機関紙「自治労府職」

 2000年1月1日号 

賀  正    自治労府職執行部一同

宇宙の法則に従い、あたりまえに東の空から日が昇る。
なにげない朝日でも、見る人は、見る時々で、思いを馳せる。
2000年の幕開け、
自治労府職に大きな転機が訪れる。
新たな希望で、ともに集い、力強く歩みだしたい。

組織が大きく変化する2000年
さらなる結集で運動の飛躍を      執行委員長あいさつ

新しい年を迎え、新春のご挨拶を申し上げます。
 今年は20世紀最後の年となりますが、私たちをとりまく環境を考えると、とても「おめでとうございます」とはあいさつしにくい新年を迎えています。賃金抑制、一時金カット、リストラ、失業、倒産など働く者にとって厳しい現実や高齢社会に対応した見直しと称して強行されようとしている年金や医療保険制度などの改悪の動きなど、世の中に暗い話題が氾濫し、「世紀末とはこういうことかなあ」と、非科学的な思いが頭をよぎったりします。
 大阪府においても、危機的な財政の状態の中で、職員への犠牲を強いる攻撃がかけられてきましたが、これまで推薦していないこともあって、施策や労働条件について知事と定期的に話し合えるような関係はありませんでした。最近の問題でも、当然のこととして労使協議すべき「課長補佐制度の導入」や「新たな人事制度」について「説明し意見は聞くが、これは当局の責任で実施すべきもの」と何でも話し合い、合意のうえで実施するという労使関係の原則がないがしろにされています。自治労府職としては厳密な事前協議を当局に求めて闘いますが、それと同時に、セクハラ問題の経過で知事が辞任した後を受け、2月に予定されている知事選で推薦できる候補者の擁立と必勝を目指さなくてはなりません。
 さて、今年は府税事務所の統廃合、労働・商工部の統合、福祉・保健衛生部の統合と病院局の設置、国費職員の身分と行政の国への移行など、大阪府の機構の大幅な変更が予定されています。自治労府職としては、これらの機構再編に対して府民を主体とした行政を進める立場で検討し、取り組みを進めるとともに21世紀に向かって飛躍する労働組合の組織を確立していくために、組織内での討論を行い、3月には臨時大会を開いて新しい組織の形を決定することにしています。
 自治労府職にとっては組織が大きく変化し、生まれ変わる一年となりますが、組合員の皆さんの一層のご結集で運動を飛躍させていこうではありませんか。



 執行委員長   永久 章 

能勢の棚田で緑農交流
棚田は豊かな自然を育み人の心も育む

98年から能勢町長谷地区の「能勢みくさ山棚田府民農園」で棚田を借りて米作り体験を続けている自治労府職。本部、環境農林水産支部、総務支部が中心となり、各支部組合員とその家族の参加を求め、春の田植え、秋の稲刈りと米の成長に合わせて棚田が育む大自然に触れている。20世紀末の今年も、おいしい米ができるよう、おいしい米が食べられるように自然を大切にする取り組みを続けていく。棚田を再確認するため環境農林水産支部の自治研レポート・大阪府資料を掲載する。

 国土・環境保全等、多くの公益的機能を有する棚田地域の保全へ向けた取り組みが全国で活発化している。大阪府にも美しい棚田があり、都市住民の心のふるさととして、安らぎやうるおいを与えている。この棚田を保全していく取り組みについて述べる。
1、棚田とは
 「棚田」とは、山地の傾斜面に作られた田んぼのことで、何枚もの田んぼが階段のように段々に積み重なっている様子が棚のように見えることから「棚田」と呼ばれる。その歴史は古く、日本で稲作が始まった弥生時代からあったといわれている。
 山地の多い日本では、棚田はほぼ全国に見られる。現在は、土地の傾斜が20分の1以上の水田を棚田と呼んでいるが、その面積は日本全国の水田の総面積の約8%を占める。
 大阪にも美しい棚田が存在し、保全していくべき棚田としては13市町村約400¥外字(8a34)がある。また、農林水産省が認定した「日本の棚田百選」には、千早赤阪村(下赤阪地区)・能勢町(長谷地区)2地区の棚田が選ばれている。

2、棚田が果たしている役割
 棚田は、森と平地の間にあり、その近くに川や水路が流れており、多様な環境の中にあるため、多くの公益的機能を有する。
○生態系の保全機能
 棚田が多様な自然環境の中にあることから、平地の水田や大きな公園・緑地よりも多くの種類の植物・昆虫がみられ、多様な動植物の宝庫となっている。
○国土保全機能
 棚田は、森や川の上流から流れ出る水を受け止めて貯え、大雨などによる平地への洪水、土砂の崩落などを防ぐ。また、貯えた水は少しずつ地下にしみ込んで地下水となり、ゆっくり川へも流れ込み、地下水涵養の役割を果たす。
○棚田の歴史・文化価値
 棚田は、先人が山の斜面を削り、石垣を積むなどして作られた田んぼで農業を営むことによって現在まで守ってきたもので、その姿は歴史・文化的価値を有する。
○田園の景観保全機能
 棚田のある風景は、日本の伝統的な農村風景である。特に大阪のような大都市近郊にあって、きれいな水や緑の牧歌的空間が人々のこころに安らぎやうるおいを与えている。
3、棚田地域の現状
 棚田は山地にあり田の1枚1枚の面積も小さいことから、農業を営み維持管理を行うには平地の水田以上に労力がかかる。ところが、この棚田のある地域での高齢化が進み、その労力の大変さから棚田の耕作放棄がすすんでいる。
 耕作放棄された棚田を放っておくと、雑草が茂り土地が荒れて地すべりや崩壊の原因になるほか、周囲の田畑を荒らす鳥獣等の住みかになる。また、耕作放棄された棚田をもとへ戻すのは重労働である。
 先人達の時代からこれまでの間、守りぬいた貴重な財産を荒廃させてはいけない。

4、棚田地域を守るための大阪府の取り組み
 こうした現状から、今、全国で棚田を見直し、守る動きが活発になっている。
 国では、棚田地域を守るための3カ年の補助制度として、平成10年度に基金事業を創設した。
 大阪府でも、府域の棚田を保全・活用するためこの事業を導入し、平成10年度から「棚田・ふるさと保全基金」として基金の造成を行っている。平成10年度〜平成12年度の3カ年で約1億円を造成する計画である。
大阪府の取り組み
○民間寄付の募集
○棚田保全活動を支える市民ファンクラブ「棚田・ふるさとファンクラブ」の会員募集
○ファンクラブ会員がボランティアとして棚田保全活動を実施
○棚田地域での保全活動のリーダー育成
○棚田地域と府民の交流促進を図る情報の発信、イベント等の実施や援助 など
5、今後の課題
 府庁内外への棚田保全への認知と理解を深めるため、市町村との協調で積極的なPR活動を行うほか、「棚田・ふるさとファンクラブ」の会員拡大を図ることが必要である。
 また、棚田地域で保全活動を推進していくため、モデルとなる地域のコミュニティの育成が必要である。今年度、千早赤阪村において推進を図っていくこととしている。
 能勢町長谷地区では、平成10年度から大阪府農とみどり環境の整備公社が地元農家と協力し、都市住民との交流のために、約2haの棚田を借り上げ、「能勢みくさ山棚田府民農園」として府民に米作り体験を呼びかけている。自治労府職も毎年参加をしている。棚田を活用したこのような交流活動の実施も地域に働きかけていく必要がある。
 こうした棚田保全運動を契機として、残された数少ない農地を含む緑資源を府民運動の展開で守り育てていく取り組みが求められている。
【環境農林水産支部】

 

99年の出来事
原子力災害を考える
目に見えぬ放射能実体験
臨界事故の教訓生かし原子力防災の確立を   
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 原子力の恐ろしさを見せつけた東海村、核燃料製造会社の臨界事故。目に見えない放射能は会社職員、救急隊員、役場職員、住民に多大な被害をあたえた。今回の事故は、発生時、その後の行政対応も問われるものとなっている。自治労は事故後、現地に調査団を派遣し防災対策の問題点を追及している。調査に参加した自治労府職の末田さん(環境農林水産支部)の報告を受け、危険な原子力を改めて認識する機会としたい。

 本来ならば新年そうそうから事故の話などしたくはありません。しかし、99年9月30日に起きたJCO臨界事故の教訓を生かすことができるかどうかで、未来に展望を持てるかどうかも変わってきます。あのような事故が大阪で起きたら、あなたはどうしますか。

 

反原発、防災体制確立に   自治労府職取り組み強める

将来の世代に原子力発電のつけを残さないためにも反原発、脱原発の取り組みを進めなければならない。
 自治労府職として原子力災害時の災害応急対策など放射線障害が発生する恐れのある業務に関わる職員の安全を確保するため、必要な措置を引き続き府当局に要求し、実現をめざしている。
 消防防災安全課などをエリアにもつ総務支部でも99年6月、10月にそれぞれ原子力防災対策の強化を申し入れ、災害発生時の職員、組合員の危険防止に努めるよう強く求めている。

トレーニング始めませんか
楽しむことが長続きの秘訣

姿見の前で、上半身の裸体を写してみる。学生時代の逆三角形の体付きとは「似て否なるもの」とは感じながらも、確かにベルトの上にあったスイカ状の腹の出っ張りは影を潜め、上腕筋や腹筋がかすかに隆起している……。
 職場の同僚が通うトレーニングセンターに参加したのが3月下旬。暖房の行き届いた室内で着替えるまでもなく、すでに汗だく。39歳でほぼ100¥外字(8042)のウエイトに「どうせ俺は肥えてるワイ、文句あるか」のつもりではあったが、黙々とトレーニングを続けるメンバーは新人の様相などまったく気にすることはないと後になって知る。
 減量と体力回復を目的に通いだしたが、まず直面したのが時間と費用とのたたかい。連日は体力的に厳しく、週2回参加しようと思えばノー残業デーの水曜日を中心に月か金をキープする必要がでてくる。残業や事務所行事などが重なることも多く、一時の感情に左右される誘惑には断腸の思いで、朝一番から「今日はトレセンの日です」と周りに宣言するのも一つの手だろう。また、トレセンに通う費用や交通費もゼロでない以上、余裕のない勤労者にとっては何かを切り詰める必要も生じてくる。私の場合は5月の連休を利用した禁煙とスナックのボトルキープ・帰りのタクシーをケチることでクリア。今となっては家庭・職場とも禁煙は歓迎されているし、ジョギングなど持久力勝負でトレーニングが続けられる理由にもなってきた。
 トレーニングをするために意識したいことではまず場所。業務終了後に無理なく参加できる所にあるかどうか。次に専属のトレーナーやインストラクター。数ある参加者の中で、悩みや時にはグチの一つも聞いてくれて、なおかつ自身の体力・能力に応じたメニューを適切に指導できる人がいるかどうか。第三は取りまく環境。一緒に参加できる同僚がいればなお良いが、職場での誘惑は実に多い。それらを振り切るのだが、禍根を残さないように仲間との付き合いは最小限は守っていかなければならない。第四はトレセンに来る人との出会い。決して華美にならない自己紹介やトレセン行事などに積極的に参加することは、自身の社交性を高めていくことにもなる。最後に施設。近代的な施設が整っているにこしたことはないが、プールがなくてもトレーニングはできる。トレーニングを続けることで自分の弱点も把握できるし、その克服を目標に置けば良い。
 以上のことを念頭に置いて、長続きの秘訣を自分なりに考えてみた。第一に自分自身の意志をきちっと持つこと。減量も筋力アップもいつでもサボれるしおとがめもない。要は自分の意志次第だ。だから安直な妥協を許さない同年齢・同程度の運動能力を有するライバルと目標にする人を作ることも忘れてはならない。第二は多くの人と知り合いになること。交友関係を広げていくには、あいさつから。そして恋愛関係にならない程度の異性の友人を多く持つことだ。「(体形がトレーニングで)スッキリしてきましたネ」「いつも頑張ってますネ」などと声を掛けてもらえれば、少なくとも同性のそれよりはヤル気になるはずだ。第三に目標。かつてのマラソン銀メダリストの君原さんが「次の電柱までがんばろう、次の交差点までがんばろう」と苦しい時に自分を励ました有名なことばがある。マシーンを使ったランニングなどでは、残り時間・走行距離・消費カロリーなどの画面表示を見て「あと○○がんばろう」と自身を奮い立たせてみるのもいい。第四は記録。絶えず記録することで「継続は力」をまさに実感することができる。その日の体調に合わせた限界への挑戦……TV報道こそないが新記録を達成した喜びはなにものにも変えがたい。
 月8〜10回の参加で、半年も経てば使用前・使用後の写真が撮れるほど身体は引き締まるものだ。私自身の目標は年度内80¥外字(8042)台の達成である。あくまでマイペースでしんどいことを楽しんで行うことが長続きの秘訣であるトレーニング。
 この記事を読んでいるそこのアナタ。夜の交流はほどほどに、ぼちぼち身体を動かすトレーニングを始めませんか。手を前からあげて背伸びの運動から。
 社会保険支部・長岡英雄