機関紙「自治労府職」

 2008年8月11日号外

人事院勧告特集

声明

(1) 人事院は本日、月例給・一時金の改定を据え置く一方、所定勤務時間を1日当たり7時間45分とすることなどの報告・勧告を行った。
 2008人事院勧告期の取組みに当たってわれわれは、公務員給与の社会的合意の再構築と交渉による賃金・労働条件決定制度の確立を基本的課題と位置づけながら、@月例給与の改善勧告A非常勤職員の処遇改善B所定勤務時間を7時間45分とする勧告、などの実現を重点課題に設定し、2次の中央行動や3次の全国統一行動を実施して、公共サービスキャンペーン、公務員制度改革に対する取組みとも連携した闘いを進めてきた。
(2) 本年の勧告において、民間実勢を反映したものとはいえ、月例給与の改定を見送ること、交通用具使用者の通勤手当の引上げを見送ることについては、ガソリンの値上げ、諸物価高騰の下で組合員が生活改善への強い期待を持っていたことからすれば、不満といわざるを得ない。他方、人事院が厳しい見解を示していた中で、一時金の水準が維持されたことは、われわれが最終段階まで粘り強く水準の維持を求めてきた取組みの結果である。
 また、本府省業務調整手当は、@恒常的長時間勤務の解消を優先して取り組むべきであることA職務給の原則から見ても給与制度上大きな問題があること、などから反対してきたことを無視して、一方的に新設勧告を行ったことは遺憾である。住居手当の本年見直しを見送ったことは、われわれの取組みの結果であるが、人事院が報告で来年勧告の強い意向を示したことを踏まえ、より厳しい情勢の下、引き続き十分な交渉・協議と合意を求めていかなければならない。
(3) 本日、人事院が行った所定勤務時間の見直し勧告は、91年の週休二日制勧告以来の勤務時間短縮勧告であり、われわれが休憩・休息時間見直しの際に一体的解決を求め、本年の最重要課題として取り組んできた成果である。公務を巡る情勢は厳しいが、公務員の所定勤務時間を民間企業の勤務時間に合わせるものであり、人事院勧告が労働基本権制約の代償機能であること、政府が進めるワークライフバランス確保の観点からも、政府は直ちに勧告通り実施する閣議決定を行い、勤務時間法の改正法案を臨時国会に提出すべきである。
 超過勤務の実効ある縮減も重要な課題である。本年報告で他律的業務の縮減策として指摘されている「上限目安」は実効性に疑義があることから、幅広い角度から、われわれと十分交渉・協議を行い、合意のもとに実効性のある縮減方策の検討を行うべきである。
(4) 報告で指摘されている非常勤職員の給与決定の指針の発出は、われわれの3年間の取組みの成果として確認できるが、これは問題解決に向けた一歩に過ぎず、非常勤職員等の位置づけや雇用確保に向けて、取組みを強化していく必要がある。
 さらに、給与の地域間配分や能力・実績主義への対応、高齢雇用の実施に伴う給与のあり方の検討が報告されているが、政府の総人件費削減の要請に応えるものであってはならない。とりわけ、高齢雇用の実現は極めて重要な課題であり、研究会における施策の取りまとめを含めて、われわれとの十分な交渉・協議、合意を強く求めるものである。
(5) 秋の臨時国会をめぐっては、与党の「無駄遣い撲滅」を背景とした公務員給与バッシングが強まり、公務員労働者にとって厳しい情勢は継続すると見ておかなければならない。財政再建路線を明確化した第2次福田内閣の下では、公務員給与・総人件費削減政策が強まることは必至である。また、地方分権改革に関わる国の出先機関見直しも年末にかけて大きな山場を迎えることになる。透明で納得性のある人事評価制度の確立も来年の本格実施に向けて、引き続き重要な課題である。
 われわれは、秋季闘争でこうした厳しい情勢を十分認識し、@雇用確保と総人件費削減政策に対する取組みA勤務時間見直しの実現B地方財政危機下にある地方公務員給与の確定、の3つを大きな柱として、取組みを推進する決意である。これから本格化する独立行政法人、政府関係法人等の闘いにおいても統一闘争体制を堅持した取組みを進めることとする。
 また、連合・公務労協に結集し、労働基本権の確立を含む公務の労使関係制度の抜本的改革など公務員制度改革と良質な公共サービス確立の取組みを全力で進めていくものである。
 2008年8月11日
公務員労働組合連絡会



ベア見送り、一時金据置き
勤務時間、週38時間45分に短縮



 人事院は8月11日、内閣総理大臣および両院議長に対して、08年人事院勧告を行った。ベースアップについては、官民較差が極めて微少なものであり、官民給与はほぼ均衡しているとして改定を見送り、一時金についても官民の支給月数が均衡しているとして据え置いた。諸手当では、国の医療機関勤務医を確保する観点から初任給調整手当の引き上げ、本府省業務調整手当の新設などを打ち出した。焦点となっていた国家公務員の週所定内勤務時間については、来年4月から1時間15分短縮して週38時間45分に改定するとの勧告を行った。非常勤職員の処遇改善について、給与決定に関する指針の策定、休暇、健康診断についての検討、任用形態・勤務形態のあり方についての検討を報告で言及した。公務員連絡会は、勤務時間短縮をはじめとする勧告の実施に全力を上げるとの声明を出した。以下、勧告と報告の抜粋。


非常勤職員 給与決定指針を策定


平成20年8月11日
衆議院議長 河野洋平殿
参議院議長 江田五月殿
内閣総理大臣 福田康夫殿
人事院総裁 谷 公士

 人事院は、国家公務員法、一般職の職員の給与に関する法律、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律等の規定に基づき、一般職の職員の給与等について別紙第1のとおり報告するとともに、給与の改定について別紙第2のとおり勧告し、勤務時間の改定について別紙第3のとおり勧告する。あわせて、公務員人事管理について別紙第4のとおり報告する。

別紙第1
職員の給与等に関する報告
第1 公務員制度改革に関する基本認識 …… 略

第2 職員の給与

報告の概要
(民間給与との格差に基づく給与改定)
 国家公務員については、労働基本権が制約されていることの代償措置として、人事院の給与勧告制度が設けられている。この勧告は、国家公務員法に定める情勢適応の原則に基づき、毎年、公務員の給与水準を民間企業従業員の給与水準と均衡させること(民間準拠)を基本に行ってきている。
 公務員給与は、平成14年、平成15年及び平成17年が月例給の引下げ、また、平成11年から平成15年までが5年連続で特別給の年間支給月数の引下げとなっており、一昨年まで年間給与の減少又は据置きが続いていたが、昨年、9年振りに年間給与が若干増加(0・7%)したところである。
 本年においても、民間の4月分の給与及び昨年8月から本年7月までの1年間に支給された特別給を詳細に調査した。特に本年の職種別民間給与実態調査においては、調査対象事業所数を約900事業所増加させ、企業規模100人未満の事業所についてもより綿密に調査を行ったものである。その結果を基に公務員給与との精確な比較を行ったところ、月例給については、公務と民間がほぼ均衡していることが明らかとなった。また、特別給については、民間の年間支給割合が公務の年間支給月数とおおむね均衡していた。
 そこで、本年は、このような公務員給与と民間給与との比較の結果を踏まえ、月例給及び特別給について水準改定を行わないこととした。ただし、医師の給与については、国の医療施設における勤務医の確保が重要な課題となっており、適切な給与水準を確保する必要があることから、所要の改定を行うこととした。

(給与構造改革)
 給与構造改革は、平成18年度から平成22年度までの5年間で、地域の民間賃金をより適切に反映させるための地域間給与配分の見直し、年功的な給与上昇の抑制、職務・職責に応じた俸給構造への転換、勤務実績の給与への反映の推進などを逐次実現しようとするものである。このため、平均4・8%の俸給表の水準引下げを段階的に実施する一方で、この俸給表水準の引き下げ分を原資として、改革を進めるための措置を講ずることとしており、平成21年度においては本府省業務調整手当の新設及び地域手当の支給割合の改定を行うこととしている。本府省業務調整手当は、国家行政施策の企画・立案、諸外国との折衝、関係府省との調整、国会対応等の本府省の業務に従事する職員の業務の特殊性・困難性を踏まえ、近年、各府省において本府省に必要な人材を確保することが困難になっている事情を併せ考慮し、本府省の課長補佐、係長及び係員を対象に支給するものである。

1 給与勧告の基本的考え方 …… 略

2 民間給与との較差に基づく給与改定
(1) 公務員給与と民間給与の実態
ア 公務員給与の状況
 本院は、「平成20年国家公務員給与等実態調査」を実施し、一般職の職員の給与に関する法律が適用される常勤職員の給与の支給状況等について全数調査を行った。その結果、本年の民間給与との比較対象である行政職俸給表(一)適用者(16万2960人、平均年齢41・1歳)の本年4月における平均給与月額は38万7506円となっており、税務署職員、刑務官等を含めた職員全体(28万2546人、平均年齢41・6歳)では40万3984円となっている。

イ 民間給与の状況
(ア) 職種別民間給与実態調査
 本院は、企業規模50人以上、かつ、事業所規模50人以上の全国の民間事業所約5万2500(母集団事業所)のうちから、層化無作為抽出法によって抽出した1万1037の事業所を対象に、「平成20年職種別民間給与実態調査」を実施した。調査では、公務の行政職俸給表(一)と類似すると認められる事務・技術関係22職種の約38万人及び研究員、医師等56職種の約6万人について、本年4月分として個々の従業員に実際に支払われた給与月額等を実地に詳細に調査した。また、各民間企業における給与改定の状況や、雇用調整の実施状況等についても調査を実施した。
 職種別民間給与実態調査については、昨年よりも調査対象事業所数を約900事業所増加させたところではあるが、調査完了率は、調査の重要性に対する民間事業所の理解を得て、89・0%と極めて高いものとなっており、調査結果は広く民間事業所の給与の状況を反映したものとなっている。

(イ) 調査の実施結果等
 本年の職種別民間給与実態調査の主な調査結果は次のとおりである。
a 本年の給与改定の状況
(初任給の状況)
 新規学卒者の採用を行った事業所は、大学卒で38・8%(昨年40・0%)、高校卒で18・4%(同18・5%)となっている。また、新卒事務員・技術者の初任給の平均額は、大学卒で19万6280円(同19万5048円)、高校卒で15万7429円(同15万6472円)となっている。

(給与改定の状況)
 別表第1に示すとおり、民間事業所においては、一般の従業員について、ベースアップの慣行のない事業所の割合が57・8%(昨年57・9%)となっており、ベースアップを実施した事業所の割合は29・3%(同28・1%)となっている。
 また、別表第2に示すとおり、一般の従業員について、定期に行われる昇給を実施した事業所の割合は75・8%(昨年74・1%)となっているが、昇給額が昨年に比べて増額となっている事業所の割合が29・6%(同33・2%)と昨年に比べて減少しているのに対し、減額となっている事業所の割合は8・2%(同5・5%)と増加している。

b 雇用調整の実施状況
 民間事業所における雇用調整の実施状況をみると、平成20年1月以降に雇用調整を実施した事業所の割合は14・9%となっており、昨年(16・4%)に比べて減少している。雇用調整の措置内容をみると、部門の整理・部門間の配転(6・1%)、採用の停止・抑制(4・5%)、残業の規制(3・6%)の順になっている。

(2) 民間給与との比較
ア 月例給
 本院は、国家公務員給与等実態調査及び職種別民間給与実態調査の結果に基づき、公務においては行政職俸給表(一)、民間においては公務の行政職俸給表(一)と類似すると認められる職種の者について、給与決定要素を同じくすると認められる者同士の4月分の給与額を対比させ、精密に比較(ラスパイレス方式)を行った。その結果、別表第4に示すとおり、公務員給与と民間給与の較差は136円(0・04%)となっている。

イ 特別給
 本院は、職種別民間給与実態調査により民間の特別給(ボーナス)の過去1年間の支給実績を精確に把握し、これに職員の特別給(期末手当・勤勉手当)の年間支給月数を合わせることを基本に勧告を行っている。
 本年の職種別民間給与実態調査の結果、昨年8月から本年7月までの1年間において、民間事業所で支払われた特別給は、別表第5に示すとおり、所定内給与月額の4・50月分に相当しており、職員の期末手当・勤勉手当の年間の平均支給月数(4・50月)とおおむね均衡している。

(3) 本年の給与の改定
ア 改定の基本方針
 前記のとおり、本年4月時点で、公務員の月例給与が民間給与を136円(0・04%)下回っていることが判明した。
 本院としては、以下の事情を総合的に勘案した結果、本年は、行政職俸給表(一)適用職員について、月例給の改定を行わないことが適切であると判断した。
(ア) 俸給表については、本年の較差が極めて小さく、適切な改定を行うには十分でないこと。
(イ) 諸手当については、民間の各手当の支給状況等を踏まえると、今回のような極めて小さな較差の中で改定する特段の必要性は認められないこと。
(ウ) 平成13年のように、特例一時金で改定を行うこととしても、額が極めて小さいことに比べて、算定事務、支給事務等の負担が大きいこと。

 特別給については、前記のとおり、民間の年間支給割合が公務の年間支給月数とおおむね均衡していたことから、期末手当及び勤勉手当の支給月数の改定を行わないこととした。指定職俸給表適用職員の期末特別手当については、昨年、一般の職員の勤勉手当の支給月数の引上げとの均衡を考慮して0・05月分の引上げを勧告したところであるが、改定が見送られている。本年は、一般の職員について民間の支給割合と公務の支給月数がおおむね均衡しているものの、民間の支給割合が昨年を下回ったこと等を考慮し、今回は、支給月数の引上げは行わないこととした。

 以上のように、本年は、行政職俸給表(一)適用職員について月例給及び特別給の水準改定は行わないこととした。また、行政職俸給表(一)以外の俸給表適用職員についても、行政職俸給表(一)適用職員との均衡を考慮し、水準改定を行わないこととしたが、医師の給与については、国の医療施設における勤務医の確保が重要な課題となっており、適切な給与水準を確保する必要があることから、イに示すとおり、初任給調整手当の改定を行うこととした。このほか、給与構造改革に関して、3に示すとおり改定を行うこととした。

イ 改定すべき事項
(医師の給与)
 病院等に勤務する医師の確保が社会的な問題となっている。公務においても民間においても、勤務医を確保するためには、勤務条件や勤務環境を改善し、勤務に魅力を与えるなどの措置がとられているが、とりわけ適切な給与水準の確保が必要となる。国立高度専門医療センター、国立ハンセン病療養所等の国の医療施設においても、勤務医の確保は重要な課題となっている。これらに勤務する医師の年間給与をみると、別表第6に示すとおり、民間病院や独立行政法人国立病院機構に勤務する医師の給与を大きく下回っており、その状況は看過できないものとなっている。そこで、平成16年3月まで同じ国立病院であった独立行政法人国立病院機構の医師の給与と均衡するよう年間給与を平均で約11%引き上げることが適当と認められる。
 具体的には、若手から中堅の医師の人材確保を図るため、初任給調整手当について、最高支給限度額を10万4000円引き上げるとともに、国立高度専門医療センターに勤務する者については、現在適用されている初任給調整手当の「職員の区分」を1段階高い区分に引き上げることとする。
 以上の措置は、平成21年4月1日から実施することとする。

ウ その他の課題

(ア) 住居手当
 自宅に係る住居手当については、平成15年に住宅の新築・購入後5年に限り支給されるもののみを残して廃止したところではあるが、存置した現行の手当についても、財形持家個人融資の利用者が相当減少し、その意義が薄れていることから、来年の勧告に向け、廃止の検討を進めるものとする。また、借家・借間に係る住居手当については、高額家賃を負担している職員の実情を踏まえた手当の在り方について、引き続き検討を進めることとする。

(イ) 単身赴任手当
 単身赴任手当については、単身赴任に伴う経済的負担の実情及び民間における同種手当の支給状況を考慮して、その改善について検討する。

(ウ) 併任されている職員に係る手当の取扱い
 併任されている職員に係る地域手当等の手当の支給については、これまで、本務の官職に基づいて行われているところであるが、相当の期間にわたって専ら併任先の官職の職務に従事する職員について、別紙第4の1(6)でも述べるように、このような形態の併任をできる限り解消していく取組を進めつつ、これらの職員の職務従事の実態にかんがみ、併任先の官職に基づいて行うことを検討することとする。

(エ) 非常勤職員の給与
 一般職非現業の国家公務員には非常勤職員が約14万4000人(総務省「一般職国家公務員在職状況統計(平成19年7月1日現在)」)おり、委員、顧問、参与等の諮問的非常勤職員、再任用短時間勤務職員及び任期付短時間勤務職員を除くと約12万人(うち事務補助職員約2万1000人)となっている。
 事務補助職員等の非常勤職員の給与については、昨年の勧告時の報告において問題を指摘し、必要な方策について検討していく旨を表明したところである。
 本院が各府省から非常勤職員がどのような職務に従事し、どのような給与決定方式、給与水準となっているのかについてヒアリングを行ったところ、例えば係員を補佐する事務補助の職務に従事する非常勤職員について、府省や官署によって決定方法が異なり、結果として均衡がとれていない状況にあることなどが認められた。こうした状況を改善するため、本院としては、一般職の職員の給与に関する法律第22条第2項の規定に基づき各庁の長が非常勤職員の給与を決定する際に考慮すべき事項を示す指針を策定することとする。指針においては、基本となる給与について、当該非常勤職員の職務と類似する職務の常勤職員に適用されている俸給表の1級の初号の俸給月額を基礎として、職務内容、在勤する地域及び職務経験等の要素を考慮して決定すること等を示すこととする。
 また、これらの非常勤職員の中には、業務面からみると、恒常的に必要と考えられる業務(補助的な業務を含む。)を代替している者、一時的に生じた業務処理に当たる者など様々な者が含まれている。現在の非常勤職員制度は、臨時的に生じる多様な業務や短時間の業務に対して弾力的に対処することを可能とするためのものであるが、現状の運用にはこうした本来の非常勤職員制度の趣旨に沿わない面も見受けられる。これらについては、雇用期間や任用形態の問題、常勤職員との処遇の不均衡等も指摘されている。
 本院としては、給与に関する指針の策定に加え、休暇及び健康診断の在り方について検討を行うとともに、任用形態・勤務形態の在り方についても問題意識を持って考えていきたい。
 非常勤職員の問題は、業務運営の方法、組織・定員管理、予算、人事管理方針などと密接不可分な関係にあることから、今後においては、政府全体として、必要に応じて職務の実態把握を行いながら、非常勤職員の在り方をどのようにしていくのかについて幅広く検討を進めていくことが必要と考える。

(オ) 独立行政法人等への協力
 本院は、主務大臣、独立行政法人、国立大学法人及び特殊法人等が行っている給与水準の公表に当たって、各法人の給与水準の国家公務員との比較指標等を作成し、提供してきている。本院としては、今後とも、専門機関として、独立行政法人等における給与水準の在り方等の検討において、適切な協力を行うこととする。

3 給与構造改革 …… 略

4 給与勧告実施の要請
 人事院の給与勧告制度は、労働基本権を制約されている公務員の適正な処遇を確保するため、情勢適応の原則に基づき公務員の給与水準を民間の給与水準に合わせるものとして、国民の理解と支持を得て、公務員給与の決定方式として定着している。
 公務員は、離島やへき地を含め全国津々浦々で、国民生活の維持・向上、生命・財産の安全確保等の職務に精励している。近年、行政ニーズが増大し、複雑化する下において、効率的な業務遂行と行政サービスの一層の向上が求められる中で、個々の職員が高い士気をもって困難な仕事に立ち向かうことが強く求められており、公務員給与は、そのような職員の努力や実績に的確に報いていく必要がある。
 民間準拠により公務員給与を決定する仕組みは、公務員に対し国民から支持される納得性のある給与水準を確保し、前述のような職員の努力や実績に報いるとともに、人材の確保や労使関係の安定などを通じて、行政運営の安定に寄与するものである。
 国会及び内閣におかれては、このような人事院勧告制度の意義や役割に深い理解を示され、別紙第2の勧告どおり実施されるよう要請する。
第3
職員の勤務時間
(これまでの経緯)
 職員の勤務時間については、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律において規定されている。本院は、中立第三者機関として、職員の適正な勤務条件を確保する責務を有しており、これまでも、勤務時間等に関する制度について必要な調査研究を行い、その結果を国会及び内閣に同時に報告するとともに、同法の改正を国会及び内閣に対して求めてきている。
 職員の勤務時間(始業時刻から終業時刻までの時間から休憩時間を除いた時間)は、平成4年の完全週休2日制の導入以降、1日当たり8時間、1週間あたり40時間となっているが、近年の民間企業の所定労働時間の状況にかんがみ、平成19年の勧告時の報告において、本年を目途として、所要の準備を行った上で、民間準拠を基本として勤務時間の見直しに関する勧告を行うこととしたい旨言及したところである。

1 民間企業の所定労働時間の状況
(1) 所定労働時間の調査
 国家公務員の勤務時間は、給与と同様に基本的な勤務条件であり、国家公務員法に定める情勢適応の原則に基づき、民間と均衡させることを基本として定めるべきものである。
 その際、勤務時間が業務運営の基礎であることを考えると、これを頻繁に改定することは適当ではなく、民間企業の所定労働時間を一定期間にわたって調査し、そのすう勢を見極めることが必要である。
 本院は、平成16年から民間企業の所定労働時間の状況を把握しているところであるが、本年も、企業規模50人以上、かつ、事業所規模50人以上の全国の民間事業所のうちから、層化無作為抽出法によって抽出した事業所を対象として、「平成20年職種別民間給与実態調査」を実施し、公務における代表的な執務形態と同様の執務形態である民間企業の事務・管理部門について、1日及び1週間当たりの所定労働時間を調査した。

(2) 所定労働時間の調査結果
 本年の調査結果によれば、民間企業の所定労働時間は、1日当たり7時間45分、1週間当たり38時間49分となっている。また、平成16年から本年までの調査結果は安定的に推移してきており、その平均値を算出すると、1日当たり7時間44分、1週間当たり38時間48分となっている。
 これらのことから、民間企業における所定労働時間は、職員の勤務時間と比較して1日当たり15分程度、1週間当たり1時間15分程度短くなっており、その水準で定着していると考えられる。
 なお、民間企業における所定労働時間の設定状況を見ると、15分刻みの時間で設定しているところが多く、労働時間を管理する観点から、ある程度区切りの良い時間を単位として労働時間を設定しているものと考えられる。

2 勤務時間を短縮した場合の影響
 民間企業の所定労働時間の状況を踏まえ、職員の勤務時間の短縮を行うこととする場合には、窓口業務や交替制等勤務などの執行業務をはじめとして、企画立案業務も含めた行政サービスに与える影響を考慮する必要がある。

(1) 行政サービスの維持
ア 基本的考え方
 勤務時間の短縮に当たっては、これまで行政サービスを維持し、かつ、行政コストの増加を招かないことを基本とすべきである。
 民間企業においても、所定労働時間を短縮する場合には、従来の業務処理量を維持しつつ所定外労働時間や休日出勤が増加しないよう、生産性を向上させることが一般的とされており、公務においても、同様の考え方に立って勤務時間を短縮した場合には、公務能率の一層の向上に努め、行政サービスを維持するとともに行政コストの増加を招かないことが重要である。

イ 各府省の対応
 勤務時間の短縮が行政サービスに与える影響等について聴取したところ、各府省は、業務の合理化・効率化や勤務体制の見直し等の所要の準備を行うことにより、現在の予算や定員の範囲内で、業務遂行に影響を与えることなく対応が可能であるとしている。
 国民に直接行政サービスを提供する窓口業務については、これまでも各府省において、窓口の受付終了時刻の繰下げや昼休みの窓口対応の拡充に努めてきているところである。職員の勤務時間を1日当たり15分短縮することとした場合、昼の休憩時間を15分延長するのか、終業時刻を15分繰り上げるのか等については、各府省において業務の運営等を考慮して決めることとなるが(現在、昼の休憩時間は、原則60分としているが、特例として設定できる45分となっている官署が全体の5分の4を占めている。)、昼の休憩時間を15分延長しても来庁者等には交替で対応を行うことなどにより、また、終業時刻を15分繰り上げても窓口の受付終了時刻は現行どおりとすることなどにより、これまでと同様の対応が可能であるとしている。
 24時間体制など複数の職員が交替して勤務する職場においても、休憩時間・休息時間の置き方など勤務体制の見直しを行うことにより、業務運営に支障を来すことなく勤務時間の短縮を行うことが可能であるとしている。
 なお、船員については、海上勤務の特殊性から、勤務時間の短縮に伴い職員の出動や待機の日数に影響が生ずる場合には、これまでの1週間当たりの勤務時間を維持する必要があるとしている。

ウ 仕事の進め方や働き方の見直し
 勤務時間の短縮に当たっては、公務能率の一層の向上に努める必要がある。そのため、職員一人一人が仕事の進め方や働き方を点検し、最大限の能率を発揮するよう努めるとともに、特に組織全体を管理・監督する立場にある幹部職員は、業務運営の在り方を見直すなど、公務の能率的な運営を確保するよう努めるべきである。

(2) 国家公務員の仕事と生活の調和
 近年、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の重要性が指摘されている。昨年12月には「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」等が政府において決定されており、その実現に向けた取組を官民が一体となって効果的に展開することが求められていることから、国家公務員の勤務時間についても、仕事と生活の調和という観点からその在り方について考えることが重要である。
 勤務時間を民間企業の所定労働時間に準拠して短縮することは、家庭生活や地域活動の充実など、広く仕事と生活の調和に寄与すると考える。 …… 略

3 勤務時間の改定
(1) 改定の基本方針
 1で述べたように、民間企業の所定労働時間は、職員の勤務時間と比較して1日当たり15分程度、1週間当たり1時間15分程度短くなっており、その水準で定着している。
 これとの均衡を図ることとした場合、公務能率の一層の向上に努めることにより、行政サービスや行政コストに影響を与えることなく、勤務時間の短縮を行うことが可能であると考えられる。
 また、勤務時間の短縮は、仕事と生活の調和にも寄与するものである。
 本院としては、以上のような点を考慮し、職員の勤務時間を1日当たり7時間45分、1週間当たり38時間45分に改定することが適当であると考える。

(2) 改定すべき事項
 職員の勤務時間を1週間当たり38時間45分とし、各省各庁の長が、1日につき7時間45分を月曜日から金曜日までの5日間において割り振るものとする。
 なお、船員の勤務時間については、1週間当たり40時間までの範囲内で延長できることとし、この場合、1日につき8時間までの範囲内とすることができる特例を設ける。
 これに伴い、再任用短時間勤務職員の勤務時間、育児短時間勤務職員の勤務形態及び並立任用並びに任期付短時間勤務職員の勤務時間についても所要の措置を講ずる。
 任期付研究員が裁量による勤務をする場合には、1日につき7時間45分の勤務時間を割り振られたものとみなす。
 再任用短時間勤務職員、育児短時間勤務職員及び任期付短時間勤務職員の超過勤務手当の支給割合については、正規の勤務時間と超過勤務の時間との合計が7時間45分に達するまでは、100分の100とする。

(3) 実施時期
 平成21年4月1日から実施する。

4 勤務時間の改定に関する勧告実施の要請
 昨今の公務を取り巻く厳しい状況の中にあって、勤務時間の短縮を行うに当たっては、職員一人一人が服務規律や公務員倫理を遵守することはもちろんのこと、仕事の進め方や働き方を見直して、国民に対する行政サービスを維持・向上させるよう努めることが不可欠である。すべての職員は、この点を念頭に置いて一層職務に精励する必要がある。
 国家公務員の勤務時間は基本的な勤務条件であり、民間準拠の考え方に基づいて勤務時間を適切に設定することは、職員の勤務意欲の向上や労使関係の安定などを通じて行政運営の安定に寄与するものである。
 国会及び内閣におかれては、このような勤務時間の改定に関する勧告の意義や役割に深い理解を示され、別紙第3の勧告どおり実施されるよう要請する。


別紙第2
職員の給与の改定に関する勧告
 次の事項を実現するため、一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)を改正することを勧告する。

T 医師の給与改定のための一般職の職員の給与に関する法律の改正
 初任給調整手当について、医療職俸給表(一)の適用を受ける医師及び歯科医師に対する支給月額の限度を41万900円とすること。

U 給与構造改革のための一般職の職員の給与に関する法律の改正
1 新たに本府省業務調整手当を設け、行政職俸給表(一)、専門行政職俸給表、税務職俸給表、公安職俸給表(一)、公安職俸給表(二)又は研究職俸給表の適用を受ける職員(俸給の特別調整額を支給される職員を除く。)が、次に掲げる業務に従事する場合に支給すること。
(1) 国の行政機関の内部部局又はこれに相当する組織として人事院規則で定めるもの(1において「内部部局等」という。)の業務(内部部局等の主たる庁舎が所在する地域以外の地域に所在する官署における業務であって、内部部局等の固有の業務と同様の業務の特殊性若しくは困難性又はその業務に従事する職員の確保の困難性が認められない業務として人事院規則で定めるものを除く。)
(2) 内部部局等以外の組織の業務であって、(1)の業務に類するものとして人事院規則で定める業務
 なお、これに伴い、管理職員特別勤務手当が支給され、並びに超過勤務手当、休日給及び夜勤手当が支給されないこととなる職員を、俸給の特別調整額を支給される職員、専門スタッフ職俸給表の適用を受ける職員でその職務の級が2級以上であるもの及び指定職俸給表の適用を受ける職員とするとともに、所要の経過措置を講ずること。

2 本府省業務調整手当の支給月額は、行政職俸給表(一)の適用を受ける職員にあっては当該職員の属する職務の級、専門行政職俸給表、税務職俸給表、公安職俸給表(一)、公安職俸給表(二)又は研究職俸給表の適用を受ける職員にあっては当該職員の属する職務の級に相当すると認められる行政職俸給表(一)の職務の級であって人事院規則で定めるものにおける最高の号俸の俸給月額に100分の10を乗じて得た額を超えない範囲内で人事院規則で定める額とすること。

V 人事評価の実施に伴う一般職の職員の給与に関する法律の改正 …… 略

W 改定の実施時期
 この改定は、平成21年4月1日から実施すること。ただし、Vについては、人事評価の実施の日から実施すること。


別紙第3
職員の勤務時間の改定に関する勧告
 次の事項を実現するため、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律(平成6年法律第33号)、一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)、国家公務員の育児休業等に関する法律(平成3年法律第109号)及び一般職の任期付研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に関する法律(平成9年法律第65号)を改正することを勧告する。

1 一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の改正
(1) 1週間の勤務時間
 ア 職員の勤務時間は、1週間当たり38時間45分とすること。
 イ 再任用短時間勤務職員の勤務時間は、アにかかわらず、1週間当たり15時間30分から31時間までの範囲内で、各省各庁の長が定めること。
(2) 勤務時間の割振り
 各省各庁の長は、月曜日から金曜日までの5日間において、1日につき7時間45分の勤務時間を割り振るものとすること。ただし、再任用短時間勤務職員については、1週間ごとの期間について、1日につき7時間45分を超えない範囲内で勤務時間を割り振るものとすること。
(3) 船員の勤務時間の特例
 各省各庁の長は、船舶に乗り組む職員(再任用短時間勤務職員を除く。)について、人事院と協議して、(1)のアの勤務時間を1週間当たり1時間15分を超えない範囲内において延長することができること。この場合において、各省各庁の長は、公務の運営上の事情により特別の形態によって勤務する必要のあるときを除き、1日につき7時間45分にその延長した時間の5分の1を超えない範囲内において各省各庁の長が定める時間を加えた時間の勤務時間を割り振るものとすること。
 なお、週休日の振替等に関する特例は、廃止すること。

2 一般職の職員の給与に関する法律の改正
 再任用短時間勤務職員が、正規の勤務時間が割り振られた日のうち休日給が支給されることとなる日以外の日において、正規の勤務時間を超えてした勤務のうち、超過勤務手当の支給割合を100分の100とする勤務は、正規の勤務時間との合計が7時間45分に達するまでの間の勤務とすること。

3 国家公務員の育児休業等に関する法律の改正
 …… 略

4 一般職の任期付研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に関する法律の改正
 …… 略

5 改定の実施時期
 この改定は、平成21年4月1日から実施すること。


別紙第4
公務員人事管理に関する報告
 …… 略


給与勧告の骨子

○本年の給与勧告のポイント〜月例給、ボーナスともに本年は水準改定なし〜
@ 民間給与との較差(0.04%)が極めて小さいことから、月例給の水準改定は行わないが、医師の給与については特別に改善
A 期末・勤勉手当(ボーナス)も民間の支給割合とおおむね均衡し、改定なし
B 給与構造改革の着実な実施―本府省業務調整手当を新設

T 給与勧告の基本的考え方
 <給与勧告の意義と役割> 勧告は、労働基本権制約の代償措置として、職員に対し適正な給与を確保する機能を有するものであり、能率的な行政運営を維持する上での基盤
 <民間準拠の考え方> 国家公務員の給与は、市場原理による決定が困難であることから、労使交渉等によって経済・雇用情勢等を反映して決定される民間の給与に準拠して定めることが最も合理的

U 民間給与との較差に基づく給与改定
 1 民間給与との比較
 約11,000民間事業所の約44万人の個人別給与を実地調査(完了率89.0%) 
   ※調査対象事業所数を約900事業所増加させ、企業規模100人未満の事業所もより綿密に調査

  <月例給> 公務と民間の4月分給与を調査し、主な給与決定要素である役職段階、年齢、学歴、勤務地域の同じ者同士を比較
   ○民間給与との較差 136円 0.04%
           〔行政職(一)…現行給与 387,506円 平均年齢 41.1歳〕
    ※俸給表については較差が極めて小さく適切な改定には十分でないこと、諸手当についても改定する特段の必要性は認められないこと等を勘案して、本年は月例給の水準改定を行わない
   ○医師の給与の特別改善(平成21年4月1日実施)
     国の医療施設における勤務医の確保が重要な課題となる中で、国の医師の給与は、民間病院や独立行政法人国立病院機構に勤務する医師の給与を大きく下回っており、若手・中堅医師の人材確保のため初任給調整手当を改定(年間給与を独立行政法人国立病院機構並みに平均で約11%引上げ)
  <ボーナス> 昨年8月から本年7月までの1年間の民間の支給実績(支給割合)と公務の年間支給月数を比較
   ○民間の支給割合 公務の支給月数(4.50月)とおおむね均衝
 2 その他の課題
  (1) 住居手当     自宅に係る住居手当は来年の勧告に向けて廃止を検討
             借家・借間に係る住居手当は高額家賃負担職員の実情を踏まえ、引き続き検討
  (2) 単身赴任手当   経済的負担の実情、民間の同種手当の支給状況を考慮して改善を検討
  (3) 非常勤職員の給与 各庁の長が給与を決定する際に考慮すべき事項を示す指針を策定
             非常勤職員の問題は、今後は政府全体としてその在り方をどのようにしていくのか幅広く検討を進めていく必要

V 給与構造改革
 ・ 俸給制度、諸手当制度全般にわたる改革を進めてきており、地域間給与配分の見直しや年功的な給与上昇の抑制などを着実に実施
 ・ 給与構造改革期間終了後は、地域間の配分の在り方の検討、給与における能力・実績主義を一層推進する観点から必要に応じた見直しの検討、これらに加え、60歳台前半における雇用問題の検討に併せて60歳前も含めた給与水準及び給与体系の在り方についても検討することとし、これらの諸課題に対応すべく総合的な検討を行っていく必要があり、その準備を進める
 1 平成21年度において実施する事項
  (1) 本府省業務調整手当の新設
    国家行政施策の企画・立案、諸外国との折衝、関係府省との調整、国会対応等の本府省の業務の特殊性・困難性を踏まえ、近年、各府省において本府省に必要な人材の確保が困難になっている事情を併せ考慮し、現行の本府省の課長補佐に対する俸給の特別調整額を廃止した上で、本府省の課長補佐、係長及び係員を対象とした本府省業務調整手当を新設(平成21年4月1日実施)
   ・行政職俸給表〔一〕適用職員の手当額
    課長補佐…現行の俸給の特別調整額の額に、当該額に100分の18(平成21年度は100分の17)を乗じて得た額を加えた額に相当する定額
    係長以下…各職務の級の人員分布の中位に当たる号俸の俸給月額に、係長にあっては100分の4(平成21年度は100分の2)、係員にあっては100分の2(平成21年度は100分の1)を乗じて得た額に相当する定額
  (2) 地域手当の支給割合の改定
    地域手当は、平成22年度までの間に段階的に改定することとしており、平成21年4月1日から平成22年3月31日までの間の暫定的な支給割合を設定
 2 勤務実績の給与への反映の推進
   新たな人事評価制度の導入に伴い、以下のとおり措置
  ・ 直近の評価結果等を昇給や勤勉手当の勤務成績判定、期末特別手当に活用
  ・ 評価結果に基づく勤務成績が不良である者に対して降給・降格の仕組みを整備
    人事評価の実施後、評価結果が確定したときには、直ちにこれを活用するものとするよう措置。本府省以外の職員に係る活用は、直ちに活用できる場合を除き、その1年後から開始


勤務時間に関する勧告の骨子
○勤務時間に関する勧告のポイント
職員の勤務時間を1日7時間45分、1週38時間45分に改定(平成21年4月実施)
・職員の勤務時間は民間と均衡させるべきもの。民間の労働時間は職員の勤務時間より1日15分程度、1週1時間15分程度短い水準で安定
・勤務時間の短縮に当たっては、これまでの行政サービスを維持し、かつ、行政コスト増加を招かないことが基本。公務能率の一層の向上に努める必要
・勤務時間の短縮は、仕事と生活の調和にも寄与

(これまでの経緯)
 職員の勤務時間は、現在、1日8時間、1週40時間。近年の民間企業の所定労働時間の状況にかんがみ、昨年の勧告時の報告で、本年を目途として勤務時間見直しの勧告を行うこととしたい旨言及

1 民間企業の所定労働時間の状況
 ・ 勤務時間は給与と同様に基本的な勤務条件であり、民間と均衡させることが基本。その際、勤務時間は業務運営の基礎であり、民間企業の所定労働時間のすう勢を見極めることが必要
 ・ 企業規模・事業所規模50人以上の事業所を対象として事務・管理部門の所定労働時間を調査
 ・ 本年の調査結果は1日7時間45分、1週38時間49分。平成16年から本年までの調査結果は安定的に推移しており、その平均は1日7時間44分、1週38時間48分。職員の勤務時間より1日15分程度、1週1時間15分程度短い水準で定着
 ・ 多くの民間企業が、労働時間管理のため、区切りの良い15分刻みで所定労働時間を設定
2 行政サービスの維持
 ・ これまでの行政サービスを維持し、かつ、行政コストの増加を招かないことが基本
 ・ 各府省は、業務の合理化・効率化や勤務体制の見直し等により、現在の予算や定員の範囲内で、業務遂行に影響を与えることなく対応が可能
 ・ 職員一人一人が仕事の進め方や働き方を点検するなど、公務能率の一層の向上に努める必要
3 仕事と生活の調和
 ・ 勤務時間の短縮は、家庭生活や地域活動の充実など、広く仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に寄与
4 勤務時間の改定
 ・ 職員の勤務時間を1日7時間45分、1週38時間45分に改定することが適当。
 ・ これに伴い、船員、再任用短時間勤務職員、育児短時間勤務職員、任期付短時間勤務職員及び任期付研究員の勤務時間について所要の措置を講ずる
 ・ 平成21年4月1日から実施


公務員制度改革及び公務員人事管理
 中立・公正性の確保、基本権制約の代償の役割を担う中立第三者機関・専門機関として積極的に改革に取組

T 公務員制度改革に関する基本認識
 国民本位の公務員制度改革を進めるに当たり、次の4点の実現が肝要
 第1 公務及び公務員に対する国民の信頼の回復が急務
  ・ 人事管理システム全体の総点検により早急な信頼回復に着手
 第2 時代の変化に適合する有効な人事管理システムの再構築
  ・ 政官、官民の役割分担等を前提に、採用から退職までの人事管理諸制度を総合的に検討
 第3 高い専門性をもって職務を遂行するとの職業公務員制度の基本を生かした改革の推進
  ・ 制度及び運用の一体的改革が不可欠。運用改善・意識改革には直ちに着手
  ・ 幹部職員等を対象とした新たな制度や労働基本権の検討の際の着眼点について論及
 第4 公務員が使命感を持って全力で職務に取り組めるよう意識改革を徹底

U 公務員人事管理に関する報告
1 人材の確保・育成
 (1) 採用試験の基本的な見直し―高い資質と使命感を有する人材の確保が引き続き重要
  ・ 基本法の制定、人材供給構造の変化を踏まえ、採用試験の基本的見直しに向け、専門家会合を開催し、各試験の意義、検証すべき能力・手法等について、検討に着手
  ・ 今後の中途採用試験の在り方も念頭に、「経験者採用システム」の一層の活用
 (2) 幹部要員の確保・育成
  ・ 幹部要員をはじめとする職業公務員の人材育成の在り方について、研究会を開催し、高い使命感を持つ行政官の確保・育成に向けて検討に着手
  ・ 基本法による新制度発足前においても、思い切った能力実績に応じた人事運用への転換が必要
    課長補佐級への昇任から適格性を厳正に判断、課長級への昇任時には従来以上に厳しく適任者を選抜。併せて、U・V種等採用職員の一層の登用推進
 (3) 人事交流の推進
   円滑な官民交流に資するよう、官民人事交流法に基づく交流基準等について必要な見直し
 (4) その他 女性の採用・登用の拡大。昨年の国公法改正を踏まえた任免規則の整備
   分限について、新たな人事評価の導入に伴い、規則・指針の整備等
2 能力及び実績に基づく人事管理の推進―新たな人事評価制度の活用
  評価結果の人事管理への活用の基本的な枠組みを提示(昇任、昇格、昇給、ボーナスに加え、免職・降任・降格・降給処分や人材育成にも活用)。試行結果も踏まえ、評価制度の施行までに制度整備
3 仕事と生活の調和に向けた勤務環境の整備
 ・ 本府省の超過勤務縮減のため、政府全体として計画的な在庁時間削減に取り組むことが必要
  他律的業務に係る超過勤務について、業務の改善・合理化の徹底及び縮減策等の検討
 ・ 育児休業等の制度の周知や利用モデルの提示など職員のニーズに合わせた両立支援を推進
 ・ 心の疾病の予防や早期発見のための情報の提供、気軽に相談できる体制の整備等を検討
4 退職管理 〜高齢期の雇用問題〜
  65歳までの段階的定年延長を中心に検討。その際、再任用との組合せ、役職定年制の併用、外部との人事交流の促進、高齢期の職員のための職域の開発、給与総額増大の回避の方策なども検討