2000春闘方針(案)

若干の情勢

 (1) 日本経済は、デフレ循環から抜けきれず、労働者の生活に景気回復の実感が乏しい実態となっています。完全失業率は98年4月に4%台に乗ってから高止まりしており、ここにきて若干の改善が見られるものの、いまだ5%台さえ危惧される状況にあります。また、勤労者世帯の実収入・可処分所得・消費支出についても97、98年度はマイナスとなり、99年度も大幅な好転は見込まれる状況にはありません。
 (2) 日経連は、グローバル競争の激化などを理由に、「総額人件費抑制」を主張し、「労働分野における無制限な規制緩和」による労働条件の引き下げ・見直しの動きを引き続き強めています。政府は、連合などが要請した「100万人雇用創出」を具体化することを約束したにも関わらず、いまだ実効力ある雇用対策を打ち出していません。
 (3) 地方財政は、巨額の財源不足と高い公債依存度、多額の借入金残高、各自治体の財政事情の硬直化、今後も増大する財政需要などによって、引き続き極めて厳しい状況が続いています。
 (4) 大阪府は危機的な財政状況のなか「財政再建プログラム(案)」に基づく定期昇給24月延伸などの措置を強行しているにもかかわらず、ビッグプロジェクトの具体的な見直しは行っていません。福祉・教育の水準低下や水道料金・府立高校授業料や各種使用料の値上げなど受益者負担を強める中で人件費にもさらに皺寄せしようとする動きが続いており、真の財政再建をめざすものとはなっていません。府民・職員参加で財政再建を成し遂げる努力が求められています。

2、たたかいの基本と進め方

 連合は「2000春季生活闘争は、勤労者の雇用・生活危機突破、生活防衛のための取り組み」として、賃上げ・時短・政策制度改善・雇用安定と公正なワークルールの確立を4つの柱として闘うとしています。自治労は、労働者全体の動向を重視・官民連帯を強化する立場から連合に結集し、雇用の確保、地方財政危機を突破する取り組みに全力をあげるとしています。さらには、不況下における民間労働者、公務員労働者を通じた賃上げ抑制を打破し、景気回復・地方財政危機突破に活路を切り開くため、全組合員が行動する運動をめざし、従来の行動形態を大きく見直すことを提起しています。
 自治労府職は、春闘要求を2月中旬に提出し交渉を進めるとともに、連合・自治労に結集して全体の闘いに積極的に参加して行きます。また、自治労ストライキ批准投票の投票日を2月23日(水)と設定し、圧倒的な高率批准に向けた取り組みを行うとともに、組織・職場の課題などを議論することを通じ、職場からの春闘の取り組みを追求する意味からも昨年に引き続き「地域学習会」を開催します。あわせて、今季春闘の取り組みとして自治労が提起している「2000春闘集中ビラ配布行動」(全国で1000万枚)に職場組合員の協力を得ながら取り組みを進め、春闘意識の高揚をめざします。また、別掲の日程で2000春闘を全力で闘います。

3、賃金・労働条件改善の取り組み

(1) 2000賃金要求
 連合は、@到達賃金目標を35歳(高卒勤続17年)33万3000円以上で、最低到達目標を横断的賃金決定と底上げ促進のため35歳(高卒勤続17年)25万円とする。A要求根拠としては上記ベアに加えて定期昇給・相当分、過年度物価上昇分を含む生活維持・向上分を基に設定し、実質賃金の引き上げを求めることを確認しました。
 自治労は2000賃金闘争の目標を、ゆとり・豊かさ・社会的公正を実現する水準・制度を実現することとし、自治体間・職種間・男女間・非常勤・公共民間などの不当な賃金格差の解消に取り組むとして、2000春闘期は年間を通じた賃金闘争の出発点として位置付け、@自治体労働者の賃金・労働条件制度に関わる基本要求と重点課題の確認、A民間相場形成支援、公共民間労働者の賃金改善を基本課題としています。
 自治労府職は、「2000年自治労統一賃金要求基準」を基に春闘要求書を作成し、単組独自の交渉を行うとともに、自治労・連合の春闘期行動に積極的に参加し、官民連帯した春闘を取り組みます。
(2) 時短要求の取り組み
 時間短縮の要求、とりわけ1日の勤務時間の短縮を求める要求は強く、また、賃金的にも厳しい状況だからこそ「時短」を求める声が日に日に増しています。
 自治労府職は府労連に結集し、時短リフレ研究会の中で総合的時間短縮を求める取り組みを展開してきましたが、いまだ1日の勤務時間の短縮まで至っていません。議論の中で当局は他府県においての勤務時間の是正の状況や、民間においても景気後退の中、労働時間が減少していない現状であり「条例改正は困難」の域を出ていません。私たちは残業規制や、休日・休暇の増による年間総労働日数縮減、年休の完全取得などの取り組みを引き続き展開するとともに「1日の勤務時間の短縮」に向け、あらゆる機会を通じた取り組みを展開します。また「サービス残業」をなくし、休暇の取得促進に向けた教宣活動を積極的に推進します。
(3) 人員要求、新規採用確保の取り組み
 新規採用が極めて少ない中、職場では慢性的な業務超過状況の中での人員不足が続いています。加えて、財政再建プログラムでは向こう10年間で2000人の人員削減も計画されています。
 自治労府職は各支部要求・交渉状況を集約し、財政事情による安易な人員削減に反対することを基本に@府民・住民本位の施策充実にともなう人員の配置、A公務サービスの充実へ現業部門の合理化反対の取り組み、B恒常的残業の解消「ゆとり創造」のための人員確保の取り組み、C病院看護職員の定数拡大の取り組みを本部・支部一体となって強めます。
 また組織・機構の再編整備について、行政サービスを提供する立場からも府民ニーズに合った再編整備を求めます。
(4) 安全衛生・福利厚生拡充、職場改善要求
 昨年11月4日に提出した予算関連要求の実現をめざして、地共済運審、互助会理事会、宅舎運営委員会、安全衛生協議会などを通じ要求の前進に努めます。また、2月中旬に団体交渉を実施し、回答を引き出し、要求実現をめざします。
(5) 調整手当改悪反対の取り組み
 昨年の人勧期闘争で取り組みを強め、一定、改悪見送りとなった調整手当について、人事院は春闘期である3月には基本的考え方を示す方向性をすでに出しています。自治労としても全国闘争とはなりにくい本課題を、昨年取り組んだ該当府県からの上京団で人事院交渉も展開し取り組みを進めることとしています。
 自治労府職は、府本部・連合大阪官公労組連絡会に結集し大阪府域における実情を訴えるなど、取り組みを行います。

4、府財政再建プログラムに対する取り組み

 (1) 大阪府の財政は、今後、最大6千億円を超える財源不足が見込まれるなど、危機的な状況となっています。府当局は、人件費・事務費の削減や機構改革を含んだ「財政再建プログラム(案)」を提案してきましたが、この「再建案」には府民生活に深刻な影響を及ぼす課題や、労働条件に直結する重大な問題が含まれています。
 (2) 私たちの人件費にかかる「24月昇給延伸」「3年間の特別昇給停止」などについて、自治労府職は府労連に結集し、撤回に向け取り組みを強化してきましたが、府当局は不当にも私たちの反対の声を無視し、強行しました。
 (3) また、ビッグプロジェクトについては具体的な見直しは行わず、福祉・教育の水準低下や水道料金・府立高校授業料の値上げなど受益者負担を強化するなど真の財政再建をめざすものとはなっていません。今こそ、真の「府民参加、職員協力」のもとでの財政再建を構築しなければなりません。
 (4) 選出された新たな知事とも改めて財政再建プログラムについて協議を行っていくとともに、連合大阪の「大阪府財政再建プロジェクト」や自治労大阪府本部「大阪府財政再建闘争委員会」に結集し、自治労府職「財政再建プログラム対策委員会」の機能を一層充実し議論活性化を図り、広範な府民と連帯した取り組みを進めます。

5、地方分権推進の取り組み

(1) 新たな身分移管闘争を闘い抜く取り組み
 1)52年間にわたって闘い続けてきた身分移管闘争は、第145国会で「国一元化」の内容を含む地方分権推進法が成立し、私たちの「地方移管」という要求とは逆の方向の「国への身分切り替え」が2000年4月に行われることとなりました。しかし、この間の職場からの闘いと自治労の総力をあげた取り組みの結果、附則修正や附帯決議を勝ち取ることができました。
 2)また、国会において継続審議となった「年金改正法案」は、給付の削減や保険料の段階的引き上げなど労働者・国民に犠牲を強いる内容となっており、反対する取り組みの強化が必要です。
 3)自治労府職は、自治労大阪府本部国費職員身分移管闘争委員会に積極的に参加し、組織内に設置している「身分移管闘争委員会」と「年金闘争委員会」の有機的な運動の統合を行い、身分移管闘争と政策制度闘争を結合させながら、取り組みの強化をめざします。
(2) 大阪府における分権推進、財源拡充、自治体改革闘争の推進
 1)地方分権推進は、自治体に働く私たちにとって重要な課題です。分権・自治を進め、分権時代に対応できる税・財政制度の確立に向け、税源の地方への移譲など地方税財政制度の改革を求め、自治研・政策づくりの取り組みの強化が急務です。
 2)自治労府職は、「自治研推進委員会」活動の一層の活性化を図り、職場からの政策提言、自らの仕事を見つめなおし、「府民にとって必要か」を視点に精査・点検・改革を図る「自治体改革闘争」を全力で推進します。
 3)大量生産・大量消費・大量廃棄型社会から脱却し、資源循環・環境保全型社会を作っていくため、まず自治体が率先して取り組む、環境自治体づくりの取り組みを進めます。自治労府職は、引き続き組織内への啓発活動を行い、職場・組合や日常生活の中での環境にやさしい行動の定着をめざすとともに、当局へも「職場環境要求」行動などでの取り組みの具体化を迫ります。

6、職場要求集約活動の取り組み

 例年11月に提出し、翌年の春闘期に交渉を持っている「次年度予算に向けた職場環境改善要求」について、@実質の予算編成に対応させる、A職場からの要求積み上げ方式を追求し、職場活動を活性化させる、等の理由から本年度から次の取り組みを展開します。
(1) 職場要求集約活動
 アンケート形式や職場対話集会形式など、各職場の実情や、今までの取り組みの経過を踏まえた集約活動を3月から5月にかけて行うこととし、その集約に基づき職場・分会・支部での議論を行います。その上で7月初旬を目途として本部の要求書を確定し、当局へ提出します。
(2) 実現に向けた取り組み
 要求書提出後、予算編成期の節目節目で事務折衝を行い、年内を目途に誠意ある回答を求め団体交渉を行います。また、取り組みの経過などを次年度の要求集約活動に結びつけるよう総括運動を行います。
(3) 取り組みの具体化
 要求集約活動を具体的に展開するため、「要求集約アンケート」の基本モデルを作成し、各支部で利用できるようにするなど、3月段階でスケジュールも含めた取り組み指標を明らかにします。

7、組織強化・拡大の取り組み

 (1) 2000春闘の取り組みの宣伝活動を積極的に行うことを通じて、職場・組合員に連合公務員連絡会・自治労の中央交渉などを的確に伝えることにより、政府交渉で決着をつけることができる連合・自治労の活動を伝え、組織拡大にも活用します。
 (2) 各支部・各地区評で春闘学習会や4月からの国費職員の身分移管・部局再編にともなう単組組織のあり方検討などの取り組みを行い、運動と組織の強化を図ります。
 (3) 「組織拡大闘争委員会」を継続的に開催し、新規採用・転入者対策など組織拡大の具体化を図ります。

8、衆議院選挙の取り組み

 解散総選挙の政治日程をにらみながら、「民主・リベラル勢力の政治勢力の前進をめざす」立場で、自治労組織内候補や連合・自治労推薦候補の勝利をめざして取り組みを進めます。なかでも大阪5区から民主党公認で立候補を予定している自治労大阪府本部副委員長・稲見哲男さんの必勝に向け、府本部に結集し取り組みの強化を行います。