機関紙「自治労府職」
2008年3月1号
公共サービス基本法の制定求め公務労協が集会
信頼と安心の行政を再構築
公務労協連合官公部門連絡会は14日、『公共サービス基本法』制定を求める2・14中央集会を開いた。
公務労協は、格差社会からの脱却に向けた連合の「STOP!THE格差社会」キャンペーンに結集し、働きがいのある人間的な労働を中心に、だれでも安心・安全と生きがいを持てる「ともに生きる社会」の創造と、それを支える公共サービスの実現をめざし、取り組みを進めている。昨年の公共サービス憲章制定請願署名運動では、約340万筆を集約した。
これまでの取り組みの経過や現状を踏まえ、公務公共サービスの社会的な責任を果たす立場から公共サービス基本法の制定をめざす運動のスタートであると、この日の集会を位置づけた。
森越公務労協議長は、貧困や格差が拡大し、国民生活を支える社会のセーフティーネットが壊されてきている現状を踏まえ「弱い立場にある人の命や生活が奪われ将来が閉ざされている今日、公共サービス基本法の制定は緊急課題である」と述べ「EU諸国では当たり前になっている公共サービスの精神を具体的な法律として確立するため、本日の講演で学んだことを地域や職場に帰って広げていただきたい」と訴えた。
また逢見連合副事務局長は「今日実現すべきことは、すべての人に働く機会と公正な労働条件が保障され、安心して自己実現に挑戦できるセーフティーネットが組み込まれた社会と、そこにおける有効で効率的な政府」であり、信頼と安心の行政、公共サービスの再構築であるとし「本日の集会を契機に、公共サービス基本法制定の運動が更に盛り上がり、大きなうねりとなって拡大していくことを期待している」とあいさつした。
講演では、神野直彦東京大学大学院教授が「質の高い公共サービス実現のために」と題し、新自由主義によるグローバリゼーションが、世界に貧困や格差、労働市場の二極化、社会的病理現象などをもたらした仕組みを解説した。そのうえで、そうした現代社会が抱える問題の解決には、福祉・医療・教育といった分野に所得を再配分(水平的再配分)すること、公共サービスの提供が重要であり、公共サービスと現金給付を適切に組み合わせながら、国民の生活を保障していく社会を作ることこそが、日本の社会を発展させ世界経済を発展させていく条件であると強調した。
引き続き、原口一博衆議院議員が、民主党の「公共サービス基本法(仮称)」について、骨子素案とその考え方を提起した。素案は、公共サービスにおける主権者の権利を明記するとともに、多くの人々が助けあい協力し合って公共を作っていくという視点から作成したものであることを説明。そのうえで「労働を中心とした福祉型社会における人権保障とは何か、公共サービスの原則は何か、働く人々との討議の中で成案を作り上げていきたい」と、組織での活発な討議を求めた。
講演に続き、吉澤公務労協事務局長が、公共サービス基本法成案・成立に向けた今後のとりくみとして、広範な議論を深めていくとともに、各都道府県で「公共サービス基本法(仮称)の制定を求める地方集会」の開催やさまざまな教宣媒体などを活用し内外にアピールするなど、全力をあげてとりくむことを提案した。
最後に、岡部副議長(自治労委員長)が「今後も普遍的で精度の高い公共サービス基本法をめざしていこう」と述べ、「団結がんばろう」でこの日の集会を閉じた。
公務員連絡会が総務大臣、人事院総裁へ春闘要求提出
誠意ある対応と回答求める
公務員連絡会は、2月15日、委員長クラス交渉委員が増田総務大臣、谷人事院総裁とそれぞれ会い、春季要求書を提出し、08春季生活闘争を正式にスタートした。
要求書では、官民比較方法の再度の見直しを行わないことを始め、公務員給与水準の改善、所定勤務時間の短縮、非常勤職員等の雇用と処遇の改善などを強く求めており、総務大臣、人事院総裁は、それぞれ誠意を持って対応し、しかるべき時期に回答することを約束した。
今後、3・12中央行動時の書記長クラス交渉などを配置し、3月19日の回答指定日に向け、政府、人事院を追い上げることとしている。
また、同日には公務員連絡会地公部会が全人連(全国人事委員会連合会)に対し、労働基本権の代償機関としての役割強化や比較対象企業規模を100人以上とすること、比較方法のあり方について職員団体と十分な交渉・協議に基づいて行うこと、13項目におよぶなど春闘期要求の申し入れを行っており、民間春闘と歩調を合わせた取り組みが本格化している。
高率でスト批准
投票率は前回下回る
自治労府職は2月19日を基準日として、ストライキ批准投票を行った。結果は投票率88・18%、賛成率92・88%、批准率81・90%となり、高率での成功を収めた。
これは、年間を通じて一波につき2時間を上限とするストライキ権を自治労中央闘争委員会に委譲するため行われたもので、高率での成功は自治労府職の団結を内外に示すもの。
投票率の低下に伴い、批准率は昨年に比べて低下したが、高率での批准は達成した。今後は春闘期の活動を通じて、ストライキ権確立の重要性を訴え、投票促進を図っていく。
ユース部
役員体制のあり方で職場議論をスタート
自治労府職(府費労組)ユース部は常任委員会を開き、今後のユース部役員体制のあり方などについて議論を深めることを決めた。組合を取り巻く環境やユース部員の多様なニーズに対応できる運営形態に移行することを目的としたもの。
今後は、ユース部員に考え方を周知するため、職場討議資料(ユース部ニュースなど)を作成し、3月中・下旬にかけて常任委員を中心に、支部集会や各職場に出向いての説明を行う。
ユース部では、厳しい環境にあっても、若手職員がやりがいを持ってイキイキと働ける職場づくりを進めていく決意です。皆さんのご協力をお願いします。
【ユース部発】
自治労府職ストライキ批准投票
告示第2号
ストライキ批准投票の結果について
2008年2月19日に実施した「ストライキ批准投票」の投票結果について下記のとおり告示します
記
・投票率 88.18%
・賛成率 92.88%
・批准率 81.90%
以上
2008年2月19日
自治労大阪府職員関係労働組合
スト批准投票選挙管理委員長 宇野 利彦
自治労府職春闘決起集会
「大阪府暫定予算の市町村への影響」
自治労大阪府本部賃金調査部長
高橋 篤さん
三月十三日(木)午後六時四十五分から
新別館北館 四階 多目的ホール
2008年度 自治労(文芸・写真・まんが)コンクール作品募集
1 「文芸」 第22回自治労文芸賞
●募集ジャンルとテーマ
散文の部/フィクション
(短編小説、戯曲、童話など)、ノンフィクション
(ルポタージュ、紀行文、文芸批評など)
詩歌の部/詩・短歌・俳句・川柳
テーマは自由です。未発表(同人誌・機関紙を除く)の作品に限ります。
●原稿の書式
散文は原則として、縦書き1枚20字×20行で50枚以内。詩は原則として、縦書き1行20字で100行以内。短歌・俳句・川柳は30首(句)以内。
●賞と賞金
フィクション、ノンフィクション/
【入選】25万円(1点)
【佳作】5万円(若干数)
詩・短歌・俳句・川柳/
【入選】各5万円(各1点)
【佳作】各2万円(各若干数)
●「入選2回以上ルール」の適用
(文芸賞各ジャンル共通)
入選作品の作者が応募と同じジャンルで過去に2回以上入選している場合、この作品を【特別賞】とし、賞金は半額とします。
●審査員
散文の部/鎌田慧さん、立松和平さん、増田みず子さん、道浦母都子さん(50音順)
詩歌の部/山田隆昭さん(詩)、馬場あき子さん(短歌)、小沢信男さん(俳句)、片柳哲郎さん(川柳)
※文芸のみ、共同・グループでの応募も可。その場合、応募者の中に少なくとも1人は組合員、家族、退職者を含むこと。
2 「写真」第23回写真コンクール
●応募作品(テーマは自由)
応募写真はタイトルのほか、作品に関わるエピソードを必ず記入してください。デジタル撮影についてもプリントでの応募とします。プリントのサイズはキャビネから四切相当で1人3点までとし、カラー、モノクロどちらでも可。組写真は1点で数えます。
●賞と賞金
【特選】20万円(1点)【入選】10万円(1点)【佳作】3万円(3点)【努力賞】1万円(3点)【特別賞】記念品
●審査員
鈴木邦弘さん(写真家)
3 「まんが」2008まんが大笑
●テーマ 「口」(くち、マウス)
●応募作品
新作および自治労県本部、単組などの機関紙誌(2007年6月以降発行)に掲載された既発表作
●笑(賞)と笑(賞)金
【大笑】10万円(1点)
【アイデア笑】【うまいで笑】各3万円(各3点)【もう少笑】【総務報道笑】など各2万円(各3点)
●審査員
佐々木ケンさん(機関紙「じちろう」に「漫画レーダー」を掲載中)
4 応募要項・審査と発表
●応募資格
組合員、家族、退職者(文芸のみ別形式あり)
●締め切り
各コンクールとも2008年5月16日(金)厳守
●応募先
てい送または郵送などで自治労府職まで送付してください
〒540−8570 大阪市中央区大手前2−1−22
大阪府庁内 自治労府職 教宣部あて
●応募上の注意
必ず、応募票を作品に添付してください。応募票が添付されていない作品は審査の対象とならない場合がありますので、ご注意ください。
5 審査と発表
「写真」「まんが」の審査は6月中に行い、機関紙「じちろう」紙上で逐次発表の予定。
「文芸」は第1次審査を6月、最終審査を7月末までに行い、機関紙「じちろう」紙上で8月に発表の予定。
「文芸」「写真」「まんが」の各受賞作品は自治労文芸第23号(10月発行予定)で紹介します。
応募作品の返却はいたしません。出版権は自治労総務報道局に帰属します。
数える
労働安全衛生
時間外労働時間の数字で労災になるか否かを決めるという方法をとったのは、平成13年に改訂された脳・心臓疾患(いわゆる過労死)の認定基準である。
正確には、「発症前1カ月間におおむね100時間または発症前2カ月間ないし6カ月間にわたって、1カ月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合」に、業務との関連性が強いと評価することにしている。
ところで月に残業が100時間を超えるというのは、どういう働き方だろう。
1週の所定労働時間が40時間、認定基準では1カ月を30日と考えるので、7で割って1カ月は4・3週となる。100時間を4・3で割ると、23・25時間。土日が休みとして週5日で、1日平均4時間40分ほどの残業ということになる。所定内8時間とあわせて12時間40分だ。1日24時間の半分以上を仕事に費やす働き方を1カ月続けて心筋梗塞(こうそく)にでもなると、労災と認められることとなる。
と言いたいのだが、行政の基準で数字が出てくると、あくまで細かく数字にこだわるのである。たとえば今のような計算をして、1カ月で基準をわずか30分でも下回れば、労災と認められないことも。「発症前2カ月間ないし6カ月間」で1カ月当たり80時間という基準で計算する場合は、労働時間を順次1カ月ずつ足していって、基準を満たす数字が出てくれば労災と認めるという、まるでゲームのような認定方法がとられている。
労働時間がやたらと長い労働者の過労死は、確かにこの基準で認められやすくなった。
しかし、どうも時間だけが一人歩きをして、その個人が被った過重労働の質が省みられないケースが多いのが気になるところだ。
連合大阪労働安全
衛生センター 参与 西野方庸