・2級の適用が基本となる主事・技師級職員について、選考に合格し主査に準じた職務・職責を担うことにより3級への昇格が可能となったことからも、本年の勧告では、行政職2級の最高号給増設に言及しなかったところです。

 3人目の子等に係る扶養手当の支給月額の改定については、他の都道府県等の状況は承知していますが、本委員会としては、人事委員会が行う給与勧告は、職員給与が民間給与の水準に準拠したものになることを重視して行うべきであると考えており、本府職員の扶養手当が、家族構成の如何にかかわらず総額としては既に民間を上回る水準にあることを考慮し、改定の勧告を行わなかったところです。
 なお、少子化対策が重要であることは、本委員会としても認識するところであり、昨年までも子等に対する扶養手当が民間を上回る水準にあった中で、これを引き下げることを求めなかったところです。

 休息時間については、勤務条件の民間準拠が一層求められていることは本府も国と同様であり、民間の事務・管理部門では休息時間の制度がほとんど普及していないことや国においては既に制度が廃止されたことを踏まえ、その在り方についての検討の必要性は否めないものと考えるところですが、検討にあたっては、勤務中における軽度の疲労を回復し、公務能率の増進を図るという趣旨が活かされるべきものと考えるところです。
 週所定勤務時間の短縮については、行政サービスの低下を来さないことに留意するとともに、休暇制度を含む総合的な観点から、十分な検討が必要であると考えるところです。

 職員の勤務条件全般については、地方公務員法の趣旨に即し、国や他の都道府県、民間との均衡を考慮し、社会一般の情勢に適応させるべきものと考えるところです。特に、給与については、制度面においては国や他の都道府県の取扱いを参照しつつ、その水準を府内における民間の実態に即したものにすることにより府民の理解が得られるものと考えるところです。

―以 上―