府労連・新たな人事評価制度案に対し26項目の問題点解明を要求

制度について
 【府労連】新たな人事制度として「評価基準の統一・明確化」を示しているが、現行の人事評価制度の問題点に立脚したものとなっていない。現行の評価方法・調書を開示し、総括を示すべき。
 【当局】現在の人事評価は、評価基準や方法などが全庁で統一されたものがなく人事や給与・表彰など目的毎に行われている。
 異動については所属・部局人事担当・人事課に至る過程のそれぞれで人事評価し、複数の評価段階を確保しているが、その他の処遇や育成をも視野に入れた統一的な評価様式として整備されていないので異動事務以外には利用しにくい。
 これまでの評価手続きは所属や部局が独自に評価してきたため、人事評価システムとしての統一性がなく評価項目として、どのような基準と手続きで評価しているのか、といった点がわかりにくい現状。このため@評価基準の統一・明確化、A双方向性の確保、B公正な評価という3つの観点を基本方向とした新たな人事制度を導入し、人事行政を運営する上での公正な基礎資料を整備したい。
 新たな制度の導入で、きめ細かな人材養成方策など職員の適性・能力・意向をよりいっそう踏まえた人事政策を行うことが可能となり、職員の意識改革、勤務意欲の向上、職員の資質・能力の向上につながるものと考えている。
 【府労連】公務労働は個人の力量より組織の力量が問われ、チームとしての成果が問われることが多い。個人評価はなじまない。
 【当局】公務労働の成果は職員1人1人の意欲や能力が出てくるもの。当然1人1人の能力評価はできると考える。
 【府労連】成績主義導入で職場に差別分断が持ち込まれ円滑な業務運営が妨げられる。
 【当局】勤務成績の評価が職員の対立を生むとは考えていない。
 【府労連】やり方によっては組合役員を攻撃することになりかねない。組合つぶしにつながる。
 【当局】組合攻撃など、もとより念頭にない。
 【府労連】定期昇給延伸などの給与抑制措置が実施中であり、復元の目処が立った段階での協議とすべき。
 【当局】別の観点から取り組む制度であり、理解してほしい。
 【府労連】結果として昇給等に反映するための評価基準づくりに連動することになり反対である。
 【当局】今回提示しているのは人事政策の基礎資料として活用するためのものであり、今後、それに基づきどう反映していくかは試験実施以降、検討していきたい。
 【府労連】自己申告書は任意提出としているが、提出しない場合に不利になることはないか。
 【当局】自己申告書は職員の希望などの申告の機会を担保するもの。提出がない場合は本人に特に希望がないものとして理解し、取り扱うこととなる。
 【府労連】チャレンジシートの提出は職務と位置付けるということか。提出を拒否した者に処分など不利な対応を考えているか。
 【当局】業務運営を効率的に進めるためのものであり、記入しにくい場合はその理由を探り、どんな方法が適切かを十分、検証したいので協力いただきたい。
 【府労連】12年度試行実施と言うが年度当初からの実施は無理。実施スケジュールとその検証の方法は。
 【当局】できるだけ早く着手したいと考えている。検証方法については現在検討中である。
 【府労連】そのあり方について労使協議機関の設置を検討しないのか。
 【当局】府労連の皆さんと議論し、よりよいものに作りあげていきたい。
 【府労連】37都道府県で何らかの制度が入っていると言うがその問題点や実施状況を示すこと。
 【当局】個々の県の問題点をすべて示すのは難しいが、双方向性、透明性に課題があるように思われる。
 【府労連】外郭団体や市町村への出向者などの扱いはどうなるのか。
 【当局】出向先に府から出向の上司がいるときは、府に準じてもらいたいと考えているが、今後、個別に調整したい。
 【府労連】評価の客観性、透明性、公平性の担保は何か。不当な評価への救済措置はどうなるのか。
 【当局】評価者の研修や評価項目の開示、面談の実施で双方向性・透明性を確保したい。評価の段階で苦情処理機関を設けることは、なじまないのではないか。

 

評価者について
 【府労連】評価者を課長補佐とすることは、組合員同士の分断になる。
 【当局】仕事上の指導監督者は身近な存在で、お互いの関係は整理できると考える。
 【府労連】評価者を一次評価者・課長補佐等としているが、業務執行体制が今年度から変更され課長補佐制が導入されるが、課長補佐の管理スパンがまちまちであり、評価者としてふさわしいか疑問。
 【当局】どのような管理スパンでも直接の監督責任者である課長補佐等である限り、やっていただきたいと考えている。
 【府労連】目標設定票を1人1人が作成し、勤務成績報告書とは連動させないとしているが、自己評価と勤務成績報告書の内容に乖離(かいり)がでることは、評価者と職員との話し込みや指導が徹底していないことにもなり、試行実施や双方向性の確保というなら「勤務成績報告書」を本人開示し、一次評価者と判断が違えばその原因は何かという分析を共に行うことがされてしかるべき。
 【当局】「本人開示」については評価者と被評価者との信頼関係が大事であり、「調書」そのものの開示は考えていないが面談時に指導上の必要から本人に説明するなどは行いたい。
 【府労連】評価者への研修内容(講師・プログラム等)や「評価票記入の手続き」を明らかにすること。
 【当局】内容について検討中であるが、できるだけ示す方向で検討したい。
 【府労連】評価書の作成を拒否した「評価者」はどうなるのか(処分されるか)。
 【当局】評価書作成は職務であり拒否されることはないと考えるが、試験的実施の際には、十分な検証を行うため協力いただきたい。
 【府労連】出張が多くほとんど職場にいない業務もある。責任をもって評価できるのか。
 【当局】全く顔を合わせないということはない。報告・伝達など直接、接する機会を活用して評価できると考える。
 【府労連】一般職員が所属長を評価する鳥取県のようなシステムも検討材料にすべきである。
 【当局】評価は管理監督者の仕事。部下からの評価はなじまない。

勤務成績報告・自己申告・チャレンジシートについて
 【府労連】勤務成績報告書の「性質」欄は評価項目ではないとしているが、記入責任者が明確でなく人格評価を行うことになり、勤務成績評価からは省くべき。
 【当局】「性質」は評価対象ではない。
 【府労連】係長昇任考査との区別と関連を示すこと(抜本的な昇任管理の見直しを行うこと)。
 【当局】全体の昇任管理への反映方法については今後の議論であり、これまでも係長級昇任考査についての要望も頂いており、今後、研究していきたい。
 【府労連】チャレンジシートは人事評価の対象となるのか、連動しないとしているがその担保は。
 【当局】チャレンジシートは業務運営を円滑に進めることに活用するものであり、面談の参考資料としても活用する。
 【府労連】チャレンジシートは誰か保管するのか。報告行為はどの範囲を誰に報告するのか。
 【当局】チャレンジシートは職員個人が保管し、写しを一次評価者と所属長が持つ。所属長との面談で活用する。ただし、試験的実施の際は検証のため人事課に集める。
 【府労連】目標管理を進めることで、それがプレッシャーになる職員と、励みになる職員を見極めて一律対応することは困難ではないか(「目標」「成果」とは何か。イメージは)。
 【当局】どう書いていくかは研修の中で示したい。
 【府労連】「面談」はいつの時点で誰が行うのか。
 【当局】10月下旬頃、実施したいと考えている。所属長が行い、基本的には一次評価者が同席する。
 【府労連】多様な職種・職場があるのに一律の評価書で行えるのか。
 【当局】10種類程度のパターンを検討している