機関紙「自治労府職」
2006年6月1日号
第5回中央委員会
来年4月執行の熊取町議会選挙に組織内候補として
文野さん【税務支部】の推薦を確認
自治労府職は5月23日、第5回中央委員会を開き、2006年度上半期の経過報告について確認するとともに、第1号議案「自治労132回中央委員会に臨む態度」、第2号議案「府労連第56回定期大会について」、第3号議案「選挙の推薦について」、の議案が提起され、すべての議案が満場一致で可決された。
第3号議案で提起された「選挙の推薦」では、来年4月に執行される統一自治体選挙において、熊取町議会議員選挙に立候補する予定の文野愼治(ぶんのしんじ)さんを自治労府職の組織内候補とし、推薦を満場一致で決定した。
文野さんは、1973年に大阪府に入庁、1982年から自治労府職(当時は府職労)税務支部の執行委員に就任。会計、副支部長、書記長として活躍する一方で全国税協の事務局長も歴任。93年度からは税務支部長を2年間務める。
支部執行部を退任後、職場から自治労府職を積極的に支え、運動を進めて来られました。
中央委員会で文野さんは「自治労府職での活動や、大阪府でこれまで働いてきた経験を生かし、熊取町議会でがんばりたい」とあいさつ。税務支部からも推薦について、全体での確認を要望する発言が行なわれた。
自治労府職は、文野さんが熊取町に舞台を移しての活躍することを期待し、2007年4月に予定されている熊取町議会選挙での勝利に向けて奮闘するとともに、今後は自治労大阪府本部・連合大阪での推薦に向けた手続きを進めていく。
私たちのなかまの声を地方自治に反映していくため、すべての組合員の皆さんの積極的なご支援をお願いいたします。
府労連定期大会
すべての方針を満場一致で決定
身近な要求実現に奮闘
府労連は5月26日、新別館北館の多目的ホールで第56回定期大会を開き、今後1年間の方針を確認した。また、夏季闘争の要求・闘争日程も満場一致で確認された。
山口委員長(大阪教組)は「この1年は、夏・冬の闘争に加え『新たな給与制度』や『退職手当問題』など、通年での闘いを進めてきた。
今年はじっくりと府労連闘争に取り組み、評価の給与への反映や、評価制度の見直し・改正を求めるつもりであったが、公務員純減と、さらなる給与抑制が盛り込まれている行政改革推進法案の審議が国会で終了し、今国会で法案を通そうと政府・与党は必死になっている。また人事院・人事委員会勧告の官民比較についても、50人未満の企業も調査対象とし、その結果を地域の公務員給与に反映していく、ということが進められようとしいる」として、今後一年間を組合員とともに力を合わせて闘いを進めていくことを述べるとともに「各単組・職場から上げてもらった組合員の身近な要求を、執行部でも検討しながら実現していくつもりで、これまでよりも、さらに細かな制度要求も盛り込ませていただいた。6月2日に知事あて要求書を提出し、闘いがスタートするが、6月20日をめどに闘いを組んでいきたい」として、府労連へのより一層の結集を訴えた。
経過報告に続いて会計決算報告、会計監査報告が行なわれ、全体の拍手で承認された。
議事では「2006年度運動方針および当面の闘争方針(案)」、「2006年度予算案および特別闘争資金会計予算(案)」、「2006年度役員選出(案)」が提案され、すべての議案が満場一致で可決された。
役員選出では、執行委員長に山口成幸さん(大阪教組)、副執行委員長に井田弘さん(府水労)、中野信春さん(府従)、新居晴幸さん(大阪教組)、川本富士夫(自治労府職)、書記長に大橋敏博さん(自治労府職)の三役が選出された。
沖縄平和行進参加者レポートA
おなじ沖縄でも地域で温度差が
5月11日から15日にかけて、沖縄5・15平和行進に参加してきました。行進1日目は米軍基地などは無く、旧米軍滑走路などを歩く、本部町から今帰仁村までのコースでした。2日目は嘉手納基地の周りを歩き、その日の目的地が「安保の見える丘」という所で、本来嘉手納基地の中は壁に囲まれていて見えないのですが、安保の見える丘に登ると嘉手納基地が一望できました。米軍基地というのは、テレビ等で少しは見たことがあるので、ある程度の想像はしていましたが、想像以上の広さで、甲子園球場の600倍の広さと知りさらに驚きました。行進最終日は、行進後に3500人の人が集まった県民大会に参加し行進を締めくくりました。
3日間の行進を通して感じたことが、初日に歩いた米軍基地の無い本部町や今帰仁村の人々は、外に出てあたたかい声をかけ応援して下さる人が多かったのですが、2日目、3日目を歩いた米軍基地がある地域では、声をかけてくれる人が少なく、あまり興味が無いように感じました。特に若い人たちがそうで、逆に行進を見て、何をしているのだというような感じで笑っている人もいて、同じ沖縄の中でも地域によってこれほど温度差があるということを感じ、とても残念でした。
【社保労組 A】
自治労大阪府本部 第12回自治研集会
参加・協働・改革、地方政府の創造へ
自治研集会参加者の報告…A
問題点多い障害者自立支援
法を乗り越える運動の強化
午前中は、全体集会のパネラーでもあったNPO法人全国地域生活支援ネットワーク事務局長の戸枝さんから「これからの地域福祉、自治体に求められること」というテーマで講演をいただいた。地域における自立生活支援の実践報告と併せて障害者自立支援法検討過程の厚生労働省などの実態も紹介され、今後の運動の課題と方向について言及された。
午後からは、午前中の講演を受けて、元枚方市支援費制度事業者連絡会会長であった枚方市社会福祉協議会の松浦さんの「枚方市における支援費制度事業者ネットワークの実践と課題」のレポート報告があり、自治労東大阪の田村さんからは「障害者自立支援法で何がどうかわるのか?〜みんなでどう創り上げるか〜」のレポート報告があり、障害程度区分認定を団体と一緒に作成しているという報告などが行われるとともに、自治労に対して「介護保険創設時のような職員体制の確保の全国的な取り組みを展開するとともに、地域の障害者団体などとのパイプ役を果たすべき」との要請が行われた。
また、NPOちゅうぶの石田さんからは「障害者自立支援法によって地域での自立生活は大きな打撃を受ける」というテーマでのレポート報告があり、この間の大阪での全国に先駆けた運動の紹介と今回の障害者自立支援法の問題点がアピールされた。
DPI日本会議事務局長の尾上さんから「当たり前に地域で暮らせる社会の実現に向けてー地域生活を諦めない!」というテーマでの講演を受けた。尾上さんからは、障害者自立支援法」の問題点、課題が詳細に明らかにされ、今日まで大阪などで先駆的に実践されてきた地域での自立生活を後退させることなく、発展させていく運動の必要性が訴えられた。
最後に、大阪府健康福祉部障害保健福祉室の足立課長補佐からは「障害福祉計画の策定と第3次大阪府障害者計画の推進」というテーマで講演があり、厚生労働省による障害者福祉計画策定について、時間がなく、内容についても問題点が多くあるが、大阪府として、より良い計画づくりに向けての取り組みを進めていくことと、その状況が紹介された。
講演が3、レポート報告が3、と盛りだくさんで、質疑応答、意見交換の時間が取れなかったが、再度まとめ的に補足の話が、戸枝さんからされ、司会の府本部社会福祉評議会山口さんからも、問題点が多く指摘されている障害者自立支援法だが、それを乗り越える更なる運動の強化を確認し、分科会を終えた。
【本部 則定義秀】
自治研集会参加者の報告…B
グリーン電力の推進など
取り組み報告し議論参加
自治労が提唱して始まった環境自治体づくりをテーマとする分科会は郡嶌孝さん(同志社大教授)から現在の環境問題の二大テーマは地球温暖化問題と廃棄物問題とする提起を受け、小畑嘉雄さん(NPO環境安全センター専務理事)から今国会で審議中の容器包装リサイクル法改正案の概要と問題点指摘(レジ袋有料、家庭ごみ有料化、分別精度の高い選別施設、生ごみのディスポージャ下水処理)さらに、廃棄物事業の広域化、独法化さらに民営化への対応が求められた。廃棄物処理業務は大きな転回点に来ているが、安易にコスト論にとらわれては環境が無視されかねない。
レポートとして環境先進国、韓国の視察スライドショーが行なわれ、韓国が環境先進国??レベルの私も、韓国における廃棄物に関しては目を開かされた。使い捨て製品の無料提供は禁止、違反したら罰金、通報すれば金一封(ホテルの歯ブラシや飲食店の爪楊枝も対象で、うっかり行けばカルチャショックを受けそうな話です)。ソウルでは廃棄物のリサイクル率50%と、1000万人の大都市ではウソのような高い数字に驚かされ、そして45%が埋め立てられるが、大規模埋め立て周辺住民へは支援金支払いと割り切った対応をし、その発生ガスで発電もしていると、その廃棄物対策先進国ぶりに驚かされました。
温暖化に関する会場からの発言として「環農水支部では府庁舎などの電力調達において、一定の割合以上がグリーン電力で供されるよう関係部局に働きかけることを支部要求した。
自然エネルギー利用を促進するなどの一般的な回答しか得られなかったが、東京都ではすでに行われており、次期にも要求を重ねていく」と、組合の取り組みを紹介した。パネラーからも環境配慮型製品に一定期間、価格ハンディを設けた入札制度で、環境配慮型製品の開発を支援する手法が紹介された。
【環境農林水産支部 岡 憲司】
自治研集会参加者の報告…C
人員配置やコスト意識など
自治研の議論を職場で実践
第3分科会は、開発公社の改革から保育所のあり方、市政改革についてと、さまざまなレポートでした。
まず、自治研究センターからの「自治体経営システムと公共サービスの活性化」についての講義がありました。
その後3本のレポートの報告そして午後からワークショップでした。
テーマは「自治体経営」「働き甲斐、生きがい」「市民との協働」のなかで何を評価されたいかでした。
適材適所の人員配置の必要性、コスト意識の大切さ、掛けるるべきコスト、なくすコストがあるなど、様々な職場の人たちとのコミュニケーションが図られた。
今後、職場で今日の話を実践に生かせるようにしていただきたいとの結論でした。
【本部 井上忠宏】
台風接近に負けず田植え決行
イモの苗も植えたぞ♪秋の収穫に期待大
季節はずれの台風1号が急旋回して大阪に迫りつつあるなか、自治労府職恒例の能勢棚田の田植えイベントは環境農林水産支部執行委員会による「雨天決行」との判断のもとで開かれた。
さて、恒例の棚田イベントだが、自治労府職では「環境保全」と「食べるものを自分たちでつくる」楽しさを味わうために毎年開催している。
自治労府職が契約している田の隣では、契約が無かったのか、荒れ放題の田が存在し、景観の面からも自治労府職の取り組みの必要性を強く感じることができた。
いつものとおり田植えでは泥の感触を楽しみながら(私は見ていただけですが…)、参加者は能勢の自然と大いに触れ合っていた。
また、子どもたちを中心に、サツマイモの苗植えも行なわれ、秋の収穫祭が早くも待ち遠しく感じられた(私は田で待っていただけですが…)。
田植え終了後は、府民牧場に場所を移し、全員参加で、おいしいバーベキューを満喫した。
例年なら、次のイベントは秋の稲刈り&収穫祭となるが、環境農林水産支部とともに、夏にもイベントを検討中(実施できるか?ですが…)です。皆さんの積極的なご参加をお願いします。
【本部 池口 忠史】
スポーツおたくさこちゃんの
もっと球蹴た話
4年ぶり、さこちゃんの球蹴た話
魂からの叫び「負けないで…!」
2002年にも登場していただき、日韓ワールドカップの見所を書いてくれた(スポーツおたく)、組合員のさこちゃん。教宣部から「前回の続きは書かないんですか」と確認したところ、快く執筆を了解していただきました。テレビ観戦の見所など、思いのたけを掲載(日本チームの健闘次第ですが…)の予定です。
組合員の皆さん、ご無沙汰です。久しぶりの登場になります。早いもので、熱狂と興奮の2002日韓ワールドカップから4年が経ちました。前回に引き続き「球蹴(たまげ)た話」を掲載させていただくことになった「さこちゃん」です。
前回掲載の最後に「4年後にまた会いましょう」と書きましたが、本当に掲載するとは思ってもいませんでした。先日、池口教宣部長とお話ししているなかで「ワールドカップも近づいてきたので『球蹴(たまげ)た話』お願いします」と言われ、少しでもお役に立てればと思い、引き受けた次第です。
4年の月日が経ちましたが、文章能力は向上しておりません。皆さんに最後まで読んでいただけるのか不安ですが、がんばりますので、よろしくお願いします。
前回大会は地元開催ということで、異様な盛り上がりを見せました。サッカー好きの人はもちろん、そうでない人もワールドカップの話題で持ちきりだったことと思います。私も含めて、時間休をとって応援した人も多かったことでしょう。
さて、4年前を振り返りますと初戦のベルギー戦は、どうにか引き分けに持ち込み、日本初の勝ち点を取り、2戦目のロシア戦で記念すべき初勝利をあげ、3戦目のチュニジア戦にも勝利し、見事決勝トーナメント進出を決めました。
そして、迎えた決勝トーナメント1回戦は、スターティングメンバーを一部代え、トルコとの雨中の戦いに臨みましたが、先制点を奪われ、そのまま追いつけず日本のワールドカップは終わってしまいました。
悲しいかな、この試合は、仕事の関係で見ることが出来ませんでした。見られない試合で負けたことが、とても残念でした。私1人が応援出来なかったからと言って、試合に影響はなかったと思いますが…。
いつまでも過去を引きずっても仕方がないので今大会の話に移ります。
まず、代表選手の顔ぶれですが、すでに皆さんもご存知のとおりです。ほぼ予想通りの選出でした。4年前に悔しい思いをした中村俊輔の活躍を期待しています。そんな中、ガンバ大阪にゆかりのある選手が5人も選ばれています。宮本、加地、遠藤、稲本、大黒選手です。
大阪人としては、うれしい限りです。知事も喜んでることでしょう。野球熱の高い大阪では、阪神タイガースがスポーツ新聞の一面を飾ることが多いですが、ワールドカップ期間中はサッカーに譲ってくださいませ。
次に予選リーグの相手国を簡単に紹介しておきます。
【オーストラリア】
前回韓国をベスト4に進出させたヒディング監督が指揮をとります。試合をするのは選手ですが、監督がチームに与える影響は図り知れません。
【クロアチア】
日本が初出場となった前々回のフランス大会で苦杯を喫した相手です。
【ブラジル】
世界最強国であり、ジーコ監督の母国でもあります。日本戦で活躍されると困りますが、ロナウジーニョのプレーは今からワクワクです。
予選リーグを突破するには、第1戦が大きな鍵を握ります。勝つことが一番ですが、最悪でも引き分けなければなりません。万が一、負けるようなことがあれば、決勝トーナメント進出は、ほぼ絶望となります。今後の記事を書くためにも「負けないで!!」
気になる日本の予選リーグ日程は次のとおり。
【第1戦】
日本VSオーストラリア
6月12日(月)
午後10時キックオフ
【第2戦】
日本VSクロアチア
6月18日(日)
午後10時キックオフ
【第3戦】
日本VSブラジル
6月23日(金)
午前4時キックオフ
第1戦、第2戦は比較的観戦しやすい日程です。第3戦は早起きして(前日は残業をしないで)早寝しましょう。
日本の勝利を信じ、テレビの前で大きな声で思いっきり応援しましょう。(近所迷惑にはならないように!!)
PS:ワールドカップ開催のため、Jリーグは中断しておりますが、ナビスコカップの準々決勝が左記のとおり行われます。大阪の2チーム「ガンバ大阪」と「セレッソ大阪」は揃って進出しております。代表だけでなく、国内サッカーを盛り上げるためにも、時間のある方は、試合会場まで足を運んでいただけたらと思います。
【ガンバ大阪VS鹿島アントラーズ】
6月8日(木)
午後7時キックオフ 会場:万博記念競技場
【セレッソ大阪VSジェフ千葉】
6月4日(日)
午後3時キックオフ 会場:長居スタジアム
ユース部主催フットサル大会
参加チーム大募集中
1 と き 2006年7月1日(土)(雨天中止)
10時30分開始 受付は10時から
2 と こ ろ 貝塚スポーツパーク 貝塚市堤153
3 募集チーム 最大8チーム(先着順)
4 応募締切 2006年6月15日(木)
5 参 加 費 1人1000円(レジャー保険・昼食代込み)
詳しくは、職場配布のユース部作成チラシをご確認ください。不明な点は、自治労府職本部ユース部までお問い合わせください。
電話:06-6945-4056 E-Mail:jichifu@j-fusyoku.jp
言葉の壁、
民族の壁を越えて
ククーシュカ
ラップランドの妖精
第24回モスクワ国際映画祭、最優秀監督賞ほか全5部門受賞/2002年ロシア映画/監督・アレクサンドル・ロゴシュキン/1時間44分/配給・シネカノン
スカンジナビア半島からロシアにかけての北極圏周辺にラップランドという地域がある。サンタクロースの故郷として知られるこの地域には、サーミ人という先住民が住んでいてトナカイの放牧をしたり、魚を捕ったり、狩をして暮らしている。自然に恵まれたこの地域で、異なった言葉を話す3人の男女が織りなす物語が「ククーシュカ」(カッコウ)である。
フィンランドとソ連が戦争をしていた第二次世界大戦末期、一人の若いフィンランド兵が鎖で岩にくくりつけられる。彼は戦争が嫌いで、軍から罰を受けているらしい。しかもドイツ軍の制服を着せられていて、ソ連軍に投降もできない。彼は鎖を銃で撃ったり、弾薬の火薬を使ったり、自由になるための努力を重ね、ついに成功する。
少し離れたところでは、一人のソ連兵が密告されて軍当局に連行される途中、味方機に誤爆され、けがを負いながらも一人生き残る。そして、この地域に住む先住民サーミ人の女性がそのソ連兵を助け、自分の家で介抱する。若いフィンランド兵も合流して、フィンランド、ロシア、サーミの三つの民族が同じところに住むことになる。
ところが、3人の言葉はまったく違い、お互いに話すことがわからない。しかも男たちはおしゃべりで他人を理解しようとしないから、しょっちゅう争うことになる。それも無理もない。フィンランドの兵隊はドイツの軍服を着せられているため、ソ連兵は彼をドイツ兵とみなし、さかんに「ファシスト」と非難する。「ファシスト」は国際語だから誰にでもわかる。その誤解を解こうとするフィンランド兵の説明がおかしい。自分が平和主義者だといいたい彼は、トルストイの「戦争と平和」を持ち出し、その「平和」を求めているというのだが、ソ連兵は「トルストイの家まで焼いたのか」とさらに怒る始末。ヘミングウエイの「武器よさらば」の話をするが、これも通じない。ソ連兵はフィンランド兵を殺そうとし、互いに争う。先住民の女性にとっては、この男たちは戦争好きでどうしょうもない人間なのである。
先住民の女性は、夫がフィンランド軍にとられて以降4年間、孤閨(こけい)をかこっていて、男が一度にふたりも来たことを喜ぶ。彼女は若いフィンランド兵を選び、夜の床に誘う。ラップランドに住むサーミ人の女優アンニ(役の名前も本名も同じ)が自然とともに生きる先住民を魅力的に演じている。
北極圏に生きる先住民の生活と伝統が興味深い。トナカイを飼い、乳を搾る。琵琶湖のエリのように木で枠を作って魚を誘い込む装置もある。丸木を放射状に組み合わせて毛皮や布で覆うテントのような家で暮らし、高床式の倉に食料を蓄える。清らかな水が流れ、きのこ類も豊富だ。傷ついたフィンランド兵に薬草を与え、太鼓をたたいて、死のふちから引き返すように息を吹きかけるシーンは幻想的である。
男たちは共に手作りのサウナに入り、いつの間にか仲良くなっていく。言葉がわからなくとも男と女は愛することができるし、男同士の友情も育てることができる。やがて戦争が終わり、男たちはそれぞれ故郷に帰ることになる。3人は相変わらず言葉は通じないが、精神的には国境を越えて結ばれている。言葉や民族の壁を越えた世界が、最北の地で実現されていたのである。
▼上映予定/〈大阪〉OS名画座(TEL06・6311・2478)6月17日(土)から、〈京都〉京都シネマ(TEL075・353・4723)7月1日(土)から、〈神戸〉神戸アートビレッジセンター(TEL078・512・5500)7月29日(土)から
辺見庸講演会
憲法改悪に反対する
芥川賞作家でジャーナリストの辺見庸さんが「憲法改悪にどこまでも反対する」というテーマで6月24日に大阪市内で講演会を開く。
2004年、講演中に脳出血で倒れた辺見さん。同年4月に京都で予定されていた講演会も中止を余儀なくされた。今回の催しは、その講演会を辺見さんの強い意志により実現するものだ。
辺見さんは脳出血後のリハビリ中だった昨年12月に、今度はガンと診断され手術。その病室で執筆し3月に刊行されたのが「自分自身への審問(毎日新聞社)」。切迫した緊張感の中での自身への審問は、反人間的な今の時代への鬼気迫る審問でもある。
この講演会では、沈黙を経て、再び立ち現れた作家・辺見庸さんが国家の力ばかりが増大し、閉塞する一方の今の日本をどう見るのか。世界の肌触りはどう変化したのかを語ってくれるはずだ。辺見さんの言葉をじっくり聞き、考える講演会となる。
▼日時/6月24日(土)午後6時半〜(開場6時)▼会場/大阪市中央公会堂(地下鉄御堂筋線・京阪「淀屋橋」駅下車、地下鉄堺筋線・京阪「北浜」駅下車、中之島公園内)▼参加費/当日1200円、前売り1000円▼前売り申込方法/6月16日までに1000円を左記の郵便振替口座に振り込む。払い込み金受領証で当日入場券と引き替え▼振込先/郵便振り込み口座:00970―4―243904/口座名:辺見庸講演会実行委員会▼問い合わせ/辺見庸講演会実行委員会TEL075(561)8792、FAX075(771)8738
辺見さん講演会チケットプレゼント
辺見庸さんの講演会について、自治労大阪府本部からチケットの提供がありましたので、組合員さんに先着で15枚をプレゼントいたします。
芥川賞受賞の辺見さんの講演会に積極的にご参加をお願いします。
チケット希望の方は、本部まで電話かメールでお申込みください。