選 球 眼
senkyuugan  2000.11

2000.11.1

サッカーアジア杯は、あれよあれよと連勝を重ねた日本が優勝。トルシエジャパンの強さを見せつけた。大会MVPには名波が選ばれ、チームリーダーとしてチームを引っ張り続けた男にも栄冠が与えられた

◆トルシエ監督もチームの強さを絶賛。「日本にカップを持ち帰ることができて私にとっても日本にとってもすばらしいこと。最高の日だ」と喜びを前面に表した。2002年Wカップを目前にしたアジア大会優勝は、Wカップの成功に向けた大きな架け橋だと思う

◆が、トルシエ監督は日本協会との確執から、「アジア杯が終わったら日本を去るかも知れない」と準決勝後に発言。奥さんには「大事な時に何言ってんの」と怒られる始末。Jリーグ人気にかげりがある中の優勝後、その気持はどう変化したか。サッカーはJリーグ設立以降94年をピークに人気が減少。来年のJリーグから導入されるサッカーくじも3人に2人は買わないとの調べもある

◆日本シリーズでもダイエー中内オーナーの本社経営辞退は現場に動揺を与えただろうし、トルシエ監督の発言も現場のがんばりに水を差す。どこの世界でも部下の士気をそぐようなことを上司にはしてほしくない。(T)








2000.11.11

米大リーグ行きが濃厚となったオリックスのイチロー選手。日本時間で9日午前7時、15球団がポスティングシステム(入札制度)で入札。約14億円の最高落札球団が確定しオリックスもそれを承諾したと報道された。落札球団は公表されていないがイチロー選手が熱望した大リーグ移籍は現実のものとなった

◆実力者は評価されてなんぼの世界。日本でもFA制度があり、その基準を満たした選手は自分の力量を必要とする球団の提示金額・熱意などと比較して好条件の球団に移籍する

◆一方で実力の世界の厳しい影も報道された。元ヤクルト投手・高野光さんは5日夜、家族の目の前で自らその生涯の幕を閉じた。94年、ダイエー移籍後に引退。本年3月まで韓国プロ野球の臨時コーチを務めたがその後は無職。仕事のことで悩んでいたという

◆サラリーマンもプロ野球界ほどではないが、個人の評価が優先されて給料にはね返る時代。職場の意味が希薄、無意味になった。「同じ釜の飯を食う」仲間が集団として評価されない職場には助け合い、人を慈しむ人間関係なんて期待できない。そんな職場をつくり出さないために成績主義一辺倒の施策は断じて許さない。(T)


2000.11.21

東京では日本猿が住宅街を駆けまわり大騒ぎになっている。人に危害は与えていないものの庭先の柿や栗の実をほおばりながら捕獲されずに逃げ回っている

◆このサルはもともとペットとして飼われていたもの。不注意から逃げられた飼い主はテレビ局の取材に対し「迷惑をかけて申し訳ない」と平身低頭だ。だが逃げるペットは警察・都の職員に追い掛け回されて不安な日々を送っているはず。可愛がっていたのなら、みずからが現場に行って捕まえることはできないものか

◆我が家には2年前に義姉宅からやってきたウサギがいる。ミニウサギだから子どもがせがむのを安易に了承し譲り受けたのだが…いまや肥満のメスに見られるという肉垂(にくすい=のどの下にたるみができる)をたずさえ、体長は40センチを超えている。気性の荒さもパワーアップし、うかつに手を近づけると「グーッ」と威嚇の声をあげて噛み付くは引っかくは。手に負えないわがまま娘になっている

◆それでもゲージから放して遊ばせるとピョンピョン跳ね回ったり、においを嗅いだりとそのしぐさが微笑ましい。人の心を癒してくれる無垢なペットを粗末に扱うことだけはしたくない。(T)