選 球 眼
senkyuugan  99.11

99.11.01


 イギリスでは2階のことを「ファースト・フロア」と呼ぶ。ヨーロッパでは1階は「ゼロ階」である。これは「ゼロ」ということばに対する日本人と欧米人の感覚の違いを表す(土肥 直道・元朝日新聞社用語幹事)

◆「0」という数字は正数と負数の境目になる値であり、数量がまったく無いことを意味する記号でもある。0を使った計算式を確立したのはインド人で、9世紀にアラビアに伝えられ、ヨーロッパに定着した。その頃から0は数の1つとなった

◆しかし0は何を掛けても0にしかならない。日本の0は「零」である。零は極めて小さい、落ちる、降るなどの意味であるが、しずくなどの意味も包括し、「小さい」との意味合いに使われてきたようである。生後1年未満の乳児を「ゼロ歳児」と呼び大きな駅には0番線ホームが存在するが、世間一般には多用されていない。考えてみれば一番小さい数字はやっぱり1で「ゼロからの出発」という言葉は、「1からの出発」のほうが日本語表現としてわかってもらえるはずだ

◆要するに数字の表記にも民族の歴史や感覚の違いがある。しかし日本文化の欧米化が進むにつれ、0の社会的認知も深まるだろう。(N)


 

99.11.11


 最近では成人病を予防するライフスタイルのPRが行き届き、多くの人々が肥満予防や適度な運動など心がける気運は高まっている。それでも密かに進行する成人病は後をたたない

◆例えば「高脂血症」。血液中のコレステロールや中性脂肪が増えすぎた状態をいうが、痛い、痒いなどの自覚症状がないなかで、気がつけば動脈硬化や心筋梗塞、狭心症、脳梗塞などを引き起こす心配がある。これらの予防は食べすぎない、飲みすぎないことにこしたことはないが、最低でも年に1回は血液検査をかねた健康診断を受けるなど自分の数値を把握するとともに絶えず監視し、必要なら医師の指導もあおぐことが望ましい

◆同時に適度な運動を習慣づけるのも大切だ。散歩をかねたウォーキングでも30分の早足で20分のジョギング効果が得られる。また、たばこに含まれる有害成分は悪玉コレステロールを増やす役割を果たす。ストレスをため込むのもよろしくない

◆食い過ぎが一番アカン訳やけど、鶏卵、レバー、イカ、鰻、たらこ、ウニ、タコ、海老……うまいもんほどコレステロールは多いんや。ええいこの際や。「やせてやる、これ食べたら、やせてやる」。(N)

99.11.21


 納豆菌を水で溶いたものを飲み続けることで、重症脳炎をはじめガン、肝炎、高血圧、リウマチなどで驚くばかりの改善例が見られ、少なくとも悪くなったり副作用が出た人はいない(納豆のすすめ/須見洋行・直江勝司共著 PHP研究所発行より)

◆日本人が世界一長生きなのは、世界一薬漬けでもある。よく効く薬を販売すれば製薬会社は儲からない仕組みだからタチが悪い上に、そのうち薬も効かなくなる。そんな時に納豆。納豆に含まれる納豆菌(ナットウキナーゼ)は脳梗塞や心筋梗塞の原因となる血栓を溶かす役割があるほか、ネバネバに含まれるビタミンK 2は骨粗しょう症に効果あり。また、O―157の発育を抑え、体外に排泄させる働きも確認されている

◆ネバネバが人にどう反応するのかはまだ謎が多いが、納豆が安全な食品であることは永い歴史が証明している。また、納豆の糸から繊維を作り出すことにも成功。その糸は1cで5gもの水を貯えるほど吸収性に富んでいるため、砂漠の緑化に向けた研究も進められている

◆吉牛なら朝のB定がおすすめであり、「納豆食べたらへー城京」(710年平城京遷都)と歴史の勉強にも役に立つ。(N)