府労連2000年度運動方針と当面の闘争方針(案)


第1号議案
2000年度運動方針及び当面の闘争方針(案)

はじめに
 府労連は今年、結成50年を迎えた。
 府労連50年の歴史は、公務員労働者の賃金・労働条件変遷の歴史でもある。1947年の地公法施行から4年後の1951年、府労連は発足した。以来一貫して、@府職・従業員の賃金・労働条件維持・改善のため一貫して奮闘してきたこと、A職種・職域や所属するナショナルセンターの違いを乗り越えて構成する5単組の団結を何よりも重視してきたこと、B当局との間では、何事も労使協議による決着をめざしてきた。
 この50年間、政府や人事院が給与制度・定年制・退職金などについて公務員制度確立の名の下に自治体における独自制度について攻撃してくるとともに、住民監査請求や情報公開の流れの中で給与法定・条例主義の徹底を求められ、労使合意後も府議会への働きかけが必要となり、未曽有の財政危機の中で総人件費抑制攻撃がより顕著になるなど公務員労働者を取り巻く環境は大きく変わった。
 また、地方分権を確立し、透明度の高い府政をともに進め、府政を改革する立場で太田府政とのパートナーシップを発揮し、政策提言活動を行うことが賃金・労働条件に責任を持って交渉・解決することに加えて、新たな府労連の課題となっている。
1、情勢の特徴

(1)概要
(2)2000年春季生活闘争
(右省略)

(3) 府財政危機のもとでの府政と府労連

 @ 大阪府財政は、府内の産業構造からくる府税減収からの回復が遅く、困難な運営を余儀なくされている。経常収支比率は89年の78から117・4と7年連続で全国ワーストワンとなり、93年から6年連続で地方交付税の交付団体となっている。
 大阪府は98年9月、99年から10年間の「財政再建プログラム(案)」を策定。これに基づき府労連に「定期昇給24月延伸、特別昇給3年間停止、互助会・互助組合補助金削減、退職勧奨年齢の引き下げ」などを提案し、府労連の強い反対にも関わらず、99年4月から定期昇給・特別昇給を停止した。「大阪府財政再建プログラム(案)」の「長期財政推計」では「今後、通常以上に公民較差が拡大することとなるが、昇給延伸等の効果を持続させるため、給与改定は国並改訂を基本」とした試算を示し、大阪府人事委員会勧告を無視する姿勢を示した。99年の府人事委員会勧告は定期昇給停止の影響で公民較差と引き上げ率が国並という「大阪府財政再建プログラム(案)」の試算の考え方に添う異例な内容となったが、「人事委員会の責務」と「速やかな実施が必要」と明記され、交渉の結果、一時金の0・3月削減を含むものの、3年ぶりの完全実施となった。

 A 大阪府の2000年度当初予算案は知事選挙直後の策定となり、ほとんどが山田府政の行政としての継続性を図るためと、引き続く財政危機のため独自色を打ち出すに至っていない。96年度から5年連続のマイナス予算で、人件費が47年の地方自治法施行以来初めての対前年比マイナスとなった昨年に引き続き、マイナス1%(▲109億円)になったにもかかわらず、公債費の419億円の増加で義務的経費は2・3%増となり、地方交付税を2800億円を見込む、国頼みの予算となっている。
 また、17年振りの98年度赤字決算に続き99年度も赤字となり、その埋め合わせとして2000年度予算を先食いする「繰上充用金」を109億円計上。さらに、減債基金からの借入を1127億円計上しており、府債増発1159億円など5307億円の財源対策を講じている。府債残高は予算規模を上回る4兆74億円、府民1人当たり45万3000円に達している。
 府税収入は、前年度より2700億円のマイナス、歳入全体の比率で37・7%となり戦後初めて40%を切った。特に法人2税は、過去最高の89年度の42%の水準となっている。歳出では、建設事業費はマイナス9・6%で95年のピーク時の約半分以下となり、介護保険の導入で一般施策経費は335億円増となっているが、高校授業料等の引き上げや多くの一般施策費の削減が実施された。
 99年度導入された行政評価の内、事務事業評価が1173事業で実施され、409件(34%)が見直しとなり、当初予算に300件で190億500万円の削減が反映された。
 また、大阪府財政再建プログラム(案)の長期財政推計に計上し、地方財政計画にも組まれている給与改定財源0・5%が組まれていず、特別職の給与削減や学校管理職を含む管理職4900人の管理職手当も引き続きカットされた。
 府労連は、改めて給与改定財源の不計上に抗議し、使用者責任を追及し「人勧実施に当たっての交渉の結果必要な財源は遺漏なきよう措置」することを確認した。
 一方、財政状況の悪化や公務員を取り巻く厳しい環境の中で、府議会・マスコミ・一部府民から賃金・組合活動への厳しい指摘や議論が出されており、組合の社会的意義が改めて問われている。

 B 大阪府は、2月の行革推進本部会議で「分権時代の新たな行政システムをめざして―大阪府行政改革推進計画(案)2000年度版」を確認し、府労連に提示し2月府議会での議論等を踏まえ4月に策定した。
 府労連は、事前の取り組みで「職員の勤務条件に係る事項は関係団体(府労連)との協議」を明記させ、「真に実効ある地方分権の実現に向けて他府県や市町村とも連携して積極的な取り組みを進めていく」と、改めて分権推進の立場を明確にさせた。しかし、財政危機を反映して「定数管理・事業の見直し」「出資法人の改革」などについては「大阪府財政再建プログラム(案)」の具体化の観点で作成されている。
 府労連は、財政状況を理由にした組織のスリム化ではなく、新たな行政ニーズに対応した府民サービスの向上と働きやすい職場をつくるため、安易な人員削減に歯止めをかけ、病院・試験研究機関のエージェンシー化に反対し、分権推進の観点から「行財政改革」の推進と職員・府民参加で行政評価システムが確立できるよう対案を提起する取り組みを連合大阪とともに進めてきた。その結果、99年度から行政評価システムの一部として事務事業評価システムが導入された。今後、その実効性の確保と、施策・政策評価のあり方、政策決定過程の民主化を求め、職員の意識改革を含め引き続き取り組みを進めていく必要がある。
 また、99年の一般行政試験は実施されたが、採用数は少なく、教職員についても大幅に新規採用が抑制されている。2000年度の募集についても少数にとどまっている。
 今後、新再任用の制度化の中で一層組織と定数のあり方が厳しい課題となるが、組織の活性化と維持の観点から引き続き、新規採用を求め、財政再建プログラム(案)の削減目標数を既定路線にさせない取り組みとともに、行政課題達成・府民サービス向上の観点での検討を求め、地方分権推進・府政改革の立場で知事との政策協議を行っていく必要がある。

 C 府労連は、労働条件改善の取り組みを全力で進める一方、連合大阪での府政改革・財政再建の検討にも積極的に参加し、連合大阪の予算要請や議会対策に反映した。
 連合大阪は、府の財政危機が税財源の抜本的改革なしに乗り切ることはできないとの認識から、府民運動の取り組みを関西経営者協会とともに「地方税財政制度の改革を求める大阪府民会議」を結成し、取り組みを進めている。
 愛知県、神奈川県、東京都とも大阪府と同様の財政状況にあり、大都市圏における都道府県財政の抜本改善が求められており、府労連は、大都市圏の税財政構造の基本的改革に向けて、愛知、神奈川、大阪府労連の三府県労連の取り組みの連携を一層強化していく必要がある。
 あわせて、ほとんどすべての自治体財政が危機的状況にあり、第3の地方財政危機ともいうべき状況となっている。地方税財源の拡充を図っていく連合公務員連絡会の取り組みに積極的に参加していく必要がある。

 D 国費職員の身分移管問題について府労連は「身分移管対策委員会」を設置して取り組んできた。しかし、私たちの要求を無視する国一元化を含んだ地方分権推進計画が98年5月に閣議決定され、99年3月末に第145国会に475本の地方分権推進法として一括上程された。
 府労連は、国会のヤマ場を前に連合・自治労の提起による「地方分権推進法案の徹底審議と地方事務官の地方公務員への移管を求める署名」を全力で取り組み、国会ヤマ場では傍聴団体等を組織して最後まで闘ったが、圧倒的な与党体制の中で、法案は可決され、極めて残念な結果となった。
 しかし、その闘いの中で衆議院では「(1)社会保険関係職員は府県職労に7年間は継続加入ができる。(2)社会保険関係共済組合の新設、(3)今後の医療・年金制度等の改革に伴って事務処理体制と職員のあり方について検討し、必要があるときは所要の措置を講ずること」という附則の修正を勝ち取り、参議院では、「(1)職業安定業務が国の直接執行となることに伴う地方自治体との密接な連絡協力体制を整備すること、(2)地方事務官の身分切り替えにあたっては、職員の処遇等に十分配慮すること」という付帯決議を勝ち取ることができた。
 府労連は、50年来の府労連の仲間が法成立によって2000年4月から大阪府を離れることになることに伴うさまざまな問題について、円滑な移行ができるよう全力で当局と交渉し、一定の到達点に達した。
 4月から社会保険関係が大阪社会保険事務局、労働部国費と職業安定所関係が大阪労働局所属となっており、今回の定期大会で大職安が府労連を離れ、組織として大きな痛手を受けることになる。改めて永年の連帯・結集に感謝するものである。政府の「行政改革会議」が社会保険庁の外庁化や「職業紹介、雇用・労災保険関係業務」の民営化または外庁化を強く指摘し、社会保険行政と労働行政の統合と徴収事務の一元化を報告するなど危険な動きが続いており、連合大阪官公労組連絡会、大阪公務員共闘の仲間として引き続き連携を持った取り組み、交流を行っていきたい。

 E 以上の大変厳しい状況にはあるが、府労連は、大阪府職員・従業員9万5千人の生活と権利を守り・発展させ、「地方分権推進」「人権と共生」「福祉・教育・環境」「国際化と活性化」に向けた府政を推進する立場から、知事・府当局に対して良き労使慣行の厳守を求め一層奮闘するものである。