山田知事のセクハラ民事訴訟に対する対応についての見解
山田知事は、今春の知事選挙の際に運動員の女性へのセクハラ行為があったとして刑事告訴と損害賠償請求の民事訴訟を提訴されていたことについて、10月4日、「賠償責任を負ってでも実質審理は回避することを表明した。しかし、相手側の異議申し立てにより、来月1日に弁論が再開されることになった」との報道があり、判断の理由として「公務を最優先することが府民の信頼に応える道と考え、なんら訴訟活動も行わないことにした」とし「身の潔白は刑事手続きで明らかにされると信じている」としています。この判断に対して多くの批判・疑問の声が出されています。
府労連は、今春このことがマスコミで報じられた際も、「事実関係については当事者でないので判断はできない。告訴の行方・民事裁判の行方を見守る」という立場をとり、知事との労使関係については「労使の話し合い・意志疎通を深め、是々非々の対応を行っていく」こととし、対応してきました。
大阪府を取り巻く環境は非常に厳しく、府民各層からも府政・職員への厳しい意見が相次ぐ中で、真に府民の信頼を得ながら府民ニーズに立脚した行政サービスを提供し続けなければならないこの時期に、大阪府の最高責任者として行った今回の「判断」については、公務を進める上で大きな障害となるばかりか、結果として府民の信頼を得られないと考えます。
また、男女共同参画社会の実現に向けた労働条件の整備・改善を求め協議を重ね、4月施行の大阪府職員(非常勤を含む)を対象とした「職場におけるセクシュアルハラスメントの防止及び対応に関する指針〜セクシュアルハラスメントのない快適な職場づくりに向けて〜」の府労連との協議経過や知事が職員を指揮監督する立場であること、大阪府が施策として展開しているジャンププランの実行(企業、学校などへの指導)という点からもきわめて遺憾(不適切)な対応です。
訴訟テクニックとして許されることでも、公人として・府政の最高責任者の姿勢として問題があります。まして、公務多忙を理由とすることは許されません。山田知事自身が、「事実無根」と主張するのであれば「堂々と争うべき」です。そうすることが知事としての公職を全うし、府民の信頼に応えうる最善の道と考えます。むしろ、このことで府政への不信が増すこととなれば府政にとって大きなマイナスとなります。
知事と職員が一体となり財政再建に取り組み、府民福祉の向上と男女共同参画社会の実現に努めるためにも、府労連は、知事が再考されることを求めるものです。
大阪府労働組合連合会
1999年10月7日