選 球 眼 |
||||
99.10.01
◆日本で初めての運動会は、1874年(明治7年)東京・築地の海軍兵学寮で催された「競闘遊戯会」とされている。1878年に札幌農学校で行われた「力芸会」では障害物競走や食菓競争などのゲームがすでに行われていた。当時、「スポーツ」という外来語にまだ翻訳が定まらず、遊び好きな日本人が富国強兵と殖産産業で遊びを否定された時代に運動会に名を借りて創り出されたものであった ◆しかし、東京オリンピックをきっかけに行われるようになった体力測定のソフトボール投げと懸垂は、戦前の手榴弾投げ、三八式歩兵銃を扱うために自己の体重を持ち上げる腕力をつけさせる軍事教練の基本から生まれたもので、鉄棒の逆上がりも同じ理由による ◆どんな時代でも無くなることのないスポーツ。それだけに同書はスポーツの歴史を受けとめ、より豊かな社会を生み出す方向を見つけだす必要性を示唆しているバイブルと言えるだろう。(N)
|
99.10.11
◆一方でエネルギー代謝を良くする性質から、一味唐辛子のビンを持ち歩き、食物が真っ赤になるほどふりかける若い世代も出現している。韓国・朝鮮の人は日本人と比較して肥満が少ないのはキムチを食べているから、との説もある。しかし、辛い=高血圧になりやすいは別物で、塩分の取りすぎこそ気を配るべきだろう ◆味覚には「慣れ」が存在するため、徐々に辛さになれていくことで、より強い辛味に対しての嗜好性は高まっていく。しかし限界はある。30倍カレーなど香りだけが漂い、口に入れば痛さを感じるような食物は避けたほうが無難だろう。また、カプサイシンには胃液の分泌を促し消化を早める作用もあり、食欲の低下している時や二日酔いにはもってこいとも言える ◆いずれにせよ、おいしく食べて健康であれば何も問題はないわけで、辛味によって食が進んでかえって太ることだけは避けたいものだ。(N)
|
99.10.21
◆大体「カレー」の概念が違うのだ。日本人が「カレー」という時は料理名であるが、インドには出来合いの「カレー粉」は基本的には存在しない。常に複数の香辛料(マサラ)を用意し、素材に合わせて石臼などですりつぶして使う。つまり香辛料の入るインド料理のすべてがカレーに含まれており、インドの人にとって香辛料は味付けには無くてはならないものだ ◆カレーの辛さを演出するのに欠かせないチリペッパーは15世紀にアメリカ大陸で発見された香辛料で16世紀にポルトガル人がインドに持ち込み急速に栽培が進む。酸味を出すのに用いられるトマトも中南米からヨーロッパの貿易によって持ち込まれた。後に香辛料生産地をめぐって植民地戦争までが引き起こされるなど、「カレー」(Curry)の料理名が英語であるのもこのあたりの事情に由来する ◆日本に初めて登場したのが1872年(明治5年)。当時の鶏、海老、鯛、牡蠣、赤蛙入りのカレーはどんな風だったのだろうかと考えるだけでも楽しい。(N)
|