選 球 眼 |
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2000.4.1
コンニャク−−こんにゃく玉の粉をこねて石灰液を混ぜ、煮沸して固めた食品。インドシナ原産で春に紫褐色の悪臭ある花穂をつける。球茎はこんにゃく玉(岩波国語辞典)。コンニャクの中でもシラタキ(糸蒟蒻)は「イトゴンニャク」と発音する ◆古くから「体の砂をとる」と言われてきたコンニャクは成分のほとんどが水分。残る固形物の大部分を占めるのが食物繊維のグルコマンナンでカロリーもほとんど無く、コレステロールの吸収を抑える働きのほか、消化が遅く成分の食物繊維はそのまま腸内まで進む。そのため腸壁を刺激して、ぜん動運動を促し毒素や宿便をかき出す性質を持つ ◆すき焼きにコンニャクを合わせておいしくいただくのは、肉の旨さを生かしながら健康を考えたまさに日本人の知恵。最近ではお好み焼きや鉄板焼きなど幅広く用いられ、もちろん刺身用のコンニャクも美味。おでんや煮物、田楽と老若男女に愛され続けている。ダイエットを心がけている人には、シラタキを細かく切ってご飯と一緒に炊き込むこともできる ◆居酒屋談義の末のラーメンに変えておでんのコンニャクはお薦めだが、どうかこんにゃく問答にはならないように。(N) |
2000.4.11 大阪と東京にはどちらも都心をぐるりと巡る鉄道がある。大阪は環状線で東京が山手線だ。両線は始めから都市を回るように作られたのではなく、都市の外周に線路を引くうちに市街地が大きくなったため、何本かをつないで丸を描くような形になった歴史を持つ ◆山手線は品川が起点、田端が終点の路線で距離は20・6km。田端から東京までは東北本線の、東京から品川までは東海道本線の複々線を走っているにすぎない。山手線のルーツは1885(明治18)年に開業した日本鉄道品川線で当時は品川から赤羽までであった ◆一方、環状線の生い立ちは、城東線、関西本線、西成線の3つの路線が合成され、環状線として完成したのは1961(昭和36)年。しかし、山手線と違って始発駅も終着駅も大阪駅。都心から放射線状に延びる私鉄は東京は新宿・渋谷・池袋など山手線の駅を起点にしているのに対し、大阪は難波・上本町・淀屋橋など環状線内部に設けられている
◆何かにつけて東京よりは優位に立ちたい関西人気質ではあるが、蟻の巣のように複雑に入り込んでいる東京の地下鉄も疑問の1つ。筆者は皇居の地下に核シェルターがあると睨んでいるが……(N)
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2000.4.21
関西の反対語と言えば、だれもが「関東」と答えるだろう。考えるまでもなく口にするこの呼び方は、関は関所のことで、奈良や京都にあった関所の西側、東側の意味である ◆この関所は古くは逢坂の関(滋賀県)であったが、時代を経て箱根の関をさすようになった。古くより政治・文化の中心は西側にあったため「関所の西側」として関西と呼ぶようになったのは最近の話。当時は「畿内」と呼ばれ、関所のあちら側のはるかな地だけが関東だったのだ。「畿」とは都のことで、文明度の高い地域というプライドが込められている。その近い地域が近畿ということになる。その近畿だが、大阪を先頭に和歌山、滋賀、兵庫、奈良、京都の2府4県をさすが、天気予報や交通地図などでは三重や福井、香川や徳島まで幅広く含まれている ◆ちなみに「関西」という表現では文化圏でいうなら西日本全体を意味する。最近では「カンサイ」や「KANSAI」などの文字が非常に受けている ◆関東地方の飲み屋などで「そうなんだ、お客さん関西なんだ」と言われても大阪人は大阪でも関西でもどっちでもエエ。ただ、皆がみんな吉本興業ではないことは知っていてほしい。(N) |