選 球 眼
senkyuugan  2000.8

2000.8.1

 脱臭や除湿などあたり前のように用いられている木炭はご飯と一緒に炊き込んだり、風呂に入れれば遠赤外線効果でポッカポカ、布団や枕への応用で快適な睡眠と成人病予防効果も

◆クヌギやシラカシの原木を窯で加熱させると3割の炭素が炭、3割が木タールや木酢液(殺菌作用があり肌にも良い黒い液)などの炭素化合物に。残りが一酸化炭素や二酸化炭素として放出される。つまり焼き上がった木炭は炭素の固まりだ

◆表面を顕微鏡でみれば、小さな穴が無数にあり、穴の中にまた穴が縦横無尽に走っている。この構造を「多孔質」と呼ぶが、その表面積は炭1センチあたり畳約200畳分にも相当する。個々の穴は行き止まりではなく何らかの形で外に通じているため、通気性、通水性に優れていることをも意味する。水が美味しくなるのは、消毒のための塩素のカルキ臭や発ガン性のトリハロメタンなどを木炭の穴が吸収してしまうため。また、無数の穴には無数の微生物が住みついており、この微生物も有害物質や臭いの粒子の分解に一役買っている

◆いくら体にいいからと言ってご飯と一緒に炊き込む時はたわしで洗ってから。でないと真っ黒ご飯でゲロンパァ。(N)





2000.8.11

一麹、二櫂、三火入れ…醤油は手間を食べてもらうもので、創る人の個性で味が決まる

◆醤油の製造は大豆と小麦に種麹(醤油の麹菌を培養したもの)を混ぜて醤油麹をつくることから始まる。その後、食塩水の入った樽に醤油麹を入れ発酵・熟成させ、1年以上かけて熟成させたもろみをしぼり、火入れを4〜5時間。不純物を沈ませた中澄みをとって商品となる。製造法の違いで濃口、薄口、溜まり、再仕込み、白醤油に分類される

◆欧米などのソースに比べ、あらゆる食材に適合する魔法の調味料「醤油」。そのルーツは鎌倉時代に覚心上人が和歌山県の西方寺(現興国寺)近くの湯浅などで中国の径山寺(きんざんじ)で学んだおいしい醤(ジャン)に野菜を漬け込んで米麹で発酵させた保存食「径山寺味噌」と言われ、この味噌の上澄みの汁が溜まりで、現在の醤油の元祖と考えられる

◆醤油の色は黒と思われがちだが、独特の赤褐色。薄口と濃口は色合の濃さの意味で、薄口の方が濃口より塩分は2%高め。塩を一切使わないなら、1日の醤油摂取量は大さじ4杯。こんなヤツおらんと思うが、牛乳ビン1本分の醤油を一気に飲んだら、確実に健康は悪化する。(N)

2000.8.21

幼い頃、夢中になった金平糖やサクマ式ドロップス……飽食の時代に「ダイエット」の影響で一部に敬遠の動きはあるが、万人が好む砂糖の物語

◆砂糖はさとうきびやてん菜の根から吸い上げられた水と大気中の炭酸ガスが光合成でブドウ糖に。そのブドウ糖から甘みの成分であるしょ糖を取り出して結晶にしたもので、まさに太陽が作り出した自然の恵みだ。精製法などの違いによって上白糖、グラニュー糖、ざらめ糖、角砂糖などの品種に大別される

◆仕事やスポーツを続けていると、ふと甘いものが食べたくなることがある。これはエネルギーを使いすぎ肝臓に貯えたグリコーゲンが不足し、血液に糖分が補給できなくなり血糖値が極端に下がった状態だ。普通の食事では血糖になるまで時間がかかりすぎるが、砂糖は消化吸収が早いため数分で疲れは回復に向かう。砂糖の摂取量は塩のように適量はないが、総カロリーの10%程度もあればよい、との見方も

◆糸を引いて運が良ければ大きな黒パン(黒糖で仕上げたお菓子)を当てて喜んだ少年期。そんな思い出に帰りたければ、ナンバウォーク・難波側入り口の店「夢ぎゃらりー」に立ち寄ってみては。(N)