選 球 眼
senkyugan  2004.6

2004.6.1

イラクで日本人フリージャーナリスト2人が死亡した。昨年11月の外交官殺害に続いての事件で、現地がいまも戦場であることを再認識させられた

◆亡くなった1人、橋田信介さんはベテランの戦場カメラマンとしてベトナム戦争以降、カンボジアやボスニア、アフガニスタンなど戦場を転々とし、今回は戦闘に巻き込まれ、目にケガをした少年を日本で治療させるためにイラク入りした

◆犯行グループは銃撃の際に「米国の手先」と語ったと言う。それは、イラク占領を続ける米英軍に加担する日本に対しての言葉なのだろうか。いずれにしても、その言葉からは憎しみの感情がにじみでている

◆4月には138人の米兵と、1361人のイラク人が死亡するなど、現地の治安情勢の悪化は深刻だ。しかし、戦闘が激しさを増すほど、現地から戦争の真実を伝えるジャーナリストの役割は重要だ。志半ばで亡くなった2人のご冥福と、一刻も早い戦争の終結を心から祈る。(K)
2004.6.11

5万5千人の大きな組織が揺れている。人命を奪い、ウソにウソを重ね、社会の信頼を失った組織の危機的状況は、元社長が逮捕される事態にまで発展した

◆2002年に発生した三菱自動車工業による大型トラックのタイヤ脱落事故は、組織の隠ぺい体質を明らかにした。事故の後も「整備不良が原因」と自社の責任を認めず、責任を他者に転嫁し続け、内部では会議の議事録改ざんの疑いも持たれている

◆人命を最優先しなければならない自動車メーカーによる組織的な欠陥隠しは、消費者の厳しい目にさらされ、販売台数は低迷。深刻な経営問題に発展しており、5万5千人の雇用と労働条件にも影を落としている

◆府庁で同様の事態があるとは考えたくないが、府民のくらしと命を守る責任は自動車メーカー同様に重く、職場への苦言となっても、府民の信頼を損なうことがないよう労働組合が現場と連携し、チェック機能を果たしていくことの重要性を感じる。(K)
2004.6.21

勤続10年ということで記念品と5日の休暇をもらった。新採の頃は、先輩の厳しい指導を受けては「こいつを殴ってから辞めてやる」と、暗く誓ったものだ

◆10年で新入社員の意識や価値観も異なっている。ある調査結果では、今年の新入社員は総じてポジティブで「積極的に行動すれば多くのことは達成できる」など、厳しい就職戦線を切り開いてきた者らしい答えが続く

◆一方、将来への不安からか、30%以上が「会社を辞めてフリーターになるかも」と考えているほか、別の調査では「自分の良心に反しても会社の指示どおり行動する」とした者が昨年より11%も上昇するなど、倫理面の悪化も急激に増えている

◆不安や不満を持ちながらも、多くの先輩や組合役員さんからアドバイスを受け、10年の節目を迎えることができた。組合が日常的に接点を持ち、不安や不満を取り除けば、若者が「将来フリーターになるかも」などと考えない、活力ある職場ができるだろう。(K)