機関紙「自治労府職」

 2006年5月21日号

府本部自治研集会
これからの公共サービスを考える
3つのレポートを提出し、積極的に議論参加


 「参加・協働・改革、地方政府の創造へ」をメインスローガンに、自治労大阪府本部の第12回大阪地方自治研究集会が開かれた。
 12日の全体集会は、中之島中央公会堂大ホールに650人の自治労のなかまが参加して「地域公共の力で質の高い公共サービスをめざす」をテーマにパネルディスカッションを開いた。近畿大学理工学部社会環境工学科の久隆浩教授をコーディネーターに枚方市長の中司宏さん、NPO法人全国地域生活支援NW事務局長の戸枝陽基さん、公務労協の山本幸司事務局長がパネラーに「地域づくり・まちづくりの実践」について、それぞれの立場から意見を述べられ、これからの公共サービスのあり方について多くの提言を受ける機会となった。
 13日(土)の分科会はアピオ大阪で開かれ、450人の参加者が6の分科会に別れて、実践活動の報告やワークショツプ形式による意見交換を行った。自治労府職は第3分科会に「隠れた負の遺産・大阪府土地開発公社改革の取り組み(建設支部)」、第4分科会に「政策入札で地域を変える、職場を変える・総合評価方式導入の取り組み(労働支部)」、「大阪府の国民保護計画策定への取り組み(本部)」の3つのレポートを提出、自治研活動を紹介するとともに討論に参加した。
 自治労府職は自治研推進委員を中心に延べ84人の組合員が参加し、自治労の自治研活動に積極的に取り組んでいく姿勢をアピールした。
【2面に参加者の感想】


暑い沖縄を、熱い心で行進
参加者全員が平和行進を貫徹

 12日から14日にかけて「5・15沖縄平和行進」が行なわれ、自治労府職からも4人の仲間が約50qの行進を貫徹し、日本唯一の地上戦が行われた沖縄の悲惨な歴史と米軍による占領、復帰後の現実と現在をつなぐ力強い運動に参加した。
 東・西・南の3コースに分かれて行われた平和行進で、自治労府職は西コースに参加した。1日目は本部町役場から出発し、豊原P3C建設阻止飛行場跡、今帰仁城跡を歩いた。2日目は、読谷村役場から出発し、嘉手納基地、安保の見える丘までを行進、3日目は、嘉手納町役場から出発し、北谷町役場、ハンビータウンを歩き、嘉手納基地を半周した。
 最終日には、宜野湾海浜公園で開かれた「5・15平和とくらしを守る県民大会」に平和行進を終えた全国からの参加者など3500人が参加し、米軍再編最終報告に合意した日米両政府に対して怒りの声を上げた。
 送り出していただいた単組・支部職場の皆さんのご協力に感謝するとともに、今号から、参加者4人の感想を掲載する。


イチゴ狩りでお腹いっぱい
泉南ブロック発


 5月13日の土曜日、泉南ブロック協議会では地元、岸和田観光農園で「いちご狩り&バーベキュー」を開催しました。
 当日は朝から雨。しかし、会場はビニールハウスの中ということで予定どおり決行しました。
 参加者は、子供たちも含めて53人。ハウス2つに分かれてヨーイドン!最初のうちは、とにかくどんどん食べてみる。瞬く間に10個20個……いちごでお腹一杯に。30分もすればペースが落ちてもう満足でした。
 後は、焼肉バーベキューでさらにお腹を満たし、終了となりました。
【泉南ブロック 発】


沖縄平和行進参加者レポート……@
基地の撤去だけでは沖縄に平和は来ない

 私は今回、5・15沖縄平和行進に筒井さん(ユース部副部長)と共に参加させていただき、多くの学びを得る大変貴重な体験をさせて頂きました。わずかながら報告させていただきます。
 ご存知のとおり、5月1日の日米安保協議委員会(2プラス2)で、辺野古への沿基地新設や各基地の再編強化が着々と進行しています。しかし、新聞などのマスコミは「沖縄の負担軽減」という美辞麗句で最終報告を飾り立てていました。また、治安維持法の再来とも思える共謀罪の創設や教育基本法改革案の問題もあり、再び日本が戦争を起してしまう局面にも向かいかねない事態へとなっています。
 そのようななかでの今回の平和行進。初日の結団式から緊迫した空気が張り詰めていました。
 今回の平和行進に参加したのはおよそ3500人。沖縄本土を東・西・南の3つのコースに分かれ、3日間行進しました。私達大阪府自治労団は西コースに参加し、本部(もとぶ)〜嘉手納基地〜普天間飛行場と延べ50qを無事に完歩することができました。
 平和を願う行進やシュプレヒコールをするなかで心境は複雑でした。というのは本部地区等の基地の無いところでは素直に地域住民が歓迎してくれていました。しかし、嘉手納や普天間周辺での反応はさまざまでした。歓迎の意を示してくれるのは戦争を体験したであろう老世代の方々か子供達ばかり。冷静な視線をおくる人達が大半でした。軍事機の爆音や延々と有刺鉄線が張り巡らされている米軍基地が日常の生活に溶け込んでいる地域が異常に感じました。この基地に関連した経済に支えられている地域の方々もいると思うと安易に「基地が無くなる=平和」へと繋がるのではないと感じました。
 また、行進や移動で廃屋となったホテルやお土産センターをよく見かけました。私の生まれた昭和49年頃の沖縄は海洋博ブームに沸きあがり、多額の税金や本土からの資金が沖縄に流れ込み乱開発が進みました。観光地として成功している地域は限定されています。この海洋博ブームや開発主義がどれほど自然や地域の人達の意識をむしばみ、自然を破壊したかがよく分かります。
 このように沖縄の自然や人々は今もなお戦争の後遺症や再戦の危機にさらされているということを痛感しました。そして本当の意味で沖縄に平和が取り戻される日が来るのを願います。
 今更ながら、戦争や軍需産業が経済や政治を左右しています。今もなお沖縄は植民地化され続けています。同じ日本人でありながらこの現状を正しく理解できず、再び戦争を犯しかねない情勢を理解できない自分が恥ずかしいと思いました。沖縄の基地問題は日本全体の問題です。万が一に戦争となってしまい最初に戦火の海になってしまうのは沖縄です。
 戦後から築き上げてきた政治・教育・民族文化が根本的な主体性もなく歪んできている昨今です。この平和を願う思いを敗戦から学びその苦労を生き抜いた世代からきちんと次世代へ継承してゆきたいと思います。このような大変貴重な活動を与えていただいた組合員の皆さんに感謝します。今回の平和への学びを職場や地域や家庭で伝えていきたいと思います。ありがとうございました。
 【中宮病院労組 若林 義雄】


自治研集会参加者の報告…@
立場の違いを超えて議論し
創りだす職場づくりを提起


 「地方分権に向けた自治体改革への展望」をテーマにしたパネルディスカッションは、パネラーと進行役のコーディネーターという設定は従来どおりだが、行政の代表として、大阪府市長会会長の中司枚方市長、市民・住民の立場からNPO法人全国地域生活支援NW事務局長の戸枝陽基さんがそれぞれの立場からの発言をされ、公務員の立場からは、公務労協事務局長の山本幸司さんが参加された。「市民との協同による地域づくり・まちづくり」のテーマにふさわしいディスカッションだったと感じた。
 コーディネーターの近畿大学理工学部社会環境工学科教授の久隆浩さんの「従来の官僚型ともいえる、ツリー型から、インターネットに端的なネットワーク型社会に大きく変化した社会状況の中」で「公務員としてのミッションをどう感じているか」という言葉が印象的だった。久さんは、大阪市従業員組合が設置しているシンクタンクに研究と実践の両面からかかわっている「まちづくりの専門家」としての経験から、自治労が果たすべき役割と可能性に「強い思い入れ」を持っているのが伝わってくる話しぶりだった。
 戸枝さんからは、市民と労働者の交流、相互出入りを実践しているが、「共通言語」がないから話が通じない。かみ合わない、との思いを口にされた。暮らしの中で使うコトバやライフスタイル・ワークスタイルが大きく違うことが、根底にあるようだ。自分を含め、日ごろの仕事の仕方やライフスタイル・ワークスタイルについて、ハッとさせられ、考えさせられた一言だった。
 2日目の課題別分科会は第4分科会「市民参加と協働のまちづくりー住民の思いをいかにコーディネートするかー」に参加した。5本のレポート発表の中で、大阪市職員組合建設局南工営所の引地さんの駐輪場の整理を題材にした「カイゼン甲子園」の取り組みが面白かった。住民、職場の上役のどちらからも「怒鳴られる」「イヤな仕事」だったのが「継続はチカラ」というコトバを頼りに、まず「現場を知る」ことから始めた。やがて、付近の人たちから「声がかかる」ようになり、そのうち「話しながら」整理するようになり、しまいには「一緒にする」ようになった。その頃には仕事が「面白く」なってきていた。その間の変化を語る引地さんも実に楽しそうに報告されていた。締めくくりに、最初は「市民本位」でやっていたと思っていたが、住民からは「管理者」として映っていた。自分たちも「管理者の目線」だったんだなとみんなで話し合ったというコトバが、この取り組みの成果を端的に表していると感じた。結果的に、業務量は増大したが「自分たちが関わり、創った仕事だから」頑張れると力強く締めくくられた。
 午後からは、グループに分かれてのワークショップ方式で、午前中のレポート報告についての感想や、各自が感じている職場の今の課題などについて話し合った。
 ここでも「カイゼン甲子園」の取り組みがみんなの関心と興味を引いており「地元の人の意識が変わると同時に、職員の意識も変わったことが大きい」など積極的に評価する意見が多かった。
 自治労府職からも「国民保護法への取り組み」「総合評価入札制度に関する取り組み」の2本のレポートが発表されたが「市民参加と協働のまちづくり―住民の思いをいかにコーディネートするか―」という分科会のテーマにマッチしなかったことから、参加者の関心と興味をあまり集めなかったのが残念だった。
 分科会の最後に、第4分科会の助言者もしていただいた久さんから「自分たちだけで考えて仕事をするのではなく、市民も含め、いろんな立場の人の意見も聴いて議論すればいい」「元気な人たちとの出会いを通じて、元気な自分を見つけ出し、創りだす職場づくりを」と提起され、そのためにも「ワークショップ方式」をさまざまなところで活用しよう!とまとめられ分科会を終えた。
【総務支部 山口 治】


共謀罪新設法案と
その背後にある動き


 政府与党、法務省は国際組織犯罪防止条約に対応するためとして、国内における共謀罪の新設をもくろんでいる。この原稿を書いている時点では、与党の衆議院での法案の強行採決の可能性を受けて、にわかに共謀罪の中身がマスコミで報道され、世論の危機意識も喚起されている。それをにらんでか、与党は強行採決を逡巡(しゅんじゅん)しているようだ。なおも予断を許さない状況で、民主党は与党と断固対決する姿勢でいる。

危険性はらむ共謀罪
 共謀罪とは、実際に犯罪を実行しなくとも、団体が犯罪についての協議や相談をしただけで罪に問うというもの。この時点で従来日本の刑法がよってきた「行為がなければ処罰しない」という原則を根本から逸脱してしまう。法案自体、対象となる団体や組織の定義があいまいであり、犯罪成立の要件となる「共謀にかかわる犯罪に資する行為」の中身もあいまいで、法が拡大解釈されて適用される危険性をはらんでいる。与党修正案による「歩み寄り」を見ても、何かあいまいにしておきたいと抵抗しているかのように思える。
 表現の自由を脅かし、内心の自由までにも踏み込んでくる共謀罪は「現代版の治安維持法」となりうる。法が通れば、最初はそうでなくとも、10年先には乱用されることもありうる。
 4月21日、政府与党は衆議院法務委員会において共謀罪の審議入りを強行するという行動に出た。野党が詰め寄る中、法務大臣が法案を淡々と読み上げ、さらには異例のことであるが、その後すぐに修正案が提出された。それこそ欠陥法案の証しだ。

背後にある動きは何か
 この強硬姿勢の背景には何があるのか。この国会では、共謀罪のほかにも、密室での取り調べによる自白強要など未決拘禁者への人権侵害の温床となってきた代用監獄制度を存続せしめる監獄法改定案、さらには、16歳以上の入国外国人の指紋などの生体情報を採取し、半永久的に保存管理しようという入管法改定案が、衆議院においてすでに強行可決されている。これらを一連の流れとして見ていく必要がある。
 これらの法案は、日本社会を管理社会、監視社会に変えていく治安法の方向で出されてきており、背景には、警察・検察権力の意向が強く働いていると考えられる。また、法案の可決を急ぐ背景には、教育基本法や憲法改正のための国民投票法案を(会期延長も視野に入れながら)この国会会期中に可決成立させたい、そのためには懸案となっているその他もろもろの法案は今の内に通してしまえ、という小泉内閣の思惑があるのではないか。衆議院では、今や3分の2という圧倒的な数の力を背景に、与党はこのような強行で乱暴な国会運営を進めることが可能となっている。

今こそ反対の声を
 テロ防止、犯罪抑止などを口実に、人権や表現の自由を脅かす管理社会、監視社会をもたらす法律が次々とつくられていく。このような政治状況はおかしいと、市民は反対の声をしっかりとあげ、運動をつくっていかなければ、もの言えぬ社会がどんどんつくられていくこととなる。
 私は、04年の参議院選挙で「人権立国ニッポン」を掲げ、参議院議員に当選させていただいた。それ以来、この国に人権の法体系を確立させたいという思いで国政にかかわってきた。それとは全く相いれない、逆方向に向かうこのような流れと動きには、国会の内外で断固闘っていきたい。
【参議院議員 松岡 徹】