政策入札で地域を変える、職場を変える。2004

公共入札を考える7・21決起集会    
   
    開催    2004年7月21日[水]        
主催    自治労府職                   
        全港湾関西地方建設支部
        全国一般大阪地本          

末田  公共入札を考える7・21決起集会を始めていきたいと思います。大阪府がいろんな仕事を発注するときに入札を行いますが、今までは安かろう悪かろうということで、それが下請けの方たちの労働条件に反映して、非常に劣悪な条件で働かされていることが往々にしてありました。
 それを何とか変える方法はないかといろいろと考えられた中で、総合評価方式を導入しろという要求を続けてきましたが、大阪府は昨年(2003年)から試行を実施し、値段以外に点数を付けて落札業者の決定に反映するということを始めました。全国的に注目されているわけですが、今までどういうことが勝ち取られたのかを改めてここで確認をして、今後の運動を考えていこうと、この集会を設定させていただきます。
 全港湾建設支部、全国一般大阪地本 、自治労府職、3者共催ということになります。私の記憶では、この3者共催で集会をやったというのは、初めてなのかと思います。3者のうちの呼びかけ団体である自治労府職執行委員長・大橋から主催者挨拶をさせていただきます。


委託反対闘争の問題克服を目指して


大橋   三つの組織の一人ですので、ご挨拶を申し上げたいと思います。さて、私自身は、今から2年半ほど前に自治労大阪府本部が開催した2002春闘に向けての集会の中で、政策入札ということばを初めて聞きました。それまでの労働組合は組合員、職員の労働条件や身分をどう守るのかということで運動を続けてきました。
 私は大阪府に入って、当時は府税事務所に配属されましたが、約40年経っています。「現業」「非現業」ということばがあります。国の場合には行政職という給料表があり、「一表」が非現業で「二表」が現業という位置づけになっていました。どちらかというと現場関係の仕事が二表で、大阪府の場合は給料表では出ていませんが、歴然とそういう区別が残っています。当時の府税事務所には、清掃も二人の方が朝から夕方までずっといらっしゃいましたし、運転手さんも一人配置されていました。それが数年経ったあと、これを委託に回すということで、だんだん消えていったという経過があります。当時労働組合としては、職員の身分なり新たな職場をどう獲得していくのか、精力を注いで運動を続けてきたということでした。それが当時の組合としてはごく当たり前の普通の状態で、もちろん委託反対を掲げながらも、結果としてはそういうことになってずっと流れてきたということです。
 今では大阪府全体のさまざまな職種に委託が入ってきています。本館の清掃関係や逓送(各文書をやり取りする仕事)も委託されたり、守衛さんの一部が委託されたりということがあります。私が今、仕事をしています職員会館にも、清掃の方は外部委託、守衛さんも外部委託、そしてつい先だって7月からだったと思うんですが、いつの間にか人が代わっている、この間まで朝に会っておはようございますと挨拶していた方がころっと代わっているということもいろいろ経験してきました。
 非常勤の職員は千何百人という単位でおられ、労働組合として運動をしてきて、労働条件についてはある程度交通費の引き上げとか賃金の問題とかの取り組みはしてきたわけですが、いったん委託をされてしまうと、そこがどうなのかということになりますと、私自身も認識をしていなかったということで、ショックを受けました。
 そういうことから、入り口である契約の入札の段階から取り組んでいかなければいけないという思いで、この間自治労府職として当局に対して要求書を出したり取り組みをしてきました。のちほど報告があるかと思いますが、一定程度前進をしてきましたけれども、今後の課題として厚生労働基準、たとえば社会保険事務所の適用事業所であるのかどうか、就業規則があるのかどうかというものについては、まだまだ大きな課題が残っています。非常勤の関係についても、社会保険の関係として雇用保険と国民年金、健康保険という3つの制度があります。この適用を巡って当局と折衝、あるいは交渉もしている状態ですけれども、そういったことについての皆様の率直なご意見、交流を通して我々自身も勉強していきながら、同一労働同一賃金という最終的な目標を目指して頑張っていきたいと思っています。最後までよろしくお願いします。


闘いの経過と集会基調


末田  それでは早速集会の中身に入っていきたいと思います。今90名近くの方が参加しています。
 それでは「公共入札を考える」という取っつきにくいテーマですので、今までどんなことが問題になってきて、どんな取り組みをしてきたのか、そして今どうなっているのか、ということを含めて、この問題のエキスパートである自治労府職労働支部長・橋本さんの方から基調と経過の報告をしていただきます。

橋本  先ほど委員長から話がありましたように、大阪府は昨年2件の総合評価方式の公共入札を行いました。今年に入って9件の本格実施に踏み切りました。
 今まで価格だけで安いところへ落としていたのを、価格の評価を70%、その会社の技術の評価を12%、そして福祉環境といったことに配慮をされているかどうか、ということも入札の条件にしたわけです。この点については大阪府が初めて実施して、2003年度2件の試行実施についてはかなり全体的には大きな評価を受け、2004年度はそれを9件に拡大しました。細かい内容につきましては、どういうことが評価されているのか、こういうことをみなさんの方に情報公開させていただきたいということで、ここに付けさせていただきました。この点が評価をされています。資料3が昨年の総合評価の中身であります。資料6が今年2004年度に行われた9件の総合評価方式の中身です。こういったことを総合評価の中に盛り込んでいきました。
 では、これで全てが解決なのかというと、実はそうではありません。先ほど委員長もおっしゃったように同一労働同一賃金、誰がやろうと賃金・労働条件が同じだということが、我々の最終目標だと考えているところです。
 総合評価方式に至るまでに、いくつかの闘いの経過がありました。私たち自治労府職として取り組みもやってきましたが、それ以上に民間の労働組合、特に全港湾、全国一般の人たちの闘いがあって、大阪府の入札制度を変えさせてきた歴史があります。そういうことをふまえて、私自身労働行政に関わってきた立場から、ご報告をさせていただきたいと思います。

自治体下請け労働者に労働法令違反が続出


 特に、自治体下請け労働者に労働法令違反が続出した時代がありました。
 みなさんもご存じのように、いろんなところで1円入札であるとか、いろんな低価格入札が行われました。埼玉県公立学校共済組合のホテルの清掃で1円入札が起こり、新聞に載りました。新聞に載ったけれども、この1円入札は成立しました。そこの労働条件と入札価格とはリンクをしない。繋がっていないというのが、入札担当者の理屈です。
 しかし、結果的にはそうはなっていない。例えば1円で入札した業者が、それほど高い労働条件を出すわけがありません。どこかにからくりがある。


下請け労働者に労働組合が結成された


 労働者の最低賃金違反やあるいは不当労働行為、労災隠しなどの問題が続出したという実態があります。そこに労働組合が結成されました。私たちの知る限りでは、全国一般なり全港湾でした。
 労働者が組合を結成すると当然、継続雇用を求めます。1年間働いてまた競争入札になる。当然組合としてはその時に継続雇用を求めるということになると、1ヶ月前に企業が労働者に対して解雇予告を出すから、予告をされた段階で労働組合がストライキに入ります。ストライキに入ったら、そこの職場は空くわけです。その職場で契約担当者が誰か別のものをよこせということになったら、これは当然不当労働行為です。そのことを一つの盾にして労働組合は闘いを進めてきました。
 契約担当者は、それなら委託をしているメリットがないと言いました。あるいは企業に対して「損害賠償もんや」と言った担当者がいました。私たち労働行政をやっているものとして、そういう契約担当者といろいろ話し合いをしてきた経過もありました。労働組合から突き上げを食らうという状態の中で、契約担当者にこの委託制度そのものがそういうリスクを抱えているのだという話をしてきたところです。直接契約担当者がそこの労働者にものを言うことについても、労働関係法令違反です。企業を通してものを言う、企業の労使関係に直接介入してはならない。
 その中で今度は派遣法が出てきたけれども、そういう委託契約は今も全然変わっていないわけです。


現業職場直営化の闘いと民間委託労働者の労働基本権確立の闘い


 昔は一つの建物を直接そこの労働者が清掃し警備をするのは当たり前でした。大阪府でもそうでしたし、民間企業でもそうでした。現業直営化闘争というのは、そういう闘争でした。自分らの職場の職員が、民間企業であってもそこの企業の労働者が、そこに泊まり込みで警備をするというのが普通でした。
 でも今は、そんなところはありません。当然そういう清掃あるいは警備の委託ということが行われるけれども、誰が警備をしようが、誰が清掃をしようが同じ労働者です。そこで同一労働同一賃金が保障されるべきであると思っています。それが公務員でなければならないとは考えていませんが、そういう問題を同じ労働者として追求をするということがこの運動の本質ではないかと思っています。
 警備にしろ清掃にしろ滞ることがないように措置することが、自治体の担当者の務めですし、民間委託のリスクを含めて直営に近づけるということが一番大きな課題です。契約した会社が法令違反をしていたとしても、短期契約労働者を採用するときに社会保険に加入をしないでいたとしても、自治体は関係ないという立場を取っている今の現状が極めておかしいと言わざるを得ないわけです。


3組合が府用度課に申し入れ


 そして私たちこの3組合が出会いました。かつて3つの組合、大阪府の全港湾と全国一般と自治労府職は労働支部が、大阪府の用度課に最低制限価格を付けるように申し入れた時代がありました。あるいは雇用の継承を訴えた時代がありました。それに対して大阪府は当時、法律違反だとわかっていても、最低制限価格を現実に1回付けました。雇用継続の問題についても、企業が替わっても新たな企業がその労働者を雇うということであれば、雇用を継承しようというところまでいった時代がありました。やはり労働運動が高揚している時代でした。
 その最低制限価格を付けさせたところに、損害賠償請求が行われました。成人病センター事件です。最高裁までいって大阪府が負けました。大阪府が負けたときに、大阪府の契約担当者に全て責任がかけられたんです。契約担当者が法律違反をした。最低制限価格を付けてはならないという法律違反をして最低制限価格を付けたのだから、その担当者が悪いということで損害賠償が全部その担当者にいってしまいました。個人にいったんです。大阪府は違反をしていない。議会にもお金を請求できない、だから個人でそれを全部出せというんです。大変な問題です。
 今、大阪府では大阪府職員生協が職員に対して、掛け金を払って損害賠償を請求されたときに助けられる保険を呼びかけている事態です。そういう問題も片一方であったわけです。
 このため、大阪府は最低制限価格を付けることについては極めて遅かったんです。自治省との交渉が一定それを認めてもいいよという方向に動いたときにも、大阪府は極めて慎重でした。しかし、私たち自治労としては、当時全国一般といっしょに清掃の現場における安全活動について学習会をしたりという経験をしてきました。


大阪府は労働法違反企業と取り引きするな


 そして今回、大阪府の組合の取り組みとして紹介したいのは、かなり古い知事の回答です。当時、1973年から78年ぐらいまで労働関係法令に違反するような企業と取引をするな、という申し入れを大阪府がいただきました。そして大阪府知事がこういう回答をしたわけです。「労働関係法令及び公害条令等に違反した企業については所管する行政機関の処分決定があった場合にその内容に応じて一定期間指名停止の措置を行う」内容です。
 これを楯に労働組合は労働争議が起こったときに労働委員会の命令でも出れば、大阪府に指名競争入札から外せ、という申し入れを続けてきました。行政としましては、地労委命令については発注部局に配布をして労働組合からの要請に応えるという立場を取ってきました。そういう関係で労働組合と行政との関係性が作られていったわけです。


新たな入札制度への着手


 大阪府は2002年度、大阪府に税金を納めていない企業には発注しない、という条件を付しました。同じ2002年に総務省が自治労との交渉の席上、自治体入札に当たって自治体が望むべき基準、自治体が希望する基準を設けてもいいですよと回答しました。この背景には1999年に地方自治法施行令が改正され、「価格その他の条件が当該普通地方公共団体にとって最も有利なものをもって申し込みをした者を落札者とすることができる」とされたことがあげられます。
 こうしたことを受けて大阪府は、障害者の雇用率、労働基準法、最低賃金法などの労働関係法令といった本来企業が守るべき法律や課題、あるいは発注者としての自治体が望むべき基準を示しながら、努力している企業について、元請けから下請けまで工事発注者として誓約書を提出させるなり、あるいは努力指数を一定の評価にしていくなりということをできないかという検討に入ったわけです。
 やはり競争だけにこだわって最賃以下の労働者や法違反を容認することが、我々は、大阪府という自治体の品位を落とすだけでなく、府民に対する重大な裏切り行為であると考えているのです。不安定雇用労働者をどんどん生んでいくことが、今の小泉内閣の進める年金制度改悪、あるいは大衆収奪などと軌を一にしているのではないか。不安定雇用労働者を少しでも無くしていく運動を展開する必要があるという立場で、自治労府職としての申し入れを2002年の9月に行いました。


総合評価の光と影


 2002年9月には、自治労府職の自治研集会をこのテーマで開催し、全港湾からも来ていただきましてご意見もいただきました。さらに2003年度にも入札制度に関する要請を行ってきたところです。こういった2002年、2003年の要請書を踏まえて、総合評価方式が具体化をされていったわけです。
 しかしながら総合評価方式というのは、「自治体の裁量権をあまり広げすぎるのは極めて危険だ」「どこかで裁判を起こされると元も子も無い」、こういうふうに言う担当者も多いわけです。私たちとしては、これまで積み上げてきた内容についてどこまで具体化をさせて実態を積み上げていけるのか、これがひとつの勝負ではないかと。自治体の裁量権をどんどん増やすことが、例えば自治体のOBが雇われているような企業にしか落とさないというような条件を付けるというのはけしからん話ですから、府民の監視、情報公開といったことが不可欠であろうと思っています。
 そして地元の雇用を守って当該労働者の労働基本権を守っていく、府民に法律を適用し権利を守る、そういうことが税金がまっとうに使われているということではないかと、考えているところです。
 そしてこの問題の解決に向けて、自治労府職単独で大阪府に対して申し入れをすることも2年間やってきた中で、一定の限界性がある。やはり現場からの声を含めて、今まで共闘して進めてきたかつての経験を踏まえて、民間の労働組合と手を携えて、3つの労働組合が大阪府に要請書を提出していく取り組みも含めて進めないとなかなか問題が解決していかない。大阪府独自に一定の穴を開けていこうと思えば、次の段階に行く必要がある。
 今回の集会の趣旨としては、総合評価方式の一つの段階を確認をしながら、最終目標に向けて3つの組合が統一をして大阪府に申し入れ、団体交渉を行い、共同行動を展開をしていきたい。このことを問題提起として、集会基調に代えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

  
自治体が望むべき基準とは


末田  普段あまり聞き慣れない入札の話で解説をさせていただきましたが、率直な質問・意見交換の時間を取りたいと思います。今の経過報告なり基調報告について、意見や質問がある方は遠慮無く手を挙げていただけたらと思います。

会場  自治体入札に当たって、「自治体が望むべき基準を容認する」のところで、回答はこれだけの文章だったんですか。

橋本  正確な文章を今日は持っていないんですが、自治体の望むべき基準を入札制度に入れることについて、総務省としては認める、こういう言い方です。ですから最低制限価格を作るとか低価格入札制度を入れるとかについては明確に認めたわけです。同時に総合評価方式のように、自治体の望むべき基準、どういう政策配慮がされているかとか、大阪府は例えば税金を取っていないところより取っているところを優先するとか、いわゆる他事考慮、入札とは直接関係のないものの中で自治体がその会社に望むべき基準を作ってもいいですよという条件です。容認するというのはそういう言い方です。それ以上のものでも以下のものでもない。


問題提起と決意表明


末田  後ほど、運動方針で提案した大阪府に対する要請書を提案させていただきます。今まで自治労府職の関係者ばかりしゃべってきましたので、問題提起と決意表明ということで主催の3団体それぞれから代表してお言葉をいただきたいと思います。まず最初に全港湾関西地方建設支部の青木書記長お願いします。


入札によって雇用を奪うな


青木  私たち全港湾建設支部はビルメンテナンスの労働者を多数組織していまして、特にビルメンの入札問題が大変だと問題提起をしてもう十数年になります。先ほど話がありましたが、自治労の集会にも押しかけて問題提起をさせていただきました。そのなかで今日こうして自治労と全国一般と3者でこのような集会を持てたということをほんとに感謝したいと思います。
 入札が始まった当時、私たちは元気でしたから、基本的に入札反対で、「入札したら、入札箱取り上げたらいいんや」というような元気な時代もありました。ところが、なかなかそうは言ってられない。私たちが入札に対して一貫して言ってきたのは「入札によって雇用を奪うな」「入札の結果、労働条件を切り下げるな」「入札の結果によって、そこで労働組合がある中で団結権を破壊するな」です。雇用と労働条件と団結権を保障した入札を行え、それさえしてくれたら入札大いに結構ですよ、毎年でもやってくれたらいいですよと、ずっと問題提起をしてきました。しかし残念ながら、その道は遙かに遠いと言わなければならないと思っています。
 今は大変厳しい雇用状況ですから、特に我々が強調しているのは雇用問題です。団結権の問題は、基本的に労働組合が闘って勝ち取るものだと思っているから、発注者にお願いするものではないし、それは実力の世界です。労働条件問題は大いにあるのですが、特に最近の入札は最低賃金も守れないような入札が横行しています。我々が一昨年堺支部で行政訴訟したケースでは、警備の料金単価は時間単価で440円。440円でどないすんねんという話です。そんな入札が現実に起こっていた。大阪市であった入札では時間単価にしたら220円という入札もあったので、人を派遣する入札でこんな馬鹿なことがあっていいのかと。労働条件問題は大いに問題なんです。しかしなんといっても雇用です。雇用無くしては労働条件の話もない。如何に雇用を入札のとき守るのかということを、一生懸命問題提起をしてきたつもりです。


雇用問題が欠落した総合評価制度


 先ほどの基調報告で橋本さんの方から総合評価制度はすばらしいと全面展開があれば、それに文句を言おうと思っていたんですが、あまり強調されなかったんでどこまで言っていいものか悩むんですが、今の総合評価制度は確かに価格以外の要素をいれて落札者を決定していこうとするのは大変評価しています。
 ともかく価格で決定するというのは、安ければいいということです。何でも安ければいいのか、人を派遣するのに安ければいいのか、そこで法律違反があってもいいのかということです。先ほども言いましたけれど、堺市であった入札は指名入札だったが、そこで指名された業者というのは労災保険さえも掛けたことがない業者でした。行政が、労災保険も掛けたことのない、当然社会保険も掛けたことがない、一度も最低限の法律で決められた保険さえも掛けたことがない、そのような状態で堺市で20数年営業していた業者を平気で指名する。当然そこが一番安いわけですから、そこに落札するということを行政がやっていいのか、ということです。それに対して、それ以外の要素を入れていこうという一つが総合評価制度だということで、そのことは大変大きく評価をするわけです。
 しかし我々がずっと求めているのは、雇用と労働条件と団結権です。今年、総合評価制度を大阪府が9件やっていますけれど、そこには残念ながら雇用も労働条件も団結権もありません。大阪府に対して、我々は「せめて雇用問題を何とかせえ」と、継続雇用という言い方をしています。入札によって業者が替わっても、そこで働いている労働者の雇用が守られることを条件にしてくれということをずっと要請しています。大阪府の方も、総合評価の点数の中に雇用継承を入れようという動きがあります。近々そういう方向に動くかもしれませんけれども、しかしそれも評価の1項目でしかないと思っています。評価されることは大変いいことなのですが、労働者の雇用問題が例えば、低公害車を入れることがいいことかどうか、そんなレベルと同じように扱われる。あるいは「トイレットペーパーがバージンパルプのやつはダメだよ」と同じように雇用問題が扱われるのは、正直いって大変不満です。雇用問題は大いに入れてもらいたいし、評価点を高くして欲しい。いろんな団体があっていろんな要請をしますから、総合評価の中にあれも入れて欲しいこれも入れて欲しいという評価項目がどんどん増えていく傾向にはあるけれども、特に人を派遣する契約においては雇用問題、労働問題の観点を入れないと意味がないですから、これを是非入れて総合評価制度をもっと良くして欲しいと思っています。


政府調達協定以外の入札に総合評価制度を拡げる努力を


 ただ我々が言いたいのは総合評価制度は、大阪府でたかだか9件です。大阪市が5件くらいです。大阪府でビルメンの入札がいくつあるか。100や200ではないと思います。関連団体を入れたら、数千のオーダーでたぶん入札がある。何万人の労働者が毎年毎年の入札で雇用が奪われるかという話をしているときに、たかだか9件の100名ちょっとの入札問題でそこで問題解決といっても何も解決していない。総合評価はほんの氷山の一角で、我々はショウケースだといっています。確かにショウケースとして中味はきれいにしたいし、そこで理想的なものを作るのはいいことですけれども、それが残りの数千件の入札に波及しないと意味がない。ビルメン労働者は救われない。「たまたま大阪府庁で働いていたから雇用が守られたね」という話では、「その隣の出先のビルにいた人はどないなるのよ」という話です。今の総合評価制度は大いにすばらしい制度とは思うし、どんどん広げていかないといけないと思うけれど、それだけを議論していたのでは根本的解決はできないと思います。要請書の中でも総合評価制度を他の自治体にも広げようとなっていますが、それはすばらしいと思いますが、しかし今の状況で本当に広げられるかといったら私は疑問だと思っています。
 大阪府や大阪市が総合評価制度を入れているのは、政府調達協定物件といって、国が外国との約束で「この入札については最低制約を設けてはいけませんよ」あるいは「毎年入札しなければあきませんよ」と決められている入札が、総合評価制度の入札、政府調達協定の入札です。政府調達協定の入札に限って総合評価を入れたということです。これは大阪府と市と国には関係あるが、それ以外の自治体に政府調達協定は関係ない。それ以外の自治体はどうしているかというと、例えば地方自治法の改正によって最低制限価格を設けた入札を実際にやっている。他の自治体は、うちは最低制限価格を設けて入札しているので何が問題あるのか、総合評価制度を入れる必要がないじゃないかと、理屈は一方では成り立ってしまう。最低制限価格を設けたらすばらしい入札なのかというと、これもまた大間違いで、今年の春に堺市で組合員が30数名いた企業が入札で負けました。最低制限価格があっても、労働者の生首は飛んでいく。
 大阪府がやっているのは最低制限価格を法律的に設けられない入札について総合評価制度を入れたということだけです。大阪府は、最低制限価格を設けながら総合評価もやっていくという入札の数を1件でも2件でも、少なくとも最低制限価格を設けることができる入札の中で是非やっていただいて、その成果をもとに他の自治体にも波及させていくという努力をしていただきたいと思っています。


入札での様々な努力を


 物理的に総合評価制度9件が100件になるとは到底思っていません。そんなこと出来ないと思っています。私どもは総合評価よりももっと一番簡単に「入札によって雇用を奪いませんよ」と言ってくれるのが一番ありがたい。
 大阪府××市では一昨年行った入札で、現在働いている人の継続雇用を条件に入札しますと言った。全港湾が申し入れした成果です。我が方として単価の問題がありますけれど、少なくとも入札があったって雇用は奪われないわけです。我々は大変すばらしい、是非総合評価制度よりも雇用継続を条件にする入札を一層広げてもらいたい、と思っている。ところが、法律的にいろいろ難しいことを言う人がいっぱいあり、難しいということはわかっています。しかし少なくともいろんな自治体があるので、現場説明会の中で現在働いている人は引き続き雇用するようにお願いしますよと、入札参加者にお願いする市があります。大阪市は、それもしていません。ほんま、あかんと思っています。総合評価制度は大変すばらしいと思っていますけれども、そういう総合評価以外に、現実に働いている労働者の生首が飛ぶことがないように、少なくとも自治体が市民の生首を飛ばさないように、いろんな努力がまだまだ出来ると思いますから、是非お願いをしたいなあと思います。


入札に見積書を添付させよう


 我々がもう一つ実現可能なことでお願いしたいと思っているのは、入札に見積書を添付せよということです。どこの入札でも総額方式といって、総額の札を入れるだけです。私も前に営業をやっていましたので、ビルメンの営業の札を入れるけれども、1000万入れると、隣の人が999万入れたら負けるということです。札を1枚入れて総額で勝負をするという方法です。「そんな入札方法では、何も中味わからないじゃないか、入札書の中に見積書を添付させろ」と。基本的には人を配置する仕事ですから、何人をあるいはどういう時間で配置するのか、ちゃんと最低賃金は守られているのか、社会保険を掛けているのか、労災保険の金は入っているか、というようなことを見積書添付の中でチェックする。発注者としては、それをチェックする中で落札者を決めていく。それが抜けていたら当然ちゃんと指導するという中で、少しは総合評価制度以外の入札も改善されていくのではないかと期待しています。今の法律の中でも十分可能ですので、今日も府庁の発注者の方がおられると思いますので、お願いをしたいと思います。
 まだまだ入札問題は法律的な縛りもありますし、今の世の中ともかく競争すればいいんだという話があります。この間、北朝鮮による拉致家族のジュンキンスさんがインドネシアから日本に来ましたけれども、JALの飛行機で来ましたね、あれ1円だそうです。JALと全日空で入札をして、いくらでチャーター便を飛ばすかと政府が入札をしたら1円で落札をして、2社でくじ引きをしてJALに決まった。あんなのは好きにさせたらいいのですけれど、少なくとも日々働いている、日々人を派遣する入札の中でそんな馬鹿なことをしてはいけない。公共団体である大阪府がそんなことをしてはいけない。最低、大阪府で働く労働者にとって公正労働条件は何かを是非詰めていただきたいと思います。


リビングウェッジ運動で労働運動の再生を


 先ほどの説明の中にありませんでしたけれど、大阪府の関連職員の賃金は900円にすると議会で決まったそうです。大変すばらしいと思っています。私たちは大阪府庁舎の中から委託下請を含めて900円以下の労働者をなくそうという運動を是非官民合わせて盛り上げたいと思っています。アメリカではリビングウェッジ運動の中で、自治体の中からいくらいくらの労働者をなくそうというのを労働組合が中心になって市民団体といっしょに運動を作り上げる中で労働運動は大いに盛り上がったということがあります。大阪府においては900円以下の労働者を下請けも含めてなくそうという運動を、是非我々民間労組と市民団体といっしょになって作る中で、労働運動の再生、もう一度頑張る運動を作っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

末田  ありがとうございました。かなり総合評価の現状と課題が見えてきたと思います。
それでは続いて全国一般大阪地本の道脇書記長お願いします。


随意契約で雇用を守る闘い


道脇  私たち大阪地本は様々な職種、業種があって大阪には約50組合があり、そのうちビルメン清掃関係が10組合ぐらいあります。この間の取り組みを具体的に清掃関係について報告したいと思います。
 堺市にごみとか屎尿の関係で委託があるのですが、ごみに関しては10業者があります。ここは歴史も古くて労働組合が結成されてから30年経過をしています。ここは毎年3月に1年間の契約を行います。特に今回のテーマとは若干違うのですが、随意契約でやっています。そういった状況もありますが、昨今は各自治体の財政が悪化していることもあって、堺市の場合でもこの10業者に対して10年間で約2割の委託の契約料がダウンしています。
 堺市の状況を若干説明しますと、世帯数が32万ぐらいありまして、そのうちの27万世帯85%が今委託されています。残りの5万世帯は直営で残っています。今年の3月には6万世帯あったのですが1万世帯を入札に掛けました。この入札も自由業者の中で入札に掛けて、結果的には4業者が落札をしました。しかし中味を見ますと、一人当たり何世帯を採るかということで契約を結んでいるのですが、従来の契約レベルよりかなり低い額での落札がされています。過日堺市の局長、部長クラスと話し合いを持つ機会があったのですが、来年以降は残りの5万世帯のうち1万ぐらいは毎年委託をしていく方向であるようです。
 そもそも民間委託すればよいとか、安上がりであればよいということでは決してないと思います。直営である部分は直営でしっかりやっていくということを、特に自治体労働者は守れる職場を守っていただきたいと思います。建物とか現場があれば清掃、警備ビルメン等を含めた業務はつきまとうわけですけれども、コストがあるわけです。コストの使い方が問われているのではないかと思っています。先ほどの堺市の例のような、今の随意契約を何とか守っていく、そのことによって職場の労働条件等が安定して職場と雇用を守れるんだと、その結果として市民サービスがやっていけるということがあります。議会の議事録を読んでも、他の業者等が参入ということで入札をやれという議会への圧力があります。この堺の随意契約は、大阪地本を含めて何とか守っていけるよう今後も努力していきたいと思っています。


同一労働同一賃金の視点で


 今日の総合評価方式の課題ですが、やはり1円入札という無謀といえるような入札を補うためにもこの制度は一定評価できるのではないかと思います。堺市の場合は来年美原町と合併が決まっておりますけれども、そういったことも含めて総合評価方式の課題について我々は今後も学習を深めていきたいと思っています。かつて過去には、全国一般、全港湾を含めて様々な学習会の経験をしていますし、大阪地本として、この集会を機に再度学習会の場に参加をして、清掃現場、ビルメン現場が多々ありますので、入札制度の今後の課題として学習を深めていきたい。特に同一労働同一賃金は働く基本ですので、そういった視点に立って私たち大阪地本も、委託労働者の雇用と職場を守る闘いに今後も努力していく決意を申し上げまして報告といたします。

末田  ありがとうございました。それでは3者の最後にもう一度自治労府職に戻りまして、本庁舎の清掃の委託が一番最初試行でやられたわけですけれども、その発注部局である用度課、今は庁舎管理課と名前が変わりましたが、その職域を抱えます総務支部長・山口の方から決意表明をさせていただきます。


公共サービスを担う仲間が見える運動を


山口  3者の集会は初めて持ったという気もするのですが、今までやってこなかったと改めて反省をして、今後こういう場が続いて持てるように私たちも頑張っていきたいと思います。
 自治労府職の取り組みは基調提起という形で橋本さんの方からやっていただきました。今日は他にも建設支部や税務支部も含めて自治労府職のいろんな支部、発注部局も来ていますが、本庁の試行的にやった庁舎管理課をエリアに持つ支部ということで報告をさせていただきたいと思います。
 私たち総務支部は、本庁の職場を中心に構成されています。そして特徴は、現業職場で働く仲間が大変多い。そこのがんばりによって、私たちの組合活動を続けているといっても過言ではないと思います。守衛さん、自動車の運転手さん、電話で「はい、府庁です」と出る交換手さん、庁舎のボイラーとか設備管理を請け負っている仲間、府営印刷という印刷工の仲間もいます。たくさんの現場で働く仲間によって私たちの支部は支えられています。
 その一方で自治体、特に大阪府の財政悪化がひどい状況になってから何年も経っています。小泉政権の「小さな政府」に示されるような「民間でやれることは民間で」という行革の流れの中で、どんどんいろんな現場の仲間の仕事が民営化、委託化されていく。
 そうした状況の中で、やはり自分たちの職場を守るということだけではもはやダメだな。同一価値労働同一賃金の考え方とかいわれていますが、まだ支部の中では十分に議論されているわけではないですけれども、やはり自治体の公契約とかいろんな入札とか、地方の中でも基準にならなければならない。公正労働基準を含めて自治体に働く公務員であろうが、正規であろうが非正規であろうが、公共サービスをいろんな形でいろんな人が担う時代ですから、きちっと雇用の継続と労働条件などに心を配ったり、そういう仲間のことが見えるような運動がこれから必要になってくる。ちょっとかっこよく言い過ぎているかもしれませんが、この公共入札を考える大きなきっかけになったわけです。


政策入札を労働組合の新しいツールに


 さらには用度課が委託役務の大阪府の契約に関していろいろと問題点を洗い出して改善をしていこう検討していこうという時期と自治労が政策入札を運動方針に取り入れた時期が重なったわけです。
 2002年9月に全港湾の青木さんにも参加をしていただいた単組としての自治研集会を「政策入札で地域を変える職場を変える」というテーマで開催した。地域を変えるというのは、自分のことだけを考えるのではなくて地域の仲間地域の労働者も考える。そして職場を変えるということは、今まで正規の公務員としての職場という見方だけだったところを、私たちの意識と働き方も変えていく。そういう視点を持つことが大事だし、この政策入札を労働組合の新しい道具、ツールとして使っていこうじゃないかという提起が自治研集会の中で提起され、パネルディスカッションが開かれました。参加していた支部の執行委員を含めて組合員の中で、これからの支部活動、労働組合の活動の大事なテーマだと取り組んできました。私たちの現業の仲間の職場が「働く労働の質」というか、誇りを持って生きがいを持って働ける職場を守っていくには、公共入札への取り組みが非常に大事だという思いを持っています。
 用度課の担当者も行政の福祉化という各部局がいろんな障害者の問題なども考えるという取り組みの中の一環として公共入札、総合評価方式が検討されてきた。そこには自治労府職本部も、いろんな申し入れを用度課とか関係課にやってきました。そういった私たちの労働組合としての取り組みもあったわけですが、当該の担当職員が非常に熱心でしかも情熱を持って取り組んで、私たちはもう少し何年もかかるかと思っていたんですが、異例のスピードで試行に取り付けたというのが、私たちの支部から見た総合評価制度のとっかかりです。


自治体が地域の中で模範を


 これからの課題は確かに多いですし、ともにいっしょにやっていく課題は多いと思います。入札では安ければいいとか1円入札とかを許すような面もあることに関しては、大阪府としての価値観を変えていくことも必要だと思います。目先のコストじゃなくて長いスパンで見る、そして総合的な形で見ていくことが必要です。
 今回の試行、そして9カ所に広がっていったわけですが、全国初ということもあったのでいろんな意味で注目を浴びて、私たちが思った以上に評判のいい声も聞いています。当該の業者の中からは一部ではあると思いますが、競争の泥沼から足を洗えるきっかけにもなった、ほっとしているという声も私たちは確認をしております。
 青木さんから、自治体への拡大に関しての限界と今の問題点を指摘されましたが、私たちは当面いろんな問題はありますけれども、まず広げていきたい。そして福祉の配慮、環境の配慮、女性の問題等いろんな問題をそこに織り込むような、勿論雇用の継続、労働条件の確保そういったことも合わせてこの制度をますますいいものに、そして全国に広がっていく制度になるように、思いを込めてこれからもみなさんとともに取り組んでいきたいと思います。
 ILO94号条約にあるように自治体が地域の中で模範を示さなあかん、自治体が1円入札とか、同じ職場で働く労働者の労働条件や雇用の問題に関心を示さないことは間違っているし、そういうことの是正に向けて、この3者がもっと広がりを持っていく形での取り組みが今後も継続出来たらと思います。総務支部の思いと、これからも一緒に頑張っていこうという思いを込めまして、挨拶とさせていただきます。

末田  ありがとうございました。初めてのことをやる担当者というのは大変でして、組合員もそれに携わっているわけですから、いろいろと思いはあったんだろうと思います。


自治体が望んでいない基準を入れさせるためには


会場 自治体が望むべき基準とは、なぜ「べき」といっているのかよくわからない。というのは「自治体が望む基準を設けることを容認する」のだったら、今私たちが言っている要求は全て盛り込める。「雇用継承してください」「最低賃金について、例えば、大阪府ならこれだけの賃金以上払ってくれないといけませんよ」、私たちはさらに「労働組合のない企業は入札に入れるな」とか言っている。そういうことは自治体が望む基準であれば入れられるのではないか。ところがここの文章は「自治体が望むべき」の基準になっている。本当に「べき」の入っている意味がないのであれば、そこは自治体が望んでくれればいいわけで、青木書記長が言ったことは自治体が望んでいない。
 それと先ほど随意契約の話が出ていて、業団体のシステムがいいシステムだとありましたが、たぶんそれは今私たち組合がいってるような雇用継承だとか最低賃金の問題は総合評価の中に入っていないからじゃないか。これが入ってきたときにどうなるか。要望ですが、是非、入札するのは労働組合じゃない、業者なんですよ。今日集まっていいる人たちではなく、業者にこのシステムについて発注部局として進めていくことを是非お願いしたい。

橋本  自治労と総務省との間のやりとりは、自治労が文書で送ってきている。口頭的な確認はしてますけれども、「べき」が入っていなかったか入っていたかと言われると、今その文書がないのではっきり申し上げられません。
 ただ「自治体が望むべく」とか 「べき」とか「自治体が望む基準」とかはおっしゃるとおりだと思います。自治体が望んでいるのか望んでないのかと言われると、望んでない。安いから出すんです。逆に言えば、同一労働同一賃金で出すのであれば同じ公務員を雇う。だから自治体は望んでいないんです。民間委託をすれば安くなることで今までやってきているわけですから、そこに自治体の望む基準というのは当然賃金を上げるとか継続雇用するとかは思っていないわけです。ですから我々だけで自治体労働組合だけではこの問題は決着が付かない。同一労働同一賃金でいえば同じ立場のものが民間と公務員がよってたかって大阪府という自治体をどつきにいかんと決着が付かないと思っています。そういう意味でご理解をいただきますようよろしくお願いします。


要請書提案と集会決議


末田  それでは今日の集会でいろいろ課題が見えてきたわけです。今後につなげるという意味で、過去に3者のうちで自治労府職は労働支部で全国一般と全港湾といっしょに要求書を出したことがあるのですが、自治労府職単組としてやる集会は初めてということでありますし、この集会をきっかけにさらに制度改善を求めるために、3者連名で大阪府に対して要請書を出していこうということを提案させていただきたいと思います。提案は自治労府職の書記長の西浦の方からさせていただきます。

西浦  今後の取り組みとして、本日主催の3者で共同して大阪府の方に要請をしていきたいと思います。
 第1項目は大阪府の総合評価方式について府内の自治体にも導入するよう働きかけよう。大阪府としては9件という到達状況があるのですが、少しでもこの考え方を市町村レベルにおいても広げることによってより全体として、自治体として広がりが勝ち取れるのではないかという立場で要請したいと考えております。
 2つ目には、個別具体に社会保険事務所に登録されているかどうか、労働関係の保険はどうか、従業員の賃金台帳の有無、就業規則の有無、健康診断等の実績、例えば過去に大阪府からの賞罰を受けていないか、そういうことがチェックされているかどうかということを求めていきたいと思います。
 3点目としては、先ほども青木書記長の方から強い要請もあった点です。雇用の継続、雇用継承という立場で取り組みを具体的に前へ進めていきたい、そういう思いを込めた文章としています。
 4点目が、今回の3月府議会で採択された大阪府議会としての意見書です。ILO94号条約では、国や自治体など公的な機関が発注する事業に従事する労働者に適正な水準の賃金、労働条件を確保するよう契約に明記することを義務づけています。この条約の趣旨を生かして公契約の入札制度の改革を行い、入札の貴重な機会を活用して労働関係法令の遵守をはじめとする公正労働基準や環境、人権、男女平等参画、障害者の社会参画など、価格以外の社会的価値とも受注企業に追求するいわゆる政策入札を全ての分野の入札に適用されることを強く要望すると、そういう府議会での意見書のとりまめとなりました。
 この府議会の意見書、経過を若干紹介しますと、自治労府職政策闘争委員会を中心に民主会派と連携を持つことによって、自民や公明とも連携が取れる中で民主会派提起の意見書が採択されたという経過です。是非その点も含めてご了解をいただきたいと考えております。
 5点目は、大阪府においては今、非常勤、嘱託員、パート的職員がいます。この方がたの契約単価については1日の勤務が6時間で日給は5450円です。時間給に換算しますと900円あまりになります。これをもとに大阪府における業種別の最低賃金として900円を設定して全ての非常勤あるいは非常勤作業員、大学の非常勤職員等々に適用していけという要請をしていきたいと考えているところです。
 6点目については、先ほど橋本が紹介した黒田了一知事時代の「一定期間指名競争入札から排除する」という知事回答を踏まえて具体的な対応方策を検討する場を設置せよということです。是非議論の上とりまとめをよろしくお願いします。今後さらなる総合評価方式に止まらず、いわゆる政策入札、リビングウェッジ、こういう社会の実現に向けて取り組みをさらに一歩前進させていきたいと考えていますので、ぜひよろしくお願いいたします。

末田  提案させていただきました要請書についてご意見がないようなので、拍手でもう一度要請書を確認していただけますでしょうか。(拍手)ありがとうございます。それでは集会の締めくくりに集会決議の提案を自治労府職の池口執行委員の方からさせていただきます。

池口  集会参加のみなさんたいへんご苦労様です。集会決議案を読み上げて提案させていただきたいと思います。よろしくお願いします。(「集会決議案」)

末田  集会決議が採択されました。今日の集会をきっかけにさらに運動を進めていく、そういう決意をみんなで再度確認をしあって今日の集会をお開きにしていきたいと思います。
どうもありがとうございました。